未来からの手紙   作:スターゲイザー

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第四話 選択の結末

 

 

 

 セルジュニアを一時退け、セルに飛び掛かった悟飯。

 その行動を悟空が制止する間もなく、フルパワー状態で悟飯の実力を見ていたセルは拳を容易く回避する。

 

「馬鹿め」

 

 悟飯を嘲ったセルの腕が閃光の如く動く。

 斜め上から叩きつけられたセルの肘が悟飯の首を強く打ち、悟空の耳にボキッと骨が折れる鈍い音が聞こえた。

 

「ご、悟飯っ!!」

 

 飛び掛かった勢いとセルの攻撃によって首の骨を折られた悟飯が力を失って悟空の前に転がる。

 膝をついて悟飯の頭を抱えるが直ぐにその身体に力が入っていないことに気付く。

 

「貴様の息子は中々の戦闘力を持っているようだな。まさか今ので殺せなかったとは驚きだ」

 

 攻撃を放った直後のところにフルパワー状態の一撃を叩き込んだのだ。確実に殺せたと判断したセルと見立てと違って悟飯が生きているのは、それだけ悟飯の戦闘力が高かった証明でもあるがそんなことは悟空に何の慰めにもならない。

 

「悟飯! しっかりしろ、悟飯!」

「確実に首の骨を折った。この仙豆が無ければ直に死ぬだろう」

 

 悟空の呼びかけにも悟飯は僅かに体を痙攣させるだけで応えない。

 

「くそっ」

 

 例え悟空が全開状態でもフルパワーのセルから仙豆を奪うことは出来ない。何か方法ないかと考えながら仲間を見るが、セルジュニアに襲いかかられていて助けが必要な状況は向こうも変わらない。

 

「そうだ、デンデなら……」

「仙豆の他にも助ける方法があるようだが、私がさせるとでも思うか?」

 

 地球の神様になったデンデが能力で傷を癒せることを悟飯から聞いていた悟空。

 悟飯を抱えて天界に瞬間移動しようと集中したところに、セルが目前に現れて悟空を弾き飛ばす。

 

「がっ!?」

 

 十数メートルも殴り飛ばされ、地面を転がったところで悟飯の体を軽く蹴り上げて転がしたセルが高笑いする。

 

「そのまま息子の死を見届けるがいい。それとも私が手を下してやろうか?」

 

 と、楽し気に提案してくるセルに悟空の中で何かが切れた。

 それは奇しくもフリーザによってクリリンが殺された怒りで超サイヤ人に始めて目覚めた時に似ていた。

 悟空を黄金のオーラが再び包み込む。

 

「セルゥゥゥゥゥウウウウウウウウ―――――――ッッッッ!!!!」

 

 以前よりも遥かに大きく、研ぎ澄まされたオーラを纏って超サイヤ人となった悟空が閃光の如き速さでセルに襲い掛かる。

 

「くっ!?」

 

 フルパワーのセルは咄嗟に反応して上げた腕に拳の一撃を受けて弾き飛ばされ、地面に足で二本の溝を長々と作る。

 

「貴様はどこまで……」

 

 ビリビリと痺れる腕を見たセルは尚も向かって来る悟空の姿に破顔する。

 

「私を楽しませれば気が済むのだ!!」

 

 放たれた攻撃を最小限の動きで避けてカウンターの拳を顔面に叩き込む。

 怒りで痛みすらも感じていないのか、殴打された鼻から血を噴き出しながらも悟空は前へと進む。

 

「セルゥッ!!」

「孫悟空ッ!!」

 

 喜色満面なセルと怒りで顔を歪ませた悟空が超速度で幾度もぶつかり合う。

 辺り一帯に花火を連続で鳴らしたような衝突音が響き渡る。

 今の悟空は悟飯を死の瀬戸際に追いやったセルに対してブチ切れた状態になってフルパワー時よりも力を増している。フルパワー状態よりも髪が逆立ち、オーラも激しさを増している――――――とある世界線の未来で辿り着く超サイヤ人2の前段階、言うなれば疑似超サイヤ人2に近い状態になっている。

