ファイアーエムブレム Echoes ~大陸を翔る竜騎士~ 作:ユキユキさん
第1話 ~俺達の関係
ー???ー
やぁ皆さん、こんにちは。突然ではあるけれど、俺は転生者なわけです。神様っぽい人に選ばれ、よく分からぬままに特典は何がいいかを聞かれ、何処へ転生をするのかを聞いた上で高望みせずに、
・全ての武器を扱える
・クラスは竜騎士
…この二つだけを希望したわけなのです。すると神様っぽい人が俺を褒めまして、
・鍛えれば鍛える程強くなる身体
・最強種の騎竜
…更に二つの特典をオマケでくれました。とても優しい神様? ですね、感謝です。
因みに転生場所は、ファイアーエムブレム外伝のリメイク版。リメイクがどんなものかは知らないけれど、外伝には無いクラスなので目立つことでしょう。…あ、俺ってば外伝の知識は多少…ありますよ? うろ覚えですが。まぁリメイク版なんで、そのうろ覚え知識が役立つかは分かりませんが、…何とかなるでしょう。
そういう流れで転生したのですが、…リメイク版は色々と違うみたいです。この先俺はどんな道を辿るのでしょう? 不安と期待でお腹一杯です。
『……キ、…キ、……ユキ!』
…ん~? 誰かが俺を呼んでますね。じゃあ、戻ることにしますか。名も知らぬ人よまた会おう、…さらば!
────────────────────
ーエフィー
「アルム…、いないなぁ…。」
私は今、幼なじみのアルムを探しているの。でも、色々と探したんだけどいない…。どこに行っちゃったの?
「今日も元気にアルムの追っかけか? エフィ。」
アルムを探す私に声をかけてくる男の子、彼の名前はグレイ。同じく幼なじみ、…グレイなら知っているかなぁ?
「あ、グレイ! またアルムがいなくなったの、…どこへ行ったか知らない?」
私の問いに肩をすくめるだけ、…グレイも知らないのかぁ。グレイってば、…役に立たないなぁ~。そんな私の視線を受けて、グレイはムッ! となるけれどどうでもいいよね? …グレイだし。グレイよりもアルムだよ! …そんな私に、
「アルムならいないよ、だから探してもムダだね。」
そう声をかけてきたのは、やっぱり幼なじみのクリフ。彼は聞き捨てならないことを言ってきた。
「アルムはセリカと一緒に森へ行ったから、僕…見てたし。…たぶん、ユキ兄を探しに言ったんじゃない?」
セリカと…、そう……。アルムはまた、セリカと一緒なんだ…。
「村へ来たばかりのセリカにかまいっぱなしだな、…ハカナイ友情だぜ。」
グレイは唇を尖らせて不満顔だ、…グレイは友情よりもセリカって思っているのだろう。
「アルムとセリカはいとこ同士だもの、仲が良くて当たり前よ。」
私もグレイと同じでちょっとだけ不満、…ただのいとこ同士だとしても。…でもクリフは、
「たしか…アルムはマイセンさんの孫だけど、セリカは違うハズだよ。どっかから引き取ったんだって母さんが言ってた。」
と言った。え…? アルムとセリカっていとこ同士じゃないの? …じゃあアルムはセリカと?
「クリフの母ちゃんは相変わらずだなぁ…、セリカにもジジョーがあるってことか。じゃあ、ユキ兄と同じだ。」
…セリカとユキ兄はどうでもいいけど、…セリカは違う意味でどうでもよくないけど、
「…アルムは大きくなったら、…セリカをお嫁さんにしちゃうの?」
そう思うと、何だか悲しくなって涙がこぼれる。
「…エフィ、それはヒヤクしすぎじゃねぇの?」
グレイが私を見て呆れるけど、…涙が止まらなかった。
グレイとクリフが慰めてくれて涙が止まった時、
「あっ、…みんな!!」
村の入口の方から、幼なじみのロビンが駆けてきた。…どうでもいいけど、幼なじみが多いよね。
「どうしたんだよロビン。」
「森の中にお城から騎士が来てるんだって! なぁなぁ、見に行こうぜ!」
グレイの問いに、ロビンが興奮気味にそう言ってきた。…騎士様?
