新たな世紀王になってしまった俺が神喰いの世界を駆ける 作:カオスロイドR
horou02様
全力様
評価ありがとうございました。
そしてお気に入りが200人達成
すごく嬉しいです。
不定期更新で申し訳ないですがこれからもよろしくお願いします。
ジーナSido
「ふう、ほんと手のかかる後輩ね」
白いバイクで走り去るライダーを見送り私、ジーナ・ディキンソンは笑みをこぼしていた。
それにしても彼、やっぱり無理をしていたのね。
彼自身は素直な優しい子で味方も多いけどそのバッタのような見た目と驚異的な身体能力からどうしてもカレルやシュンのように蔑む目や恐れる目を向ける職員や神機使いが多い。
今回なんとか助言できたけど少しは彼の負担は軽減されたかしら。
それにしてもケモノか・・・もっとも私たちにはケモノよりおぞましい
彼が知ったら何というかしら。
自分の右手首に付けられている腕輪を見ながら呆れるように微笑む。
その微笑みがただの自虐かそれとも後輩を導けた喜びなのか。
自分自身でも分からなかった。
…さて今はこの状況をなんとかしないとね。
振り返る視線の先にはこちらに向かってくる無数のオウガテイルとザイゴートの群れ。
そして私の足元には彼に殴り倒され血を流して死んでいるクモの怪物。
どうやらこのクモの怪物の血の匂いを嗅ぎつけてアラガミ達はやってきたようね。
仕方ないわ。
放置してクアドリガと合流でもされたら厄介だし。
ここで殲滅しておきましょう。
「あら?」
気持ちを戦闘態勢に切り替え神機を構えると彼の緑のバイクがエンジンを吹かしながら横に立つ。
「どうしたの?あなたのご主人様はもう行っちゃたわよ、動けるようになったなら早く行きなさい」
語りかけても無反応だ。
彼の言葉以外は通じないのかしら?
でも人の言葉は分るみたいでよく分解しようとするリッカから逃げ回っているのを見かけてたからそれはない筈よね。
「…もしかして手伝ってくれるのかしら?」
ファン!ファン!
まるでそうだと言わんばかりに目のようなライトが点滅する。
もしかして私が彼を助けた恩返しのつもりなのかしら?
だとしたら主人思いの優しいバイクね。
「ありがとう、確かバトルホッパーだったかしら?手伝いお願いね」
こうして私とバトルホッパーとの共同戦線が幕を開くのだった。
カレルSido
まったく今日はついてないぜ。
金払いのいい楽な仕事だと思って受けてみたらまさか大型のクアドリガが出てきやがるなんてな。
ミッション中に俺カレル・シュナイダーと同僚である小川シュンは突如現れた大型アラガミ「クアドリガ」に襲撃され奴の放つミサイルの爆発で俺たちは窮地に追い込まれていた。
シュンはクアドリガのミサイルの爆発に巻き込まれて気絶してるから役に立てねえしジーナにはすぐ来るように連絡したが距離が離れすぎてまず間に合わねえだろうし……あんなポッっと出のバッタ野郎は来るかさえ分からねえ。
おまけに今回は楽なミッションだと思ってバレットもそんなに持ってきていない。
状況は最悪だ。
走りながら放つクアドリガのミサイルを避けながらなんとか打開策を考えようとするがこの状況では考える暇もない。
「おいシュン生きてるか?」
「…うるさいな、まだ生きてるよ」
意識を取り戻しすぐさま悪態を吐くシュン。
相変わらず生意気な奴だ。
だが奴はすでにもはや戦力には数えられん。
「くそ!バイクのエンジン音みたいな耳鳴りまでしてきやがった!」
チィシュンの奴まだ寝ぼけてやがるのか。
それはクアドリガの発するエンジン音だろうが。
バイクのエンジン音なんてそんなの俺にはまったく聞こえねえぞ。
くそう!俺には金を稼いで金持ちになり幸せになるって夢があるんだ。
なのにこんな所で死んでたまるか。
それにしてもさっきからうるせえアラガミだぜ。
・・・・まてなんだこれは?
最初はクアドリガのエンジン音だけだと思っていたが冷静になると音が二重に聞こえる…だと…?
まさか!?
音が近づいてきている方向を見る。
そこには白いバイクに乗った
何しに来たんだアイツは!
ただ突っ込んでくるだけじゃミサイルを撃ってくるクアドリガのいい的になるだけだぞ!
案の定、クアドリガが無数のミサイルをアイツに発射してしまった。
ミサイルの雨が迫る。
だがアイツのバイクはスピードを緩めるどころかさらに加速していく。
「アタックシールド!」
バイクの前と後ろから何かが出てきてフードのように覆う。
あんなんで防げるわけねえだろ。
クアドリガのミサイルは雨風じゃねえんだぞ。
もうダメだ。あいつはミサイルの直撃を受けて爆死する。
俺もシュンもそう思っていたが予想に反した事態が起きた。
おいおい嘘だろ。
バイクの前方に赤い閃光に覆われながらあの無数のミサイルが爆発する中をバイクで突っ走って来やがった。
ガシャアアアン!
白いバイクはそのまま猛スピードでクアドリガに直撃して金属同士がぶつかる大きな嫌な音が発生した。
と同時にクアドリガの馬の足ような履帯を破壊する。
足を破壊されバランスを崩して倒れるクアドリガ。
なんて破壊力だ。
神機でもあそこまでの破壊力はないぞ。
「プラズマジェット!」
ターンしてクアドリガに背を向けるとバイクから白いガスのようなものが勢いよくクアドリガに噴出される。
何を浴びせられたか知らないがもがき苦しむクアドリガ。
その間にあいつは俺たちの方にやってきた。
「カレルさん、シュンさん大丈夫ですか?怪我は?」
「おまえどうして?それにそのバイクはまさか?」
「話は後です、今のうちに回復して態勢を立て直してください」
「あ、ああ…」
そうだな、色々聞きたい事があるが今はそれ所じゃない。
金はあっても自分の命がなかったら意味がないからな。
あいつの言う事を聞くのは悔しいが今は言う通りにさせてもらうぜ。
「おい立て!一旦退くぞ」
「あ、ああ…」
シュンの奴に肩を貸して無理やり立たせる。
シュンに貸した借りはいずれ金銭的な意味で返してもらうか。
そんな事を考えながらシュンと共にバッタ野郎から離れクアドリガの攻撃が届かない距離まで下がる
あの岩場の影がいいな。
シュンを寝かせて懐から回復剤を探す。
くそが!調査部の奴らいい加減な仕事しやがって。
この損害の請求は高くつくから覚悟しろよ。
ライダーside
よしカレルさんもシュンさんも怪我はしているが意識ははっきりしていたし大丈夫みたいだな。
あとはクアドリガを倒すだけだ。
しかしななんて大きさなんだ。
足を破壊されたとはいえ目の前にいるクアドリガの威圧感は今まで闘ったコンゴウやシユウとは比べものにならない。
これが小型のオウガテイルや中型のシユウでなく大型のアラガミの威圧感。
これからも闘わなければはならない怪物達。
俺は倒せるのか。
いや弱気になるな。
アラガミの中にはクアドリガよりもっとでかいやつも存在する。
ここで立ち止まるわけにはいかない。
「いくぞ!ロードセクター」
自分を振るい立たせ怒り狂うクアドリガに立ち向かって走りだした。
つづく