新たな世紀王になってしまった俺が神喰いの世界を駆ける 作:カオスロイドR
次の日、アナグラの会議室に極東支部の幹部クラスヨハネス支部長、サカキ博士、リンドウ、そして一人の女性が集められていた。
内容は突如現れたイレギュラー『仮面ライダーBLACK』の今後の処遇について。
意見は即処刑すべきと開放すべきで割れている。
会議は荒れに荒れていた。
「アラガミを素手で駆逐するあの力がいつ我々に向けられるか分からない。そうなる前に処刑すべきだ!」
処刑を進言しているのは女性。
彼女の名は雨宮ツバキ。
第一部隊雨宮リンドウの姉で元神機使い。
今は引退し極東支部で指揮と統括をしながら神機使いの教官として後輩ゴッドイーター達を厳しく鍛えている。
「ちょっと待ってくれ!」
「なにかな?リンドウ君」
ヨハネス支部長がリンドウに尋ねる。
「恥をさらすようで情けねえが俺達が視界を潰されたあの状況であいつは逃げられたのに子供の盾になって砲弾から庇ったんだ。つまりあいつには人間の心があるって事だろ。そんな奴が人を襲うなんて俺には思えねえ」
「奴の力がいつ我々に向けられるか分からん、危険因子は早急に排除すべきだ」
「アイツはそんな奴じゃねえ!アイツが子供を庇う所を俺も見たし報告書にも書いてあるだろう」
「演技かもしれんだろう」
「演技?何の為だ?
机を叩き立ち上がりながら説得するリンドウ。
「私情を捨てろリンドウ!これは極東支部全体にかかわる問題なのだぞ、私情で極東支部全体を危険に晒すつもりか!」
アラガミと戦う神機使いは体内にオラクル細胞で普通の人間より力は強い。
しかしそれでも素手でアラガミを倒すことはできない。
もしアラガミと戦ってる時にBLACKが乱入して神機使い達を襲撃してきたら・・・。
そう考えると解放して放置などしておくわけにはいかなかった。
「私情じゃねえ!姿形は俺達と違うが人の心をまだ保っている。いつからフェンリルは人殺しの集団になったんだ」
「なんだと!!」
怒鳴りながら立ち上がるツバキ。
「二人とも落ち着きなさい。まず彼がアラガミかそうでないか報告を聞いてそれから考えよう」
白熱する姉弟の間にヨハネス支部長が割って入りリンドウとツバキも落ち着きを取り戻し席に着く。
「では榊博士、彼について何か分かった事は?」
「結論から言わせてもらえれば彼はアラガミじゃないよ」
ヨハネスが視線を榊に向けると榊がメガネを指で軽く上げる。
「ふむ、その根拠は?」
「彼が気絶している間にくまなく調べてみたが彼のどこにもオラクル細胞はない、そしてアラガミ指数もまったくのゼロを計器が示している。導き出されたこれらの答えから彼がアラガミでないとしているという事になるね」
「アラガミでないのならあの異形な姿はなんなのですか?」
もっともな疑問にツバキが訪ねる。
「それについても答えは出ている、それがこれさ」
榊が封筒から何かを取り出し机の上に広げた。
「それは?」
「彼の身体をX線で撮影してたレントゲン写真だ。ほら彼の腹部をみてごらん」
サカキが指さす先には白く丸い影が写っていた。
「この丸い石のような影から出ている触手が彼の神経すべてに結合している。あの姿はこれが原因だろうね」
「では外科手術でこの影を取り除けば彼は元に戻ると?」
「可能性はあるねヨハンだがおすすめはできない。なぜならこの影と彼の神経は完全に結合してしまっている。この石を彼の身体から取り除いたら彼は間違いなく死ぬね」
サカキ博士の報告を聞き会場が静まりかえる。
アラガミでなく人間。
その事実に会議室は先ほどと打って変わって静まり返る。
「これで分かったろう、やっぱりあいつはアラガミじゃねえ」
「だがそれでも奴が危険な存在であることには変わりない」
BLACKがアラガミでないと知り喜ぶリンドウ。
しかしまだ納得していないツバキの一言で打ち消される。
ツバキは公私の区別がつき自分にも他人にも厳しい厳格な性格で訓練の厳しさから陰で鬼教官など呼ばれ恐れられている。
がしかしそれは教え子の命を誰よりも案じており、その厳しい態度もアラガミとの戦いに送り出した教え子達が少しでも生き残る確率を上げる為の思いがあった。
「・・・ちっ分からず屋が」
