それでは本編どうぞ
(場違い感が半端ないな)
俺達若手悪魔が通された部屋・・・・そこには魔王様達と偉そうにふんぞり返っている老年の悪魔達が居た。ここで部長達上級悪魔達の会合が行われるのだが・・・・あまりいい気分はしない。魔王様達はともかくとして、偉そうな連中に品定めされている気がして落ち着かなかった。しかも、何人かは俺の方を見てひそひそ小声で話しているし。たぶん俺が今代の赤龍帝だからなんだろうが・・・・正直、鬱陶しいと思ってしまった。
「さて、よく集まってくれたな。これは次世代を担う貴殿たちを見定めるための会合・・・・・早速やってくれたようだが、まあいいだろう」
初老の男性悪魔がゼファードルの腫れた頬を見ながら言う。まあ、こういった席でああいう顔で出てくるのは確かに問題があるだろう。それ以前に、そうなっただけの過程があったというのもどうかと思うが。
「君達6人は家柄、実力共に申し分ない次世代を担う悪魔達だ。だからこそデビュー前に競い合い、力を高い合ってもらいたい」
一番上段の席に座るサーゼクス様が言う。競い合うというのはおそらくレーティング・ゲームを行うということだろう。この場に居合わせた悪魔達の実力は気になるところ・・・・この提案は俺にとっても嬉しいものであった。
「近いうちにエキシビジョンという形でレーティング・ゲームを行う。このレーティング・ゲームは我々だけでなく天使や堕天使達、そして他神郡の有識者も観戦することとなっているので、存分に君達の力を見せてもらいたい」
天使や堕天使、そして他の神郡までもか・・・・・各勢力の交流や、レーティング・ゲームの有用性のアピールも兼ねているのかもしれないな。だったらなおさら、部長の眷属悪魔としては恥ずかしいところを見せられない。
「力を高め合う・・・・というのは例のテロリスト、
サイラオーグ様がサーゼクス様に尋ねる。
「それはまだ断言できないが、できる限り若い悪魔達は投入したくないと思っている」
「なぜですか?我々とて戦力の一端を担えると自負しております」
「それは理解している。だが、君達はまだまだ若く、そして将来有望だ。万が一君達を失うことがあっては悪魔にとって致命的な損失となる。それだけ我々にとって、君達若手は宝なのだよ」
「・・・・・・わかりました」
サイラオーグ様は完全に納得できていない様子であったが、それでも了承の返事を返した。確かに、サオラオーグ様なら滅多なことでは万が一は怒らないかもしれない。このひとはきっと・・・・・コカビエルやヴァーリにも引けを取らない猛者だろうからな。
「さて、それでは次に君達の今後の目標について聞かせてもらおう」
「俺は魔王になるのが夢です」
(ッ!?)
サイラオーグ様が言葉を発した瞬間、俺は思わず息を呑んでしまった。
言葉だけでも十分に窺い知れる・・・・・サイラオーグ様は、計り知れないほどの覚悟を持って、その言葉を口にしているのだと。その言葉に・・・・・自らの未来をかけているのだと。
「大王家から魔王か・・・・・出るとしたら前代未聞だな」
「俺が魔王になるしかないと冥界の民が感じたのなら、そうなるでしょう」
男性悪魔のその言葉に、サイラオーグ様はきっぱりと言い切った。やはりこのひとの想いは本物だ。どういう経緯があり、魔王を目指しているのかはわからないが・・・・・サイラオーグ様ほどの男が語る夢だ。部長の眷属である俺でも応援したくなる。
なのだが・・・・なぜだ?なんで俺はこんな・・・・
「私はグレモリーの次期当主として生き、私の眷属と共にレーティング・ゲームの各大会を優勝するのが近い将来の目標ですわ」
俺が自身の中に芽生えた感覚に戸惑っていると、部長が目標を口にした。部長の目標はサイラオーグ様のものと比べると壮大とは言い難いが、それでも部長らしさを感じるものであった。
一兵士として、俺もその部長の目標の礎にならなければな。
「私は・・・・・冥界にレーティング・ゲームの学校を建てたいと思います」
部長の次に、ソーナ様が言葉を発した。
学校か・・・・ソーナ様はそんなことを考えていたのか。まあ、学び舎というのは必要なものだ。いい目標だと素直に思う。
だが・・・・・俺の思いと比べ、お偉様方の反応は芳しくなかった。
「レーティング・ゲームを学ぶ場ならば既にあるはずだが?」
