というわけで、第15話、お楽しみください!
※ 6/10(土) 18:11
交戦開始から 0:08
「!」
「!」
ただひたすらに、敵をなぎ倒すだけだった。攻撃される隙を生まない、ムダな動きを取らない、素早く別の地点への移動を済ませる。そのような攻撃を心がけていたら、いつのまにか、最後の1、2体と思われるバイターを、僕は剣撃、青村は銃撃で気化させていた。一仕事終えた僕らは、互いの顔を見合う。
「さて、1分オーバーしたわけだが、お前もうちょい速く移動できたろ。タイムロスが多かった」
「何を?あなただって、斬りつけの後にムダな間があった。鈍らないはずだけど、鈍ってんじゃないの?」
先ほどの8分間の戦いについて、僕と青村で感想戦を始める。細かな隙が大きな損害を生むことを知った僕らは、普通では気にならない点も追求し合うのだ。
「っと、早く連絡だ」
「そうそう」
思い出したかのように、無線を開く。
「殲滅、確認しました」
『ほんとうですか!?りょ、了解しました』
無線の向こうにいる指揮官は、驚きを隠せていなかった。それもそうだろう、僕らの見込みよりもずっと少なかったとはいえ、10500体ほどいたバイターを8分で、2人で殲滅してしまったのだから。ということで、僕らが殲滅してしまったため、出る幕が無くなった自衛隊、警察は、撤収することになっている。
「さて、わてらも撤収するべ」
「関西弁と茨城弁が混じっとるぞワレコラ」
「だから何でそんな暴力的なんだよ文さん」
覚醒状態を解き、いつもの脅し愛も帰ってきた。
「はよ帰ってグリーンナノダを飲むぞ!あ、君は牛乳か」
「ほう、なぜ?」
「ほら、早く身体を成長させないと」
「不快だ。死ね」
「あーー!」
恒例の暴力的解決もまた帰ってきたのだった。完全に僕のせいではあるが、後悔も反省もしていない。
「下ろう」
「そうだな」
富士の頂へと、背を向け行く。僕らが戦っていたのは、麓に近くあったが、それでも気づくと当初いた場所よりは上がってきていた。だが、歩み出して間もなく、背後から光をも凌駕する速度で何かが忍び寄るのを気配で感じ取った。僕は、左側の草むら、青村は、右側の草むらに、それぞれ飛び込んでいた。
「「………」」
さっきまで、僕と青村が歩いていた道なき道には、一掃したバイターとは一線を画す、両手で、2つの剣を突き出す、個体がいた。たった今、右腕にかすり傷があるのに気づいたが、どうやらそれによって傷ついたらしい。そして、僕と青村は、急いで立ち上がる。そのバイターは、仮面を被っていた。
「何だお前、中二病か?いやぁ、異星人の存在がまずビックリなのに、さらにその中に中二病がいるとは、これはたまげた!」
「何その趣味の悪い仮面は。もともと醜い顔面してるのに、そんな仮面さらに人が遠ざかる」
僕の皮肉と、青村のSっ気タップリのコメントにも、表情ひとつ、あのバイターは変えていない。仮面の上からでもよく分かる。
「「!」」
おそらく、このバイターは、レベル4個体。そう心の中で確信した。その次には、青村が両手で拳銃を構え、撃てる限りを尽くす。だが、全ての弾丸は、そいつの身体を突き通すことなく、掌で受け止められた。
「このっ!」
血が頭に登ったのか、暴発防止のための安全装置をかけないまま、拳銃2丁を地面へと打ちつける青村。そして、バイターへと向かって走り出す。走る中で、携帯していたサバイバルナイフを引き抜き、怒りのこもった力込めて、突き刺す。しかし、突き刺さったのは、そいつの胴体ではなく、腕だった。それでも、痛みを感じていないのか、表情を全く変えない。そして青村は、さらに頭にきたのか、一歩引き下がり、怒りのハイキックをお見舞いさせようとするのだが。
「なにっ?」
片腕で防がれた。その体勢のまま、青村はそいつのひと殴りで、どこかへ吹き飛んでいった。僕は、青村と入れ替わるように走り出していた。
「痛った」
この状態で痛みを感じるというのは、なかなか無い。どれだけ、アイツが強いのか、よく分かる。私と入れ替わりで、前ちゃんはご自慢の日本刀で、アイツに挑んでいる。
「っ!」
彼からは、息遣いしか聞こえない。しかし、彼の刀撃は相手の剣による防御を通すことができず、しまいには、相手の防御に耐えきれず、刀は折れた。『なんて強いんだ』。そんな心の声が聞こえた気がした。
「オラァ!」
気合いに満ち溢れた、漢の声を発する前山。その右の拳が、バイターの酷い顔面にクリーンヒット。バイターの首が直角に左回転する。だが、微塵も動じる様子はない。そうして。
「がぁっ!」
前ちゃんは突き飛ばされていた。そして、大樹に激突する。そして、私は再びバイターへと走る。今度は、ナイフを持ちつつ、背後を狙っていくが……
「なん」
最後まで言葉を発する猶予もないまま、そのバイターは私の方へと振り向き、目にも止まらぬ素早さで私の腹部を狙って殴りかかる。
「うあ“っ」
