それでは本編どうぞ!
『Boost!Boost!Boost!』
ヴァーリの攻撃を躱すと共に、
しかし・・・・・
(これ以上は・・・・無理だな)
これ以上、ヴァーリの攻撃を躱し続けるには無理があった。ヴァーリの方が戦闘経験が豊富なだけあって、俺の動きが読まれはじめていた。ほぼ確実に俺の力が限界まで高まる前にヴァーリの攻撃が当たってしまうだろう。
ならば・・・・・もうここで一撃与えるしかない。限界までとはいかないものの、それでもこれだけ力を高めた状態で渾身の一撃を叩き込めば・・・・・・
(決める・・・・・一気に終わらせる!)
俺はわざと回避のさい、回避の疲労に店かせてわざと体をよろめかせる。技と作った大きな隙とはいえ、ヴァーリほどの強者がそれを見逃すわけもなく、ピンポイントでその隙を突こうと拳を突き出す。そして俺は、それに合わせてヴァーリの頭部に拳を突き出した。
ヴァーリの攻撃も俺に当たるだろうが、これまで体を鍛え続けていたのだから一撃程度なら耐えることはできる。だが、俺の方は散々力を高め続けていたのだ。それと頭部に叩き込めば、いくらヴァーリでも耐えることは難しいだろう。
そして、ヴァーリの拳が俺の腹部に、俺の拳がヴァーリの頭部に触れたその瞬間・・・・・
「・・・・・残念だな、兵藤一誠」
「ッ!?」
腹部に衝撃を感じるとともに、俺の体は大きく後方へと吹き飛ばされた。俺の拳が、ヴァーリの頭部に完全に叩き込まれる寸前にだ。
完全にやられた・・・・ヴァーリは拳を叩き込む瞬間に手のひらを開き、俺に魔力で攻撃してきた。ヴァーリはかつての魔王ルシファーの血を引いているだけあって魔力量は俺とは比較にならないほどに多いのだろう。故に、その威力もまた強大であり・・・・俺の体は後方へと弾き飛ばされてしまった。
「・・・・・まさか触れただけでこの威力とはね。完全に決まっていたら俺の負けだった」
頭部を覆っていたはずの兜が失われ、頭部から血を流しながらヴァーリは言う。
「初めからこれを狙っていたのか・・・・・?」
「ああ。君の考えは読めていたからね。だから利用させてもらった」
ちっ、やはり戦闘経験の差は大きすぎたか。タイミングはかなりシビアだったはずなのに、それでもヴァーリは自らの思惑通りにことを運んだ。俺の考えを読み切ったうえでだ。
一体どれだけ長い間戦いに身を置けばここまで・・・・・
「君は一撃にすべてをかけようとしていた。だが、俺はその必要はない。少しでも君に触れてしまえれば・・・・・」
『Divide!』
「ぐっ・・・・・」
「こうして、力を奪うことができる」
身体から力が抜ける。ヴァーリの神器、白龍皇の力で俺の力は半減し、そして半減した力はヴァーリが吸収してしまっている。
『Boost!』
半減した力を、すぐさま倍化で戻す。だが、力は戻せてもヴァーリに吸収されてしまった力まではどうしようもできない。戦局は一気に俺にとって不利なものになってしまった。
「さて覚悟するといい兵藤一誠。ここからは・・・・・俺の独壇場だ」
ヴァーリは不敵な笑みを浮かべながら、俺に迫ってきた。
「一誠!!」
白龍皇の猛攻を受ける一誠を見て、私は思わず叫んだ。致命傷をさけ、かろうじて凌いではいるが、それでも一誠が不利なのは明白であり。このままでは一誠は・・・・・
こうなったら、一誠に加勢を・・・・・
「やめておけ」
一誠に加勢しようとする私を、アザゼルが引き留めた。
「止めないでちょうだい。一誠は私の可愛い眷属。助けるのは主として当然よ」
「そいつは大した主従愛だ。だがな、お前が突っ込んで行ってどうなる?あの戦いについていけるのか?」
「それは・・・・・」
アザゼルが言っていることは理解できる。私は一誠よりも遥かに弱い。そんな私が戦いに加わったところで足手まといにしかならないかもしれない。
だけど・・・・・それでも、ここでただ見ているだけだなんて、私には耐えられなかった。
「そうだ・・・・・ギャスパー!あなたの神器の力で一誠を援護してあげて!」
ギャスパーの神器、
だけれど・・・・
「・・・・・すみません部長。できません」
ギャスパーは、私の頼みを断った。
「どうして?あなただって一誠のことを大切に思っているでしょう?」
「確かに僕は一誠先輩のことを誰よりも尊敬しています。でも、だから僕は一誠先輩の邪魔をしたくないんです」
「邪魔?」
「一誠先輩は、自分の手で白龍皇を倒すことが生きる目的の一つだと言っていました。そしてそれは、誰にも邪魔をされたくないことだと思うんです。だから僕は・・・・・どれだけ一誠先輩が苦戦しているとしても、一誠先輩の戦いの邪魔をしたくないんです」
ギャスパーは普段の弱々しさを感じさせないほどに強い声色ではっきりと言い放った。
「その吸血鬼のガキはよくわかってるようだな。この戦いは二天龍、兵藤一誠とヴァーリ・ルシファーだけの戦いだ。兵藤一誠からしたら不本意なタイミングではあったかもしれないが、それでも一度始まってしまったからにはあの戦いには誰も介入するべきではない。俺達外野はただ、戦いの成り行きを見守るしかできないのさ」
