おおよそは原作通りですが・・・・・
それでは本編どうぞ
ソーナ様率いるシトリー眷属とのレーティング・ゲームを控え、俺達グレモリー眷属は戦力アップの為にアザゼル先生監修の下、各々修行を行うこととなった。
「よし、皆集まったな。これから各々の特性に合わせたトレーニングメニューを渡す。まずはリアスだな」
最初は部長にトレーニングメニューが渡されるようだ。
「お前は最初から才能、身体能力、魔力が高水準だ。何もせずとも数年後には最上級悪魔候補になっているだろう。だが、お前は今強くなりたいんだろ?」
「ええ。もっと強くなりたいの」
部長の表情は苦々しい。おそらく、ライザーとおレーティング・ゲームのことを思い返しているのだろう。結果としてゲームに勝利はしたが、部長はライザーに敵わなかった。
「なら、このメニューをゲーム当日までこなせ」
「特別凄いメニューには思えないけれど?」
「総合力の高いお前は、基本的なトレーニングだけで能力は十分に高められる。問題は
確かに、部長は俺達眷属を導くカリスマ性には溢れているが、その辺りは経験不足もあってまだ洗練されていないように思える。まあ、俺も大して高くはないから人のこと言えないが。
「だから過去のゲームの記録を見て学ぶことが私のメニューなのね」
「そうだ。王である以上、強いに越したことはないが、王は強さ以上に眷属の力を引き出すことが重要だ。過去、レーティング・ゲームにおいても王の強さは大したことなくても、眷属の力を引き出すことでタイトルを獲得している者もいる。王としての資質を磨け。もちろん、基礎トレーニングと併用してな」
「わかったわ」
「次に朱乃、お前は自分の中に流れる血を受け入れろ」
「ッ!?」
アザゼル先生の言葉に、朱乃は表情をこわばらせる。
「フェニックス戦の記録を見たが、あのゲームはお前が堕天使の力を振るっていればもっと楽に勝てたはずだ。堕天使の光の力を雷に乗せ、雷光にすれば相手の
「私はあのような力に頼らなくても・・・・!」
「そうやって逃げ続けるか?ならお前は今後の戦闘で邪魔になる。お前だってわかっているんじゃないか?」
「それは・・・・・」
「自分に流れる血を否定するな。全力を出さずに勝てると思うなよ」
「・・・・・」
黙ってアザゼル先生に渡されたトレーニングメニューを見つめる朱乃先輩。その心境を推し量ることは俺にはできない。
「次は木場とゼノヴィアだな。木場は
「はい。また一から指導してもらうつもりです」
「お前の師のことは俺も知っている。剣術に関してはそれで大丈夫だろう」
木場の師か。どんなやつなのか気になるな。剣術に関しては俺も他人ごとではないからな。
「ゼノヴィアはデュランダルを使いこなすことが第一目標だ。あとは、細かい力のコントロールも覚えろ。パワーがあるのは結構だが、そればかりに頼れば手痛いしっぺ返しを食うこともあるからな」
それに関しては俺も気を付けないとな。俺も基本的にはパワー型だし。
「それと、お前達二人には他にもやってもらうことがある」
「他にも」
「一体なんだ?」
「ちょっとしたことだ。自分の剣術を見つめ直す機会にもなるだろうからまったく損になるようなことじゃない」
他にやってもらうこと・・・・・それは多分、俺に関することだろうな。二人の力を借りないことには独学じゃ限度があるからな。
「次にギャスパー。お前ははっきり言って素質だけならグレモリー眷属最強だ。血筋も
確かに、正直ギャスパーの潜在能力は底が知れない。いつか追い抜かれる気がしてならないしな。
「だが、その素質を今はまだ活かしきれてない。その最たる原因は恐怖心だ。敵に臆することなく立ち向かうことさえできれば、それだけでお前は強力な戦力になる。引きこもり脱出計画を組んだから、最低でも人前で動きが鈍らないようにしろ。あとは、肉体トレーニングも継続しておけ」
「は、はい!当たって砕けろの精神で頑張りますぅぅぅ!!」
「そう思うならまず段ボールに籠るのをやめろ・・・・・」
意気込みながらも、段ボールの中に閉じこもるギャスパーに、思わず呆れてしまう。素質は高いんだが・・・・・先が心配である。
「次はアーシアだ。アーシアは基礎トレーニングを中心に身体と魔力の向上を図るが、それは神器の強化を見越してのことだ」
