あと、タグにはないですが「転生」的な感じにしようかと思います。
と言っても、未来予知的な感じでこれからどうなっていくのか断片的に見える……みたいな感じにするだけなので、あまり気になさらないでください。
ジリリリリと、朝の目覚ましが鳴る。
痛む頭を押さえつつ、目覚ましを止める。時計は15時30分を指していた。……全然朝じゃない。
「あ〜……体だりぃ」
呟きながら、のそのそとベッドから出る。
24区から、ここ東京20区にあるアパートの一室に帰ってきたのは今日の昼過ぎだから……3時間しか寝てない。マジつらたん。
ふらふらとした足取りで洗面所までいき、顔を洗う。冷たい水が気持ちいい。
頭が痛い。昨日、24区の地下でCCGの死神に会っていこう、頭痛が続く。寝たら治ると思ってたけど、甘い考えだったらしい。
濡れた手を額に当てる。気持ちいい。少し頭痛が収まった気がした。ひょっとしてこの頭痛は死神の呪い? …そんなわけないか。
冷蔵庫を開ける。中には24区に潜る前、だから……何日前だ? まぁ数日前に偶然裏路地で狩った、性犯罪者二人組(女の子を押さえつけてるときに殺したので一応未遂。女の子は脅して口止めしておいた)の人肉を取り出し、コーヒーを入れる。もちろんブラックで。
朝食というなの昼食……3時のおやつ? を済ませると、出かける準備をする。数日間24区に潜り付けだったので、店に行くこと事態が久し振りだ。……仕事でミスしないかが怖い。
シフト表を確認する。
「今日は……俺と店長、それに古間さんか……」
ミスしたらからかわれそうだなぁ……古間さんに。
「…ん? 待てよ………」
確か俺が休んでた期間って、テスト期間だったような……。っていうか、今日もテストだったんじゃね? 古文と……なんだっけ?
確か、店長が家の用事で休みって連絡してくれることになってて、次の週から放課後1教科ずつテストして、残ったら土曜日にするんだっけ……。
「うっげぇ、マジで〜……」
思い出さなければ良かった。
トーカ、テストの内容教えてくれたりしないかなぁ……。
うん、しないな。あいつはしない。めんどくさいとか何とか言って、絶対しない。
はぁ、とため息を吐きつつ、時計を見る。
時刻は16時。起きたときからそうだが、普通に遅刻である。
準備をして、ドアを開ける。
地下に潜り続けたせいか、太陽の光が眩しい。眉間の辺りが痛む。どうやら喰種から吸血鬼に進化してしまったようだ。
………どっちも似たようなものか。
そんなどうでもいいことを考えながら、今アルバイトで働いている店、あんていくへ向けて、歩を進めた。
カランカラーンと、ドアを開けると共に来店を知らせるベルがなる。
「いらっしゃいま………って何だ、風音くんか。遅刻だよ」
「お久しぶりです古間さん。いや、本当にすみません、24区から帰ってこれたのが今日の昼過ぎで、さっきまで寝てました」
「ああ、そうなのかい? それはお疲れ様。【狐火】の皆は大丈夫だったかい?」
「いえ、1人だけ、白鳩にやられました」
「そうか……」
「はい。……ところで店長は?」
「ああ、店長なら今、下でリョーコさんと話してるよ」
「あれ、リョーコさん来てるんですか? ヒナミも?」
「うん、来てるよ。今お客さん少ないから、着替えてから顔を見せてきなよ」
「分かりました」
「ああ、そうそう」
着替えにいこうとした背を向けたところに、声をかけられる。
「……どうしたんです?」
「今カネキくんもいるから」
「……誰ですか?」
「新しく入ったこだよ。仲良くしてやれよ〜」
「……はぁ」
かねき……カネキ………金木? あれ? どっかで聞いたことがあるような?
ズキリと頭が痛む。いや本当に何なのこの頭痛。少しずつ強くなってるんですけど。
「……大丈夫かい?」
「大丈夫です。たぶんただの寝不足なので心配しないでください」
「本当に? 無理したらダメだよ」
「大丈夫ですよ。でもありがとうございます」
それでは、と言い残して「あんていく」の制服に着替えに向かう。
ささっと着替えて、2回に向かう。
久しぶりにヒナミに会うな。昨日まで24区にいたから、ヒナミの笑顔で癒されたい。
ヒナミは天使。異論は認めない。
2階に上がり、お客様用の部屋のへと向かうと、中から声が聞こえてきた。
3回ノック。
「どうぞ」
店長から許しが出たので、「失礼します」と言いながら部屋に入る。
「おや、風音くんじゃないか。久しぶりだね」
「はい。お久しぶりです、店長。……リョーコさんもお久しぶり「風音さん!」……おっと」
言い切る前にヒナミが胸の中に飛び込んできた。
「風音さん! お久しぶりです!」
そう言ってにっこりとかわいい笑顔を浮かべる天使。あ、いや違った。女神。
あ〜……荒んだ心が浄化される。ぎゅ〜っと抱きついてくるところなんてもう、可愛すぎて。
勿論、表情に出すようなへまはしませんとも。ええ。キリッとした凛々しいお兄さんでありたいのです。
なので、余裕を持って(持ったフリ)をして、ヒナミの頭に優しく手を置き、撫でる。
なでりこなでりこ。
「えへへ……」
ちょっと、そんな嬉しそうな笑顔を浮かべて上目使いをしたいでください死んでしまいます。
そして額を胸に押し当ててグリグリしないでください。惚れてしまいます。
ちょっとリョーコさんが、「あらあらまあまあ」とか言って微笑ましそうに眺めてるし、店長も優しい目で見てくる。
やめて! そんな目で見ないで恥ずかしいから!
