そしてごめんなさい。またしばらく更新できないと思います。
というのも、私就活中でして……。
今回もちょっと息抜きに…という感じで執筆したので、次何時になるか分かりません。
何卒、御容赦を。
ニセコイの方も同様です。
それでは、第2話、どぞ。
「ありがとうございました~」
カランカランと音が鳴り、店内に残っていた最後のお客様が帰った。
「ちょっと早いですけど、今日もお疲れさまでした」
「本当に早いね、蓮君。金木君、店の立て看板を閉店にしてきてくれるかい?」
「分かりました、古間さん」
「あっ、店長! 食器下げるのは俺がやっておくので、店長は店長の仕事を」
「おや、ありがとう」
店長が店の奥に向かうのを見て、俺も机に残っているマグカップを回収する。
流しのところでは、古間さんがスポンジ片手に食器洗いの準備をしていてくれた。
「ほい」
「はい」
手を差し出してきた古間さんの手に、マグカップを乗せる。
「ん」
そのまま食器を洗い出す古間さん。
……………。
「………何か、今のやり取り熟年夫婦みたいでしたね」
「ブッフォ! な、何気持ちの悪いことを言ってるんだ!」
「いえ、何となく思ったんで」
「いや、だからと言ってわざわざ口に出さなくてもよくないかい!? ああほら! なんか金木君が変な目で見てきてるじゃないか!」
古間さんに言われ、入口のほうを見ると……なるほど、確かに訝し気な顔をしながら俺と古間さんを交互に見て、その口は今にも「お二人ってそういう関係なんですか?」とでも聞いてきそうだ。
……もし本当に聞いてきたら全力で殴ろうかな。
と、思っていたら金木さんは俺と目が合うと慌てたようにすぐに目を逸らした。
「………蓮君、金木君に何かしたのかい?」
「あー……いや、何と言いますか」
「ん?」
「……ちょっと脅しました」
「……脅したの?」
「はい。……もし俺たちのこと誰かに話したりしたら、その時は殺しますって」
てへっ☆
俺がそう言うと、古間さんはそれはそれは深い溜息を吐いた。
何かすいません。
「はぁ……確かに金木君は元人間みたいだけど、僕たちと同じになったんだからもし言ったら自分も危ないってわかってるでしょ?」
「いやー、それは分かってるんですけどね? ほら、人間って何しでかすか分からないじゃないですか。それに金木さんは訳アリみたいですし、悲劇のヒロインみたいに扱われたり、情報提供者とかで保護されるかもしれないじゃないですか」
「まぁそれはそうだけど」
「だから、念のための念押しがしておきたかったんですよね。それに、もしもの時俺が殺すのを躊躇わない為にも、ここは言っておきたかったんですよ」
そこまで言うと古間さんはしばし考え始め…、仕方ないというかのように小さなため息をついた。
「はぁ…確かに君の立場だとそうなるよね。でも、金木君明らかに蓮君にビビってるから、早めに関係修復しなよ? これから同じ店で働くことになるのに、いつまでも気まずいのは嫌だからね」
「分かってますよ。今日一緒に帰りながら話しするつもりですし」
「何か不安だなぁ。まぁいいや、蓮君は金木君手伝って来て」
「はーい」
古間さんとの会話を終え、テーブルを何やら一生懸命に拭いている金木さんのところへ行く。
「金木さん」
「……な、何かな?」
びくびくしながら反応する。
「いやいや、そんなに怖がらなくてもいいじゃないですか」
「い、いやまぁそうなんだけどね」
ハハハ、と乾いた笑顔を浮かべる。
「まぁその、先ほどはちょっと強く言い過ぎました。すいません。でも、別に仲良くしたくない訳じゃありませんからね? 金木さん上井大でしたよね? 俺喰種だから、勉強できなくて授業について行くので精いっぱいなんですよ。良かったら今度教えてくださいよ」
「え? ……風音君学校行ってるの?」
「ええ。行ってますよ。喰種が学校に行ってるのは変ですか?」
「ああいや、ごめん違うんだ。そう言う意味じゃなくて、今日私服で来たから、てっきり学校は行ってないのかと」
「ああ大丈夫ですよ。今日私服なのはまぁ上でチラッと話していましたけど、理由がありまして。しっかり学校は行ってますよ。ああ、あと俺のことは蓮でいいですよ?」
「そう? じゃあ蓮君って呼ぶね。蓮君はどこの学校行ってるの?」
「清己高校です。トーカと一緒です。……あっ、トーカって分かります?」
「分かるよ」
「俺あいつと同じクラスなんですよ」
はぁ、と俺がため息をつくと、金木さんはアハハと苦笑を浮かべる。
「トーカちゃん怖いよね」
「分かります!」
「うわぁ!」
俺が突然大声を出したから、金木さんが吃驚して声を上がる。