「アーシアの回復能力はすでに完成形に近いと思うのだけれど」
「回復自体はな。だが、弱点が無いわけじゃない。回復できる範囲が狭く、回復中は無防備になってしまう。相手だって回復が終わるのを黙って待ってくれるわけないだろう」
まあそうだろうな。俺だったら回復が終わる前か、回復する前に叩く。
「もしかしてアーシアの神器の強化って・・・・」
「回復範囲の拡大だ。
「それが本当なら、アーシアの戦場での役割はとんでもないことになるわね」
部長の言う通りだ。遠距離回復が可能なら、グレモリー眷属は何倍も強く大きくなる。
ただ気になるのは・・・・・
「問題はアーシア自身の性格だな」
「アーシアの性格?」
「アーシアは優しすぎる。戦場で傷ついた者を見てしまうと、敵味方に関わらずに回復してしまう恐れがある」
だろうな。敵にさえ情を抱いてしまうほどの優しさはアーシアの長所だが、戦いにおいては欠点となってしまう。
「だからこそ、伸ばすのは別の方向性。広範囲回復ではなく回復効果を飛ばすやり方だ」
「回復効果を飛ばす?」
「ああ。飛び道具のように飛ばせば直接触れなくても回復できるようになる。理論上は可能だ。もっとも、直接触れるより回復量は落ちるだろうが。それでも、遠距離回復が可能になれば戦略性は増す」
「そうね。攻撃に徹する前衛、回復などでサポートする後衛、攻撃しつつ後衛を守る中衛。シンプルだけれど強力なフォーメーションだわ」
「もちろん、場合によってはそのフォーメーションも変更する必要はあるが、それでもアーシアの回復能力はこのチームも持ち味であることには変わらない。それを活かすためにも、アーシアの体力向上は必須だ」
「はい!頑張ります!」
自分の能力がチームの要になるとわかり、意気込むアーシア。俺としてもアーシアの成長には期待したいところだ。
「次は小猫。お前は
「・・・・・・わかっています」
アザゼル先生の言っていることがもっともであることを理解しているようで、小猫は少々悔しそうにしていた。
「お前のやるべきことは朱乃と同じだ。自分を受け入れろ。自身の力を解放しなければ成長は見込めない」
朱乃先輩と同じ?小猫も朱乃さんと同じように特殊な血筋をしているということなのか?同じグレモリー眷属だというのに、俺には知らないことが多すぎるな・・・・・これも俺にとっては課題なのかもしれない。
「最後に一誠、お前は現状、このチームの中では最強の戦力だ。というより、悪魔全体を見ても圧倒的上位に位置する強さを身につけている。だが、それでもお前には欠けているものがある」
「実戦経験ですか?」
「そうだ。強さに対して実戦経験が釣り合っていない。頭は悪くないが、経験不足故に機転が利かないことも多い。ヴァーリとの戦いの時がいい例だ。結果的に力押しでどうにかなったが、もっといい手段もあったはずだ」
それに関してはぐうの音も出ない。あの時は楽しくてテンションが上がってしまったとはいえ、ノーガードで殴りまくるなど、作戦としては下の下もいいところだ。
「だからお前には実戦経験を積んでもらう。相手は・・・・・・お、来たようだな」
俺達のいる場所に大きな影ができる。見上げてみると、巨大なドラゴンの姿が見に映り、ドラゴンは俺のすぐそばい降り立った。
「よく来てくれたなタンニーン」
「サーゼクス殿の頼みだから特別に来てやったんだ。そのことを忘れるなよ堕天使総督」
「わかってるよ。てなわけで一誠、こいつがお前の相手だ」
どうやらこのドラゴンが俺の相手らしい。
だが、タンニーンって確か・・・・・
『懐かしいなタンニーン』
「ああ。久しいなドライグ」
俺の中のドライグがタンニーンに声をかけ、タンニーンはそれに変事を返す。
「ドライグ、タンニーンって確か龍王の?」
『そうだ。六大龍王だった時の一匹だ』
「タンニーンは龍王だったが、わけあって悪魔に転生したんだよ。今じゃ転生悪魔の中でも最強クラス。最上級悪魔のひとりだ」
「ドライグから聞いたことがあります。
そんなとんでもないドラゴンが俺の相手とは・・・・うれしい限りだな。
「タンニーン、とりあえず小難しいことは抜きにして、このガキと戦いってやつを教えてやってくれ」
「俺にこの少年を実戦でいじめぬけというわけか。構わんが、途中で音を上げるようなら見捨てるぞ?」