 超サイヤ人2に至れば超サイヤ人の二倍の強さになる。疑似であれば、いいところ1.5倍。

 そして今の悟空は極限の疲労状態にある。対してセルは仙豆を食べて万全な状態。

 

「怒りで限界を超えたところで遅すぎたな」

 

 悟空の拳を手の平で受け止め、放った拳を腹に叩き込んだセルは冷笑する。

 掴んだ拳を引き寄せられ、未だパワーの差があって悟空は体勢を崩す。

 

「消えかけの蝋燭の火を燃やし尽くそうと、完璧な私には勝てんと知れ!」

 

 後ろ回し蹴りを受けて蹴り飛ばされて口の端から血を垂らしながら、セルが喜ぶだけと分かっていても悟空が諦めることはない。

 悟空の中でブチ切れても冷静な一部が勝機がないことを認めていた。今は怒りで体を無理に動かしているが、体力はほぼ枯渇状態。セルの言う通り、蝋燭の火が消える前の一瞬の輝きに過ぎない。

 

「はぁああああああああ――――――――ッ!!」

 

 もっと力を望んでも、超えた限界の反動で数秒後には動けなくなるのは目に見えている。

 パワーアップしても未だセルには及んでいない。それどころか仙豆を奪う隙すら見い出せない。

 

(何かないか!? 戦闘力が増す方法は!!)

 

 時間はない。天恵の如く恩恵が舞い降りることもないはずだった。

 

「――――っ」

 

 刹那にも及ばぬ時間の中で走馬灯の如く今までの戦いの記憶が脳裏を過り、至った答えと決断はほぼ同時に行われた。

 

「どうした、孫悟空。貴様はこの程度で」

 

 更に煽って来ようとしているセルの前で悟空の全身を血のような紅いオーラが包み込む。超サイヤ人を解除したわけではない。超サイヤ人のオーラの上に紅いオーラが浮かび上がっている。

 

「界ぃ王ぉ拳――――っ!!」

 

 どうなるかを分かった上で超サイヤ人に界王拳を重ね掛けする。

 成功率は、十に一つどころか万に一つもない。ならば、制御など端からしようとはしなかった。噴出する火山のように暴走する気に方向性だけを与える。

 

「っ!?」

 

 黄金と紅のオーラを纏った悟空の姿がセルの予想を遥かに超えた速度で掻き消える。

 疑似超サイヤ人2状態で、暴走する界王拳の恩恵で戦闘力を倍加させた悟空の力は一瞬の閃光の如き輝きを以てセルを越えた。

 ギュンと鋭角に軌道を変えて、瞬間移動染みた速度でセルの前に現れた悟空に二つの選択肢があった。

 

―――――――仙豆を奪い取るか、このままセルを斃すか

 

 選ぶ必要などない。孫悟空が孫悟空であるならば、その選択は必然だった。

 

「か」

 

 ただでさえ、体に負担のかかる超サイヤ人状態で更に界王拳を使おうとするなど、命を捨てるようなもの。それでも悟空は選んだのだ。

 

「め」 

 

 右手でかめはめ波の準備をしながら、左手でセルの手にある仙豆を奪い取る。

 

「は」

 

 かめはめ波の為に気を溜めていた右手が不自然にブレる。ブレているのは右手だけではなく、全身余すところなく震えている。

 

「め」

 

 寒さではない。暴走している気が体をあちこちを壊しているのだ。視界すらブレる中で悟空は笑った。

 先の戦いの中で、瞬間移動かめはめ波で一度は上半身を吹っ飛ばされてもセルは再生した。ならば、幾らピッコロの再生能力を持っていても再生できないほどに破壊すればいい。

 

「――――――――波ぁあああああああああっ!!」

 

 セルの全身を覆い尽くす巨大なかめはめ波が悟空の左手から放たれた。

 地を抉り、空の彼方へと駆け抜けていったかめはめ波の軌跡を見届けることすら出来ずに悟空の命の灯は消える。当然の代償だった。寧ろたった数秒でもまともに界王拳が発動したこと自体が奇跡。