「分かります分かります。やたら偉そうだしすぐ暴力振るうし、言葉使いは荒いし目つきも悪い。しかも俺に学校では話しかけるなとか言っておきながら、時偶に話しかけてくるし。理不尽というかなんというか。金木さんも気を付けてくださいね? っていうか、金木さん年上なんだからちょっとガツンとトーカに言ってやってくださいよ」
俺がそう言うと、金木さんは何かを思い出すようなしぐさをした後、
「いやぁ……僕には無理かなぁ」
ものすごく頼りなさげな声で、そう言った。
「『ニャーニャーうっさいんだよっ!』って言われたこともあるし、僕のマスクを作りに行ったとき、4時半に集合って言ってきたのに、来たの40分ぐらい遅れてきたからね、トーカちゃん」
怖いよね、と金木さんがそう締めくくる。
………。
「お疲れ様です」
「アハハ…」
「おーい、そっちはもう終わったのかい?」
「「あっ、もうすぐ終わりまーす」」
古間さんの声に、俺と金木さんは慌てて片づけを再開した。
◇
店を閉じた後、雨の中金木さんと二人で雑談をしながら歩いていた。
もう金木さんも俺のことを怖がらなくなって、今は高槻先生の小説の話で盛り上がっている。
「あ、そう言えば金木さん。今度漢字を教えて貰ってもいいですか?」
「漢字?」
「はい。簡単なものは分かるんですけど、あんまり目にすることの無いような漢字だと。途端に分からなくなるんですよね」
「フフフ……」
突然金木さんが笑い出した。
「えっ、何? どうしたんです?」
「ああごめん。ヒナミちゃんにも漢字を教えていたから、何かおかしくて」
「ヒナミちゃん? ……ああ、そう言えばまた教えてくださいってヒナミが言ってたのは……」
「漢字だよ。ヒナミちゃんも高槻先生の本を読んでいたから」
「あ、ヒナミに高槻先生の本を進めたの俺なんですよ」
「そうなんだ」
「はい」
と、そんな話をしていた時。
すれ違った二人の男に、思わず二人とも口を噤んだ。
「――いやー、俺”喰種”って初めて見たよ」
っ!!?
「見た目はまんま人間だったなー」
「バケモンになってからはヤバかったけど…」
「どうせならもっと見たかったよな」
……”喰種”を…見た…?
俺はすぐさま音と臭いに集中する。が、雨のせいで音もあまり拾えないし、臭いも分からない。
誰だ。誰が襲われてる!?
「……ヒナミ…ちゃん…」
金木さんが見つけたのは、ヒナミと名前が書かれたノートだった。
「金木さん! 携帯で電話して!」
「分かった! 風音君は?」
「俺は音と臭いを探す!」
ダッと走りながら嗅覚と聴覚を研ぎ澄ませる。後に金木さんが続く。
クソッ。頼むから違ってくれよ!
走っていると不意に、前の方から誰かが奔ってくる音が聞こえる。
靴と、そして息遣いから若い。そして女の子。泣きながら懸命に走っているのア伺える。次いで、ほんの少し前にかいだことのある臭いが……!
「ヒナミ!」
「風音さん!」
ヒナミちゃんは俺に飛び掛かるようにして抱き着く。
「ヒナミちゃん? よ…良かった…」
「ヒナミ。リョーコさ「おか…お母さんが…一人で…うう…ああ…っ」っ!!」
「金木さん!」
「はい!」
「ヒナミをお願い!」
「えっ。ちょ、まっ!」
ヒナミちゃんを金木さんに預け、足に力を籠める。
次の瞬間には地を強く蹴り、一気に加速する。今ヒナミが通ってきた道、ヒナミの匂いを追って行けば、まだ間に合うかもしれない。
奔りながら下げていたカバンから狐の面を取り出し、被る。
走るのに邪魔なかばんは、その場に捨て置く。遥か後ろの方を走る金木さんとヒナミが拾って来てくれるだろう。
雨のせいで少し臭いが薄くなってる。急がないと……っ!
「見つけた!」
リョーコさんの匂いを見つけた。…が、この匂いは。
「……ぁ……ああっ……あ…あなた…何を…っ」
声が聞こえた!
急いで近くの他のところより少し高い建物の上に跳躍する。
…いた。
リョーコさんと、クインケ持ちの白鳩2人にスーツの捜査官2人。
「ああ…嫌よ…そんなの…」
そして、あの死人みたいなやつが持っているクインケは……ッ!
「クク…クク…。いい…いいぞ…最高だ!! 悲嘆…絶望…憎悪…!! その表情だ!! もっとだ…もっと見せろ!!」
…あいつは、必ず殺す。
俺はその場を跳躍。
そして――
「そうだな。俺もあんたの顔が苦痛や絶望に歪むところが、見たくてたまらないよ…」
真上から赫子を展開し、鋭い突きを、白鳩に穿った。
ありがとうございました。
さてさて、次話はとうとう白鳩との戦闘です。
リョーコさんの運命やいかに!
……と、いいつつ次の更新いつか分からないという。
早いかもしれないし、むちゃくちゃ遅いかもしれない。
気長に待っていただけたらと思います。
――追記――
近々地道に書いていたゴッドイーターの小説、プロローグが書ききれそうなので、投稿するかもです。