……と、見渡していたら知らないやつと目があった。左目に眼帯をつけた、なよっとした、頼りなさげな男性。
年は……上? この人が古間さんが言ってたカネキ…くん? さん? ……うん、さんでいこう。カネキさんなのかな?
軽く会釈だけしたら、戸惑いながらも返してくれた。良い人だ。
「……風音さん?」
真下からヒナミの声。その声は、少し震えている。
「? どうしたの?」
「……血と、"死"の臭いがする」
ヒナミの一言で、和んでいた空気が一気に緊張で張り詰めた。
「……風音くん。白鳩を………」
「いえ、違いますよ。これは仲間のです」
薄目を開けて少し威圧しながら聞いてきた店長に、苦笑と共にそう返すと、ヒナミの頭を再度撫でる。
「ごめんねヒナミちゃん。一応帰ってからお風呂入ったんだけど、臭いはとれなかったみたいだ。ごめんね、不安にさせて」
「ううん。大丈夫だよ」
微笑みを浮かべ、でも心配を隠しきれないその表情が可愛くてたまりません。なでりこなでりこ〜。
「……君をもってしても守れないとは……相手は誰だったんだい?」
店長が聞いてきた。一応、ここで話して良いのかを聞くために、リョーコさん、そしてカネキさん(?)を見てから、店長に視線を戻す。
店長は無言で頷いた。
ヒナミの耳を塞ぐ。
といっても、ヒナミは俺と同じで五感が鋭いから聞こえてると思うけど、こうすることでヒナミに「聞かない方がいい」ということを伝える。
「……死神です」
店長の表情が険しくなり、リョーコさんは少し顔色が悪くなる。カネキさんはよく分からないのか、不思議そうにしている。
「そうか」
「はい。なので店長。これからは"肉"は1人分少なくていいので」
「分かったよ。風音くん」
それだけ言うと、店長が空気を和ませるかのように、優しい口調でカネキさんに声をかけた。
「ありがとうね、カネキくん」
「いえ…僕も楽しかったです」
あ、やっぱり彼がカネキさんなのか。
……スンスン。変わった臭い。………どっちだ? いや、ここにいるから"同じ"なんだろうけど……。
「…一雨来そうですな。傘をお貸ししましょう」
「あら…ありがとうございます」
「風音さん、大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ。ありがとね、ヒナミ」
もう一度頭を撫でると、ヒナミは嬉しそうに笑ったあと、リョーコさんの側へ行った。
「カネキさん。ありがとう…。また教えてください!」
そう言うと、リョーコさんと共に部屋から出ていった。
教えてって……何を?
おいカネキさんとやら、ヒナミに何を教えた? ああん? 何仲良くなってんだしばくぞコラァ。お前にはトーカがいるだろうがよ〜。
ーーズキン。
「……っ!」
「大丈夫かい?」
「……はい、ちょっと頭痛がしたもので」
………? 何で、今……トーカが出てきた? 何で今一瞬だけ鋭い痛みがはしった?
……何か、忘れてるのか?
「あ、あの……店長」
「ん? どうしたんだい、カネキくん」
「いえ、あの……この人は?」
「ああ。会うのは今日がはじめてか。風音くん」
「あ、はい。え〜と、カネキさん……ですよね? 俺は風音蓮です。トーカと同じ清巳高校に通ってます。よろしくお願いしますね」
「あ、ど、どうも。金木研です上井大学へ通ってます」
「お〜、上井大学ですか。賢いんですね!」
「い、いや。僕はそうでもないよ」
「そうなんですか〜………。で、どっちなんです?」
「え……?」
「カネキさんは、どっちなんですか? 変わった臭いしてますけど。まぁここにいる以上、同じだと思うんですけど、一応確認しておきたくて」
「僕は……元は普通の人間なんだ……。でも事情で"喰種"の身体が混ざっちゃって……。今は普通の食材はとれないし、存在は君たちに近いんだと思う」
「元……人間?」
思わず目が鋭くなる。
「うん……」
「事情ってのは……リゼが関わってる?」
「ど、どうしてそれを!?」
「リゼの臭いがするから」
「……えっ…と……………」
「この話は後にしよう」
カネキさんがどう言おうかといった感じで言い淀んだところで、店長が口を挟んだ。
「まだ店は空いているからね。続きは閉店してからだよ」
「は、はい」
「……分かりました」
……まぁ確かに、後でゆっくり聞けば言いか。
でも、一つだけ言っておきたいことが。
「カネキさん。一言だけいっておきたいんですが……」
「な、何かな……?」
「……もし、俺たちのことを誰かに話したりしたら、その時は殺しますので、覚えておいてください」
「えっ………」
固まったカネキさんの横を通りすぎる。
「それじゃ、先に下に行ってますね」
カネキさんにこんなことをいう必要はなかったとは思う。だって言えばカネキさん自身も危険だから。
でも"人間"ってのは、何をしでかすかわからない、本当に怖い生き物だから。
それに、俺はあいつら、【狐火】の皆を、守らないといけないから。何故か大丈夫と確信してるんだけど、言っておかないと、いざ、もしかしての時に、覚悟が持てないかもしれないから。
だからカネキさん。俺に、殺させないでくださいね?
ありがとうございました。