どんな話になるのか・・・・・
それでは本編どうぞ!
レーティングゲームを三日後に控えた日の夜、若手悪魔の為に魔王様方が用意したパーティに俺達グレモリー眷属は参加していた。もっとも、部長が言うには若手悪魔のためというのは建前であり、実際はお偉いさん方が楽しみたいからというのが本音らしいが。
ともかく、このパーティには悪魔の中でも大層な権力者や貴族も来ているらしく、部長から口酸っぱく失礼のないようにと言われている。こういった雰囲気は得意ではないが、それでも俺みたいな下級悪魔風情に好んで声を掛けてくるようなものなどいないだろうし、気楽に構えていればいいだろう。
「って、考えていた自分が恨めしい・・・・」
「だ、大丈夫ですか一誠さん?」
パーティ会場の隅の方にあるテーブルで、ゼノヴィアの持ってきてくれたドリンクを飲みながら意気消沈していた俺を、アーシアが慰めてくれる。
下級悪魔である俺に声を掛ける者など少ないだろうという俺の予想は大きく外れ、俺は数えるのも億劫になるほどの数の者から声を掛けられてしまっていた。
「随分と人気者なんだな一誠は」
「茶化さないでくれゼノヴィア。俺としては勘弁してほしいんだからさ。まったく、俺なんかに声を掛けたところで得なんてないだろうに・・・・・」
「ど、どんな話をしたんですか?」
ギャスパーが恐る恐ると俺に尋ねてくる。
「どんなって言われてもなぁ・・・・・正直よく覚えてない。なんか肩が凝るようなことばっか言ってたからさ。ただ、茶会に誘われたり食事に誘われたり・・・・あと、なんか知らんが縁談を持ってきたひとも居たなぁ」
「「「縁談!?」」」
縁談というワードに、なぜか3人は強く反応を示してきた。
「い、一誠さん。その話もしかして受けたりは・・・・・」
「するわけないだろ。俺は部長の眷属だからそういう話は部長を通してからにしてくださいって言って突っ返した」
そんな見ず知らずの相手からの縁談なんて受けるはずがない。
それに俺はもう・・・・・
「ふむ・・・・・以前から気になっていたのだが」
「なんだゼノヴィア?」
「一誠は色恋沙汰には興味ないのか?」
「ッ!?」
ゼノヴィアめ・・・・まさかそれを聞いてくるとはな。
「クラスの女子からの評判はいいし、告白されることもざらにあると聞いている。だというのに告白は全部断っているんだろう?一誠ぐらいの年頃の男子は恋人を作りたがるのが普通らしいが、そこのところはどうなんだ?」
「ゼ、ゼノヴィアさん。それは・・・・・」
「恋愛なんてしないよ」
アーシアが何か言いかけたが、それを遮って断言した。
「恋愛なんて俺はしない。俺にはそんな資格はない。そんなの・・・・・できるはずがないんだ」
そう、俺には恋愛なんてする資格はない。己の無力さのせいで・・・・いや。俺が存在しているせいで愛するㇾ―ナーレは命を落とすことになったんだ。愛する女を死なせた俺に、本来存在するはずのない俺に恋愛なんて・・・・できるはずがない。
「一誠。君は・・・・」
「お久しぶりでございます赤龍帝様」
ゼノヴィアが何かを話そうとしたその時、別の誰かが俺に声を掛けてきた。声のする方へと振り返ると、そこにはかつてレーティング・ゲームで戦ったライザー・フェニックスの妹であるレイヴェル・フェニックスがそこにいた。
「レイヴェル様」
「私のことを覚えていてくださったのですね。光栄でございます」
「いえ、こちらこそ・・・・・今日はライザー様とこちらに?」
「いいえ。お兄様はお屋敷で塞ぎ込んでしまっていますわ。以前のレーティング・ゲームで完膚なきまでに叩きのめされたことがよほどショックだったようで」
「まことに申し訳ありませんでした」
俺は深々とレイヴェルに頭を下げた。確かに、今思い返すと自分でも引くほどボコボコにしてしまったような気がする。まさかふさぎ込んでしまうほどだとは・・・・・
「ああ、そのレーティング・ゲームのことは私も話に聞いている。一誠がフェニックスの悪魔を力でねじ伏せて勝利を手にしたそうだな」
「さすがは一誠先輩です!」
「よせゼノヴィア、ギャスパー」
一々説明するなゼノヴィアと俺に尊敬の眼差しを向けてくるギャスパー。こいつらは目の前にレイヴェルがいるというのに何をしているんだ・・・・・
