それでは本編どうぞ
「一誠さん・・・・どうしてここに?」
戸惑いながらも尋ねてくるアーシア。質問の内容は俺がアーシアに聞きたいことでもあるのだが、今はそれどころではない。
「すまないがアーシア、話は後にしてくれ。今はやることが・・・・」
「すっき有り~!」
「ッ!?」
アーシアに意識を向けていたせいで目を離してしまい、その隙をついてフリードが動き出した。しかし、フリードがしたことは俺への攻撃でも武器の回収でもなく・・・・・アーシアを取り押さえることであった。
「フリード神父!?何を・・・・」
「きひひっ!ごめんねアーシアちゃん。アーシアちゃんあのクソ悪魔と顔見知りみたいだから利用させてもらうよ~」
「・・・悪魔?」
「およ?顔見知りでもそれは知らなかったの?そこにいる奴は俺たちの敵である悪魔なのよ?」
「一誠さんが・・・・悪魔?」
悲しげな表情で俺の方を見てくるアーシア。それなりに縁のある俺が悪魔だという事実は、やはりシスターであるアーシアにとっては思うところがあるのだろう。
「まあ、どうでもいいけどね。どうせコイツもすぐにそこのゲージュツ品みたいになるんだからさ」
「見るなアーシア!」
俺は声を張り上げるが、アーシアはフリードの指の先にある惨殺された男の死体を目の当たりにしてしまった。
「いや・・・・いやぁぁぁぁぁ!!」
あまりにも惨いそれはアーシアにとっては耐えられないものだったのだろう。アーシアは甲高い声で悲鳴を上げる。
「この手の死体を見るのは初めてだった?だったらとくとご覧よ。悪魔に魅入られた人間はこうやって殺すのさ。もちろん悪魔もな」
にやりと笑みを浮かべながら、フリードは俺に視線を向けてくる。
「お前程度の力で俺を殺せると思ってるのか?残念だがそいつは無理な話だと思うぞ?」
「確かに悪魔くんはなかなか強いようだねぇ。けどさぁ・・・・こうやってアーシアちゃんを人質にとっておけば、悪魔くんは俺に手を出せないでしょ?」
アーシアの手を掴み、自分の方へと引き寄せるフリード。
「アーシアはお前の仲間なんだろ?俺を殺すためとは言え仲間に危害を加えるのか?」
「確かにアーシアちゃんを死なせるなとは言われてるね。けどさ・・・・・こんなことはできちゃうのさ!」
「きゃあぁぁぁぁ!?」
フリードはアーシアの服の胸元に手をかけて、一気に引き裂いた。
「死なせなきゃ何したって許されるのさ!それこそ犯し尽くしたって問題ない!悪魔くんはアーシアちゃんと懇意にしてみたいだからそんな光景見たくないでしょ?だったら俺に大人しく殺されちゃいな!」
なるほど、そう来るか。確かにそういう脅しなら効果的ではあるな。
「逃げてください一誠さん!早く!」
俺の命が脅かされていると感じたようで、アーシアは俺に逃げるように進言してくる。だが、そうはいかない。このままアーシアを残してこの場を去るだなんてできるはずがない。
「別に逃げてもいいよぉ?そしたらアーシアちゃんをキズモノにしちゃうだけだからさ!ぎゃはははははは!!」
「・・・・・黙れよ外道が」
フリードの言葉に俺はキレてしまった。自分でもわかるほどドスの効いた声が出てくる。
「・・・あ?何言ってんの?状況分かってる?下手なことしたら俺アーシアちゃんに手を出しちゃうよ?」
「黙れって言ってるだろうが。さっきからふざけたこと言いやがって・・・・これ以上少しでもアーシアを辱めてみろ。お前の頭蓋を叩き割って脳髄撒き散らすぞ?」
「ッ!?」
「一誠・・・・さん?」
脅しが効いたのか、フリードは怯み顔を強ばらせる。ただ、アーシアも怖がらせてしまったが・・・・
「く、くくっ・・・・さすが悪魔だねぇ。随分とえぐい脅しを・・・・」
怯みながらも乾いた笑みを浮かべながら言うフリードであったが、その言葉が最後まで紡がれることはなかった。部屋の中に突然魔法陣が現れたからだ。
(この魔法陣・・・・まさか?)