 

「悟空っ!!」

 

 セルの一撃で気を失っていたクリリンが悟空の急激な気の高まりと突然の消滅に目を覚まし、空から地面に倒れ込む姿を見て叫んだ。

 軋む体を押して飛び上がって武空術を使って悟空の下へ急いで向かうその横を、セルジュニアが追い越して行ったことに焦る。しかし、セルジュニアは倒れた悟空に手を出すことはなく、かめはめ波で抉れた地面の方に向かった。

 ホッとしたのも束の間、少し遅れて悟空の下へとやってきたクリリンは傷だらけの体に触れようとしてビクリと伸ばした手を止めた。

 

「そんな、悟空から気が感じられない」

 

 目の前にいる悟空から気が全く感じられず、クリリンは膝をついて呆然と呟いた。

 クリリンは気を失っていたので悟空が超サイヤ人の上に界王拳を重ね掛けしたことを知らない。それでも意識がない状態で気を完全に消すようなことは流石に出来ない。そう、死にでもしなければ。

 

「悟空ぅ……」

 

 今までクリリンは二度死んだ。

 一度目はピッコロ大魔王の配下に殺され、二度目はナメック星でフリーザに殺された。そのどちらも悟空は物凄く怒ってくれたという。

 一番の親友。亀仙人に師事した幼き日の修行の日々は今でも思い出せる。

 悟空との日々が脳裏に流れ、止めどなく流れ落ちる涙が地面に染み込んでいく。

 

「何をやっているクリリン!」

 

 呆然自失していたクリリンを正気に戻したのはピッコロの怒声だった。

 セルジュニアとの戦いで負傷した右肩を抑えたピッコロが猛スピードで飛んできてクリリンの横に着地し、悟空がセルから奪い返した仙豆を乱暴に取ろうとして、固く握られていたこともあって袋が破ける。

 

「ちっ」

 

 ピッコロは舌打ちをしながら破れた袋から地面にバラけた仙豆を一粒取ると、すぐさま飛び立っていく。

 

「何を、って悟飯にか。アイツらしいな」

 

 乱暴な行為に一言物申そうかと思ったが行き先が微かな気しか感じられない悟飯であるならば、寧ろピッコロらしいと言えるのかもしれないと納得させる。

 

「悟飯を助ける為に無茶して、それでも敵を倒すところ辺りはお前らしいよな、悟空」

 

 少なくともクリリンが気絶させられる前はセルが有利な上に仙豆も奪われた。その状況をひっくり返す為に余程の無茶をしたのだろうと、今までの経験から思いつつ落ちている仙豆を拾い集める。

 ベジータとトランクスはともかく、天津飯やヤムチャは仙豆を呑ませなければかなり危険な状態だ。

 

「なっ、なんだ!?」

 

 クリリンが仙豆を拾い集め、ベジータとトランクスに投げて渡して天津飯とヤムチャの下へ向かおうとした時、突如として砂を大きく巻き上げる突風が吹く。

 

「こ、こ、この気は……」

 

 悟空の死を受け止めきれないベジータが戦慄した声を上げる。

 視線の先には、悟空がかめはめ波を放ったクレーターのような巨大な溝から吹き上げる砂煙を発する主。

 覚えのある気にベジータだけでなく、トランクスと天津飯とヤムチャの下へ行こうと飛び上がろうとしていたクリリンも硬直する。

 

「っ?!」

 

 砂煙を貫いて光線が奔った。

 あまりにも速過ぎるその光線は硬直していたトランクスの胸を貫通して遥か彼方へと飛んで行く。

 

「が、がはっ!?」

 

 自分の身に何が起こったのかと衝撃で跳ね飛ばされたトランクスが口から血を吐きながら地面へと背中から倒れ込む。

 

「くっくっくっ、当たったのはトランクスか」

 

 声の主が軽く腕を振ると砂煙は吹き飛ばされ、その向こうから傷一つなく薄く笑みを浮かべたセルがその全身から遥かに強力になったオーラを立ち昇らせてスパークさせながら立っていた。