痛みは、さっき吹き飛ばされたときよりも強い。耐えきれなくなった私は、腹を抱えながら、その場に膝をついた。
この状態で、珍しく痛みを感じた。あの時、それを感じたことはあっただろうかと思い返す。だが、それに関して長考する暇は僕に無い。相手の隙を突こうとした青村が、腹に相手の一撃を食らった。青村は、痛みに屈したのか、その場で膝をついた。隙だらけだが、同時にバイターも、こちらに背中を向けて、隙だらけである。僕は、青村が携帯していたデザートイーグルを手にとる。バイターに向かって構えるが、思い出したかのようにこちらに振り向く。いくしかないと感じた僕は、マガジン内の弾薬が尽きるまで撃ちだした。そして、弾が切れたのち、もう一度バイターの元へ走り出し、体術をかけようとするのだが。
「へ?」
いわゆる、『抱っこ』をバイターにされていた。地面から足は離され、身体が浮いてしまっている。そして、バイターが回れ右をしたかと思うと、高度を上げ、青村の右隣に投げ捨てられた。力を込めて投げ捨てられるという経験はしたことがない。こんなに痛いものか、と反射的に思考する。
「おい青村。大丈夫か」
「なんとかね…!そっちも大丈夫なの」
「お陰さんでな……!」
互いに無事を確かめ合う。だが、互いに萎縮していた。今は絶対に勝てない相手を前にして、だ。この日本、この
「…………」
「な、なんだ」
「言いたいことがあるなら言いなさい」
勝者である上位バイターは、やはり無表情であった。仮面越しでも分かるほどに。そして、何か物言いたげな表情でもあった。終わりを告げる、のか?緊張が流れた。
「…………さらばだ」
口を開いたと思うと、バイターはその言葉だけを残し、目の前から存在ごと消えた。おそらく、例の瞬間移動とやらを使ったのだろう。ひとまず、僕らは、息ついた。
それから、撤収しかけていた自衛隊や警察が到着。重傷ではないものの、負傷していた僕らは、彼らに搬送され、病院へと駆け込んだ。2泊3日、山梨県内に居座り、そのあとは、直接、地元へと戻った。話によれば、最後に僕らがバイターに遭遇してからバイターが現れたという知らせはなかった。避難命令も解かれ、数日後にはいつもと変わらない日常がこの国に戻った。
※ 6/14(水)
「…………………めんどくせ」
僕は、夕日差し込む2-2教室で机に面と向かって無心で書きものを進める。本当にこの生徒が日誌まとめるシステムどうにかなんねぇかな、とアホらしい考えを脳内で浮かべる。ここにからかい上手さんが来て、からかって……って、またアホらしい考えが浮かんでしまった。
「あ、前ちゃん。え、まだ書いてたの?」
「こ、こういうのはしっかりと書きたい人なんだよ」
「まぁそうだねぇ。あの状態のときがあるとは思えないほどこういうのは丁寧だからねぇ」
「や、やかましいやい」
静寂に包まれる教室に、突如園枝がやってきた。なんだか、からかわれたような気分だ。これが、CV某高橋さんだったら最高だろうが、やはり現実とは実に非常なものである。
「何を考えた」
「ん?いーやなんでも」
おっと危ない危ない。今目の前にいるのが青村だったら、なんやかんやで問い詰められて、最終的には『がっこう◯らし!』の教室のような惨劇が繰り広げられてしまうところだった。
「ところで、今日復帰だったけど、ケガはもう大丈夫?」
「まぁな。日常生活を送る分には」
「そう」
俯いた横顔だけ見ると、すごく女の子の顔をしている。日常もしていないわけではないが、夕日に照らされる俯いた横顔は、また違った雰囲気がある。
「……………ねぇ」
「なんだ?」
「もし、またバイターが来てしまったら、戦うの?」
「んまぁ、そりゃそうだろうな。国は、戦力として僕らを欲しがるだろうからな。それに、心に引っかかりもあるからな」
「そうなんだ……」
横顔から打って変わって真正面から顔面を見せつけたかと思えば、僕にはよく意図の分からない疑問を投げかけられた。真面目に答えてみたものの、そのリアクションを見て、いよいよ意図が読めない。そして、再び俯いた横顔を見せつける。
「さて、書き終わった。というか、お前なんで来たんだ?」
「あぁ、忘れ物取りに来た」
「あっそ」
「用は済んだし、じゃあね。テスト勉強、ちゃんとやるんだぞぉ」
「言葉そのままそっくり返すぜお嬢さん。負かして泣かしてやる」
「望むところだ」「勝負!」
こんな会話しているだけで、ひとまず日常が戻ってきたことを改めて実感した。
この日常が、恒久的に続けばいいのだが、そうは問屋が卸さない。あのレベル4バイター。また交戦する日がある。僕は、そんなことを確信した。
〜再戦篇 END〜
絶好調だったので1日に2話投稿しました。いかがでしたでしょうか?僕はからかい上手の(ry大好きです(何の話)。
次回からシリアスなはなし(かも)!そしてまた2018年冬アニメにケンカ売ります(売らない)。