朝、起きた瞬間から孫悟空は空気がおかしいと感じていた。物理的に息苦しいとか、何か変な匂いがするわけではない。
「悟空さ、胴着なんて着てどうしただ?」
昼夜関係なく健啖家の域を遥かに超えた量を食べる悟空と悟天の為に大量の朝食の用意をしていたチチは、本来ならば洗濯して綺麗にしてある作業服に着替えて食卓につくのだが、この日は胴着を席についた悟空に目を丸くする。
「どうしたの、父さん?」
小さい頃の悟空同様に成長の遅い悟天が欠伸を掻きながら起きて来て、チチと同じく悟空の胴着姿を見て目を丸くする。
「ん、なんとなくな」
朝ご飯を食卓に運ぶチチにももう一度聞かれたが、悟空も明確に説明できるわけではない。
「今日はオラが畑に行こうか?」
「大丈夫だって。ちょっと近くを回って何もなければ畑に行くさ」
普段と違う悟空の様子からチチは今日は自分が畑に行こうかと提案するが、悟空も明確な何かがあって胴着を着ているわけではない。
「チチには家のこともやってもらってるし、畑のことはオラに任せておけ」
この違和感の正体は恐らく気の所為であろうと考え、食後に近くを回って何も異変がなければ畑に向かうつもりだったので自分を納得させられれば大丈夫と悟空は自分に言い聞かせた。
「無理してねぇだか? 偶には悟空さも羽目を外して遊んで来るといいだよ」
「全然、無理なんかしてねぇって。チチの方こそ、修行しているオラと違って自分の時間がないだろ。遊んできたらいいって」
「じゃあ、二人でどこかに行って来たら?」
お互いに譲り合っていると、眠気と食欲が戦っている悟天が能天気な顔で譲歩案を出した。
「僕は学校があるけど、畑のことなら帰って来てからでも手伝うし、家のことは二人でやったら直ぐに終わるでしょ? 僕のことはいいし、二人でピクニックでも行ってきたらいいよ」
「悟天……」
何時までも子供だと思っていたら親のことを考えて物を言うようになった次男に、悟空もチチも目頭が熱くなった。
「んだ、ピクニックに行くなら悟天ちゃんも学校を休んで一緒だぞ」
「いいよ、僕は」
「何言ってんだ。言い出しっぺが行かなくてどうすんだ」
感動した両親が勝手に話を纏めているが、悟飯とは違って最近少し反抗期気味の悟天としては親と一緒にピクニックなど恥ずかしい年齢に突入しているのだ。
げんなりした気分で悟天は食事も進まない気もしながら十人前は食べつつ、もう一度両親を説得しようとしたところで家のドアが外からノックされた。
「誰だ?」
「この気はトランクス君だよ。どうしたんだろ」
パオズ山にある孫家には滅多に来客はないが、感じた気からトランクスのものであると悟天には分かる。
「すみません、トランクスです」
「はいは~い、今開けますよ~」
あれで良家の子女であるトランクスは人の家を勝手に開けるような真似はしない。
なので、感じた気の通りに名乗ったトランクスの為にドアに近かった悟天が開けに行く。
「やあ、悟天」
「…………久しぶり、トランクス君」
開かれたドアの向こうで年の中でも背の高い方のトランクスと、年の中でもかなり低めの悟天。
一歳差とはいえ、頭二つ分の差が開いているので悟天はトランクスの近くに立ちたがらない。
「今日はどうした、トランクス」
成長が遅いのは遺伝的なものなのか、気にしている様子の悟天に申し訳ない悟空が声をかけようとして、トランクスに微かな違和感を覚えた。
見た目、気、何にもおかしいところはない。
「悟天、トランクスから離れろ!」
「え?」
が、悟空の戦士としての勘が立ち上がらせて悟天にトランクスから離れろと叫ばせていた。
『俺に気付くか、サイヤ人。だが、遅い』
悟天がどうしたのかと振り返ったのが大きな隙だった。
「がっ、ぐぁあああああああああああああああああ…………っ?!!!!!」
