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「お姉ちゃんー。明日って前ちゃん空いてるかな?」
「それは何故ゆえ?」
ある金曜の夜、その疑問は突然玲に投げかけられた。疑問を発したのは園枝玲の妹、園枝藍(そのえ あい)。小学6年生。見た目は姉と同じように年相応といった感じだ。
「まぁ、いいじゃん。それで?!どうなの?」
「多分空いてるんじゃない?暇そうにしてるし」
「そうなんだ…じゃあ、使ってもいい!?」
「?まぁ、前ちゃんが大丈夫ならいいんじゃん?」
玲は藍の言い回しに引っかかりつつも背を向け自室に戻る妹を眺めていた。
「(藍、何をするのかね…)」
※
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「・・・・・・・」ソワソワ
少しずつ汗ばむ陽気になってきた5月下旬。僕、前山は駅前の得体の知れないオブジェのようなものの前で待ち人をしている。土曜日ということもあり人がごった返している。あまりこういう人混みは得意な方ではないが、今日は、ある"欠かせない"用事があって来た。
「お待たせ!待った?」
「ううん。僕もついさっき来たから」
側から見ればカップルにも思えるやりとりをしていることであろう。もちろん藍ちゃんはかわいいのだが。もちろん純粋な意味で、の話だ。
「それで、どうして僕を呼んだんだい藍ちゃん?」
「それはですね、ちょっと買い物に付き合っていただきたく思いましてね。男性にお送りするものだから、前ちゃんに見てもらいたいと思ったんだ」
「男性ねぇ〜というか、それって「あ、ちなみにプレゼントするのは…っていない。どこだろ」
「どうした藍ちゃん」
藍ちゃんが背後を見た途端、まわりをキョロキョロとし始めた。
「いや、そのプレゼントしたいってのは私の友達なんだけど、その子、極度のあがり症と人見知りで、すぐ隠れちゃうんだ」
藍ちゃんはそう説明しながら探しているが、見つからないようだ。だが、僕にはそれらしき人物が視界にいることを確認した。植え込みに身を潜めている姿が。
「なぁ藍ちゃん。もしかしてなくても、あの子か?」
「うん?あ、そうそう。コラァ、一果、隠れてないで出てきなぁ」
若干ヤクザ口調で藍ちゃんの友達という子を呼び寄せる藍ちゃん。すると、しびれを切らし、藍ちゃんが走り出した。
「ちょっと待ってて。すぐ戻るから」
「お、おう」
※
「ほら一果、早く行かないと」
「うぅ、緊張するよぉ…」
植え込みの間に蹲っているのは、私の友人、宮下 一果(みやした いちか)。何せ、今日の外出のきっかけはこの子だ。それなのに進もうとしない。その理由はー
「前ちゃんに告白したいって言って、チャンスを作りに来たのにさ、これだったら水の泡だよ?」
「でもぉ…」
「それに、前ちゃんのまわりには割と女子が結構いる。モタモタしていると前ちゃん取られちゃうかもよ?」
「そ、それは嫌!」
「じゃあ、早く行こうよ」 「う、うん!」
正直、表面上を見れば普通の男子に見える前ちゃんを好きになる人がいるとは思っていなかった。前ちゃん自身も恋色沙汰には興味のない性格をしていてあまり女子が寄ってこない部分はあるが。
そんなことを考えるうち、一果が前ちゃんの方へ歩き出していた。背中を丸くして。
「……私も行かないとね」
※
「どうも、初めまして…私、宮下一果って言います。よろしくお願いします…」
「よ、よろしく……」
一果ちゃんから自己紹介を受けたが、キャップを深く被り、汗ばむ陽気にもかかわらずマスクをするなど、『私に話しかけんといてください』というオーラを身体中から放っている。
「一果、マスク取って、キャップ取って、しっかりお顔を見せなよ。自分で取らないなら私が…」
「きゃっ!」
一果ちゃんの顔、ご開帳、といったところだろうか。整った顔だちで、藍ちゃんとはまた違ったかわいさがある。2度目だが、純粋な意味で、だ。
「それでプレゼントを送るんだって?それも男性に。いやー彼氏さんに送るのかい?」
「ふぇっ!?いやあの、あ、はい!あの兄さんです!兄に送るんです!もうすぐ誕生日なので!」
「へぇ、じゃあ、僕もしっかり考えないとな。よろしくね、一果ちゃん!」
「は、はい…」
「じゃあ、とりあえず駅ビルに行こうか」
「あ、ねぇ前ちゃん?」
「ん?どうした藍ちゃん」
「私、お姉ちゃんに頼まれた買い物があって、それはあっちで買うんだけどさ、そっちは一果と二人で見て来てよ!」
「ん?どうしたんだ、そんな慌てて」「いやなんでもー…」
明らかに挙動不審である。だが、ここで立ち止まっていても暑いだけだと思い、早々に二手に分かれ行動開始。道中、一果ちゃんとも少し会話したりした。