『安心しろタンニーン。この宿主は歴代の中でも最強だ。ちょっとやそっとで音を上げるようなことはない』
「それはいいことを聞いた。では、手加減無しでやらせてもらおう」
本気の龍王のしごきか・・・・下手をすれば死ぬかもな。だが、それぐらいの方が修行としてはちょうどいいかもな。
「リアス嬢、あの山を修行の場に貸してもらえるか?」
「ええ。存分に鍛えてあげてちょうだい」
部長の許可を得て、ここから見えるなかでひと際大きな山が修行場になることとなった。修行が終わる頃には山の形が変わってしまうかもしれないが、許可を得ているので問題はないだろう。
「では行くぞ赤龍帝」
「はい」
タンニーン様と共に、山へ向かって飛び立つ。この修行でどれだけ強くなれるか・・・・・楽しみだ。
一誠は行ったな・・・・・よし。
「それじゃあ、一誠もいなくなったことだ。各自トレーニングを開始する前に大事な話をしておく」
「一誠が居ないのにかしら?」
「ああ。一誠が居ないからこそだ」
内容が内容だから、あいつの前じゃさすがに言えない。
「率直に言って、このチームの弱点は一誠だ」
言った瞬間、ほとんどの奴らが何言ってんだこいつみたいな目で俺を見てきた。そういう目で見られる覚悟はしていたが、それでも辛いものがある。
「何を馬鹿なことをと思っているかもしれないが、これは事実だ。だがそれは一誠が弱いという意味ではじゃない。お前達が一誠を頼りすぎているということだ」
「一誠を頼りすぎている?」
「そうだ。フェニックスとのレーティング・ゲーム。あれは一誠が居なければ間違いなく負けていた。何せあいつが相手の王も女王も倒しているわけだしな。聖剣騒動の時も、あいつは苦戦しながらも、自力だけでコカビエルを倒しちまったし、あのヴァーリとも互角に近い戦いをした」
その三つの功績は、グレモリー眷属にとって大きすぎた。故に、それが問題となってしまっている。
「ここにいる全員が思っているはずだ。一誠さえいれば大丈夫だと。俺はそれが弱点だって言ってるんだよ。一人に対して信頼を置きすぎるのは危険だ」
「「「・・・・・・」」」
俺の言っていることを理解し始めたのか、全員表情が険しくなっていた。
「一誠に頼り過ぎれば、いざという時の選択肢を狭めることとなる。追いつめられれば一誠に何とかしてもらおうと、お前達は思ってしまうはずだ」
「そんなこと・・・・・」
「そんなことない?それはないな。お前達は一誠に比べて弱すぎる」
こいつらは決して弱いわけではない。素質や将来性も踏まえてだが、全員が全員ポテンシャルはかなり高いといえる。
だが、それでも現状は一誠に大きく劣ってしまっている。
「今ここでこうして説明しても、お前達の一誠を頼る心理を完全には解消できないだろう。それだけあいつはお前達にとって大きすぎる存在になっていると思う」
「ならどうしろというのかしら?」
「強くなれ。一誠に引けを取らないほどに。一誠ではなく、一人一人がいざという時自分が頼られる存在になってみせると自分に言い聞かせろ。一誠に頼らず・・・・・・一誠に頼りすぎないようにな」
我ながら、少々きつい言い方をしていると思う。だが、これは必須事項ともいえる。
一誠を頼り過ぎれば、このチームはいつか必ず崩壊する。そして、頼られ過ぎれば一誠はいつかどこかで潰れてしまいかねない。
こいつらの『先生』になった以上はそれは必ず避けなければならない。
「・・・・・わかったわ。強くなって見せるわ。私達全員・・・・・一誠の為にも強く」
俺の言っていることを正しく理解できているらしいリアスが、力強く返事を返してくる。その眼には、強い意志が宿っているように思えた。
他の連中は、リアスほど理解できていない奴もいるだろうが、それでも俺が今言ったことを忘れることはないだろう。
「・・・・・俺からの話は以上だ。各自、メニューをこなしてくれ」
俺の一声で、各自トレーニングメニューをこなそうと動き始める。
頑張れよガキ共。俺にお前達が潰れるところなんて見せるんじゃねえぞ?
原作よりも好戦的なためタンニーンさんとの修行を喜ぶ一誠さん。修行は原作以上にハードになるかも・・・・・
そして一誠さんを頼りにしすぎていると指摘されたグレモリー眷属は今後どうなっていくのか・・・・・
それでは次回もまたお楽しみに!