普通のトランクスが浮かべることのない邪悪な笑みを浮かべて悟天に抱き付き、完全に油断していたこともあってあっさりと種子を植え付けられる。
悟天が抗おうとして超サイヤ人になるが、同じく超サイヤ人になったトランクスによって拘束されているので振り解けない。
「悟天!?」
「下がってろ、チチ! なにをやってるんだ、トランクス!」
叫ぶ悟天に向かってチチが飛び掛かろうとするが、明らかな異変に咄嗟に手を出すことが出来ずにいた悟空が抑えて異様な気を発するトランクスに向かって飛び掛かった。
「させません!」
「なっ!?」
一発殴るぐらいは勘弁してくれと念じながら拳を固めたところで、家の壁が壊されてトランクスに躍りかかろうとしていた悟空に誰かが突撃してくる。
「悟飯っ!?」
真横からの奇襲に間一髪で防御が間に合ったが、その相手が悟飯だったことに動揺して悟天に種子が根付く時間を与えてしまう。
「なんで――」
「サイヤ人は須らくベビー様の下僕となるのです」
「悟飯はそんなこと言わねぇし、別人の気も混じってる。オメェは何もんだ!?」
防御はしたが反対側の家の壁を壊しながら外に出てしまった悟空は、先程のトランクス同様に悟飯が決して浮かべるはずの無い邪笑と言葉に気のオーラを纏って弾き飛ばす。
「人のことを気にしている余裕があるんですか」
悟飯を弾き飛ばして空中で距離を取ったところでそう言われ、ハッとして地上の家を見ると悟天の気が濁って行く。
「チチだけでも――」
「瞬間移動はさせませんよ!」
瞬間移動のルーティンである額に指を当てた瞬間、悟飯が突撃してくる。
「ご、悟天…………な、何をするだ!?」
明らかに全力で殺しに来ている悟飯の拳を辛うじて避け、地上からも上がって来たトランクスの奇襲を受けたところでチチの悲鳴が聞こえた。
「逃げろ、チチ!!」
気のオーラを高めた悟飯と、超サイヤ人のトランクスの猛攻を捌くので精一杯。二人は絶妙なコンビネーションで悟空が家に向かうのを阻止してきて、チチに向かって叫ぶことしか出来ない。
「悟空さぁあああああああああああ――――――――?!?!?!?!」
やがてチチの気も濁って行き、声も聞こえなくなった。
もう手遅れだと自覚した悟空は悟飯とトランクスを弾き飛ばし、一気に超サイヤ人ブルーへとなる。
「オメェらは誰だ?」
神のオーラに臆した様子の悟飯とトランクス、そして遅れてやってきた悟天を厳しい目で見据えた悟空は、その内側にいるであろう何者かの正体を見破ろうとした。
「どこからどう見ても孫悟飯でしょ」
「まさか分かんないのかい、お父さん。僕達はあの方のお蔭で生まれ変わったんだよ」
「ふざけるんじゃねぇ!」
姿形、気に至るまで悟空の息子である孫悟飯と孫悟天であるが、悟空の目は誤魔化されない。
「三人の内側にいる奴、本性を見せやがれ!」
神の威圧を前にしても三人はニヤニヤとした笑みを収めることはない。
「本性だなんて、俺は昨日までのトランクスじゃない。サイヤ人としてあることを恥として、栄光あるツフル人としてベビー様の下僕になったんだ」
「みんなベビー様の忠実な下僕なんだよ」
「ベビー? ツフル人?」
悟空には、トランクスと悟天が何を行っているのかさっぱり分からない。
ただ、ベビーというツフル人が三人に何かをしたのは間違いなかった。
「様をつけろよ、サイヤ人」
背後から聞こえて来たその声と気に、悟空は間違いであってくれと願いながら振り返る。
「べ、ベジータ、オメェまで……」
しかし、悟空の願いは届かない。
振り返った先にはいたのは、髪の色が銀髪に変化し、額と顎、眼球に異様なラインが入ってはいるが見知ったベジータであることは疑いようが無かった。
「お初にお目にかかる、孫悟空。我が名はベビー、貴様らサイヤ人に滅ばされた最後のツフル人だ。そして、今となってはサイヤ人は貴様で最後」
