『兵藤一誠』の物語   作:shin-Ex-

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今回は二人三脚の練習からスタート

それではどうぞ


第93話

 

「おっと」

 

「あう………またやっちゃいました」

 

アーシアと共に二人三脚の練習に励んでいたが………中々難航していた。何度やっても歩幅が合わずに躓いてしまう。

 

「あんた達………それ何回目よ?」

 

近くで見ていた桐生が呆れ顔で言う。桐生の策略で二人三脚に出ることになったのだから呆れるなと怒りたくもなったが、実際呆れられても仕方がないほど躓いてしまっているから何も言えない。

 

「すみません一誠さん。私が上手く合わせられないから………」

 

「いや、それは俺のセリフだ。アーシアの歩幅に合わせられなくて………」

 

「いや、あんたら上手くいかない原因それだから」

 

「「それ?」」

 

どうやら桐生はうまくいかない理由を察しているらしい。

 

「あの、桐生さん。それというのは………?」

 

「あんた達、互いに合わせようとしすぎなのよ。アーシアは一誠に合わせて歩幅を大きくして、一誠はアーシアに合わせて歩幅を狭くしている。その結果合ってないのよ」

 

なるほど………互いに合わせようとした結果としてズレてしまっているのか。だったら片方だけが合わせようとすれば………

 

「わかった。そういうことなら俺が合わせるから、アーシアはいつも通りの歩幅で行ってくれ」

 

「いえ、そんな。一誠さんが合わせてくださらなくても、私が合わせますので」

 

「いいから。俺が合わせる」

 

「大丈夫です。私が合わせますから」

 

「いや、俺が………」

 

「私が………」

 

「ええい!お約束な漫才するなまどろっこしい!」

 

俺とアーシアのやり取りを見て苛立ったのか、桐生が喚きだした。こいつはなんで自分の事でもないのにここまで騒ぐのだろうか?

 

「一誠!あんたが合わせなさい!男なんだから女に負担を掛けさせない!アーシアはいつも通り!いいわね!」

 

「は、はい………」

 

「わかった」

 

結局、桐生の命令で俺が合わせることとなった。あまりの迫力に否とはとうてい言えない。まあ、俺としては全く不満は無いから構わないが。

 

「よし、それじゃあ俺が合わせるからな?」

 

「はい」

 

「「せー………の!」」

 

紐で結ばれた足を一歩踏み出した瞬間………俺とアーシアは盛大に躓いてこけた。明らかに歩幅があっていない

 

「いやいやいやいや………アーシア、あんたなんで歩幅大きくしてるのよ。一誠が合わせるって言ったじゃない」

 

「ご、ごめんなさい。つい………」

 

どうやらアーシアは半ば無意識に俺の歩幅に合わせようとしてしまっていたらしい。優しいアーシアのことだから、合わせてもらうというのに抵抗があるのだろう。

 

「仕方ないわね………ならアーシアが一誠に合わせなさい。一誠は普段通りに」

 

「わかった。それじゃあ頼むぞアーシア?」

 

「はい。任せてください」

 

今度はアーシアが合わせるということで、練習を再開する。

だが待てよ?アーシアと俺の身長差を考えると、俺の普段通りの歩幅ってアーシアの負担が………

 

「行きますよ一誠さん。せー………の!」

 

アーシアの掛け声で、再び一歩を踏み出す。だが………また歩幅はあわなかった。

 

「なんでよ!?一誠!あんた明らかにいつもより歩幅が狭かったわよ!?」

 

「いや、いつも通りの歩幅だとアーシアがきついかなと………」

 

「その気遣いは結構だけど、そんなことしてたら一向に前に進めないわよ!」

 

「あう………すみません一誠さん」

 

「アーシアが謝ることじゃないし!ああもう………これは時間がかかるわ」

 

なぜか練習をしていない桐生の方がつけれたような表情で、額に手を当てていた。

結局この日は、まともに一歩すら踏み出せずに練習が終わってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「はあ………」」

 

「二人共、随分浮かない顔だね」

 

今日の授業が終わり、部室でうなだれている俺とアーシアに、ゼノヴィアが声を掛けてきた。

 

「ええ、まあ………」

 

「二人三脚の練習がまあ………うまくいかなくてな」

 

「そうなのか?イッセーとアーシアならば息は合うと思ったのだが………二人は眷属になった時期も近く、共に過ごすことも多かったと聞いているが?」

 

「あら、そうなの?」

 

ゼノヴィアの言葉に、いの一番に反応したのはイリナであった。まあ、俺が眷属になった理由について何か聞けるかもしれないと思ったからなのだろうが。ただまあ、話すつもりは一切ないが。

 