その魔法陣には見覚えがあった。程なくして、魔法陣から4つの人影が姿を現す。
「一誠くん、助けに来たよ」
「あらあら・・・・これは大変な状況ですわね」
「・・・・・神父」
「一誠、大丈夫かしら?」
魔法陣から現れたのはオカ研の皆だった。
「あらら?これはこれは悪魔の団体さん・・・・・いらっしゃーい!」
部長達の姿を目にしたフリードは、銃を拾い上げて銃口を向け引き金に手をかける。まあ、撃たせるわけないけどな。
「もういい加減大人しくしてろよ」
「ぐへっ!?」
フリードが引き金を引く前に、一気に接近して鳩尾あたりを蹴り上げる。銃を拾うためにアーシアから離れてくれたおかげで遠慮する必要はなかった。フリードはうめき声を上げてその場にうずくまる。
「・・・・あれ?これもしかして助けはいらなかったかい?」
「助けが必要だったかと言われたら・・・・・この通りかな?」
蹲るフリードを見ながら言う木場に対して、俺は少し申し訳ないような気持ちを抱きながら答える。いや、もちろん心配して助けに来てくれたことに関しては嬉しいんだけど。
「ところでこいつ、神父にしてはいささか外道がすぎるようですが、教会側の人間としてこれはどうなんですか?」
「いいえ、彼は教会側の人間ではありませんわ。悪魔狩りに快楽を求めすぎて追放されたはぐれ悪魔祓い・・・・私たちにとって一番有害なタイプですわね」
俺の疑問に、朱乃先輩が答える。はぐれ悪魔祓いか・・・・それなら納得だ。だけど、だったらどうしてアーシアはそんな奴と行動を共にしてるんだ?
「はぐれにせよそうでないにしても、私の可愛い下僕を傷つけようとしたのは許せないわね・・・・消し飛ぶがいいわ」
フリードに対して手をかざす部長。この前のバイサーのように魔力で消し飛ばすつもりなのだろう。
だが・・・・
「部長!堕天使らしき者が複数近づいてきますわ!このままでは不利に・・・・」
部長が魔力を放つ瞬間、朱乃先輩が声を上げる。窓の外を見てみると、確かにそれらしい姿をいくつか確認できた。
「ちっ、仕方ないわね・・・・すぐに撤退するわ!用意を!」
「「「はい!」」」
舌打ちしながらも、部長は冷静に状況を見極めて皆に指示を下す。
「部長、この子も一緒に連れていけませんか?」
「・・・・無理よ。この魔法陣は私の眷属悪魔しか飛べないわ」
アーシアも一緒に連れて行こうと部長に進言するが、魔法陣でアーシアを跳ばすことはできないようだ。
「でしたら・・・・俺がここに残るのを許可することはできますか?」
「ダメよ。私たちはあなたを助けに来たの。それなのにあなたをおいていくことができると思う?」
部長の言っていることは理解できた。ここで俺をおいていけば、部長たちは何のために危険であるかもしれないこの場に来たのかがわからなくなってしまう。
「一誠、その子は堕天使側の人間・・・・・私たちの敵なのよ」
「確かにアーシアは俺たち悪魔にとって敵なのかもしれません。ですが・・・・・少なくとも俺にとっては違います」
誰になんと言われようとも、俺にとってアーシアは敵なんかじゃない。自分の身を顧みず、俺に逃げるように言った彼女を敵だなんて思えるはずがない。
「それでもダメよ。主として許可できないわ。その子は置いていきなさい。これは命令よ」
「・・・・・・・」
命令と言われれば、俺は従わざるをえない。俺は部長の眷属・・・・俺は部長のために生きているのだから。
だが、それでも・・・・・それでも、俺は了解の返事を返すことができなかった。どうしてもアーシアを見捨てることができなかった。
「一誠さん・・・・私なら大丈夫です。大丈夫ですから・・・・行ってください」
「アーシア・・・・」
この期に及んでも、アーシアが俺を気遣ってくれた。俺が行ってしまったら彼女はどうなるかわからないというのに・・・・・なんでこんなにこの子は優しいんだ。そうじゃなかったら・・・・・見捨てられたのに。
「部長、準備が出来ました!」
朱乃先輩が部長に準備完了を知らせる。いやでも決意を固めなければならなくなった。
「くそ!逃がすかよ!」
「邪魔」
俺たちを逃がさぬように迫ってくるフリードに、小猫が近くあったソファを投げつけて動きを封じる。
「アーシア・・・・これ着てろ」
転移の直前、俺は上着を脱いでアーシアに手渡した。
「はい。ありがとうございます一誠さん」
「・・・・言っておくけど、あげたわけじゃないからな」
「え?」
「いつか・・・・返してもらう」
「・・・・・はい!」
ニコリと微笑みを浮かべながら返事を返すアーシア。
(絶対に・・・・また会おうアーシア)
アーシアとの再会を心に誓いながら、俺は部長たちと共に魔法陣で転移した。
原作と違い、一誠くんは一切手傷を負っていませんが結局撤退いたしました
正直、この一誠くんなら複数の堕天使を相手取っても十分すぎるほどに戦えるでしょうが、それでも主であるリアスさんの命令には逆らえず、アーシアからも言われてしまったので・・・・
まあ、原作の流れなんてそうそう変わりませんよ(今後変えないとは言っていない)
それでは次回もまたお楽しみに