『兵藤一誠』の物語   作:shin-Ex-

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今回は一誠さんとリアスさんの母親であるヴェネラナさんとのお話です

私独自の解釈が入ってますのでご容赦を

それでは本編どうぞ


第72話

「ここを我が家だと思って楽しんでくれたまえ。必要なものがあればメイドに用意させよう」

 

夕餉の席にて、部長のお父様が俺達に促してきた。厚意は嬉しいのだが、さすがにこんな城のような家では気を遣ってしまう・・・・・うちもリフォームしてかなり大きくはなったが、この城はその比ではないわけだしな。

 

「一誠くん、ご両親は元気かな?」

 

「ええ。リアス様のご両親にくれぐれもよろしくと言っていました」

 

「そうか。ふふっ・・・・彼とは非常に話しが合う。機会があればまた酒を酌み交わしたいものだ」

 

どうやら俺の父親をえらく気に入っているようだ。まあ、その理由は酒がらみであるのだろうが。父さんもまた一緒に飲みたいと言っていたし。

 

「一誠さん・・・・とお呼びさせてもらうわね。少しいいかしら?」

 

「はい、なんでしょうか?」

 

今度は部長のお母様、ヴェネラナ様が俺に声をかけてきた。髪は茶色だが、部長によく似た・・・・・いや、部長の方がヴェネラナ様に似ているといった方がいいのか。ともかくかなり美女だ。かなり若く見えるが、悪魔は年を経れば容姿を魔力で自由にできるらしい。実際、部長の兄であるサーゼクス様も若く見えるが部長とは数百歳も歳が離れているそうだしな。

 

「あなたには冥界に滞在中、マナーのお勉強をしていただきます」

 

「マナーの・・・・ですか?」

 

「お母様?いったい何を?」

 

「一誠さんに自覚はないでしょうが、あなたの名前は悪魔達の間で広く知れ渡っています。次期グレモリーの党首であるリアスの眷属であり、今代の赤龍帝であり、そしてあの堕天使の幹部コカビエルをも打ち倒すほどの強さを持ったあなたは注目の的です」

 

そ、そんなになのか・・・・・・自分のあずかり知らないところで自分の名が知れ渡っているというのはなんか複雑な気分だ。特に有名になりたいという欲求もないし。

 

「それとマナーの勉強にどのような関係が?」

 

「これほど名が知られてしまった以上は、一誠さんが社交界に顔を出す機会は必ず訪れます。貴族の間で一誠さんを招待したいという話も飛び交っていますので」

 

なるほど、納得した。つまりその時無礼を働いては部長の名を汚すことになりかねないということか。正直マナーの勉強をしている暇があったら修行していたいのだが、主に汚名を着せるわけにはいかない。きっちりと勉強させてもらおう。

 

「そういうことでしたらぜひお願いいたします」

 

「そう言ってもらえて何よりだわ。ではさっそく明日から学んでもらいましょう」

 

こうして、マナーの勉強をすることとなった・・・・・正直自信は皆無だから頑張ろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふっ、さすがに鍛えているだけあって体幹がいいですわね」

 

「は、はあ・・・・・どうも」

 

冥界に訪れて二日目、なぜか俺はヴェネラナ様とダンスのレッスンをしていた。確かにマナーの勉強をするとは言ったが・・・・・なぜ一番最初がこれなのだろうか?

 

「ワン、ツー、スリー・・・・・ここでターン。いいですね。少し教えただけでここまでのレベルに至れるなんて、一誠さんにはダンスの才能が有ります」

 

「ありがとうございます」

 

正直、必要になるとはいえダンスが好きなわけではないのでダンスの才能があると言われても嬉しくはないのだが・・・・・・まあ、それでも褒められているのだから感謝の言葉で返すのが礼儀だろう。

 

「では少し休憩しましょう。休憩後はさらにハードな・・・・タンゴの練習をしてみましょう」

 

「すみません、ダンスのこと詳しくないですけどタンゴって明らかに素人がどうこうできるものじゃないですよね?」

 

あまりの無茶ぶりに思わずツッコミを入れてしまった。というか、社交界のダンスでタンゴってあるのか?詳しくないからわからないけど。

 