「一緒に過ごす時間が長かったと言っても、まだほんの2,3ヵ月の話だからな。というか、先月は俺ほとんど山籠もりだったし」

 

「山籠もり?一誠くん、山に籠って何をしてたの?」

 

「修行でドラゴンとひたすら戦ってた」

 

「そ、それはハードね………」

 

さすがのイリナも若干引いていた。まあ、今にして思えば確かにハードだった。気を抜いたら本当に死ぬんじゃないかと思ったし。山一つをほとんど更地にして、部長に怒られはしなかったものの呆れられてたもんなぁ。

 

「それはともかくとして、私の眼から見ても、一誠はアーシアと共に居る時間は長い。家でも学校でもほとんど一緒に居るだろう?それならば呼吸は合うと思うのだが………日本では確か、以心伝心と言うのだったかな?」

 

「いや、言葉にするのは簡単だけどそんな単純なものじゃないから………」

 

「そういうものなのか………そういえば、以前から気になっていたことがあるのだが」

 

「なんだ?」

 

「一誠はアーシアの事を特別扱いしているように思えるが………何か理由があるのか、同じ眷属の仲間として、ぜひとも聞かせて欲しいのだが?」

 

「「っ!?」」

 

ゼノヴィアの言葉に、俺は思わず言葉を詰まらせる。アーシアも表情を強張らせていた。

確かに、俺はアーシアを特別扱いしている。それは………アーシアが優しいからだった。

アーシアは俺がレイナーレを失うところを………絶望するところを見てしまっている。そんな俺のことを放っておけず、支えるためにアーシアは眷属になってしまったのだ。だからこそ俺には、アーシアを守る義務がある。支えようとしてくれているアーシアに報いる義務がある。

故に俺は………アーシアを守ることを、生きる理由の一つにしたんだ。

 

「ゼノヴィアさん………すみません。それは私の口からは………」

 

「俺もちょっと………」

 

「む?そうか………まあ、無理にとは言わないさ。二人にも事情があるのだろうしな。では、私は木場と修行の約束があるから失礼する」

 

歯切れの悪い俺達の態度を見て、ゼノヴィアは聞かない方が良いのだと察したようで聞くのを止め、木場の方へと向かって行った。随分と気を遣わせてしまったようだ。

だが………イリナの方は、訝し気に俺とアーシアを見つめていた。俺とアーシアは眷属となった時期が近いため、さっきの話の内容は悪魔になった原因に何らかの関係があるのかもしれないと思っているのかもしれない。

実際、レイナーレがらみであるためそれは間違っていないのだが………だからこそ、言えるはずの無いことだった。

 

「………そういえばイリナ。お前、当然のようにオカ研の部室にいるけど入部してなかったよな?」

 

俺は強引に話題を逸らした。正直、未だに気まずさのの頃イリナと会話するのは少し戸惑わるのだが、致し方ないだろう。

 

「え、ええ、私は他のクラブに入ることにしたわ。しかも自分で作ることにしたの」

 

イリナは戸惑いながらも、俺の質問に答えてくれた。どうやら話題転換は成功したらしい。

 

「どんなクラブなんですか?」

 

アーシアも乗ってくれて、イリナが作るというクラブについて尋ねる。

 

「聞いて驚きなさい。その名も『紫藤イリナの愛の救済クラブ』よ!学園で困っている人が居たら無償で助けるの!主の為、ミカエル様の為、学園の皆に愛を振りまくの!」

 

思わず『うわぁ』とか『胡散臭そう』だとか『怪し過ぎて絶対に頼りたくない』などと言ったネガティブな言葉が喉から出かけたが、どうにかして飲み込んだ。相変わらずこいつはどこかぶっ飛んだ発想をしている。

 

「まあ、なんというか………頑張れ」

 

「頑張ってくださいイリナさん!」

 

「任せなさい!当然オカルト研究部もお助けするんだから!」

 

あからさまな社交辞令な言葉を振り絞った俺と、心の底からイリナに賛同したようで、目をキラキラさせて応援の言葉を贈るアーシア。それに対して、イリナは胸を張って誇らしげである。

まあ、結果として学園の皆の助けになるのならいいかもしれないが………なぜか問題を起こしたイリナのフォローに入る自分の姿を想像してしまい、思わず頭を抱えそうになる。

どうか………どうか洒落にならないような問題を起こさないでくれよ?振りじゃないからなマジで?




レイナーレさんの件により、ある意味では原作以上に互いに気を遣い過ぎている一誠さんとアーシアさん。その結果、合わないところも生じてしまっていますが………

そしてイリナさんが来てからシリアスとコメディのバランスがおかしくなってきている気がするが………ま、まあこれはこれでいいかな?

それでは次回もまたお楽しみに
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