虎之介の能力を考えていたら、こんなに遅くなってしまいました。
SSの混血のクゥラではあんなにホイホイ執筆が進むのに何故でしょう?
やっぱり、オリジナルって難しいね!
やっぱり、吸血鬼は巨乳美女が良いよね!
あの後、虎之介は美春に手伝ってもらいながらトランクに荷物を積み込んだ。
車内では相変わらずの様子の京香や美春の様子が見れてよかったが、またいつものつまらない会話がはじまり、「セリナちゃんは来たの?」とか「セリナちゃんとどこまでいったの?」という質問しかなく、気がついたら眠ってしまっていた。
家につくまでの間、完全に熟睡していたらしく、目が覚めた時には美春の顔があった。
なんでそこにいるのか、と聞いてみたら美春が顔を真っ赤にしてしまったので話にもならない。
京香に食事はどうしたのか、と聞かれたので虎之介は芹那と駅弁を食べた、と答えた。それから、美春が入れてくれた風呂に入って疲れが溜まっていたので、すぐに眠った。
☆
《ヨォ、久しぶりダナ?十年ぶり、ってか?》
夢を見ずに眠れるだろう、と思っていた時に『
今日は網目の入った布を被っており、大きさは十年前の俺と同じくらいの背丈で、言ってしまえば俺より背が低い。が、そうだからと言ってソイツを舐めてはならない。なんらかの力を持っているのか、俺の夢の世界にあった椅子に触れただけで数百年の時が経ったかのように瞬時に風化してしまい、もう一度触れたら砕け散ってしまった。
俺はコイツの名前を知っている。
何故なら、こいつは俺の生まれ持った力と同じようなものを持っていて、俺が両親の友人の百戸姉妹の両親に預けられる、結論としては俺を捨てた原因となった力だ。
それが俺の力の名前。
そして、こいつの名前はクァチル・ウタウス。
時を操るということはイコール、その時の流れる空間ですらも手中におさめるのと同意義。
未だに俺はこいつに触れたことが無くて触れようとする度にこいつが《オットォ?触れてしまッテ、大丈夫なのカヨ?触れちまっタラ、キサマの身体くらい吹き飛ばすように老化させてみセルゼ?》と言われるので未だに俺は触れないのだ。
俺の持つ力の“影の手”でも触れることを許さない、傲慢な奴だ。自分を邪神の一柱と抜かしているが、それが事実なのかは定かでない。
そろそろ本題に入らなければ、睡眠時間が残されないのは経験済みの事なので手短に用件を聞くことにしよう。
「それで、俺に何の用だ?クァチル・ウタウス」
《ヲイヲイ、ヲレ相手にそんなに身構えるなんてヨォ、相棒らしくねェゼ?もット、砕けた呼び方してっタロぉに。小サイ時のお前サァ、ヲレのこと、Quachil Uttausの表記を見テ、なんつッタか分かるカァ?》
こいつは昔から常にこの調子だ。
本題に入ろうとすると茶を濁すように取り入ってくれない。邪神サマは俺のことを嫌っていられるのか、と何度食いかかったことか。その度に“影の手”を出現させて手刀を作らして伸ばさせ、襲い掛かるがアイツに掴まれて叩き落されてしまう。
幸い、“影の手”が物質でもなんでもない“現象”であったので砕かれる心配はなかったが。
コイツが俺になんと呼んで欲しいか、だいたい分かってきた。
「クォーチル。違うか?」
《フッハハハハハ!そうダヨ、そうダヨ、トラノスケェ!シロネコォ!ホホ、ホワイトタイガー!よく覚えてやがったんだナァ!?嬉しいゼェ!なんで覚えてたのかは聞かないがナァ!》
嬉しそうに辺りを飛び跳ねたり、その辺にあった椅子をその時空を操る力で破壊する。たまに俺に投げつけてこようとするが、こいつが俺に投げつける前に椅子が砕け散るが、こいつが教えてくれた“影の手”でガードする方法で受けるのでなんら問題はない。
正直、こいつはクラスに一人や二人はいるテンションの高い奴だと思えば、なんら問題はない。
そんな奴とは関わったこともないが。
《そウダ、本題に入らなきゃナァ!トラノスケェ、キオツケヤガラレ!》
「何をだ?」
『気をつけやがれ』とでも言いたいんだろうか。
それにしても、キオツケヤガラレって・・・・。
いくらなんでも、そのミスはないだろう。気持ちは伝わるけどさ。気持ちなんてのがクォーチルにあるのか知らないけど。
《フッハッハ!さりげナク、カミサマの揚げ足とるんじゃネェ。テメェに警告だ、トラノスケェ。近く、テメェが転入する学校とやラデだなァ、ヲレ様と対峙するヤロヲに出会ウゼェ?ットォ、これ以上だとテメェにまた襲撃されちまうナァ?せーぜー、テメェの
ちゃっかり発音良いとか、ムカつくんだよクォール。
あ・・・れ?俺の立っているフロアの所だけ削り取られ・・・てェェェェェェェェェェェェ!?
