ファイアーエムブレム Echoes ~大陸を翔る竜騎士~   作:ユキユキさん

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誤字警察FE派出所駐在官さん、名前♯任意の文字列さん、勝手な白熊さん、初城さん、韓信さん、感想ありがとうございます。


勢いで書きたかったけど、ゼルダの伝説が俺を狂わせた!




………それにも浮気しそうで恐いというか、たぶんするでしょう(オイ


第7話 ~帰島

ーユキー

 

ニーナ王女達の待つ島へと戻る中、野宿の時やイドゥンの背にてエリス王女と色々話す。俺達と共に戦うという決意をした彼女だが、その心は傷付いている。その心が少しでも癒えたらと、…そんな気持ちで話しています。心のケアは大事ですよ? 俺にはイドゥンがいたからね、今もずっと一緒にいる。生まれてからずっと傍にいてくれている、…だから今の俺がいるわけで。彼女にもそんな人が現れる筈、俺はその繋ぎさ。それまでは少しでも支えになれば、……島へと戻ったらスレイダーに任せるのもありか? アイツ…騎士だし、エリス王女と相性が良さそうに思う。

 

そう考えたのならすぐに実行…ってなわけで、会話の中にスレイダーを含ませればあら不思議! エリス王女がスレイダーに興味を持ちました。彼女に話したスレイダー物語、その内容は少し脚色をしているが実話である。

 

一つ…強面に似合わず民を想い、民を守る為ならば王族にも意見する貴族の鑑。

 

一つ…スレイダーは俺よりも歳上であるが幼馴染みたいな存在で、修行がてら二人で悪しき存在を討伐して民達の平穏なる暮らしに貢献をした。

 

一つ…悪逆なる裏切り者から幼き王女を救い出し、その身を信頼する者に預けて自身はその事実を隠す為、裏切り者の配下となり間接的に王女を守り続けた。

 

一つ…ある村とそこに住まう人々を守る為、不名誉の死を偽装して俺と共に新天地へ、そこで仕えるべき主を見付ける。

 

………等々、色んなスレイダーを聞かせましたとも。勿論登場人物には俺も含まれており、ついでに別れたあの三人…エンリケ、ラムザ、グスタフもね。そんな話をすれば、

 

「…スレイダー様。そのお方は騎士の中の騎士と申しましょうか、ユキ様は当然として…エンリケ様達もご立派な方々。そのお三方とお会いできないことは残念でなりませんが、スレイダー様とはこの後…お会いすることが出来るのですね?…」

 

エリス王女が夢見る乙女の顔に。…うん、エリス王女はだいぶ元気になった。…間違いない!

 

 

 

 

 

 

……数日ぶりに島へと帰ってきた俺を迎えてくれたのは、アイネとクライネ…そしてレナだった。この三人は俺がアリティアへと発った日から、毎日のようにこの降下ポイントへと来ていたらしい。アイネとクライネがそうしたかったが為にレナもそれに付き合った、…ありがたいことです。エリス王女と伴って降りた俺は三人は…、

 

「「お父さん、お帰り!!」」

 

「無事に戻られたのですね…? あぁ神よ、…感謝します。」

 

アイネとクライネは俺に飛び付いてきて、レナはその場で祈り出しました。可愛いもんだねこの二人は…、そう思いながら引っ付く二人の頭を撫でる。祈り終えたレナも俺達を見て微笑む、…何かほんわかするね。戦場から帰ってきた者にとってこの迎えは嬉しいもので、本当に癒されるわ…。

 

そんな俺達の様子を間近で見ていたエリス王女は目を見開いて驚き、

 

「…ユキ様はご結婚なされていたのですか!? …慎ましくお美しい奥様、…そしてお子様もお二人。」

 

…そう見えることに否定はしないが結婚はしていませんよ? 俺は未婚です。言うならば疑似家族、この二人の為にね。そう教えればエリス王女は頻りに感心し、どことなくレナは残念そうにしている。…とここでほんわかしている暇はない、無事に戻ったことをニーナ王女に伝えねばならん。

 

 

 

 

 

 

アイネとクライネの二人と手を繋ぎ、エリス王女とレナはそんな俺達に続いている。はしゃぐ二人に頬が緩みまくりな俺だが、ニーナ王女の待つコテージ風の小屋へ着いた。そこにはニーナ王女を初め、その両脇にはスレイダーとリンダ、その後ろにアテナが控えていた。俺が今日戻ることを察知していたのか!? と驚きに染まりかけたが、小屋の陰からイドゥンが顔を覗かせていたのを見て、ああ…イドゥンの姿を見て俺が戻ったことを知ったんだなと納得した。

 

アイネとクライネの二人と繋いでいた手を放し、頭を一撫でしてからニーナ王女の前へと歩を進める。そして片膝を付き、頭を下げて報告をする。

 

