山吹色の夜   作:サバの缶ずめ

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継続性大事。


10話 新しい自分(2)

 

 

「もっち〜もっと遊ぼうよ〜」

 

「眠いから勘弁してください…」

 

「え〜なんで〜」

 

戸山さんは顔を落とししょんぼりしてしまった。

 

 

なぜこうなってしまったかって?

今から説明しよう。

 

それは夕方の事。抵抗する術もなく山吹さんの家に連行されてしまった。山吹ベーカリーが1階、2階が実家みたいな感じで兼用していると昼頃聞いていた為それは心配無かったのだが、やはり年頃の男が女子の部屋に行くなんて信じられない話でもある。戸山さんはそれを知った上で誘っているのなら更に恐ろしくなってしまう。

 

 

ご飯もご馳走してしまった。

「いいよいいよ」と軽く笑いながらご馳走してもらったが申し訳ない気持ちがどうしてもあるので今度山吹ベーカリーで爆買いしよう。

 

 

 

 

そして今に至るわけである。

 

部屋の時計はそろそろ23時を指す頃。

いつもは22時には寝る為目を開くのが一杯一杯の状況。横になったらすぐ寝てしまいそうだ。

 

眠気と戦っている俺を他所に5人はトランプで遊んでいる。

 

「わー!!また負けた!!!もう1回!!」

 

「しゃあねぇな、もう1回だけだぞ」

 

戸山さんは眠気なんて言葉が存在しないぐらいハイテンション。市ヶ谷さんもそこまで眠くなさそうだが何回もやり続けているババ抜きに少し面倒臭いような感じが見えてうんざりしていた。

 

 

 

「僕もう寝ますねー」

 

さすがにもう限界だ。眠気とかそんな事を考える余裕もなく、ただ「寝たい」という気持ち一心になっていた。

 

 

「えー??せっかく可愛い子達と同じ部屋と一緒に居るんだよ?寝ちゃっていいの?」

 

「眠気の方が今は強いですね。おやすみなさい」

 

とんでもない爆弾発言をする花園さんを押しきって盛り上がっている部屋を後にして寝室に向かった。

 

流石に5人と同じ部屋で寝る訳にも行かない為に屋根裏の部屋に案内してくれた。物置になっており少し埃臭さはあったが、それでも寝室には十分すぎるほどのスペースだった。当初はご飯だけ頂いたら帰ろうと思っていた。しかしこんな夜に1人で返す訳にも行かないと、山吹さんに止められてしまった。男とは言えまだ15。山吹さんに言われた事はご最も過ぎたのでお言葉に甘えて今日は泊まることにした。

 

 

「でも友達出来て良かったな」

その日は不思議とよく眠れた気がした。

 

 

 

 

鳥のさえずりと屋根裏に入ってくる日差しで目が覚めた。携帯は6時46分を示していた。

少し足りない睡眠時間が関係しているのか重たい体を起こして眠い目をこすりながら布団をたたみ階段を降りて昨日遊んでいた部屋へと歩いた。

 

「おはよー」

 

部屋に入る前に廊下で山吹さんと会った。

 

「おはようございます。朝早いですね」

 

「まあねー、パン屋だから笑」

 

「そいえば朝ごはんあるから食べていきなよ」

 

「そうですね。ありがとうございます」

 

 

こういう時は謙遜せずに甘えた方がいい事に昨日気づいた。山吹さんが堅苦しい人では無いのは会った時から知っていたので断る方が逆に困るのかもしれない。

 

顔を洗って昨日コンビニで買ってきた歯ブラシで歯を磨いて朝食を食べた。テーブルには大好きな塩パンが置いてあった。

 

「塩パン僕好きなんですよね」

 

「知ってる。来たら毎回買ってるもんね」

 

「嬉しいですね。ありがとうございます」

 

 

軽く学校の話や世間話をして15分ほどの朝食の時間が終わった。

 

 

朝も終わった9時頃、動き出すにはちょうどいい時間だ。今日はやらないといけない事があるため全ての予定を断っていた。もちろん山吹さんの用件もだ。

 

 

「僕そろそろ帰りますね」

 

「もうこんな時間か、玄関先まで見送っていくよ」

 

「全然大丈夫ですよ。本当に今回はありがとうございました。戸山さん達もありがとうございました。と伝えてもらってもいいですか?」

 

「うん、じゃあ明日学校の時にね〜」

 

と言い山吹ベーカリーを後にした。山吹さんが見えなくなるまで手を振ってくれていたのに気付かないふりをしていたが、次会う時にありがとうございますと言っておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま〜」

 

9時半頃家に帰ってきた。玄関は閉まっていた為姉はまだ帰ってきてないのかな?と思っていたと同時に姉が部屋から玄関に向けて顔を出した

 

 

「あ、おかえり」

 

「うん、ただいま」

 

軽く挨拶を済まして家に上がる。

 

さて、ここからが本題だ。

 

今日の1番イベントでもある。

以前学校裏で保護猫を家で少し飼っていたのは記憶に新しいだろう。姉には言っていなかったのだがどうやら母親から知ってしまったらしく「それなら保護猫センターに行こう!」となっていた。それが今日と言うわけだ。

 

 

「さあ行くよ〜」

 

姉がまだまだ小さい猫に声をかけた。子猫はにゃーにゃーと甘えた声で姉に返した。

 

あの後病院に行ったのだが、怪我も病気も無く健康な体だったので通常通り子猫用の餌をあげていた。猫は飼ったことないのだがやはり動物というものはとても愛らしかった。ストレスの緩和剤になっていたのは言うまでもない。

 

 

 

 

車で30分ほどして、保護センターに着いた。軽く手続きを済ませ、いよいよ本題の書類に目を通した。かなり事細かく書かれておりた、2、3時間ほど説明→書類の流れで整理していった。本心は本当に飼いたい人に飼って欲しい。良い人に貰われて欲しいと思っていたが、いざ離れるととても寂しくなるのは性だろう。

 

と言っても今更引き返す事も出来ないので保護センターを後にした。可愛かった猫の顔を思い出してしまうがこれも悪いことではないと自己肯定して、その場を後にした。職員の人から「飼い主が見つかったらまた連絡しますね」と言われたのでもう子猫も安心だろう。

 

 

 

「あ、そういえば」

 

今日1日めっきりスマホを見ていなかったのでLI〇Eの通知が何件か溜まっていた。かるくスクロールしながら眺めていた。

 

「誰だこれ」

 

何人か許可していない人からのLINEがあった。だいたい察しはついていたが一応名前を確認してみた。戸山香澄の4文字がすぐさま確認できた。なんかこう、リテラシー無くてフリーな感じってすごいなって思ったんだよ。うん。

 

 

俺自身は全然構わなかったので許可し「昨日は楽しかったです。ありがとうございます」と返すと2秒?3秒かからないぐらいで既読が付き「私も楽しかった!また遊ぼうね! 」と顔文字付きで送られてきた。おそらく生きていて俺はこんな顔文字使わない。これがウェイ系かなんて思ったりもした。

 

 

 

家に帰ると辺りは真っ暗だった。腕時計は20時を指していた。今日の出来事を山吹さんに報告しなければと思いLI〇Eを開いた。すると予知されたかのように山吹さんから1件通知が入っていた。不思議に思い確認すると

 

 

「子猫の飼い主見つかったって」

 

 

 

 

 

 

 




継続性は本当に大事。
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