山吹色の夜   作:サバの缶ずめ

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いやー。久しぶりに更新ですよ!二ヶ月近く待たせてすいません!。これからは多分ペースが上がると思うので(フラグ)
待ってた方ホントお待たせしました!

それではどうぞ!


2話 最初で最後

2、

 

 

突然だが俺はパンが好きだ。日本人なのに米よりパン派なのだ。決してコメが嫌いとかいう訳では無いが米とパンのどちらかと言われたら迷わずパンを選択する事は自分でも分かっている。

 

パンの中でやはり塩パンは神だ。メロンパンとかチョコパンとかパンの良さを活かしきれてないあの系統のパンは邪道。塩パンの美味さ度でその店のランクが分かると言っても過言ではない。あくまで本人の都合と勝手な意見で発言している事は自覚している。パン好きとしてそこだけは常識が分かっているつもりなのだが他人からは碌でもないと言われるのがオチ。

 

そして今日も入学式終わりに自分へのご褒美にパンを買って帰ろうと思っている。自分に御褒美をあげる人が本人しかいないとかは突っ込まなくていいからな()

 

腕時計を確認すると今は6:30を少し過ぎたぐらい。時間が時間だしパン屋は基本的に5:00辺りで店を締めるから選べる程お店は開いてないと思うんだがたまには直感で選んだお店に入ってみて冒険してみるのも良いかもしれない。

 

商店街の方にやって来た。ここ周辺は初めてじゃないからある程度何処に何かがあるかは知ってるけど深くは知ってはない。精肉店とかは合ったのは覚えてるけどパン屋は合ったっけ…?

 

「あっ。合ったわ。ここっぽいな」

 

商店街に入ってから10〜15分ぐらいでパン屋を見つけた。商店街の混んでる方にあったから良かったものの多分店が少ない所にあったら見つけられなくて今日はコンビニで我慢しろってなったから良かった。

 

 

「あっ!お姉ちゃん!お客さんが来たよー!!」

 

「待ってよ!私が言いに行くんだもん!」

 

 

ここのお店はお姉ちゃんが切り盛りしているのか。小さな子供の無邪気な姿を見ると純粋な気持ちとなると共にこのパン屋で良かったかなって少し思った。

 

ちょっとして2人が帰ってくると共に1人の女の子が出てきた。買うパンを選んでた為にすぐに確認しようとはしなかったと言うかその時の気持ちはパンへの気持ちが先走ってたのもあるしそれどころじゃなかったのもあるから確認しなかった。

 

トレーにある塩パン三つ。もはや自分の中で他のパンが見えない程にぞっこんだった。「見た目で分かる。絶対美味しいやつだ!」いい感じの塩分量とフワフワの生地。これが数時間前に焼いたとは思えない。控えめに言って神だ。

 

 

「ありがとうございますー。塩パン三つですね」

 

お会計の際にふと目が合った。相手は何食わぬ顔で会計を売っていたが何処かで合った顔だった気がする。誰かはパッとは出てこなかったけどそこまで遠い人でもない気がする。

 

「お会計は360円です。」

 

「ちょうどお預かりしますねー。こちらレシートになります。ありがとうございましたー。」

 

 

その時はそこまで気にならなくて片隅に置くだけで良かったのだがパンを食べている時に何故か急に思い出した。

 

「あっ…山吹さんだ…あれ」

 

てか待てよ。って事は山吹さんが働いてるのか…?いやいや訳分からないし労働基準法に反してるはずじゃん。知らないけどさ。

 

 

 

その後スマホの地図アプリで検索した結果そこが"山吹ベーカリー"って事が分かって何となく全てが理解出来た。

 

 

 

 

 

「ああ…伝えれなかったなあ…」

 

こちらもどうやら悩みを抱えている模様。パン屋と家族の問題、新学期に入り学校と言う問題がまたも出てきたようだ。

 

「よし!明日は言おう!」

 

そう言いゆっくり目を閉じた。

 

 

 

 

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「おはよー。いい天気だねー。今日も一日頑張ろー!」

 

と同時に掛け布団が捲られ、朝の日差しと眠気で視界がが歪む。

 

 

「良いじゃんか…。時間帯変わったんだしまだ寝てても…」

 

「駄目!生活習慣を崩したら駄目なの!」

 

 

駄目の一押しで頑固。自分の筋を通すと言うか何と言うか。弟の俺でもイマイチ分からない所が時々あったりする。

 

「分かりましたよー。起きればいいんでしょ」

 

こんな事は普段は無かったのだがこれも環境が変わったと思わせる一つになりそうだ。

 

 

 

 

 

10分ほどかけて眠気をゆっくり覚ましながら歯磨きをする。鏡に映った自分が二重に重なって見え所々寝癖も見える。

 

時計は7時30分を差してテレビは情報番組をやっている。普段この時間は家には居ない時間ということもあり新鮮な感じがある。

 

 

「じゃあ行ってきまーす!今日は普通に帰ってくるからー!」

 

 

そう言い姉ちゃんが大学に行く為に家を出た。最近夜が遅い時がボチボチあるから彼氏でもできたのだろうか。そちらの方がベタベタに構われずに済むし彼氏さん頑張って!と他人事のように思った少しの時間であった。

 

 

「そ言えば返信来てたな。確認しなきゃ」

 

そう言いロックをササっと解除しトークアプリを開き確認する。

 

「おはよー。今日から学校だっけ?頑張れよー。って俺もだな(笑)」

 