「…ニーナ様、アリティアより無事に戻ることが出来ました。情報通り…アリティアはグラにより攻め入られており、ドルーアの後詰めによって滅ぼされておりました。その道中…マルス王子に手を貸し脱出の手助けを、塔に囚われていたエリス王女を救い出すことに成功。しかしながらリーザ王妃は救えず、…無念です。」

 

俺の報告を聞いたニーナ王女は、

 

「任務…ご苦労様でした。…アリティアが滅んでしまったのは残念でなりません、これも我がアカネイア聖王国が先に滅んでしまったからなのでしょうね。我が国の不甲斐なさが生んだ悲劇、…私はその犠牲を忘れません。」

 

とても無念そうに、そして自身を責めるような声色でそう言った。続けて…、

 

「…リーザ王妃には色々とお世話になった身です、…故にあのお方を救えなかったことはとても悲しい現実です。…しかしマルス王子は無事に脱出し、囚われていたエリス王女を救い出せた事実は現状で僥倖と言えること。」

 

悲しみを滲ませつつも、二人の王族を救ったことを褒めるように。…そして、

 

「…それと同時に、…貴方が無事に私の下へと帰ってきてくれた。そのことがとても嬉しい、…王女としてではなく一人の女として。」

 

最後の方は良く聞き取れなかったが、俺が無事に戻ったことについては安堵してくれたようだ。…まぁ俺とイドゥンの最強コンビがやられるわけがないと胸を張れるが、…心配されることは幸せなことだよな。

 

そういうわけで、俺の報告とニーナ王女から俺への労い? が終わりました。なので救出したエリス王女の紹介といきましょうかね? そう思って振り返れば、…エリス王女の視線は一直線にニーナ王女へ。…………え~と。

 

────────────────────

 

ーエリスー

 

共に戦うと決めた私は、ユキ様…彼の騎竜でニーナ様の待つ場所へと飛ぶ。途中で何度か野宿をしたりして、初めての経験が多くて…でも楽しかった。彼はどこまでも優しくて、常に私のことを考えて行動をする。私の心が少しでも癒されるよう色々な話もしてくれた、その話の中で驚いたことがある。ユキ様はこのアカネイア大陸の出身ではなく、遥か西にある大陸…バレンシア大陸の出身とのこと。彼はその大陸のことを教えてくれた、それはとても興味深くいつかは行ってみたい…そう思った。

 

そのバレンシア大陸の話で一番興味を引いたのは、ある騎士様とその部下の方々の話。ユキ様の知る中でバレンシア大陸一の騎士、名をスレイダーというらしい。そしてその部下であるお三方も優秀な従騎士で、エンリケ、ラムザ、グスタフという名とのこと。アリティアの精鋭…マルスと共に脱出をした者達も優秀ではあるものの、そのスレイダー様達はその上を行く方々であると判断が出来る。…ユキ様の話を聞いての判断だけれど、…その方達とお会いしてみたい。きっとユキ様と同じで素晴らしい方々なのでしょうね…、私はそう想いを馳せた。

 

スレイダー様はユキ様と共にこのアカネイア大陸へと来ている、お二人は当分…故郷へ戻ることが出来ないらしい。しかし悲観に暮れることなくニーナ様と出会い、彼女の進む道を助ける為に仕えた。……ニーナ様もお辛い想いをされた方ではあるだろうけど、ユキ様とスレイダー様に出会えたことはとても運が良い。…私もきっと運が良いだろう、こうやって救い出されたわけなのだから。

 

色々と思うことはあるけれど、ニーナ様の下にはスレイダー様がいるという。今はそのことに想いを馳せよう、……実際にお会いしてみなければ分からない。どんなお方なのかしら? …話を聞く分には素晴らしいお方だけれど。…スレイダー様はユキ様と似たようなお顔のよう、…失礼ではあるけれど気を強く持っておかなければ。ユキ様の時にした粗相をしないように……。

 

 

 

 

 

 

ニーナ様がお待ちになっている島へと来た私は驚いた、何とユキ様にはお美しい奥様と可愛らしいお子様がお二人もいたのだから。ユキ様程のお方にはいて当然、…いて当然なのだけれども少しだけ胸が痛んだ。……がユキ様はそれを否定、この方々とは疑似家族なのだと。理由を聞く前に彼から話してくれて、やはりユキ様はお優しい方なのだと改めて思った。…そういえばこのレナという名のお方、ユキ様がご否定した時にとても残念そうにしていた。……ユキ様は女性にモテるお方のようです、…それはそうでしょうね。

 