自らの優位性を疑いもしない余裕さを見せつけつつ、孤立無援の悟空を見据える。
「オメェ、一体何するつもりなんだ? 人の体を節操なく乗っ取って」
「破壊神を殺し、全王を超えて全ての宇宙をツフル人化してその頂点に立つ、ツフル人としてな。その為に貴様らサイヤ人を手中に収めた。だが、それでは復讐は完全には果たされない」
そこまで言ってベジータの姿をしたベビーはニヤリを笑った。
「最強のサイヤ人、孫悟空。貴様らサイヤ人に滅ぼされたツフル人の報いを受けるがいい」
「なに?」
「既に地球の過半数を我が支配下に置いている。今こうしている間にも地球人に卵を植え付け続けている。嘗て貴様らサイヤ人によって滅ぼされたツフル星のように、この星は新ツフル星となるのだ」
「させねぇぞ!」
悟空にはサイヤ人としての記憶はない。だからこそ、ベビーがどうしてそこまでサイヤ人を恨むのかが分からなかった。
「大元のオメェを倒して卵を叩きだせばいいんだろうが」
「自分の息子達を傷つけることが出来るか?」
ベビーの言葉にハッとして周りを見れば、悟飯に悟天とトランクスが悟空の周りに浮かんで同じ笑みを浮かべている。
「みんながオラの敵になるなんて」
「息子としての好だ。僕達の手で葬っておげるよ!」
敵となった悟飯が真っ先に動き、一瞬遅れて悟天とトランクスも悟空に襲い掛かる。
「はぁっ!!」
悟空には敵として息子達とトランクスと戦えるはずがない。両腕を顔の前で交差させて、溜め込んだ気を一気に解放することで突撃した三人を吹き飛ばす。
「ベビー!!」
高みの見物を決め込んでいたベビーは組んでいた腕を解き、向かって来る悟空を見て体に力を入れた。
「はぁっ!!」
「あ、紅いオーラだって!?」
恐らくベジータの体を使える以上は、悟空と同じ超サイヤ人ブルーになろうとしたのだろう。しかし、その身を青いオーラが覆うことはなく、ゴッドのような太陽な温かな光でもない。
血のような、毒々しいまでの紅のオーラがベビーの全身を包み込み、思わず悟空は足を止めた。
「子供に殺させるなど俺も望んではない。貴様が望むなら我が手下としてやるがどうか?」
紅のオーラを纏ったベビーが悟空を見下す。
「断る! オメェの手下に成るぐらいなら死んだ方がマシだ」
「ならば全身全霊をかけて挑んで来るがいい。貴様だけはこの手で葬ってやろう!」
一度は止まった悟空は再び突撃を開始し、ニヤリと笑ったベビーもまた悟空に向かって降りてくる。
「「――っ!?」」
二人は丁度彼我の中間点で激突し、お互いの頬を殴る。しかし、そのダメージは圧倒的に悟空の方が大きかった。
「ぐはっ!?」
その場に留まったベビーとは違って耐え切れなかった悟空は地面へと叩き落とされた。
「素晴らしい、流石は神の域に到達したサイヤ人の肉体だ。今までのどの体とも違う」
ダメージは受けているが大して効いていないベビーは歓喜に体を震わせた。
「お前達は下がっていろ。もう少しこの体を試したい。さて、これはどうかな? ビックバン――――アタック!」
地面にクレーターを作った悟空に向かって追撃を仕掛けようとしている下僕たちに言い捨て、片手を標的に向けて掲げて球状の光弾を放つベジータの必殺技を何の躊躇いも無く撃った。
それを地上から見ていた悟空は瞬間移動で遥か上空へと逃げる。
「流石にベジータの体を使ってるだけはあるか」
「いいや、凄いのは俺だ」
「がっ!?」
地面に着弾して大爆発を起こしたビックバンアタックを撃った後に、悟空が瞬間移動で逃げていたのを分かっていたベビーは超速度で上昇して頭突きをかます。
更に拳を悟空の腹部に向けて突き出した。
「だぁっ!」