こいつとは学校が離れたと言って連絡を切らしていた事は無いし暇さえあれば連絡してた仲だしそれが学校が変わっただけ縁や連絡が切れる ことは無かった。「良いけど学校中に送ってくるなよ(笑)」と冗談交じりに返信した。

 

すかさず返信が帰ってきた。僅かの間で返すとかお前学校だろ?といつも疑いたくなる。

 

向こうの学校は携帯禁止と嫌味を送ってきた事があったので知っていたが危なっかしいのに変わりはない。バレたら反省文行きだな、これは

 

 

 

 

「うちの学校にも可愛い子が居たんだよ!俺この学校で良かった。高校は恋愛に勉強にスポーツを両立させてお前に自慢するわw」

 

「それは良かったね。俺は特に恋愛をする為に高校に行くわけじゃないから頑張れとしか言えないわ」

 

「今度お前にデートの写真送ってやるよ。羨ましがるなら今のうちだぞw」

 

「まあ頑張れ」

 

「あっ、先生来たわ。また後で」

 

 

 

 

既読を付け一旦会話を切った。スリルをたのしんでいるのか。これもしメールとかで音鳴ると没収パターンだろ。到底真似出来ない神業(?)とでも思っておこう。

 

 

かれこれ10時まで時間は過ぎた。勉強したり、本読んだり、携帯いじったり、書類読んだり。1~2時間ほどとは思えない時間の密着度。

 

書類はもう1回読んどくか。昔からこう言った事がとある人のせいで几帳面になってしまった。誰とは言わないが思いつくんだな。これが

 

 

「あー。確かあったような。無かったような。どうだったっけ?」

 

 

 

と言うのも生徒手帳。生徒手帳は身分を示す為に必要と昔から口うるさく言われている。実際あったに越したことはないが極端に少ない使用時の為にするのもどうか。

 

 

昨日は気にしてなかったので生徒手帳貰ったかは、はっきり言って覚えてない()

初日だったししょうがないと言う理由を付けて主張すれば何とか誤魔化せるでしょ。

 

 

「入学初日に担任から渡された生徒手帳をいつでも提示出来るように所持していましょう」

 

「うわっ…。これ落としたやつじゃん…」

 

 

担任に言ってもなあ…。印象が台無しになる気しかしない。謎のプライドを持っている俺には新しく貰うと言う選択肢はない。あと昨日は言うほどエリア行動してないし見つけれるはず。

 

こうなったら見つけるまで意地でも諦めてやるもんか。

 

さて作戦会議だ、リミットは5時半、それまでに見つけておけば大丈夫。時間にして4時間から5時間ほど。

 

 

帰り道の間にパン屋、コンビニ、文房具屋寄っている。長居していたのは文房具屋だが落とした気は無いし何しろ文房具屋の時は胸ポケットに生徒手帳は入ってたはずなんだよね。それでも必ず証明できる論理では無いし一応は行ってみるけど。

 

 

「先にパン屋から回ってみるか。文房具屋、コンビニと並んで」

 

 

理由は聞かなくてもわかるだろ?率直にパンを買う。好きな物に歯止めが効かないのはしょうがないと思っているからね。皆んなもそうだろ?声を大きく言いたい「好きは正義」だと。

 

 

 

チャチャチャっと支度をし外に出てきた。見慣れない昼間の外の光景に疑問を覚えつつも目的地へと足を進める。

 

「人少ねえな。この時間」

 

 

よく考えてみれば当たり前。この時間明らかに違う格好で外いる人とかニートじゃん。絶対ニート(確信)

 

すれ違う人の中でスーツ着たサラリーマンとかいるけどその人達から俺もニートに見えているのか!?たまったもんじゃねえな。なんて思った昼下がりである。

 

 

商店街の方へやってきた。普段はこの方向は逆になるから来ないんだけど昨日は閉店間際と言うか夜ってのもあってこのパン屋に来たって事。散髪屋とかいろんなお店があり1度と言わず2回3回と来たくなるような商店街。

 

「暗かったからあんまり見えなかったけどここ色んな店があるんだなー。」

 

 

感心し街の風景を見ていき場所を理解していく。カフェとかちょっとした休憩スペースにも使えそうな場所もありそうだしこの商店街便利だな。今度アイツと来ようかな。遊ぶとこは無いけど

 

 

 

「いらっしゃいませー。」

 

「あのー。すいません。生徒手帳落ちてませんでしたかねー?」

 

「あっ!ちょっと待っててください!」

 

そう言って裏口へと走っていく。30秒ぐらい経ってから手に一つの手帳ぐらいの小さなものを右手に持って戻ってきた。

 

 

「これですか?昨日落し物があったので取っておいたのですが…」

 

「はい!これです!」

 

 

見つかって一安心した俺は感謝の言葉を伝え帰ろうとした・・その時

 

「あの!」

一言大きな声で俺を呼んでいる。

 

 

「橋本蒼太さんですよね!?」

 

「そ、そうですけどどうして名前を…?」

 

「生徒手帳に書いてあったのと私と同じ学校ですから」

 

そう言い微笑む。何となく理解出来た、山吹さんなのか。分かったぞ、だから山吹ベーカリーか。

 

ようやく理解した俺は山吹ベーカリーの常連になりそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




どうでしたか!
ここから沙綾との絡みが多くなってくるのと次回以降ポピパを参戦させようと思っているので楽しみにしててください!

ではまた次回お会いしましょう!

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