「お兄さんはいくつなの?」
「えっとー…今度の誕生日で17歳になります」
「高校生、それも2年生か。なるほど」 「………………」
なるべく会話を繋ごうとするのだが、返答する度に俯きがちになってしまう。そして、なぜだか顔も妙に赤い。もしかすると、具合が悪いのだろうか。
「ねぇ一果ちゃん、熱とかあるの?」
「えっ、あ、いや決してそういうわけではないですけど…」
「そうか。いや、少し顔が赤く見えてね、具合でも悪いのかと思ったけど、違うのか。ごめんごめん」
「いえ、とんでもないです」
「と、いったところで着いたな。じゃあ、一通り見て回ろうか」
「は、はい!」
※
「ねぇ、あや?こっちはどうよ?」
「あぁいいんじゃない?表現的に問題なし」
現在、某ガ◯トにて英文スピーチを思案中の私、園枝玲と、友人の青村文。特に浮いた話もなく、ただただ時間だけを潰していた。
「それにしても、藍は何やってるんだか」
「藍ちゃんどっか行ってるの?」
「うん。前山氏と日本のどこかへ」
「えぇ…あんな奴と藍ちゃんが一緒だったら色々危ないだろう。ほんと、あいつ何かしなきゃいいけど。もっとも、あいつがロリコンでないことは周知の事実だけどね」
「そーだね。まぁ、幼女強姦、それも私の妹をターゲットにしたのならミキサーにかけるほかないけどね」
「あーた、中々怖いこというね」 「まぁ流石に冗談だよ」
ブラックジョークとも言い難い前ちゃんに関しての冗談を平然と口にしているが、あの人のことだから、心配はないでしょう。
「そうだ、カラオケ行こうよ!」
「おぉそうだね。じゃあ、Grip &(ry うまく歌えたら何か奢り。いいな?」
「全くあやは…まぁ面白そうだからいいけど!」
荷物を早々に纏め、逃げるかのように代金を支払い退店し、駅のほうにあるカラオケ店を目指すことになった。
※
「一果ちゃん、これはどうかな」
「うーん、なんか違いますね…」
「そうかい?」
どのくらい時間経ったんだろう?もうかなり長く前山さんに買い物に付き合ってもらってる。もっとも、それは前山さんにお送りするものだけど…こんな優柔不断だと、私、嫌われちゃうかな…
「じゃあ、別のフロア見てみようか?」
「あの!」
「ん?どうした?」
「私、こんな優柔不断で、その、ご迷惑、じゃないですか?」
「アハハ、大丈夫だよ。一度任されたことがあったら最後までやり通すのが僕の流儀!見つけるまでしっかり協力させてもらうよ。それに、僕も優柔不断なところあるから、なかなか決められないって気持ち、わかるよ」
「は、はい……」
ご迷惑にはなっていないようで一安心。それでも、なるべく早く決めないと時間が無駄に過ぎちゃう。
「あ、いちーー!何してるのー!?そしてその男の人はだれー?」
「結月ちゃん、いきなりそんなこと言ったら失礼だよ」
突然現れたのは、私のお友達、吉 結月(よし ゆつき)ちゃん。活発でとても明るい女の子です。たまに暴走しちゃうときもあるけど。
「それで?この男の人はー?」
「えっとね、藍のお姉さんのお友達の前山さんっていうの」
「あぁー!確かいちがこくは…うぐぅ?!」「い、一果ちゃん?」
危なかった…すんでのところで口に蓋をできたけど、あと少しで前山さん自身に露見してしまうところだった。結月ちゃんに話してなかったとは言えこれはダメだよね。
「ちょっとこっちに来て…!」
「お、おう」
「?」
〜5分後〜
「いきなりごめんなさい前山さん」
「う、うん。僕は問題ないけど、結月ちゃん?はどこに?」
「えっとー、あ、トイレです」
「棒読みなのが気になるけど全力スルー」
「いちーーーーーーー」
「うわっ」
禍々しいオーラを纏った結月ちゃんがにじり寄ってきた。何やら言論統制が行われていたころのような拷問でも受けたのかのような雰囲気だ。
「その、結月ちゃん、なんか酷い目にあったようだが、大丈夫か?」
「大 丈 夫 な わ け な い で し ょ あ な た は ク レ イ ジ ー か」
何やら僕が思っている以上に酷い目に遭ったらしい。見た目とは裏腹に人を墜とすことができる一果ちゃん、恐ろしい子!
「じゃ、じゃあ、つきもいちを手伝うよ!」
「あ、ありがとう。じゃあ、行こう結月ちゃん」
そして、なぜか数十秒前まで闇に堕ちていた結月ちゃんと堕とした元凶の一果ちゃんとが友好的な会話を繰り広げている。子供…と言っても僕もまだまだ子供ではあるが、小学生のこの関係性の転換速度は速いものだと、ただただ思った。
To be continued...(maybe)
ロリが一気に3人も増えましたね。こいつは天使◯の3pとか路線もイケるのでは?いやロウきゅーぶ!を狙うのも(ry