 その後ろには二体のセルジュニアが嫌な笑みを浮かべて付き従っている。

 

「な、なんで……」

「ピッコロのように再生できるといっても、核を破壊されれば死は免れん。流石の私も死んだと思ったよ」

 

 クリリンの驚愕を仕方のない事だと受け止め、その上で笑って応えるセル。

 

「超サイヤ人に界王拳の重ね掛けは予想もしなかった。あの一瞬だけとはいえ、確かに私を上回った孫悟空は見事だと言えよう」

 

 同時に愚かでもあった、と続ける。

 

「仙豆よりもかめはめ波を放つことを優先すべきだった。でなければ、私には核を移動する時間もなかったからな。とはいえ、核も無事だったとは言えん。後少しでもセルジュニアの体を乗っ取り、その栄養を奪うのが遅れていれば死んでいただろう」

 

 悟空が仙豆を奪うことに優先した為、ほんの僅かな時間をセルに与えてしまった。それでも核が傷ついたがセルジュニアの体を奪うことで生き永らえた。

 

「正直言って計算したわけではない。死に物狂いの行動だった。運が良かったのだ」

 

 もしも、先にかめはめ波を撃っていたら、セルジュニアの体を奪うのが遅れていればセルは死んでいた。その全てが最早仮定の話となった。

 

「更に嬉しいことに、遥かにパワーアップして再生した。これは恐らく生死の狭間から救われた時、大きく力を上げるというサイヤ人の細胞がそうさせたのだろう」

 

 疑似超サイヤ人2+界王拳の悟空よりも遥かに強くなったセルの気によって地球が怯えるように震える。

 

「孫悟空は私を倒すどころか色々プレゼントしてしまったようだ」

 

 誰も何も抗弁できない。ただでさえ、強敵だったセルが更なるパワーアップをして戻って来たことに恐れるように口を閉じる。

 

「ト、トランクス………………くっそぉおおおお――――っ!!」

 

 悟空と同じく、もう息をしていないトランクスを呆然自失とした目で見ていたベジータが超サイヤ人となって地面を蹴った。

 

「はぁあ――――っ!!」

「弱いな、ベジータ」

 

 全力で放ったベジータの気功波に自分から向かって突破し、その眼前へと躍り出たセルが裏拳を振るう。

 

「ぐっ、ぁ……」

 

 バキッと頬を殴られたベジータが吹っ飛び、何百メートルも地面に溝を作って止まる。意識を失ったのか、超サイヤ人も解除された。

 

「いかんな、ベジータでこの様とは。一撃で終わってしまうようでは、手加減してもセルゲームの意味がない」

 

 一撃でベジータを沈めたセルは、自分でも驚くほどの想像以上のパワーアップに苦笑していた。

 

「とはいえ、窮鼠猫を噛むとも言う。現に孫悟空に二度もあわやというところまで追い詰められた。お遊びはここまでにするとしよう。疾く、死ぬがいい」

「させない」

 

 クリリンがもうここまでかと諦めかけたその時、まだ声変わりのしていない声が響き渡った。

 

「ほう、まだ諦めていない者がいたか。まだ子供の貴様とは少し予想外だったぞ、孫悟飯」

 

 声の主は孫悟飯。

 ピッコロに仙豆を呑ませてもらって完全回復した悟飯は立ち上がり、怯えなど欠片もない真っ直ぐな目でセルを見ている。

 

「お父さんが助けてくれた」

 

 超サイヤ人となり、両腕を腰だめに構えて力を籠める。

 

「っ、はぁああああああああああ―――――――っ!!」

 

 悟飯を中心として更なる気が爆発し、増大したオーラがスパークする。それは奇しくも今のセルと同じ状態だった。

 

「どうやら孫悟空は無駄死にではなかったようだな。まさか奴を越える戦士が現れるとは」

 

 幾ら悟飯が悟空を越えようとも更なるパワーアップを果たした自分には追いついていないと、冷静に判断したセルの笑みは崩れない。

 

