新たな世紀王になってしまった俺が神喰いの世界を駆ける 作:カオスロイドR
それでは今回も短いですが15話始まります。
ロードセクター脱走から数日後。
天界での騒動を知る由もない仮面ライダーBLACKはコウタやユウカと共に榊博士の研究室で講義を受けていた。
【ライダーside】
「アーコロジーという言葉を知ってるかい?」
いやそれより榊博士、気になることがあるんですけど。
モニターに映し出されている『ペイラー榊のなぜなに講義』という文字。
それは気にしてないからいいんです。
文字の下にいるデフォルメされた指し棒を持つ榊博士とオウガテイルもいいんです。
けどその間にいる腕組みして首をかしげて頭の上に大きな『?』を出している黒くて赤い目の見覚えのあるデフォルメのキャラクター。
それもしかして俺ですか?
誰が描いたんだろう?
私、講義よりそっちの方が気になります。
「アーコロジーとは単体で生産、消費活動が自己完結している建物を指す言葉でね」
おっと今は講義の方に集中しなきゃ。
えっと…極東支部には地下に向かって食料や神機などの各種物資の生産を行うプラントがあって、外周部には対アラガミ装甲壁や神機使いをはじめとした強固な防衛能力が存在しているっと…よしできた。
アーコロジーの説明が始まりその内容をしっかりとノートに書き写す。
この時代、紙は大変貴重でこのノートは神機使いと同じ立場の俺にも配布されたものだ。
無駄にはできない。
榊博士の講義は勉強になるがその分覚えることも多くて大変だ。
内容が多すぎて頭が混乱しそう。
神機使いはただ神機を振り回せばいいってもんじゃないんだな…。
俺って前世の頃はそんなに勉強は好きじゃなくてどちらかといえば嫌いなタイプだったのに。
環境が変わって心構えも変わったんだろうな。
クイックイッ
榊博士の講義を聞いていたら突然服の袖を引っ張られる。
「(何?)」
「(ねえ、アリサは?)」
引っ張られた方を見ると隣に座っているユウカが小声で話しかけてきた。
「(…今日の座学の内容がアラガミとは関係のない座学でしたら興味ありませんと言って第二部隊の任務に参加しに行ったとヒバリさんが言ってたよ)」
「(ありゃりゃ…まああの子らしいといったらあの子らしいけどこのままじゃさすがにいけないわね)」
「(そうだね…)」
榊博士に聞かれないように小さな声で返事する。
今日も座学が始まる前にアリサをエントランス内で探してたらアリサの伝言を預かっていたヒバリさんから伝えられた。
アリサ・イリーニチナ・アミエーラ…。
ここ数日彼女と過ごして気づいたけどアリサのアラガミに対する憎しみは他のゴッドイーターと違って異常すぎる気がする。
噂ではアリサの見下すような態度と協調性のない行動で他の神機使いとも仲が悪いらしい。
新型ってだけでそんなにプライドが高くなるものなのか。
俺には理解できないな。
「ん…?」
ふと隣を見るとコウタが眠そうにしている。
また深夜までバガラリー見てたな。
しょうがない奴だ。
「ただそれにも問題があってね、それは収納可能な人口に限りがあることなんだよ」
「!?」
あれ?今まで暇そうにあくびしていたコウタが眠気をとばしていきなり目を覚ました。
どうしたんだ?
「君たちも知っての通りこの極東支部の周囲には広大な外部居住区が形成されている、しかし彼らすべてを収容できるだけの規模はまだこの支部にはない、外周部に先ほど話したアラガミも捕食できない対アラガミ防壁を張り巡らせることが今できる最大限の対処策なんだ」
「…それだけで足りるのかな…現に装甲は頻繁に突破されている…」
珍しく不安そうに初めて榊博士の講義で質問するコウタ。
「だからその為にゴッドイーターの防衛班も配属されている」
確かに僕も何度か防衛班の第二部隊の応援に出撃している。
時間がある時にはライダーの力で瓦礫の撤去をしたり壊された防壁の修復の手伝いも行った。
だがコウタの言う通り人手と物資が足らずに完全に修理できていない箇所がいくつも存在し今でも応急処置で壁を塞いで監視している。
いくらそこを重点的に目を光らせても所詮は気休めでしかない。
しかもその数はどんどん増えていっていて手が回らないのが現実だ。
このままだと確実に見落としができてしまい、アラガミに再び攻められる。
「そう…ですよね…すんません…」
「いや、すまない…コウタ君のご家族は外部居住区に住んでいるんだったね…軽率な物言いを許してくれ」
「いえ…俺はただ…」
そうか、コウタの家族は外部居住区に住んでいたのか。
だから博士から絶対に大丈夫と言ってほしかったんだろうな。
そういや以前に第二部隊の隊長タツミさんから聞いたことある。
神機使いの親族もしくはそれに近い者は優先的に第8ハイブにある外部居住区の居住件を得ることができると…。
その為アラガミから家族を護る為、危険な神機使いに志願する者が後をたたず大半は最初の適合試験で落とされ涙を呑み、またうまく合格できても実戦で大怪我や命を落とす者が多い…。
『まあこんなご時世…皆いろんな悲劇を背負ってるっちゃあ背負ってるんだが…』
リンドウさんの言葉を思い出す。
ふだん明るくて調子のいいことを言うムードメーカーのコウタも家族を護る為に神機使いになった口だったのか。
「本当はアナグラを地下に向けて拡大して内部居住区を増やす計画もあったんだけどね…」
地下か…確かに住民を避難させられる広さは確保できるけど落盤や酸素の問題があるしなによりアラガミに攻められたら我先に逃げようと混乱する。
そして地上に上がる地下エレべーターに乗るのに何度か分けなければならない。
そういや昔見た仮面ライダーBLACKでゴルゴムがマンションの地下に怪人牧場を作って夜な夜な催眠術を掛けた住民から生体エネルギーを吸い取り怪人を育てる話があって正気を取り戻した住民が地上に上がるエレベーターに殺到して騒ぐ場面があったな。
あれは逃げる人も少なく創作物だからまだ大きな混乱に描かれてなかったけど現実に起こったら…。
いつアラガミに襲われるか地下が崩落するか分からない恐怖に耐えきれず一部の住民がパニックなって暴徒と化したら避難がさらに難しくなってしまう。
地下に建設するのはあまりいい案とは言えないかもしれないな。
「でもその計画をより安全で完璧にしたのが『エイジス計画』なんだよね」
「…そうだね、極東支部の地下プラントの多くの資源リソースは海の向こうにあるエイジス島建設に割り当てられてるんだ…その話はまた今度にしようか」
なんだ?いつも説明好きの榊博士がエイジス計画の説明はあまり言いたくような素振りだな?
こうしてコウタの不安と俺の中に小さな疑問を残しながら榊博士の座学の時間は終わった。
後にこの不安と疑問が同時に大きな闘いと悲しい別れを呼び込む事になるとは知らぬまま…。
つづく
ライダーの地下の下りは知識のない作者の妄想なのであまりつっこまないでほしいです。