「承知しております。ですが、それは上級悪魔と一部の特権階級の悪魔のみしか行くことができません。私が目標としているのは、階級や身分の垣根を超え、誰もがレーティング・ゲームを学べる分け隔てない学び舎です」
誰もが学べる分け隔てのない学び舎・・・・・それは素晴らしいものであると思う。だがそれは、元々人間であった俺の感想。元々位の高い悪魔として生まれた彼等は・・・・・そう思うことはないだろう。
「ふはははははっ!これは傑作だ!」
「そのような無理を口にするとは、夢見る乙女というわけですな」
「デビュー前だから良かったものの、デビュー後にそのようなことを口にしてしまっては大恥をかいていたところだ」
お偉方の口から出るのは否定の言葉、あるいは嘲笑であった。この方々はソーナ様の夢に価値を見出していないどころか、無駄だとさえ思っている。
「・・・・・木場、これが悪魔の現状か?」
「そうだね。変わりつつあるといっても、上級、下級、転生悪魔の間の差別意識はなくなっていない。古い悪魔ほど、その意識が深く根付いていて、それを当たり前のように感じているんだよ」
木場から返ってきた答えを聞き、嘆かわしいと思ってしまったのはやはり俺が元々人間だったからなのだろう。俺と彼らとでは決定的に価値観が違う。だからこそ、ソーナ様の夢に対して抱いた印象に差がありすぎるのだろう。
「忠告いたしましょうソーナ・シトリー殿。下級悪魔、転生悪魔は上級悪魔である主に仕え、才能を見出されるのが常。いくら冥界が変わりつつあるとはいえ、有象無象に教育の場を与えるのは無駄というもの。伝統と誇りを重んじる旧家の顔を潰すことになる。事実、あなたのその発言はシトリー家の顔に泥を塗るようなものです」
「黙って聞いてれば好き勝手・・・・会長の、ソーナ様の夢の何がおかしいっていうんですか!俺達は本気なんです!本気で夢を叶えるために努力してるんですよ!」
お偉方の物言いに我慢ができなくなったのか、匙が激情を露わにする。だが・・・・駄目だな匙。お前の言ってることは間違ってると思わない。思わないが・・・・・これはそういうことじゃないんだよ。お前がそこで怒ったって意味がないんだよ。
「・・・・・私の眷属が失礼しました。あとで言い聞かせます」
「なんで謝ってるんですか会長!俺、間違ったことなんて・・・・」
「お黙りなさい匙。この場はそういった態度を示す場ではありません。私は将来の目標を語っただけ・・・・それだけなのです」
「ッ!?」
匙を咎めるソーナ様。そう、ソーナ様はわかったうえで語ったのだ。
嘲笑など覚悟のうえ。否定など承知のうえ。それでも、ソーナ様は強い意志と覚悟を持って、恥じることなく、臆面もなく自分の夢を口にした。
尊いと思う。健気で・・・・・強いと思う。ソーナ様の思いは尊敬にも値するものだろう。
だが・・・・・
(まただ・・・・・どうして俺は?)
サイラオーグ様の時と同じように、またしても俺の胸中にあの感覚が芽生えた。本心で尊敬している。本心で強いと思っている。だというのに俺の中で・・・・・・・なぜ言い様のない苛立ちが芽生えているのだろう?
一体なぜ・・・・・・?
「だったら、うちのソーナちゃんがゲームで勝てば文句ないんでしょ!ゲームで勝てばソーナちゃんの夢を叶えることだってできるはずだもん!」
我慢の限界とばかりに、ソーナ様の姉であるセラフォルー様が言葉を発した。
「おじさま達ったら寄ってたかってソーナちゃんを虐めて・・・・・私だって我慢の限界があるんだよ?あんまり虐めると、今度は私がおじさま達を虐めちゃうんだから」
そのセラフォルー様の一言で、お偉方は黙り込んだ。現レヴィアタンであるセラフォルー様からの虐めなど・・・・考えただけでもおぞましい。
「ふむ・・・・・ならちょうどいい。こういうのはどうだろう?」
セラフォルー様の言葉を聞き、どうやらサーゼクス様は何かを思いついたようだ。
「リアス、ソーナ・・・・・二人で戦ってみないか」
「「・・・・え?」」
サーゼクス様の提案に、部長とソーナ様はきょとんとした表情を浮かべる。
こうして、俺達グレモリー眷属とシトリー眷属のレーティング・ゲームが執り行われることとなった。
一誠さんに芽生えた謎の苛立ち・・・・・これについてはいづれ判明していきます
一誠さんの歪みにも関係しておりますので・・・・・
それでは次回もまたお楽しみに!