ファイアーエムブレム Echoes ~大陸を翔る竜騎士~   作:ユキユキさん

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第3話 ~俺達、強し

ーユキー

 

アルム達が墓地の方へ走っていったのを確認した俺は、

 

「…マイセンさん、スレイダー! アルム達は墓地へ行った!」

 

そう二人に叫んだ。マイセンさんは俺の言ったことを理解して頷いたが、スレイダー達は…、

 

「ユキか! …子供達は逃げて山賊だというが、…まぁいい! 状況がいまいちよく分からんが、…心得た!」

 

多少の困惑はあるものの、スレイダー達も手伝ってくれるようだ。…俺とマイセンさん、スレイダー達であれば余裕で殲滅出来る。俺一人でも余裕ではあるけれど、討ちもらすことがあれば大変だからな。

 

即座に作戦を考えて身を隠し、山賊達を待ち伏せていると、

 

「ここらに村があるって本当か? …何もない山奥の辺鄙な場所だぜ?」

 

「…行商人の話を小耳に挟んだんだが、…ちょいと不安になってきた。」

 

ガヤガヤと数十人からなる集団が現れた。

 

「だがもしあったとしたら、色々と楽しめるじゃねぇか!」

 

「そこを俺達のシマにすりゃあ最高だな! 誰にも知られないアジトの完成だぜ!」

 

…と、何とも腹の立つことを言っている。…マイセンさんの怒気を感じる、…俺も同じ気持ちだ。…見たところ、奴等の方が遥かに数が多い。だが確実に個の力は俺達の方が…な、とにかく作戦通りいくか。…墓地の方へと誘導し、現実をアルム達に見せる。後の為に戦いというものを、アルム達に知ってもらわねば。

 

 

 

 

 

 

作戦を決行した結果、面白い程単純に誘導される山賊達。

 

「「「「「ぶち殺せぇぇぇぇぇっ!!」」」」」

 

俺とマイセンさんは、襲いくる山賊達を捌きながら墓地へと誘導する。スレイダー達は各々散ってもらい、墓地の周囲を囲むように潜んでもらっている。一人も逃さぬように布陣したわけだ、山賊達はアホっぽいから全員この地で殺れるだろう。

 

そして墓地へと入った時、何処かに隠れているであろうアルム達へ、

 

「…いいか、お前達! 今から俺とマイセンさん、お前達が勘違いしたスレイダー達と共に戦う。…アルムとセリカ、二人には色々と教えてきた。…深くは語らない、だが! その目に焼き付けろ、守る為とはいえ…これが戦いだ! そして、…今から見せる姿こそが真の俺なのだと!!」

 

俺はそう叫ぶと、

 

ピィィィィィィィィィッ!!

 

指笛を鳴らす。それを合図に上空から竜が舞い降りてくる、俺の相棒である黒竜イドゥンが。俺は颯爽とイドゥンに跨がり、

 

「……村を襲おうと考える下衆共、容赦はしない! 自分達の愚かさをその身に刻み込んでくれる!」

 

「ピュイイイイイイイイイッ!!」

 

俺の叫びとイドゥンの嘶きを合図に、墓地の周囲に潜んでいたスレイダー達が突撃を開始する。俺も遅れることなくイドゥンと共に空を舞い、山賊達へと襲い掛かった。高ぶるな、…久々にスレイダーと共闘だ!

 

────────────────────

 

ーセリカー

 

私のいる場所にスレイダーが現れた、…どうしよう。それにアルム達が勘違いをしてスレイダーがヒドイ目に、これは私のせいではないと思うけどそれでも…。ただ分かっていることは、…もうここにはいられないってことだけ。スレイダーがここに現れたということは、スレイダー以外の者がこの場所へ現れる可能性があるということ。スレイダーとその部下達は口外しないと断言出来るが、…それでもいずれはこの場所に。そして私の存在のせいで、この村へ軍が…。そんなことになったら、村の人達が、アルム達が…! みんなみんな、殺されてしまう!

