プラマイ!〜世界はプラスとマイナスから〜   作:梨味

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あと少しでシリアス(でもない)シリーズ長編が終わるぞ………というわけで、第14話お楽しみください!


プラマイ・014「弾丸と刃が交錯するとき」

※ 6/10(土) 17:54

来襲まで 0:09

 

「本当は、日本に駐留している米軍も派遣したかったのですが……」

「いえ、自衛隊や機動隊のみなさんがこれだけいれば心強い!」

「あとは、僕らでどうにでもなりますから」

申し訳なさそうに少しばかり僕たちに向かって頭を下げる吉見さん。これは、2年半前も同様だったが、攻撃の飛び火を恐れる世界各国は、武力攻撃による支援は行わず、物的支援に留めた。しかし、そうであっても、戦力は申し分なかった。

「じゃあ、また会おう、あや」

「うん」

僕の目の前で、青村と園枝が熱い、熱い抱擁を交わす。

「すっとん共和国とふつうの人による百合か。これもわるk」

「抹殺完了」

「あーあ、くだらないこと言わなきゃいいものを…………惜しい人を亡くした………」

「いや死んでない死んでない!勝手に殺すな!」

二本指を2人分。計4本の指が僕の鳩尾を突いた。一瞬逝きそうにはなったが、なぜか殺されたことにされたため、ギリギリこっちの世界に戻ることができた。

「また会おうね、メリーちゃん」「またお会いしましょう」

「………ハイ」

メリーさんは、少し寂しげな表情であった。僕から彼女にできたことは少ないが、それでも別れは惜しいらしい。

「それでは。伝言等は、無線を通して聴いてください」

そう言い、吉見さんがヘリの扉を閉じると、ヘリは都心の方へと飛んでいった。そして僕らは、仮設テントが設営されている殲滅部隊の本部を見据える。

「さてと」

ひとときの別れに浸るのも束の間。来たる再戦のため、集中を澄ませる。そして、互いに確かめ合う。

「バイター到達時間は今から6分後、18時3分」

「そう。やつらは山梨県側へ約2000m地点に降下後、山梨県側へと麓に降りてくると見られている」

「そのようだ。それでもって、交戦開始後10分間は、僕ら2人だけが戦う。そして、僕らの要求によって自衛隊、警察も加わるが、要求されない場合には、交戦開始後10分が経過したのちに自衛隊、警察が自動的に加わる、ということだ」

「そうだね。まぁ10分経つ前に君もろとも殲滅するけど」

「こっわ。敵が変わっとるぞお前」

「というのは冗談半分に、私たちだけで殲滅する勢いでやるよ」

「半分冗談?もう半分は本気か?………………まぁそれには同意するな。国家権力さんのお力を借りるには及ばないさ」

いつもの青村のブラックジョークも、それに対するツッコミも、今はライトだ。そして、背後の夕日に照らされる壮大な富士山へと振り返る。その上空には、流星群とも思える光の粒が、視認できる限りでは4つほど降下してきている。

「できることなら、二度とお会いしとうなかったな」

「左に同じく。でも、同時に期待もある。どれだけ成長したものか、見せてもらおうじゃない」

「お前は本当に好戦的だ。普通の女の子のときも、今も」

「前山くん、あとでスクラップ工場」

「『放課後職員室』みたいなノリで言うな言うな」

最終部を除いて、普通の中学生のする会話じゃないなと、自分自身でも実感する。だが、僕ら2人が持つ力の所為で、そのような会話ができる経験を何度も積み重ねた。

 

光の粒が、徐々に大きくなり、今は本体部分が確認できるほどになってきた。そこで、2人でこんな会話を繰り広げる。

「なぁ青村、あれ、どんくらい乗ってると思うか?」

「そうだね、あの時とサイズが変化していなければ、多く見積もって1機3000体くらい。4機で12000、といった感じだと思う」

「なるほど。じゃあ、一人頭6000ってとこか。何分でいける」

「レベル4はとりあえず外すとして、それ以外の雑兵がおよそ6000なら…………7分。これ以上はかけない」

「上等だ。7分で粗方片付けるぞ」

富士山の上の方で、轟音が鳴り響く。光の粒に見えたものが地上に到着したようだ。大気圏に突入し、最初に到達するのが富士山とは、いいご身分だ、と思った。しかし、それを口に出す間はなかった。

「行くぞ」

「了解」

青村が、腰のホルダーから昼とは違う拳銃、デザートイーグル.50AEを引き抜き、僕は、模擬刀やなまくらではない、日本刀を、鞘から引き抜く。そして、最高まで集中を高める。こうすれば、戦闘態勢の完成だ。

 

 

 

身体が、軽い。力が、漲る。

 

 

 

最高のコンディションだ。そんなことを思ったのち、醜いやつらが、こちらへ全速力で向かっていた。まず一体、二体、雄叫びとも表現できる声を出しつつ、飛び込む。

「「!!!」」

目の前に来たときには、銃声と身を切り裂く音声しか耳に入らなかった。そして、絶命したため、光を放ちながら気化した。それを見た僕らは、走り出す。まだ生きる、大多数に向かって。

「!」

日本刀というものは、斬れ味抜群ということで、知られている。僕が力まずとも、敵はサクサクと切れていく。全力で振りかざしたら……………岩石は軽く切り刻めるのではなかろうか。僕が回転しつつ、刀を振りかざすことで、前後のバイターが、リズミカルに気化していく。これは、僕にとって、快感なのだ。

 

