「本来ならわずか二年程度で魔術の修得は、不可能、あり得ないと言っても過言ではない。」
そう話すのは、私の師になる人。全てを見通し、全てをつまびらかにする。だから私の師。その名はロード・エルメロイ二世、またはウェイバー・ヴェルベットと言う。だが、彼は前者の呼び方を好むようであり、二世を付けないことにも嫌悪を覚えるようだ。先代のことを考えれば当然だろうが。
「しかし、君の場合は実に運がいい。私が知る限りのいかなる魔術師の家系よりも長く続いた魔術刻印を君はその身体に刻まれてる。」
魔術刻印、魔術の修得、全ては郡家に伝わった血の繋がり。持続させ、継続させる、あの時の私からすれば忌まわしい呪い。そして魔術の行使もその一つに含まれている。生き残るための、強くあるためだけの魔術。しかしこれだけならただの魔術使い、私が魔術師足らしめるためにこの刻印には一つの
「能動的な起源の覚醒、及びその起源特化型の魔術行使。それが君の家系が残した
それは魔術師という存在にとってはボロい賭け。時間をかければ必ずリターンが来る。実に
「この状況において君がすべき行動は一つだ。自身の起源を見極め、それを覚醒、制御することだ。本来、起源を覚醒前に理解するには本人の存在そのものに関わるような出来事での本人の行動を分析する必要があるが、幸いバーテックスの襲来があったな。あの時の君の行動と感情を教えて欲しい。できる限り客観的にかつ詳細に。」
私は何もないと伝えた。
「ば、ばかな。確かに君はバーテックスとの戦闘を行わなかったとはいえ、あの日は地震やら異常気象などが起きていた筈だ、何かしらの思いは抱いてただろう?武器を握ったときに何か感じなかったか?」
私は続けてなにもないと伝えた。あの時は心にポッカリと穴が空いたようだったから。
何も欲しくなかった。
何も壊したくなかった。
何も助けなかった。
ゲームをしたいとも思わなかった。
食事をしたいとも思わなかった。
何も感じなかった。
そう、私は伝えた。
「...そうか。今日はもう結構だ。明日から魔術の修練を始める。明朝に所定の場所へ来てくれ。」
私は了承し、その場を離れた。
「そうだ。」
しかし、私はロード・エルメロイ二世の言葉に足を止め振り返る。
「ついでに毎日、日記をつけるように。」
最後にそう言いつけられた。不思議だった。一体、魔術と日記にどんな因果関係があるのか、と当時の私は思った。結局、日記を記すことの真意が最期まで知ることはなかった。
日記という仕様なので短めに書いてます。
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では、また。