これは夢。
幼い頃の夢。
親がロンドンに転勤となり、ロンドンに着いて数日後には迷子になって迷っていた頃の思い出。
偶々見つけた屋敷に、迷子なのを忘れて感動していたら、正面の門から女の子が飛び出してきた。
屋敷の子なんだろう、と思いながら追いかけてみた。
まだまだ知らないロンドンの町を、幼いながら頑張って追いかけたものだ。
追いかけて着いた、公園のベンチで俯いている女の子に、話しかけたんだ。
それが彼女、オルガマリー・アニムスフィアとの出会いである。
ちなみに言葉は通じなかった模様。
A.D.2016
「起きなさいカナメ‼」
ゆさゆさと身体を揺らされる。微睡む中、ゆっくりと眼をあける。
そこにはいかにも怒ってますよ、という感じの顔をした我が幼なじみ、オルガマリーがいた。
「いい加減起きなさい‼今日という日が何なのか分かっているでしょう‼」
「はいはい、起きますよ」
「はいは一回!」
「へーい...」
平然と男の部屋に入ってくるオルガ。
いくら幼なじみとはいえ無用心だと思うだろ?
毎朝起こされるので、一度聞いてみたが。
「あなただからよ。むしろカモン‼」
と顔を赤くしながら手招きをしてきた。
萌える。
ともかく、オルガは俺に好意を向けているのは知っている。
俺もオルガが好きだ。
十数年、共にいれば好意は沸く。
が、オルガはちょいと肉食系だ。
18歳になるまで待て。と言わなければ貞操は奪われ、既成事実を作られている所だ。
ヘタレとは言うな。
据え膳食わぬは男の恥と言うが、俺の母親と共に用意した据え膳は引いてしまう。気持ちには答えてやるから、外堀を埋めようとするんじゃない、オルガよ。
「貴方は48人いるマスター達の教官なのよ。レイシフトの見送りくらいしっかりやりなさい。」
「あのね、あのひよっこ供はさ、魔術使えるだけのプライドの塊だよ。まともに訓練してないぞ?」
言葉通り、訓練等行ってない。魔術師特有のそのプライドをへし折ることしかしてないのだ。
例えば《ガンド》撃ってきたなら、素手で叩き落とし、お返しに顔目掛けて威力なしの《ガンド擬き》を連射する。
例えば魔術的罠を仕掛けてきたなら、わざと掛かって姿見せたら罠を破壊。そして《ガンド擬き》を連射する。
この《ガンド擬き》を侮ることなかれ。
ダメージ無いのに顔に飛んで来るのだ。しかも十数弾が全部顔にだ。
避けてもダメ。防いでも当たる。
次の日は、大人しくなっていたがな。
それでも数日経つと、再開するのだ。
目標をオルガにした奴は、未だに大人しくどころか怯えているが。
そんな感じで、まともに訓練等していない。
顔を会わせるのも億劫だ。
「何を考えているか知らないけど、貴方は教官という役職に就いているのよ。そのぐらいしなさい」
「分かった分かった、行けばいいんだろ。時間までには作戦室に行くから、先に行っててくれ」
「ダメ。そのままバックレるつもりでしょう。着替え終わるまでここにいるわ」
「...お前なぁ」
恥じらいは無いのか?と聞く必要はない。
オルガの顔は既に真っ赤だ。
全く。
その後、オルガの目の前で堂々と着替え、ショートさせるまでが日課である。
人理継続保障機関・カルデア
アニムスフィア家が管理する機関で、標高6,000メートルの雪山の斜面に建設されており、施設はその地下に広がっている。
そこでは、地球環境モデル・カルデアスを用いて今後、100年に渡る文明の光を観測し、人類の未来を保証することがカルデアにおける最大の任務である。
そんなところに俺は、連れていかれた。
泣き脅してきたオルガによって。
理由は分かっている。
前所長であり、オルガの父親。
マリスビリー・アニムスフィアが死んだことにより、オルガに家督が移った。
色んな各所に誹謗中傷等言われたお陰で、俺を頼ってきたのだ。
俺の立ち位置は凄い訳ではないが、信用出来る唯一の人間と言われ、受けることにした。
後日気づいたが、オルガよ。人間関係が極端過ぎないか?
ともかく俺は、カルデアにいるスタッフ達や行われている実験等を調べた。一部は知っているが、幼馴染とはいえど部外者。知らないことも多い。
その中でも、ある二人の局員が気になった。
一人は、ロマニ・アーキマン。
カルデアに来る前の経歴が一切不明。
ヘタレな優男な印象だ。
マリスビリーが連れてきたのだが、魔術を使えないただの人間を連れてくるだろうか?
もう一人は、マシュ・キリエライト。
真面目な子なのは、分かるんだが少し天然な印象だ。
秘匿されていたが経歴は知っている。だからこその天然なのだろう。
彼女は、マリスビリーによって産み出されたカルデアの罪。
とはいえ、話してみればあまり気にしてない模様。
オルガも家督を継いでから、彼女の事を知った。
今では姉妹のように仲が良い。
知らなかったことが多かったが、カルデアに来てみればその多くを知れた。
ならば、その知識などをオルガの為に役立ててみようと思う。
後半、ぐたぐだしてしまった。
次回はがんばります。