…アイネちゃんとクライネちゃんの二人と手を繋ぎ先導するユキ様、私はレナさんと並んでその後を付いていく。この名も知らぬ島にニーナ様がいる、ここならば追手に見付かることもない。身を潜めるには打ってつけのこの島、たぶんこの島を見付けたのはユキ様。有能…ユキ様は本当に有能だ、この島で力を蓄えつつ機を狙うには本当に打ってつけの場所。私が考える中で不利な条件があるとは思うけど、それをも何とかするのでしょう。私はそんなことを考えながら後を付いて行く、そして…もうすぐニーナ様と面会をする。

 

 

 

 

 

 

ユキ様達の後を付いていくと拓けた場所へと出た。そこには立派な小屋? があり、その前には何度かお目通ししたことがあるお方…ニーナ様がおられた。その両脇にはユキ様と雰囲気が似ている騎士のお方、…スレイダー様でよいのだろうか? それと可愛らしい少女の姿。

 

…ユキ様がアイネちゃんとクライネちゃんの二人と繋いでいた手を離しニーナ様の前へ、そして片膝を付き頭を下げて報告をする。そんなユキ様の姿を見るニーナ様のお姿がとても慈愛に満ちて…、それで無事に戻ってきたことに対して嬉しそうに…、どこか恋をしている少女のような…そんなお顔をしていたのが印象的であった。

 

しかし報告を聞いていく内に、そのお顔が徐々に曇っていき、

 

「任務…ご苦労様でした。…アリティアが滅んでしまったのは残念でなりません、これも我がアカネイア聖王国が先に滅んでしまったからなのでしょうね。我が国の不甲斐なさが生んだ悲劇、…私はその犠牲を忘れません。」

 

悲しみに染まってしまった。自身を…自国を責めるように言葉を震わせながらも、その瞳には決意の炎が見え隠れしている。…そして最後の呟きを私は見逃さなかった。

 

……ニーナ様、貴女はやはりユキ様を。…心中は痛いほど分かる、危機を救ってくれたユキ様を想うのは仕方がないのだから。…出会ってばかりの私でさえ、…このお方のことがとても気になってしまうのだから。

 

 

 

 

 

 

お二人のやり取りが終わりユキ様が振り返った、それは分かったのだけれど私の視線はニーナ様へ。先程まで様々な表情をしていたニーナ様だが、私を見るそのお顔は王女に相応しい威厳に満ちているものであった。素早く切り換えが出来るニーナ様は流石と言える、…私にはまだそこまでは出来ない。出来ないけれど、精一杯に表情を引き締めてお礼を言わなければ……。

 

そのように思いながらニーナ様の前へと進み、ユキ様を派遣して救ってくれたお礼を言おうとしたのだけれど、…彼女は私を見てくすりと笑い表情を崩した。

 

「…ごめんなさいね? エリス王女のお顔があまりにも強張っていたものだから。…いつも通りでいいんですよ? 今は公式の場ではないのですから。」

 

……そんなに私の顔が強張っていたのかしら? 自分の頬に手を添えて…少しだけ恥ずかしく思う。けれど緊張していた心が軽くなる、…ニーナ様はとても優しいお方ね。自身は私と違ってただ一人の王族なのにそうしてられるなんて、…とても強いお方。これもたぶん…ユキ様のお陰、彼が傍で支えていたからニーナ様は自然体でいられる。ユキ様の他にも支えてくれている方々がいる、…私もその一員になれるのかしら? 少しの不安を覚えてしまう。

 

緊張の解れた私は、

 

「お久しぶりですニーナ様、…この度は我が身を救って頂きありがとうございます。アリティアは滅びましたが、私も弟も…僅かながら精鋭達も生き長らえました。これもニーナ様がユキ様をアリティアへと派遣して下さったお陰です、この恩に報いる為…私もニーナ様方と共に戦うことをお許し下さい。力無き身ではありますが、アカネイア聖王国とアリティアの為にどうか……。」

 

我が身とマルス達を救って頂いたお礼と共に、ニーナ様達と…ユキ様がいるこの島に置いていただけるようにお願いした。アカネイア聖王国とアリティアの再興が最優先ではあるが、それ以上にユキ様のお傍にいたい。…何とも浅ましき我が身ではあるが、…この気持ちに嘘は吐けないから。

 

そんな私に対してニーナ様は、優しく抱き締めそして…、

 

「……貴女の気持ちは私にも分かります、貴女と私はここに至るまで似たような道を辿ってしまった。…きっと貴女も恐怖と戦っていたのでしょうね? …だからこそ、救ってくれた彼のことを……。」

 

耳元でそう囁く。…ニーナ様は私の気持ちに気付かれている、奥底にあるまだ淡いこの気持ちを。……ニーナ様も私と同じ、私と同じく彼に救われたから。…いえ、私よりもきっと想いが強い。……私はこのまま、…彼を想い続けてよいのかしら?




次話の次は閑話が続き、新章へ。

新章は国を訪問して………。

何処に行くんでしょうか?

賢しい読者様は予想が付くでしょうな!

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