詠唱はFT!   作:ASHIMU

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真面目に


プロローグ

この世界において人間は弱者である。

この世界において人類は強者である。

 

人は弱く、もろく、一人では何もできない。

人は多く、学び、群れて魔獣にもできないことを成し遂げる。

 

人は群れ、国を作り、敵対者溢れる世界を切り開き、開拓していった。

そして切り拓いていくうちに、友好なものたちとの出会いがあった、たとえ自分たちと違っていたとしても、言葉を交わし、友好を重ね、世界をどんどんと切り拓いていった。

 

気づけばいくつもの国ができ、戦えぬものでも、他の場所へ移動ができるようになっていった、商いをする者、旅をするもの、様々な者が様々な場所へと向かっていった。

 

だがそれはすでに切り拓かれた場所だ。

今でも人類は世界を切り拓き、未だ未知の世界へ向かおうとしてる。

 

強大な魔獣が跋扈し、様々な自然が、世界が立ちふさがる場所へと、人間たちは向かっていく。

 

ある者は栄光を、ある者は未知を、そしてある者は死を手に入れた。

未知へと立ち向かう者、人はその者たちを『冒険者』と呼んだ。

 

 

開拓前線都市『コンバート』

石造りの家が並び、高い塀が築き挙げられ、門から以外では入ることはできない。

ぐるりと街を囲んだ塀の四方に門がある、この街に入るもの、この街から出るもの、それらは全てこの門を通り、記録されることになる。

様々な場所から来る、商人、傭兵、冒険者志望、学者、中には芸人、職業だけでも数多い、さらにヒューマン、エルフ、ドワーフ、リザードマン、ヴィダルケンとこの人種の多様さは前線都市特有のものだろう。

最も、北の門から入ってくるものには一つの共通点があった。

この街の北、そここそこの街が開拓を目指している場所。

『未踏地域』

地図もなく、うっそうとした森に隠され、高台から先を見通すこともできない、ゆえに歩き、手書きの地図を描き、少しづつ、少しづつ開拓を進めている。

そしてその場所を自らの仕事場としている者たちこそ『冒険者』と呼ばれているのだ。

 

時刻は昼前、北の門に4人の人類種の姿があった。

剣を腰に差し、軽鎧をきた若い男のヒューマン

緑色のローブを纏い、背には短弓、手には長い杖を持った女のエルフ(その胸は豊満であった。)

長いひげを携え、身の丈ほどもある斧と大盾を持ったドワーフ

青い肌と六本の指、ゴーグルをかけ、腰には様々な測量道具をぶら下げているヴィダルケン

 

いわゆる、冒険者のパーティというものだ。

 

「おぉ、『知恵の職人』じゃないか、今から行くのかい。」

詰め所にいた衛兵が声をかける。

 

「あぁ、いつも道理な、日が落ちるまでには戻るよ。」

と、ヒューマンが答える、恐らく彼がリーダーなのだろう。

 

「それにしちゃ遅い時間だな、あんたら以外のパーティはだいたい朝に出ていったぜ?」

 

「昨日の探索場所が中途半端でさ、そこまではもうわかってるんだ、なぁ?」

と振り向き、ヴィダルケンに話しかけると、彼は六本の指で器用に紙を開き

 

「えぇ、ここから安全な道はすでに記録済みです、あとは今日の探索結果を書けば、『変動』が起きるまで、十分実用に足るでしょう。」

と応えた。

 

「そうかい、まぁ、わかってるとは思うが、無理だけはするなよ・・・ほら、許可書だ。」

 

「どうも、ご苦労さん・・・よし、みんな行こう。」

 

衛兵が紙を渡し、男が受け取る、パーティーの面々はそれぞれの返事を返し、街を出ていく、ここからは人類の領域ではない、未知の、世界が敵になる場所だ。

 

 

 

「しかし、相変わらず森が深いのう。」

と歩きながらドワーフが愚痴を言う、ドワーフは手足が短く先ほどから木の根に躓いていた、愚痴を漏らすのも仕方のないことだろう。

すると、その言葉にエルフは苦笑して

「私たちには嬉しいんですよ?故郷の森を思い出します。」

 

「今回の変動は『緑の日』じゃったからなぁ、『赤の日』ならばワシとしてはありがたかったのじゃが。」

 

「それなら俺は『白の日』だな。」

 

「私も『青の日』ですね…しかしそのおかげで開拓もなかなか進まないのですが。」

 

「『変動』ですよね。」

 

『変動』

ここだけでなく『未踏地域』ならどこでも起こることだ、未踏地域は不安定で、ある程度時間がたてば、その姿を大きく変える、なだらかな丘が険しい山となり、腐臭漂う沼が清浄な湖になる、そして今のように深い森にも。

 

「なに、今日の探索が終われば、もしかしたら『楔』を打てるかもしれないしさ、とっとと終わらせようぜ。」

 

『楔』

様々な種族が協力し、生み出した、アーティファクトである。

6つの魔法石をはめた、魔法合金製の柱で、それを打ち込むと変動を抑えさせることができる。

最も条件はいろいろあるのだが。

 

「その条件が私たちにも分かればいいんですけどね。」

 

「それは難しいでしょう、少なくてもマナ分析器がもっと小型化しなければ。」

 

「そうじゃな、まぁ、それを調べるようにするためにワシらがいるんじゃ、ほうれ若いもんども、とっとと行くぞい。」

 

「最初に文句言ったのは爺さんだろうが。」

 

そんな談笑をしながら、足を進めていく、しかしその姿に油断はなかった、前をドワーフが進み、その後ろにはエルフとヴィダルケンが横を警戒する、殿を務めるのはヒューマンだ。

陣形も各々何も言わずともこの形となり、何度も未踏地域に足を踏み入れているのがわかる。

 