姉の思いも言ってる危険性も頭では理解できる。
しかしそれでも感情では割り切れずリンドウは苛立った表情で立ちあがり頭をかきむしりながら扉に向かって行く。
「待てどこへ行く!」
「頭を冷やして一服してくる!」
「おい待て!?全くあいつは・・・」
「まあいいじゃないか少し白熱しすぎた。ここらで我々も休憩を挟もう」
「・・・申し訳ありません」
「構わないよこの問題はデリケートな問題だからね」
榊とヨハネス支部長にツバキは謝罪し会議は一時休憩となった。
「おう、なにやってんだ?」
煙草を吸おうとエントランスに向かうリンドウは廊下を歩いていると部屋の前でソワソワしているユウカとサクヤを見つけて声をかける。
「ここは・・・コウタの部屋か」
『藤木コウタ』と書かれた部屋の主を知らせるネームプレートを見て事情を察した。
コウタはあの後、目が回復して自分があやうく子供を撃とうとしてた事を知りショックを受け部屋に引きこもっていた。
「さっきから声をかけているんだけど返事もないし中に入ろうにも鍵が掛かっていて」
辛そうに話すサクヤ。
「ちょっとコウタ返事くらいしなさいコウタ!」
ドンドンとユウカが扉を叩くが返事が返ってこない。
「はあ仕方ねえ先にこっちの問題から片付けるか」
リンドウが一息吐きユウカに『退いてろ』と声をかけると。
ドゴッ!!
無言でドアを蹴破った
「「・・・」」
突然のリンドウの行動に思考が追いつかず呆然とする女性陣。
「ノックはしたし入るぞ」
「・・・いやいや!ノックてレベルじゃないでしょ!・・・ってそうじゃなくて何やってるんですかリンドウさん!」
立ち直り部屋に入って行こうとするリンドウを止めようとするユウカの肩をサクヤが掴む。
「ここはリンドウに任せましょう」
「サクヤさん・・・分かりました」
コウタの部屋の中でユウカはサクヤと一緒に部屋から離れていった。
凄まじい音がして何事かと他のゴッドイーター達が集まってきたが何でもないと説明する破目になる事を二人は知らない。
リンドウが部屋に入り暗闇の中でベットに座りうなだれているコウタを見つける。
ドアを蹴破った時の音にも微動だにしていない。
落ち込むコウタをリンドウが見つめる。
無言でコウタの横に座るリンドウ。
「・・・・怒らないんですか?」
「パニっくるのは新人にはよくあるこった、むしろ止められなかったリーダーの俺が悪い」
「・・・俺、母さんと妹の為に神機使いになったのにあいつが庇わなかったらあと少しで妹と同じくらいの女の子をこの手で・・・」
後悔に振るえて泣くコウタ。
今回のコウタの行動は報告書にも書かれてツバキからも厳重注意を受けていた。
「・・・今回はたまたま運がよかった。だが次があるとは限らねえ反省して次に生かせ、いいな」
コウタの頭を手に置き軽く左右に揺らすとリンドウは部屋から出て物陰から見ているユウカを見て去って行った。
「さて待たしてすまなかったね、君の処遇が決まったよ」
数日後、起こされたベットに鎖で縛られた僕の前に立つのはヨハネス支部長、サカキ博士、初めて見る見た事ない女性、そして最後にリンドウさんだ。
「まずは紹介しておこう彼女は雨宮ツバキ。この極東支部で指揮を統括しながら教官をしてもらっている」
ヨハネスの隣にいた女性が一歩前に出る。
「雨宮ツバキだ」
「はじめして仮面ライダーBLACKです」
このツバキって人やけに敵意むき出しに睨んでくるな。
これは最悪な方向に転んだか?
処刑すると言ったらパワースライブで鎖を断ち切って大暴れした後、脱走してやる。
こっちだって死にたくないから大人しく殺されるわけにはいかないんだ。
俺は次にヨハネスから出る言葉を待っていつでも動けるように準備した。
「仮面ライダーBLACK、我々フェンリル極東支部の仲間になってもらえないだろうか?」
・・・え?
処刑でも解放でもなく仲間になれ?
最初この男が何を言ってるのかよく分からなかった。
つづく
作者は別にツバキさんが嫌いと言う訳ではありません。
現実主義のツバキさんなら教え子達の為に人間ではない仮面ライダーBLACKという謎の不安要素はできるだけなくしたいと思い、こういう態度をとるのではないかと思って書いてるだけです。