「…騎士!? こんな田舎に? …クリフ、エフィ! 早く行こうぜ。騎士なんて、めったに見られないぞ。」
グレイにもその興奮が移り、そして私にも…。私はグレイとロビンの後を追う、騎士様を見る為に。
「あっ、待ってよ…!」
置いていかれそうになったクリフの慌てた声を背に、私達は村の外へと駆け出した。
────────────────────
ーユキー
「アルム、ユキさん。…二人共、こっちへ来て!」
花畑の奥から、俺とアルムを呼ぶ声が。…まぁ声の主はセリカなんだけどね、とりあえず…、
「ふむ、セリカは元気がいいな。…お転婆ってヤツか? 少しはエフィみたいに…、なっちゃあダメだな…。」
元気が良すぎるセリカに俺も疲れるわけで、エフィを思い浮かべるもヤンデレっぽいわけで、…更に疲れる。
「…何ていうか、振り回されっぱなしだな。…俺は色々と忙しいんだけどな、…じゃあそういうわけで。」
実際忙しい、故に踵を返して帰ろうとするけど、
「帰らないでよユキ! …ここで帰ったら、セリカが大泣きするよ? 後…、僕の身のことも考えて?」
弟分であるアルムが引き止めてくる、…そんな小犬のような目で見られたら断れん。
「……手短に終わればいいんだが。」
「…あははははは。」
渇いた笑いをするアルムを伴い、俺は苦笑しながらセリカの下へと向かった。
…で、セリカの下へと行った俺の第一声は、
「…手短に頼む、セリカよ。」
相手を思いやる気がない俺、…用事があるんだから仕方がない。セリカは一瞬、ムッ! となったがすぐに笑顔となって、
「二人の為にお花で冠を作ったの、ねぇ…かぶってみて。」
しょうもないことで呼び出した様子、…この娘は本当に。……しかし花冠か。
「…ふむ、拒否させてもらう。」
俺のモットーはストレート、嫌なことは拒否します。俺のような男には似合わんよ、誰得? ってヤツですわ。そんな俺の拒否にアルムも同調するも、セリカはニコニコしながら、
「アルムは当然似合うとして、ユキさんもきっと似合うわよ? …雰囲気が和らぐと思うわ。」
アルムについては同調出来るが、俺はダメだろ。和らぐ前に気持ち悪いわ、強面に花冠は…。
「俺に似合う、…それは無理がある。…よく俺を見ろ、強面の悪党顔だ。」
そう、俺は誰が見ても強面の悪党顔であると言う。鋭い目付きに頬の傷、間違いなく悪党顔。
「もう…ユキさんの意地悪、絶対に似合うのに…。じゃあ…、この花冠はどうすればいいのかな?」
セリカは可愛らしく腕を組んで考え出す、そして…、
「そうだわ! おじい様にあげましょう、…きっと似合うわ!」
私、名案を思い付きました! と言わんばかりのドヤ顔だ。それに対して俺達は、
「…マイセンさんに?」
「…えぇっ!? じいちゃんに!!」
戦慄する俺達とは違いセリカは、
「きっと喜んでかぶってくれるわ。…おじい様が可愛らしくなるわね、…うふふ。」
大変嬉しそうである。…が、セリカにもきちんと想像してもらいたいものである。マイセンさん、…堅物である彼が花冠をかぶる、…悪夢でしかない。…夢に出てきて魘されるまであるのは確実、…恐ろしい。
「ふふっ…、うふふふっ……!」
というかセリカの奴、めっちゃ笑っとる。セリカなりに想像して、マイセンさんを笑い者にしているのだろう。可愛い顔してババンバン、…ってヤツだな! そんなセリカを、何だかんだで優しく見守る俺ってばいい奴やね!
