四ヶ月が過ぎた。外は寒く、木枯らしも吹いていた。かく言う私はあまり外出しなかったためか、寒さをそれほど実感しなかった。
魔術の鍛練は当然室内で行われた。ドローン等がある時代に外での鍛練は論外とのこと。また、魔術の鍛練がある日は勇者としての訓練もまた室内で行われる。魔術の鍛練は毎日あるのだから訓練も毎日、他の勇者とは別だった。彼女等に会うのは授業の時のみ。その時ですら私はゲームに夢中になっていた。そう、私は他の勇者とは一言も喋ってはいなかった。そのまま他の勇者と共に外出することもなく、時は過ぎた。
だが、ある時、そんな私にクリスマスの数日前、話しかけてくれた友達がいた。
「ぐんちゃん、一緒にクリスマスパーティーやろうよ!」
魔術の修練を始めたために以前より、いや違う、本来よりコミュニケーションをとってこなかった私に尚会話してくる友達、大親友と言っても過言ではないだろう、高嶋さんはそんなことは全く気にしていなかった。
人生で初めてのクリスマスパーティーは楽しかった。知らないことも沢山あったが、高嶋さんや他のみんなに教えてもらって難なきを得た。
「クリスマスパーティーっていうのはね、おっきな木を飾り付けて、ケーキと鳥を食べて、帽子をかぶって、バーンって鳴らすの!」
そんな説明からマフィアが銃を撃ち合う殺伐とした光景を思い浮かべてしまったのは今でも恥ずかしい。
そんなこんなでクリスマスパーティーは無事に終わった。
「そうだ。ぐんちゃん、うどん屋さんにいったことないかな?それなら私が連れていってあげる!」
そう言われて連れていかれたのが市内にある一般的なうどん屋さん。曰く、香川でも少なくなった純手打ちのうどん屋さんらしい。
「何これ!?本当に...もぐもぐ...うどん?私が食べたことがある...ごくごく...うどんとはまるで違うんだけど...ふぅ。」
「そうだね!」
高島さんの笑顔と共にうどんの衝撃を忘れることは二度とないだろう。
アパートが見える、勇者達が住むアパートが。バーテックスに対抗できる唯一の存在、勇者を守るためにこのアパートは魔術的、物理的防御が施されている。とは言え、私にそのような価値はないだろうに。勇者としても魔術師としても中途半端、私には価値らしき価値は存在しない。
「着いたー!」
でも、高島さんの笑顔を見れるならいいかもしれない。
「それじゃあ、また明日ね!ぐんちゃん。」
「待って、高嶋さん。」
言わないと、
「なに?ぐんちゃん。」
「えっと...」
私の本当の───
「実は私の本当の名前は
「...えっ?」
高嶋さんから可愛らしい声が漏れる。
「えっ、あっ!ごめんね、えっと...」
「...ふっ」
私も声をこぼす。
「でも高嶋さんなら、今まで通り
あのとき、きっと私は人生において数少ない、懐かしいような笑顔を浮かべていただろう。
短い。
出来るだけいい思い出を作ろうとしただけなんだよなぁ。
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では、また。
(「Fate/AlterZero」も同時公開中)