「っ!」

ついつい笑みが溢れてしまう。たかが人類の生み出したオモチャごときに、異星人様が倒されていくのかと。前もそんな考えを持っていた。私が扱うのは、拳銃。無論、弾切れというものはある。弾が切れる度に、マガジンを取り替える行為、リロードを行わなければならないが、戦いにおいて、敵はそんなことは御構い無しに攻撃を仕掛ける。だが、それを計算しないほど、私も抜けてはいない。

「なっ」

2回目の戦いが始まって、初めてバイターの声を聞いたような気がする。やつらが思わず声を漏らすのも当然。私は銃だけを扱うように思われがちだが、ナイフ捌きは、海外の軍人にも負けない自信がある。そうやって、利き手の右手とは反対の左手でサバイバルナイフを突き刺し、そのまま直下させる。次には、敵は気化していた。弾の節約だ。すると、視界の両方から、バイターが迫ってくるのを視認。数からして、一つの銃では対応できないだろう。

「「あぁ?!」」

「二丁で撃たないとは、誰も言っていない」

デザートイーグルというのは、その設計上、威力と引き換えに、反動を大きくしている。そのため、銃大国の女性はおろか、男性でも片手打ち、二丁拳銃は危険な代物とされている。しかし、日本人で女、それも中学2年生が何の障壁もなく撃てている。私にナルシズムはないが、それでも、自分の持つ力によって、自分を誇らしく思える。

 

開始1分半。僕は、すでに900体ほどに手をかけた。青村も同じペースだとすると、いい調子できている。さぁ、あとどれだけ出てくるものかな!

 

※ 6/10(土) 17:59

来襲まで 0:04

 

「あ………」

「どうやら、大気圏に突入したようですね」

光の玉が、窓の外、空高いところに確認できた。いよいよ、バイターたちが投下されたようだ。そして、それはあの2人の、戦いの始まりを意味した。

「もしかして、2人のことが心配ですか」

「はい。吉見さんや、大臣に尽力いただいて、2人以外の戦力を増強していただいたのに、あの2人は…………」

心配のタネは消えたと自分でも思っていたが、2人と合流し、現場へ向かう途中に、私と吉見さんで作戦について説明していたが、2人がいきなり話に切り込んで。

 

『自衛隊さん?警察さん?ノンノン。国家権力さんの手を煩わさせるほど僕たちもヤワじゃないですよ』

『ご厚意には感謝しますが、これは私たちが蒔いた種でもあるでしょうから。私たち2人でどうにかさせてもらえませんか』

2人は、ブン殴りたくなるようなウザスマイルと好戦的な性格が見え隠れしている笑みを浮かべていたのである。しかし、それでは大臣や吉見さんの顔を潰すことにもなりかねないことを告げると、『自衛隊や警察は、遠くで待機し、交戦開始後10分が経過、もしくは2人の要求によって交戦に加わる』ということで落ち着き、2人で倒し漏れた分もそちらで対応することになった。しかし、あの2人なら、10分とかからず、粗方の敵をなぎ倒すであろう予感が、私の心を巡っていた。

「まぁ、心配じゃないと言えば嘘にはなります。今回も2人が背負っているものは大きすぎるわけですから。でも、2人が決めたことなら、何故だか気分が軽くなってきました」

「そうですか………」

あそこまで言われたら、2人を信じる方へと舵を切ることが良いのだろうと、思えた。それを吉見さんも感じたのか、柔らかい笑みを浮かべていたのだった。と、ここで、なぜか大統領の娘さんが、こちらを一点凝視していることに気づいた。声をかけてみる。

「あのー、メリーさん。なぜ、私を見られて?」

私が今話しかけている人物は、アメリカ合衆国大統領のご令嬢。だが、大統領は大の日本好きということがあり、メリーさんにも熱心に日本語を教えているのだという。そのため、昼間は英語で話しかけたが、今は日本語で話しかけている。

「レイサンハ、マエサンノコト、オスキ?」

片言さが残る日本語ではあるのだが、その言葉の意味はしっかりと捉えることができた。私にとっては、狼狽え必至だった。

「え、いやぁその。そんなことは……ないですけど?」

「ふん………ジャア、マエサンとアオムラサンハ、コイナカ、ナンデスカ」

「ぐはぁ!」

メリーさんからの追加攻撃キタァ!いや困惑しかねぇけど!今までそんなこと考えもしなかった。だから分かるわけねぇ!そりゃあ、捉えようによっては対を成す存在ともとれるし、恋仲ともとれる。何より、2人の気持ちを知らない。答えに困るぅ…………そ、そうだ。こういうときは人生経験豊富であろう吉見さんに助け舟だ!

「吉見さん、お助け!」

「う、うぅ………そ、園枝さん、は、はぁ………」

「いや童◯か!恋愛に対するキャパが小さすぎるだろ!」

つい本気のツッコミを吉見さんに入れてしまった。有益な回答を得られると思い、助け舟を出したにも関わらず、両手で赤面する顔を覆うという、女々しすぎる態度を前には、突っ込まずにはいられないだろう。

「あ、あの、メリーさん。事が落ち着いたら答えます!なのでもう少々お待ちを!」

「ワカリマシタ。タノシミ」

「おおう………」

とりあえず答えを後回しにする私、変に期待してしまっているメリーさん、うな垂れる吉見さん、そこには、日本が危機を迎えているとはとても思えない光景が広がっていた。

 

そんな中でも、これだけは忘れない。

 

「(帰ってきて。2人とも………)」




銃についてはグーグル先生で調べたものを寄せ集めたので、間違いがあり得るかもしれませんが、お許しください。また4000字超えたぞい………

次回で『再戦篇』はラスト!その次からはゲラゲラ笑えないギャグやっていきますので、よろしくお願いします。

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