★
虎之介が自らが存在する“夢”から強制で
現在の宿主にして『相棒』や『アイボヲ』と呼ぶ、百戸虎之介の“夢”に取り憑いて、もう十年にもなる。
時空に干渉する能力を持ち、人間ならば触れられるだけでも老いて死に至る動作をその場で起こさせる邪神、クァチル・ウタウス。
《初メテでてきたときはヨォ、テメェの周りのニンゲンが恐れていタガ。》
十年前。
初めて現世に顕現したときのことを思い出し、邪神はその鋭く尖った牙を見せてニタっと笑った。
あのときはまだ、百戸虎之介が自らの力を完全に制御することが出来ず、彼の周囲にいた彼の一族の者をみな
百戸虎之介というニンゲンは実に不思議だ、とクァチル・ウタウスは考える。
夢の中とはいえ、自分の中に邪神を飼いならし、表面上は無愛想な青年を装っていても世界を恨んでいる。殺してやりたい、と思うほど強く。
そんな思いを抱いているのに邪神クァチル・ウタウスの持つ『時を操る力』を決して借りず欲しがらず、彼の中に潜在的に存在した“影”を用いる力を振るっている。
たまにクァチル・ウタウス、いや彼から呼ばれている名を挙げるとするなら、『クォーチル』と言うべきか、そのような名前を邪神につけ、十年前、彼が小さい時は夢の中で“修行”をさせてやったものだ。
みんなが大好きで、その当時に流行っていたという漫画の中でも修行のシーンがあり、自分もその主人公のように修行してみたい、と虎之介自身が言ったのだ。
絶対に彼らの輪の中に入る事が出来ないというのに。
絶対的な力を振るうことが出来るというのに、彼は絶対的な力を自らで振るおうとしなかった。
それも、こちらが振るわせるまでは、の話だが。
《だァから、おもしれぇンダ、ニンゲンってのはヨォ。》
虎之介と対照的な長めの黒髪に長身、両腕を包帯で手首まで包み込み、タンクトップとジーンズのラフな服装、それも虎之介が夏場にする服装に変化して椅子でごった返す世界の中から自らが君臨する『新しい玉座』して椅子を運んで足を組んで座る。
時空を操り、司る王としての貫禄。
虎之介と対峙していた時の軽そうな様子、親しみやすそうな様子、狂った様子がなくなって、そこにあるのは邪神クァチル・ウタウスの姿のみ。
時空を司る者として、彼に出来ないことはない。
紙を破り捨てるように、それほど容易に彼は空間から引き出すようにして宿主・『
小さい頃の、それも十年前の七歳の頃の写真。
写真に写るのは正面に七歳の虎之介に寄り添い、その右腕を絡ませる満面の笑みの巫女装束を着た、アホ毛が印象的な黒髪の長い少女、その二人の後ろには十年前、当時十二歳の百戸美春と百戸京香の姿が。
四人とも笑顔で映っており、第三者が見れば仲の良い兄弟、あるいは家族と思うだろう。
《そレダ、そこがおかしいんダヨ、トラノスケェ。テメェはヲレよりも、この邪神クァチル・ウタウスよりも狂ってやがるのはそこなンダよォ。》
その写真に『時空を操る能力』を以ってして、左角に触れる。
物質を風化させ、触れた人間を一瞬にして老いさせ、死に至らしめる破滅の力。
徐々に朽ちていって、最初に百戸京香、百戸美春、アホ毛が印象的な巫女装束の黒髪の長い少女、そして当時はまだ
写真としての形を失い、ただの紙切れになったソレを自らの前に引き寄せ、ふーっとクァチル・ウタウスが吹き飛ばしたなら、それは完全になくなってしまった。
《だけどヨォ、ヲレが気に入っている理由でもあるんだカラ、何があるかなんてわからネェもンダ、トラノスケェ。いや、アイボヲ?》
椅子が大量にあるその部屋で、クァチル・ウタウスは滑稽なものを見たようにクスクス笑った。
★
翌朝、すっきりと起きることが出来た。
クォーチルのお陰で虎之介の体感時間では、よく眠れたようにしてくれたようだ。
睡眠不足になりそうな、課題が山積みの時には使ってくれないくせに何にも頼んでいない時はやる、と虎之介は考えるが、十年前から知っていたことだったが、だいたいそんな奴だった。
能力の修行を頼んだ時だって、こちらが言わなければクァチル・ウタウス、クォーチルは絶対にヒントを与えてくれもしなかったろう。
逆にこちらが頼んだのならしてくれることもある。ただし、それはクォーチルが興に乗った時だけで実際の修行時間だってクォーチル自身が飽きてしまったら、その日は何時間もやってなくても終わってしまうんだし、その気になっていたんなら体感時間で何時間も過ぎた感じがするのに、修行をやめて眠りにつかせてはくれない。