悟空は鼻に受けた衝撃に片目を閉じながらもベビーの拳を外に弾き飛ばして、その動作を利用して体を回転させて肘を側頭部に叩き込もうとする。
ベビーは急速に体を後退させ、この攻撃を逃れた。
「はっはっは!」
そのまま笑いながら爆発的に光量を噴射させて弾丸のように悟空の下へと舞い上がる。
「ベビー!」
力勝負では負けてしまうことを既に知っていた悟空は逃げるように飛び立ち、二人で螺旋を描くように上空を旋回する。
空中を疾走する二人の光は、まるで青と紅の尾を引いた二つの流星が縺れ合いながらダンスを踊っているかのようだった。
「逃げる気か!」
「誰が!」
二つの流線が交差する度に、激しい轟音が響き、派手な閃光が散る。それが二度、三度、繰り返された時、流星が正面から激突しあった。
これまでにない轟音によって世界が揺れるように空気が激震する。
数瞬、二つの流星は力が拮抗したかのように空中で静止したが、互いに腕を動かした直後、爆発の煽りを食らったかのように左右に吹っ飛んだ。その左右に別れた二つの流星が互いにそうすることを分かっていたかのように旋回させ、再び正面から突進しあう。激突は必至だった。
「はあああああああああっっ!」
「うおおおおおおおおおっっ!」
そして、二つの拳がぶつかり合った。拳の間から衝突したエネルギーに耐え切れぬかのように周辺にスパークが四散する。ギリギリと押し合いながら相手を睨みつけるかのように顔をにじり寄せた。
拳が、肘が、脚が、膝が、頭突きが、気弾が、気功波が、ありとあらゆる攻撃を交し合いながら時に掠め、時に弾き合う。
「ぐ、があっ……?!」
やはり戦闘力ではベビーが悟空を一枚上回る。
このまま戦っていては勝てないと悟空は早々に切り札を切る。
「界王拳!」
悟空の青いオーラを界王拳の赤いオーラが包み込み、戦闘力が倍加する。
「何ッ!?」
予測を超えた速度で接近した悟空の肘撃ちがベビーの頬を打ち抜く。
ベビーは弾き飛ばされながらクルクルと回転して体勢を整えた背後に超速度で移動した悟空が現れる。
「ぐっ」
辛うじて前に傾けた頭の上を悟空の蹴り足が通過する。
「波――っ!」
蹴りを放った悟空は不自然な体勢のまま背中を向けているベビーに向かって気功波を放つが、これは避けられてしまう。
「しゃあっ!!」
気功波を放った直後の悟空の背後を取ったベビーが手刀を振るう。
手刀をしっかりと認識している悟空は界王拳発動中の超速度で回避して、その動作を活かして蹴りを放ってベビーを蹴り飛ばす。
「くっ、急にパワーもスピードも上がって」
「これでおしまいだ!」
体の芯に残るダメージに苦悶するベビーに追撃を仕掛ける悟空。
「ベビー様をやらせません!」
「トランクス!?」
後少しで無防備なベビーを殴ろうとした拳の前にトランクスが急に割り込んだ。
「死ねぇっ!」
「そらぁっ!」
「悟飯!? 悟天も!?」
トランクスを傷つけることは出来ず、無理やりに止まった悟空の両脇から悟天と悟飯が攻撃を加えて来た。
「や、止めるんだ三人とも!?」
操られていると分かっていても、ベジータの体を乗っ取ったベビーの相手をするには悟空も全力ブルーにならざるをえない。しかも界王拳を併用している状態で格段に劣る悟飯達に攻撃を当ててしまったら殺してしまう。
「フハハハハハハハッ! 同じサイヤ人に足を引っ張られるとは貴様らには相応しいではないか」
先の一撃から回復したベビーは、三人の猛攻を躱しながらも下手に攻撃を放つことも出来ずに抑え込まれている悟空を嘲笑して手に気弾を作り出す。
「ベビー!」
「ほらほら、避けるとお仲間に当たるぞ」
三人がいてもおかまいなしに連続で気弾を次々に放った。
「ちくしょうっ」
「「「波っ!!」」」
「があっ!?」
悟空が避けようとしても三人はベビーの意を受けているので、わざと動かない。仕方なく三人の前に出て弾いたその瞬間、背後から三人の気功波が悟空の背中を打ち据える。