「そして、お前を決して許すなと言ってた!!」

「ぬっ!?」

 

 しかし、更なる気勢と共に爆発したように上昇する悟飯の気の高まりによって、地球全体が揺れているのを感じ取ったセルの笑みが固まる。

 

「…………行け、セルジュニア達よ」

 

 悟飯の力は時を置くごとに高まり続けている。愚策だと分かっていても、自分では向かわずにセルジュニアをけしかける。

 

「ひゃあ!」

 

 一体のセルジュニアが命令に従って悟飯に躍りかかる。

 悟飯は向かって来るセルジュニアを見ることなく姿を消した。

 

「!?」

 

 超スピードで間合いに入った悟飯が腕を振るうとセルジュニアの頭部は簡単に弾け飛び、再生能力はないのか地面に倒れ込んで動かなくなった。

 

「な、に……っ!?」

 

 攻撃の瞬間が見えなかったセルが驚愕している間に悟飯が真っ直ぐこちらへと向かって来ていた。

 悟飯の底知れない強さを感じ取ってセルジュニアが臆して動こうとしないのを見たセルがその腕を掴み、向かって来る悟飯に向かって投げつける。

 

「ひぃっ」

 

 その悲鳴がセルジュニアの末期の言葉であった。

 悟飯を狙って隠れ蓑になるように後ろから放たれたセルの気功波によって粉砕され、セルジュニアは死んだ。しかも、悟飯には簡単に気功波を避けられた。

 

「どれほど強くなろうとも完璧な私には勝てん!!」

 

 更に気功波を放ち続けるセル。だが、悟飯はその全てを軽々と弾き飛ばす。

 

「ぬうっ」

「はぁっ!!」

 

 当たりさえすればと考えたセルの視界からまたもや悟飯が消え、次の瞬間には強烈なボディブローが襲って来た。

 

「う、うぷっ」

 

 背中にまで及んだのではないかと思うほどに体に食い込み、セルの中から何かが込み上げる。

 

「おごあっ!!」

 

 悟飯のたった一撃の攻撃で18号を吐き出したセル。更なるパワーアップを果たしていたから完全体で無くなることはなかったが、パワーアップした力が無くなった。

 

「お、おのれ……っ!!」

 

 セルの心中は荒れていた。

 完全な自分が更にパワーアップを遂げたにも関わらず、それすらも凌駕する者が存在することに。

 

「認めよう、貴様は私よりも強い。だが!!」

 

 強さが勝敗に決着するわけではないと、大きく跳び上がって何百メールもの上空から悟飯を見下ろしてセルは内心で叫ぶ。

 

「か、め、」

 

 地球が無くなってもフリーザと同じようにセルは生きていられる。だが、サイヤ人はそうではない。

 

「は、め」

 

 勝つのは自分だと、地球を守る為に戦っている悟飯ではセルの全力のかめはめ波を受けざるをえない状況に追い込む。

 かめはめ波の体勢で輝きを放つセルを見上げる悟飯の目に焦りはない。

 

「波っ――!!」

「お父さんは、僕に後は任せたと言った!!」

 

 放たれたかめはめ波を見上げ、父の言葉を胸に悟飯もまたかめはめ波を放つべく気を溜める。

 

「消えろ、セル――――――――かめはめ波ぁっ!!!!」

 

 セルのそれよりも何倍も大きく、力の強いかめはめ波が悟飯より放たれた。

 

「そ、そんな……」

 

 二つのかめはめ波は一瞬の拮抗すらも果たせず、悟飯のかめはめ波がセルのを呑み込んで直進する。

 

「ぎええええええええええええ…………………………!!!!!!!!!」

 

 今度こそ核を残すようなことも出来ず、セルの断末魔と共に悟飯のかめはめ波が宇宙の彼方へと消えていく。

 地上でセルの最期を見届けた悟飯が超サイヤ人2を解く。

 

『悟飯、よくやったぞ』

「はい」

 

 あの世から声を掛けてきた悟空の声に答えて、悟飯は父が死んだ事実に静かに涙を一粒流した。

 

 




完結。

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