時空を操る能力を持っているが為に時間の感覚が薄れているのか、それともなくなっているのか。
そのどちらもなんじゃなかろうか、考える。
美春が起こしに来てくれたので襲われる前にさっさと起きて区取府学園の制服に着替え、歯磨きをした後に朝食を摂ってから学校に向かおうと家を出る。
あらかじめ、京香が連絡していたんだろうが、芦沢芹那が待っていた。
彼女曰く、
「白猫ちゃんの転校初登校は、私からはじまる!」
だそうだ。
今更何を言っても無駄な感じなので出迎えに来たと言う、風紀委員長の
特に何も変わりがない中高大一貫の学校だが、特徴は校門を入ってすぐに銅像があること。
薙払市に伝わる、伝説の英雄、“
伝説によれば腕力だけで何万何千もの魔物を葬り去ったとか。
そんな伝説については芹那も興味がないらしく、六条に聞いただけで芹那に伝える時の六条のテンションのハイっぷりは異常だったと言う。
「じゃ、私は中等部の方に行くからな!また、昼休みに!」
転校早々、彼女は新しく出来た友人よりも虎之介と食事を摂りたいようだ。
自分の居場所は全て彼女に把握されてしまっていたり、教室・学年・出席番号から特技や身長も体重も割られている以上、虎之介は下手な真似は出来ない。
変な噂を流されたら困る、と言うのが大きな理由だ。
先ほどのカップルのようなやり取りに周囲から視線を浴びていることに気がついた虎之介は挨拶としてまず、職員室に向かった。
担任教師を呼び、それなりに簡単な自己紹介をしたが、白髪が地毛であることは承知してくれたようだ。担任教師と喋っている間、屈強な肉体をした典型的なジャージの体育教師に睨まれていたのは肌で感じていたが。
その後、担任教師だという有沢みなみについて行って教室で自己紹介をした。
転校生が男だったことにお調子者のクラスメイトが露骨に残念がっていたが、かかわるのはよそう、と思い適当に彼からの質問には答え、何故か此方を睨んでくる黒髪銀目の学ランのホックを外して上着のような状態にし、下には学校指定のワイシャツを着ずに長袖のオレンジのシャツを着ている男子生徒に睨まれているのを感じたので、特に気がついていない振りをした。
前の学校ではこうしたことが喧嘩に発展したんだし、髪について理解のある担任がいるのに信頼を失うわけに行かない、と思ったのも確かだ。
その後、授業をこなしていって昼休みになり、教室を猟犬のように嗅ぎ付けてきた芹那が昼食を食べよう!と満面の笑みで入ってきたので、お調子者のクラスメイト・
あの黒髪銀目の男子生徒は昼食の時、オジフミの誘いを断り、赤い髪のおそらく六条と同じ学年と思われる女子生徒と何処かに行ってしまった。
「あいつさー、付き合い悪いんだよなぁ。あ、でもさ、あの赤い髪の先輩見たか!?あの人は
甲斐甲斐しく自分を睨んでいる芹那にも世話を焼くオジフミを見ていれば、どうも、この学校では上手くやれそうだ、と思う虎之介だった。
☆
「じゃあさ、連絡するわ!またあとでな、ヒヤヤッコ!セリーちゃん!」
「セリーじゃないぞ!オジーさん!」
連絡先を交換し終えた後、一度家に帰ると言う、御時壮史と校門で別れた虎之介と芹那。
あとで薙払市をグループのメンバーと共に案内してくれるらしく、その準備のようなものらしい。
「おい、転校生。ちょっといいか?」
「お、お前!白猫ちゃんに簡単に触れるな!」
肩を掴まれたので振り返れば、掴む手の主は黒髪銀目の昼間の十六夜乙女と話していた男子生徒だった。
芹那が警戒心むき出しのところ、なにか腹に一物を抱えているのか。
芹那曰く、『邪の波動』なるモノで悪意を感じ取れるらしいが、それは定かではない。
それにここで断ればゲームのイベントのようにしつこくつきまとわれそうな気がしないでもないからだ。
故郷に帰ってきたのに、また別の学校を探さないといけない。
それだけは避けたい虎之介が出した答えは、
「少しだけだ。てか、なんなんだ?白猫ってのは」
「お前には関係ないことだろう。手短に済ませろ」
「分かった。少しだけだ、生徒会室に来てもらおう」
心配する芹那に下駄箱で待つように言い、黒髪銀目の男子生徒について区取学園生徒会室へと向かった。
以上が第三話となります。
夢に出てきたのは知る人ぞ知る邪神!
さりげなく散りばめられている星座の要素!
オジフミってつけられた理由は単純に読み間違えから来ております!
本当は一日に二話投稿したいんですけども、如何せん時間がない・・・!
階段形式になっている気がしますが、別にあわせてるんじゃないんですからね!