「お気になさらず。お兄様は才能に自惚れて調子に乗ってい巻いたので、前回のレーティング・ゲームはいい薬になりましたわ。お母様や他のお兄様方もそう言っておりましたし」
どうやらレイヴェルはその件に関して俺を咎めるつもりはないらしい。実際に手を下した身としてはありがたかった。
「ですが大変ではありませんか?兄妹とはいえ、レイヴェル様はライザー様の眷属ですので色々と不都合があるのでは・・・・・」
「いいえ、心配は無用ですわ。私はもうお兄様の眷属ではありません。今はお母様の眷属ということになっていますわ」
「トレードされたのですか?」
「ええ」
トレードはレーティング・ゲームのルールの一つだ。
ちなみにこの話は部長から聞いたのだが、部長はよほどのことが無い限りトレードはするつもりはないようだ。いかにも愛情深い部長らしい。
「ただ、お母様はレーティング・ゲームをなさらないので私は実質フリーの
「あ、すみませんレイヴェル様。その赤龍帝様っていうのはできればやめていただけないでしょうか?あまり呼ばれ慣れていないのでできれば普通に一誠と・・・・・」
「名前で呼んでもいいのですか!?」
なぜか名前で呼ぶように促すと、レイヴェルは目を輝かせてきた。どうしたというのだろうか?
「では遠慮なく、一誠様と呼ばせていただきます」
「いえ、様付けも不要なのですが・・・・」
「そういうわけにはいきません!大事なことですので!というより、それを言うのなら一誠様の方こそ私に敬語を使うのをやめてください!」
「ですが私は下級悪魔で・・・・・」
「や・め・て・く・だ・さ・い!」
「・・・・・わかった」
あまりもの圧に、思わず気圧されてしまった。一体なぜそれほどまでにこだわるのだろうか?
「では改めまして・・・・一誠様、いずれ私を貴方様の眷属として迎えていただけないでしょうか?」
「え?」
レイヴェルを・・・・・俺の眷属に。
「いや、ちょっと待ってくれ。俺は下級悪魔で眷属を持てるような立場には・・・・」
「確かに今はそうでしょう。ですが、私のお兄様はおろか、あの堕天使の幹部、コカビエルさえ単身で打倒してしまった一誠様であれば、近い将来上級悪魔に昇格することは間違いありません。その際には、私を貴方の眷属にしてほしいのです」
俺が上級悪魔に・・・・・なんというか、あまりピンと来ないな。その上レイヴェルを俺の眷属にだなんて・・・・・
「先のレーティング・ゲーム・・・・・あれは私にとってとても衝撃的なものでした。目の前で振るわれる圧倒的なまでの赤き力。思わず腰を抜かしてしまうほどに恐怖しましたが・・・・・・同時に私は魅了されてしまいました。圧倒的な力を振るう赤龍帝である一誠様に。この方は間違いなく覇道を歩まれる。私はその礎の一つになりたい・・・・・私はそんな欲望に取りつかれてしまったのです」
俺の覇道の礎・・・・・不思議だな。覇道なんて歩むつもりは毛頭ないというのに、レイヴェルの言葉を否定する気にもなれない。俺の中のなにかが、彼女を肯定しているような気がしてならなかった。
「一誠様、すぐに答えは出さなくとも結構です。ですが、貴方様の下僕となりたい悪魔が一人いるとだけ覚えてくださいますか?」
「・・・・・わかった。覚えておこう」
先のレーティング・ゲームで顔を合わせてはいたものの、俺にとってレイヴェルは先ほどまで声を掛けてきた悪魔達と同じように、ほとんど知らない相手だ。そんな相手の言うことなど本来は覚えておく義理はないのかもしれないが・・・・・それでも、これは覚えておいた方が良いような気がして、俺は返事を返してしまった。
「ありがとうございます。では私はこれで失礼いたします。さようなら一誠様」
ドレスの裾を摘み、俺に一礼した後、去っていくレイヴェル。
そんなレイヴェルの後姿から、なぜか俺は目を逸らすことができずにいた。
原作では覇道の素質が高いとされるレイヴェルさんは、一誠さんとはある意味原作イッセーさん以上に相性がいいです。なので原作以上に魅了されているのですが・・・・・はてさてどうなることやら
それでは次回もまたお楽しみに!