「…そろそろだよな?」

 

「えぇ、もう少しです。」

 

「!、待ってください。」

 

そうして何事もなく進み、もう少しで目的地というところでエルフが声を潜め、パーティーを止める。

 

各々が武器を取り出し、警戒しながら

 

「…どうしたんじゃ?」

 

「…この先で、なにか争う音が聞こえます、恐らく昨日の場所だと思います。」

 

「…OK、俺が様子を見てくる。」

 

「…了解しました、少しお待ちを。」

 

ヴィダルケンがぼそぼそと静かに何事か唱えると、ヒューマンの姿がすこしづつ薄くなっていった。

 

「…ふぅ、透明化をかけました、遠くからなら見えないはずです…もう少し青いマナが濃ければよかったのですが…」

 

「おう、サンキュ、すぐに戻る、戻ってくるつもりだが、来てほしいときは、合図を鳴らす。」

 

「気を付けるのじゃぞ。」

 

応、と返し、ヒューマンは先に進んでいく、偵察はレンジャーである彼の仕事だ、油断せず、恐れもせず、透明化をかけられた姿をさらに森に溶かし彼は進んでいった。

 

(…もう少しだ)

 

この先にあるのは昨日見つけた場所、小さな泉と、何本かの木には果実が成っていた、見つけたときにはうまくいけば拠点にできると喜んだものだが。

 

(もう縄張りにされてたかもな…ま、それを調べるために来たんだが。)

 

魔獣(クリーチャー)と呼ばれる、人類にとっての敵対者。

最も人類のように組織だったものはない、無論、小規模な群れを作る者もいるが、基本的には魔獣は魔獣同士で敵対している、強大な竜やマナを取り込み強大になった動物、人類に協力ではなく敵対を選んだ亜人、中には罪を犯し人の世で生きられなくなったならず者もいる。

そういったものたちをひとまとめにして魔獣と呼ぶのだ。

 

(ここで確認されてるのは主にビースト種…言葉は通じないだろうな、ゴブリンなら見つかっても話せる場合もあるんだが。)

 

先に進みながらそれに気づいたのは偶然だったかもしれない、森が開ける場所へ抜けようとした瞬間真上から、枝のしなる音が彼の耳を刺激した。

彼は剣を抜き、体を上に向けると、その剣に何かが絡みついてきた。

 

(っ!、舌ぁっ!)

 

それは長い長い舌だった、枝の上から伸び、彼の剣をからめとっていた、もし音に気付かなければ、この舌は彼の体こそをからめとっていただろう。

 

「ちっ!」

 

剣を捨て、後ろへと飛び退ける、舌は剣を放り捨て、その後ドシンと地を揺らす音が響いた。

 

(新種の魔獣っ!)

 

その魔獣は、いわゆる獣の姿ではなかった、蛇のような目、カエルのような皮膚と舌、口には小さな牙が見える、大きさは2メートルといったところ、体のつくりは我々知っているものでは小型の肉食竜に近いだろう、二本足に小さな前足、長い尾で体のバランスを保っているようだ。

 

(木の上にいたのか…それに…)

 

ちらと、体の末端を見てみれば、今の自分と同じように周りに溶け込むように体表の色が変わっている。

 

(保護色…さらにこっちの透明化を破ったってことは、視覚以外でわかるのかそれとも魔法に耐性があるか…)

 

不意打ちをうたれたが、パニックになってはいけない、合図は出せなかったが今の音で仲間たちはこっちに向かってくるだろう、それまで生き残り、少しでも情報を集めなければならない。

そう考えていた、がそれを実行できなかった。

新種の魔獣に注目していたから、わずかでも動揺があったから、理由は様々あるだろう、だが彼は忘れていた。

 

魔獣が一匹だという確信はどこにもないことに

 

「がっ!」

 

右足を強い力で引っ張られ、顔を大地へとぶつける、混乱しながらみれば先ほどと同じ舌が違う方向から、足へと絡みついていた。

そこを確認したところで左足、さらに胴体にも同じ方向から舌を巻きつけられる。

 

その先には先ほどの魔獣と同じ魔獣が3頭口を開きながら引っ張り始めていた

 

(…まっずっ!)

 

舌を掴み、引きはがそうとするもぬるぬるとして掴むことも難しい、力も強く引きはがせない。

この間にもずるずると、いやむしろ加速してどんどん引きずられていく。

 

剣も失くし、予備のナイフも取り出す時間もない、もはやパニックになりながら地面を掴むが、止まることはなく指の跡が長く続いていく。

 

「「「リーダー!!」」」

 

その時に仲間の声が聞こえるもまはや遅すぎた。

彼と仲間の間には先ほど木の上にいた個体が間におり邪魔をしている、そして何より。

彼の足はかみつかれたという痛みを確かに主に伝え始めていた。

 

 

良くある話だ、『未踏地域』で冒険者が魔獣に襲われ、命を落とす。

ありふれて、よく聞く、よくある話

 

 

だが、彼はそうならなかった。

 

走馬燈が駆け巡りながら、彼は叫んだ、あらん限りの声で、仲間に逃げろと

 

仲間たちはかけた、己の中での最強の方法で彼を助けようとした

 

魔獣たちは彼を貪り食い、新たなエサに心踊らせていた。

 

そんな時、短い、場にそぐわない声が聞こえた、たった一言の短い言葉

 

 

「『そらよッ!』」

 

 

その一言で目を開いていられない光が、未踏地域の森を照らした

 




真面目終了

主人公視点になれば真面目はどこかへ行くと思われる。



未踏地域の新種獣
青緑1
カエル・ビースト
緑:このクリーチャーは再生をターン終了時まで得る
青:このクリーチャーは呪禁をターン終了時まで得る
3/2

読んでくれてありがとうございます!
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