「おまけだ! 超ギャリック砲!!」
悟空に同時気功波を放った後にしっかりと避けた三人を見届けたベビーの超ギャリック砲が悟空を呑み込む。
前後からの二段気功波に翻弄された悟空の体が近くの岩山を押し潰しながら落ちた。
「……ぁ」
ズタボロになった悟空は崩れ落ちた岩山から起き上がることも出来ない。
「我が先祖の苦しみが癒されていく」
最早、戦えない体の悟空を見下ろしたベビーは天上の喜びであるかのように高笑いする。
「だが、この程度では収まりがつかん。下僕達よ貴様らのパワーを寄越せ」
「「「はっ、ベビー様のご命令とあれば」」」
悟飯、悟天、トランクスの三人はベビーを中心として三角形を形成して、中心に浮かぶベビーに向かって手を伸ばして気を送る。
「ウォオオオオオオオオオオオオッ!! 馴染む、馴染むぞっ!!」
三人から気を送られたベジータの肉体が変容していく。
体格は大柄になり、肌は浅黒く、髪型もリーゼントに変化した。眉毛を失い眼窩上隆起して、服装も独自の手袋とブーツが追加され、ボディースーツも黒に変色して、最早ベジータの面影は完全に消え失せる。
「トドメだ、孫悟空。復活出来ないように原子の一欠けらも残さん」
そう言ってスーパーベビーは悟空が元気玉を作る時のように両腕を天高く上げる。
「地球上に満ちている我が下僕達よ。ツフル人となった地球人達よ。お前達のサイヤ人に対する恨みの気をこの俺に送るのだ!!」
直後、スーパーベビーが掲げた手の上に黒い気の塊が出現した。
「元気玉に似たようなやつか……」
指一本も動かすことの出来ないダメージの悟空にはただ見ていることしか出来ない。
「くらえ、ツフル人の恨み! リベンジデスボール!!」
恨みの気を集めた技であるリベンジデスボールが天の裁きの如く悟空に向かって落ちて来る。
「ち、ちくしょう」
その言葉だけを残して悟空の姿はリベンジデスボールに呑み込まれて消えてなくなった。
着弾した爆発による衝撃は地球全体を揺らすほどで、やがて爆炎と爆煙が晴れた後には文字通り何も残っていない。
「気は感じられん。逃げられるタイミングでも無かった。ふん、くたばったか」
あの傷だらけの悟空に瞬間移動が出来たとも思えないし、抉れた地面から吹き上がるマグマを見ながらベビーは一人ごちる。
「流石はベビー様の最強形態。これで父さんは間違いなく死んだでしょう」
「ふっ、遂に遂にツフル人積年の恨み、憎きサイヤ人を滅ぼした!」
操っているとはいえ生死の判断能力はある悟飯からも保証されて、ようやく実感の湧いてきたベビーは笑った。
「これで復讐は終わったのだ、いよいよ俺の野望を達成する時が来た!!!!」
復讐の牙は遂に獲物を食い殺したのである。
不思議と痛みも何もない体に悟空の意識はゆっくりと浮かび上がって行く。
「悟空さん! 悟空さん!」
聞き覚えのある声に呼びかけられた悟空はゆっくりと瞼を開いた。
「…………界王神様?」
超戦士の命運はまだ尽きてはいない。
本作恒例の強さ表です。
悟空、基本戦闘能力 75(三年前が50)
ブルー 75×3800=285000(28万5千) ブルー・界王拳 57万
ベジータ 50(三年前が25)
ブルー 50×3800=19万
ベビー 32万
ベジータ・ベビーブルー 51万 スーパーベビー 300万
前章のゴクウブラックが未来では50万、ゴジ―タにやられ回復後は60万、ブルー界王拳回復後は80万。
ですので、ちゃんと前章ボスの戦闘力を超えたスーパーベビーでした。
唯一同レベルに近いベジータがベビーに操られているので、今まで散々助けられ、何度もしてきた合体はなしで倒さなければなりません。
尚、今話最後時点で地球には味方一切なしで。