「まあ、細かいことはお気になさらず」

 

「いえ、さすがに気にするのですが・・・・・」

 

なんだろう・・・・・この部長を思わせるやや強引な一面は。部長はやはりヴェネラナ様に似たのだろう。

 

ともかく休憩しよう・・・・・なんかもう疲れた。トレーニングの時よりは体は動かしてないから身体的な疲労はないけど、精神的にすっごい疲れた。

 

・・・・・と、そうだ。せっかくだしヴェネラナ様に聞いてみるかな。

 

「ヴェネラナ様、よろしいでしょうか?」

 

「何かしら?」

 

「私はリアス様とライザー様の婚約を台無ししてしまったのですが、そのことに関して・・・・・怒っていないのでしょうか?」

 

部長とライザーの婚約をかけたレーティング・ゲーム。そのゲームにおいて、俺はライザーを倒した。それはすなわち、俺が破談させてしまったも同義だ。あの婚約は部長とライザーだけでなく、グレモリーとフェニックスを繋ぐ縁談だった。それを台無しにされたとあれば普通は怒りをあらわにすると思うのだが・・・・・果たしてどうなのだろうと気になり尋ねてしまった。

 

「そのことですか・・・・・・確かに、何も感じていないといえば嘘になります」

 

やはり、ヴェネラナ様としても思うところはあるらしい。

 

「ですが・・・・・それはグレモリー家のヴェネラナとしてです。リアスの母、そして一人の女としては一誠さんには感謝しています」

 

「俺に感謝・・・・・ですか?」

 

「リアスはライザーとの婚約を嫌がっていた。私はグレモリー家の者として、そのような我儘は許さないとあの子をよく叱っていました。ですが・・・・・その一方で、あの子には望む相手と添い遂げてほしいとも思っていました」

 

「それは母親としてですか?」

 

「ええ。娘が好きな相手と結婚する・・・・・それを喜ばない親はいません。それに何より・・・・自分の相手を自分で選ぶというのはやはり女として幸せなことだと思いますから」

 

自分の相手を自分で・・・・・

 

「失礼ですがヴェネラナ様は・・・・・」

 

「私は元々バアル家の出身です。もっとも、私は納得した上で嫁いでいますし、夫のことも愛しているので後悔はありません」

 

ヴェネラナ様はバアルの・・・・・後悔はないとは行っているが、色々と家の事情が絡んでいただろうから、自由な恋愛ではなかったのだろうな。

 

それにしても・・・・・確か部長の使っている滅びの力は本来グレモリーのものではなかったんだっけな。そこまではまだ勉強してなかったけど・・・・・あの力はバアルのものっていうことか?

 

「ライザーの件もありますし、私はこれ以上あの子の我儘を許すつもりはありません。ですが、我儘を超えない範囲であればあの子の意思を尊重しますし、そのためのお膳立てをすることもやぶさかではないと思っています。今一誠さんを指導しているのもリアスが・・・・・」

 

「え?」

 

「・・・・・なんでもありません。少しおしゃべりが過ぎてしまったようですね」

 

誤魔化すように微笑を浮かべるヴェネラナ様。

 

この誤魔化し方はもしかしてヴェネラナ様は俺は部長にあてがおうと?そのために俺にマナーやダンスを教えているのは部長のために・・・・・・

 

だとしたら困ったな。部長の俺に対する感情は理解している。だが・・・・・それでも俺はその思いを受けい入れることはできない。俺は・・・・・俺には誰かを愛する資格も、誰かに愛される資格もないのだから。

 

そしてそれはきっと部長も理解して・・・・・

 

「さて、休憩はここまでにしましょう。一誠さん、ダンスレッスンの続きを」

 

「・・・・・はい」

 

ヴェネラナ様の一声で、ダンスレッスンが再開される。

 

はたしてこのレッスンはいったい誰のためのものなのか・・・・・・わからないけれど、必要になるというのならやるしかない。

 

どこでどう必要になるのか・・・・・・それは今ここで考えることではないだろう。




正直貴族の婚約の問題は複雑そうで私では理解しきれない・・・・・

家同士でいろんな目論見はあるんだろうなぁ

それでは次回もまたお楽しみに!
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