「…何? ユキさん。私の顔に何かあるの?」
そんな俺の視線に気付いたセリカは、はにかんでそう言う。俺は…、
「いや、ただ…な。セリカがよく笑うようになってよかったな…と。出会った当初は暗い顔で、ずーっと黙っていたし。…マイセンさんによろしくと言われていたけど、…正直面倒だなぁ~と思っていたな。」
「いやユキ、それはないんじゃない? もうちょっとこう…、言い方ってあると思うんだ。」
面倒事はイヤなんですよ俺は、俺にも色々と事情があるわけだし。セリカは俺のそんな発言に対して、
「…私が笑うようになったのは、二人のお陰だよ。忙しいと言いながらも私に構ってくれたり、…色々な所に連れ出してくれた。」
昔を懐かしむように、とても優しい顔でそう言ってくる。それを聞いた俺は、特に何も感じなかったがアルムは、
「そ、そんな…。大袈裟だよ…、あははははは…。」
いっちょ前に恥ずかしがっていやがる。…エフィに言い付けてやるからな、アルム。
「…それなのに、私は二人にヒドイことばかり言って…。」
しゅん…とするセリカに俺は、
「あぁ、あの『小汚い無礼者!』ってヤツだな? …あったなぁ~、…そんなこと。…あの時の俺、…荒れたっけなぁ~。」
…今となっては良い思い出ですね? …昔のセリカは高飛車お転婆娘だったからな。
「ごめんなさい…! 友達なんて初めてだったから、どうすればいいか分からなかったの。」
分からないから『小汚い無礼者!』はないだろ、転生後初めての精神的大ダメージよ? …外伝ヒロインが口の悪い少女であったことが衝撃的…ってね。リメイク版恐るべし!
「ううん。僕は面白い子だなぁって思ったよ。」
はいはい、とても良い子ですね…アルム君は。俺は『クソガキ…!』と思っていました。
「…二人はどうして、私に優しくしてくれるの?」
「…僕も父さんや母さん、兄弟がいなくてさびしかったし。…それにじいちゃんの言い付けで村の外へ出たことがないから、セリカの色々な話は聞いてて楽しかったし…。えぇっと…それから、……それから。」
…セリカのような純粋な疑問に、アルムは模範的な解答を。俺は…、
「…俺は関係者みたいなものだし、アイツ関連でもあるしな。…セリカは守らなければならない、…そんな気がしてな。」
ぶっちゃけ成り行きが大半を占めている、…アイツが騎士にならなければここまで関わらなかったと思う。
「…私達が出会ったのは、運命…ってヤツなのかな?」
セリカの言葉になるほど…と思った、…運命っていうのはあるな。
何か知らんけど微妙な空気になった、そんな時にアルムが、
「…あっ! ほら、これ…仲良しのしるし!」
そう言って左手の甲を見せてくる、そしてセリカも…、
「ああ、これね。アルムの左手と私の右手、ユキさんの額…」
右の手のひらを見る。…俺はバンダナで隠している額を触る、…仲良しのしるしか。アルムとセリカのは分かるんだけど、…俺のは何かが違うと思う。…はっきり言って忌々しい、コイツを隠す為にバンダナを巻いて、悪党率が+20%だよバカヤロー。
「同じようなしるし、…これがあるからさ!」
「ふふふ…でも、本当に不思議ね。どうして私達に同じような痣があるのかしら。」
二人して微笑ましく話しているけどね、俺はこの痣がイヤなんですよ。俺の前世が訴えてくるのだ、額のバッテンが疼いてさ、『我、顕現!』とか叫びたくなるんだよ! 何処の金持ち一族だよ! …ってね。
「これはきっと、特別なしるしなんだよ。僕達三人の仲良しの証…、これからずっと一緒にいられる為の…。」
…そうなればいいかもしれないが、俺はたぶん…ずっと一緒にはいられない。二人は盛り上がっているけれど、…セリカがセリカであるのならきっと。…アルムもそういう存在であるし、…俺も他とは違う存在。この日常はいずれ終わる、…絶対にだ。
二人が仲良く盛り上がり、俺は生温く見守っていると、
「きゃあっ!!」
遠くから悲鳴が聞こえた、この声は…、
「今のはエフィ? …うん、エフィの声だ!」
「…何かあったのかしら?」
「森の方からだ、…エフィが心配だ行ってみよう!!」
余程エフィが心配のようで、セリカの手を引いて走っていった。そんな二人の背を俺は見詰め…、
「…アイツからは何も聞いていない、…がもしかしたら奴等が動き始めたのかもしれん。……潮時か、…俺もアイツも。…アイツもヤバイが俺はもっとヤバイ、俺はこの大陸唯一の存在であるからな。…もう少しこの村にいたかったが仕方がない、…相棒の下へと行かねばならないな。」
そう呟いた俺は、二人が走っていった方向とは逆に駆け出した。
次話のあの人は、性格が違うので注意!