それでは本編どうぞ
イカれた神父、フリードとの一件の数日後、俺は町をぶらついていた。学校にはいっていない・・・・そんな気分になれなかったからだ。まあ、夜の悪魔の仕事はちゃんとこなしてはいるが。学校に行かずフラフラしているというのに、理由も聞かずに受け入れてくれた両親には感謝しかない。
(またあの娘のことについて考えていたのか?)
(・・・・ああ)
(そうか・・・・・よほど入れ込んでしまったようだな)
ドライグの言うとおりだった。ここ数日は、アーシアのことで頭がいっぱいだ。あの時、フリードのところにアーシアを残してしまったことが心に引っかかってしまっている。アーシアは無事なのだろうか・・・・?
(・・・・リアス・グレモリーも言っていたが、あの娘とはもう関わるべきではない。あの娘は堕天使側の人間。悪魔のお前とは相容れない存在だ。これ以上関われば相棒だけの問題では済まなくなるぞ?)
(わかってるさ。部長の言ってることも、ドライグの言っていることも理解している。だけど・・・・それでもアーシアのことが頭から離れない。理解できてるのにどうすればいいのか、どうするべきなのかわからないんだ)
本当は今すぐにでも教会に乗り込んでアーシアを連れ出したい。だけれど、そんなことをしてしまえば悪魔と堕天使の間で面倒ないざこざが起きてしまう可能性が高い。部長の眷属として、一悪魔としてそんなことするべきではないんだ。
だけれど・・・・それでもアーシアを見捨てることもできない。いや、したくない。あんな純粋で優しい子を・・・・放っておくことなんて俺には・・・・
「・・・・ちっ」
自分がどうするべきなのかわからず、俺は思わず舌打ちしてしまう。
その時だった・・・・
「一誠さん!」
俺の耳に、聞こえてくる声・・・・・聞き間違うはずもない。その声は今の俺が求めていたものだ。
「アー・・・シア?」
声のする方に振り返ると、そこにいたのはやはりアーシアであった。
「良かった・・・・また会えました」
俺に会えたのがよほど嬉しかったのか、安堵の笑みを浮かべるアーシア。きっと俺も今、アーシアのような笑みを浮かべてるんだろうな・・・・まあ、アーシアみたいに綺麗なもんではないと思うが。
「あ、そうだ。一誠さん、これ・・・・」
アーシアは手に持っていた服を俺に渡してくる。それは先日俺がアーシアに貸したものであった。
「すみません、本当はお洗濯して返したかったんですが・・・・・」
「いいや、無事に返してくれたならそれでいいよ。正直あの神父あたりにズタズタにされてるかなって思ってたし」
「・・・・・・・」
俺が言うと、アーシアは何とも言えない表情で視線を逸した。この態度からしてフリードのやつ本当にそうしようとしてたんだろうな・・・・ただ、服が無事だったということはアーシアが阻止してくれたのだろう。
「アーシア・・・・ちょっと来てくれ」
「え?」
「こんな町中じゃ込み入った話はできないだろ?初めて会った時の公園なら今の時間人気は少ないからそこで話そう」
「はい。わかりました」
俺はアーシアを連れて公園へと移動する。これ、また部長の使い魔とかに見られたりしてるかもなぁ・・・・まあ、何か言われたらその時はその時だ。
「ほら。これ飲みな」
「ありがとうございます」
公園のベンチに座るアーシアに、近くの自販機でかった飲み物を渡し、俺もアーシアの隣に腰掛ける。
「・・・・・」
「・・・・・」
互いに何も言わぬまま、時間が過ぎていく。話がしたかったから連れてきたのだが、どう話を切り出すべきなのか・・・・・・とりあえず、先日別れたあとどうなったのかそれとなく聞いてみるか。
「あ~・・・・その・・・・あのあと大丈夫だったか?フリードに何かされたりは・・・・」
「それは大丈夫でした。ものすごく怒られましたけど、庇ってくれた方がいましたから」
「そうか」
あのあと大事には至らなかったらしい。どうやら堕天使側の中にはアーシアを気遣ってくれている者がいるようだ。それがわかっただけでも少し安心した。
「一誠さんはあのあとどうだったんですか?」
「俺?俺はまあ特に何もなかったよ」
本当は部長にこれでもかというぐらいアーシアに関わるなと念を押されたのだが、さすがにそれは本人を前にしていうことはできなかった。
「・・・・なあアーシア。聞いてもいいか?なんでお前は堕天使の中に身を置いてるんだ?」
アーシアのような優しい子が、なぜ堕天使の中に身を置いてるのか・・・・俺はそれが疑問だった。なにせフリードのようなイカれたやつがいるようなところなのだから、到底アーシアには合うと思えない。天使側の教会にいるというならわかるが・・・・・・
「・・・・・私、教会に追放されたんです」
「え?」
「元々癒しの力を持っていた私は、教会で聖女として祭り上げられていました。求められるがままにたくさんの人を治療して、教会はそんな私を手厚く保護してくださって・・・・たくさんの人を救う力を与えてくれた神に私は感謝しました」
アーシアは自身の過去を語り始める。確かに、癒しの力をもつアーシアが聖女として祭り上げられるのは何ら不思議なことではないのだろう。アーシア自身、癒しの力で聖女としての勤めを立派に果たしていたであろうことは容易に想像がつく。
だが・・・・話をしているアーシアはどこか寂しげだった。その理由も想像がつく。聖女という特別な立場はきっと・・・・アーシアを孤独にしたのだろう。
「ある日、私は悪魔祓いに追われて重傷を負った悪魔に出会いました。私は苦しむその悪魔を放っておけず力を使って悪魔を治療して・・・・そのことが教会で問題となり、聖女と崇められていた私は魔女と呼ばれるようになりました」
「それで・・・・追放か?」
「はい。そんな私を、堕天使が保護してくださったんです」
「そうだったのか・・・・」
皮肉としか言えなかった。アーシアの力は、人格は何よりも尊いものだと俺は思う。だが、その尊さゆえに、アーシアは悪魔を助けてしまい、魔女と蔑まれ教会から追放されてしまったのだ。アーシアを追放した教会は酷く身勝手だ。だが、その処断が間違ったものであるとは言えない。清廉潔白を謳う教会にとっては、悪魔を助けてしまったアーシアは異端でしかなく・・・・・切り捨てなければならない存在だったのだから。
「一誠さん・・・・私、どうすればいいのでしょうか?拾ってくださった堕天使には感謝しています。ですが、それでも私は・・・・フリード神父のように人を殺めたくありません。何より私は・・・・一誠さんのような方がいる悪魔の全てが悪しき存在だとは思えません。私は一体どうすれば・・・・・」
「アーシア・・・・」
辛そうに顔を伏せながら言うアーシア。何を信じればいいのか、何を信じるべきなのかがわからない・・・・だから苦しい。だから怖い。だから・・・・・迷っているんだ。
どうすればいいのかわからない・・・・・さっきまでの俺と同じだ。
(すみません部長。やっぱり俺はアーシアを見捨てられません。この埋め合わせはいつか必ずします)
「アーシア、だったら・・・・」
「・・・・探したわよアーシア」
「!?」
俺の言葉を遮るようにして聞こえてきた声。その声には覚えがある。
忘れない・・・・忘れられるはずのない声。
俺が最も・・・・愛する者の・・・・
「・・・・夕麻」
そこには俺を殺した・・・・俺が愛する夕麻がいた。
とうとう一誠さんとレイナーレさんが再会
原作とは違い互いを想い合っていますので・・・・果たしてどうなるか
それでは次回もまたお楽しみに