「・・・・・・」
アザゼルの言っていることは理解できる。理解はできるが・・・・・歯がゆかった。主であるにもかかわらず、ただ見ていることしかできないのは私にとって苦痛だから。
(一誠・・・・・負けないで)
私は戦いを見守りながら、一誠が負けないようにと願った。
(くっ・・・・・やっぱりしんどいな)
俺は心の中で舌打ちをする。俺に触れたことで半減と吸収の力を存分に発揮できるようになったヴァーリは、接近戦だけに拘らず魔力による攻撃も仕掛けてくる。致命傷を避けているとはいえ、それでもヴァーリの攻撃はいくらか喰らってしまって鎧は一部破損しているし、こちらからは攻撃することもできずにいる。俺はただ追いつめられる一方だ。
どうにか現状を打開する手段はないかと思案していると・・・・・突然ヴァーリからの攻撃が止まった。
「・・・・・解せないな。兵藤一誠、なぜ本気を出さない?」
「どういう意味だ?」
「君は俺と同じ、二天龍であると同時に悪魔でもある。なのに君は全く魔力を使おうとしていない。魔力を身に纏わせて戦う君の戦法は俺に対して有効であるにも関わらずだ」
ヴァーリの言う通りだった。魔力を体に纏わせればヴァーリに直接触れずに戦うことができた。それは有効だとわかってはいたが・・・・・俺は魔力を使わなかった。
「それだけじゃない。君はリアス・グレモリーの眷属で
確かに昇格も使っていない。今の俺は兵士のまま。つまり昇格による能力上昇の恩恵は受けていない。
「さらに言うなら・・・・・君は俺に対して最大限効果を発揮する武器を持っているはずだ。それなのに君はそれさえも使おうとしない。それが解せないと俺は言っているんだ」
ヴァーリの言っている武器というのは聖剣アスカロンのことを言っているのだろう。
だが・・・・・・俺はそれを使うつもりはない。悪魔の力も、聖剣の力も俺は一切使わない。
「俺は・・・・・生まれた時から白龍皇であり、悪魔でもあったお前とは違う。俺は人として生まれた。人として赤龍帝の力を宿した。そして・・・・悪魔の力を持っていないときに、純粋に赤龍帝として白龍皇を倒そうと誓ったんだ」
悪魔の力も聖剣の力も所詮後付け。それは純粋な赤龍帝の力ではない。
「確かに悪魔の力を使えば、聖剣の力を使えばもっと楽はできるだろうさ。だがな、それじゃあ意味がないんだよ。俺がドライグに約束したのは赤龍帝として白龍皇を打倒するということ。悪魔の力も、聖剣の力も今この状況においては邪魔でしかない」
「どうやら俺を舐めているというわけではなさそうだな」
「ああ。お前は確かに強いさヴァーリ。白龍皇としての力も、悪魔としての力も使いこなしている。俺がこれまでに戦った誰よりも強いのは疑いようもない。だが、それでも俺は・・・・・赤龍帝として培ってきた力だけで、お前を倒して見せる!」
これは譲れない俺の誇りだ。たとえ負けそうになったとしても、悪魔の力も聖剣の力も使わない。
俺は赤龍帝として・・・・・白龍皇、ヴァーリ・ルシファーを倒したいんだ
「くくくっ・・・・・・はははははっ!これはいい!俺を前にしてそこまで意地を貫き通すとは面白いぞ兵藤一誠!君との戦いは楽しい!君もそうだろう?」
「・・・・・なに?」
「君も俺との戦いを楽しんでいるのだろう?でなければそんなふうに笑っていられるはずがない!」
笑う?俺は・・・・・今笑っているのか?
「本気でないにも関わらずどうして笑っていられるのか疑問に思っていたが君の話を聞いて納得がいったよ。君は赤龍帝として俺と戦うことに喜びを感じている。方向性や考え方は違うが君は俺と同類の、戦闘に喜びを見出しているんだ。嬉しくてたまらないよ・・・・俺の生涯の宿敵が、俺と同類なんだからな!」
俺がヴァーリと同類・・・・・戦闘に喜びを見出している。
・・・・・ああ、確かにそうかもしれない。俺は白龍皇を倒すことを生きる目的にしているが、それにどうしてそこまで拘っているのかわからなくなる時がたまにあった。だけど・・・・ヴァーリに言われて納得した。
俺は・・・・・戦いが好きなんだ。
「ふふっ・・・・くははははっ!」
ああ、こんな風に笑ったのはいつぶりだろうか?コカビエルとの戦いのときは、憎しみに駆られてそんな余裕など一切なかったが、今は・・・・・今この時においては・・・・・・
「ヴァーリ・・・・・お前のおかげで色々と吹っ切れたよ。色々とすっきりした。この礼は・・・・・拳に乗せてたっぷり返してやるよ!」
『Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!』
俺はこれまでにないスピードで自身の力を高め・・・・・ヴァーリに殴りかかった。
ヴァーリさんのおかげで、自身の戦い好きを自覚した一誠さん。そしてそのおかげで色々と吹っ切れました
その結果どうなるかは・・・・・次回、その眼でお確かめを
それでは次回おまたお楽しみに!