 

目の前が真っ白になってしまうのを何とか堪えて、私は…アルム達と逃げる。アルムがスレイダーに粗相をし、おじい様が現れて…ユキさんも遅れて来て…、

 

「…お前達はこの先の墓地まで走れ、…山賊の集団がここに来るからな。…死にたくないのなら、……走れ!」

 

ユキさんがそう叫んだから、私は…何とか堪えて走っている。

 

 

 

 

 

 

…息を切らせながらも、みんな無事に墓地へと辿り着いた。でもまだ、…安心は出来ない。ユキさんとおじい様、スレイダー達が戦ってくれているのだろうけど、数ではあちらの方が勝っていると思うから。でも、彼らが負けるとは思えない。ユキさんとおじい様はとても強い、スレイダーだって…あの日に私を助け出してくれる程の騎士だから。

 

今の私達に出来ることは一つだけ、彼らの足手まといにならないようにすること。もし捕まってしまったら…、最悪の事態になるであろうと予想が付く。私は自分達の為、彼らの為に、

 

「みんな、疲れているとは思うけど…隠れましょう! 私達じゃあ、どうにも出来ないから…!」

 

そう、みんなに提案した。私の提案にアルムも、

 

「セリカの言う通りだ、悔しいけど…僕達は足手まとい。邪魔にならないようにするんだ!」

 

そう言って賛成してくれる。みんなも死にたくはないから、ブンブンと大きく頷いて隠れる為に散る。散る姿を確認した私も、大急ぎで近くにあった墓石の陰に隠れる。息を潜めてから少し経つと、遠くから戦闘の音が…。その音を聞きながら、ユキさんとおじい様の無事を祈る。スレイダーもいるから大丈夫だとは思うけど、…万が一もあるから心配だ。

 

私が祈っていると、遂に墓地へと戦いの場が移ったらしい。激しい音が辺りに響き、自然と身体が強張る。そんな中、ユキさんの叫びが耳に届く。

 

「…いいか、お前達! 今から俺とマイセンさん、お前達が勘違いしたスレイダー達と共に戦う。…アルムとセリカ、二人には色々と教えてきた。…深くは語らない、だが! その目に焼き付けろ、守る為とはいえ…これが戦いだ! そして、…今から見せる姿こそが真の俺なのだと!!」

 

そして笛の音が響くと、大きく羽ばたく音が…。ペガサスとは違うその音の主を求め、空を見上げると…黒い竜が!

 

「……っ! …竜!?」

 

私は驚いた、物語や伝説でしか聞いたことがない竜が、今…目の前に現れたのだから。私は隠れていたことを忘れ、身を乗り出して竜を見詰める。黒い竜…、威圧感があるけれどどこか優しい、そして何より美しいと思う。そんな竜が舞い降りた場にはユキさんが、…ユキさんが黒い竜に跨がり、

 

「……村を襲おうと考える下衆共、容赦はしない! 自分達の愚かさをその身に刻み込んでくれる!」

 

「ピュイイイイイイイイイッ!!」

 

ユキさんの叫びと竜の嘶き、空を舞う竜の姿に畏怖を覚え、それと同時に憧れを感じた。そんな竜と共にあるユキさんの姿、私の心が高鳴る。その雄々しき姿に物語の騎士を重ね、…その姿を心に刻み込んだ。

 

 

 

 

 

 

…戦いは圧倒的だった、現れた山賊達は為す術もなく蹴散らされていく。それは当然のことと言える、伝説の存在と思われていた竜が相手なのだから。山賊達は腰が引けていて士気が下がっている、逃げようにも四方からスレイダー達が突撃してくる為に逃げることが出来ない。…ユキさんもおじい様も、スレイダー達も並の腕前ではないことが分かる。…凄い、これが戦いというものなの?

 

この墓地での戦いを見ていて、先程の言葉を思い出す。私とアルムに見ろ…と、その目に焼き付けろと。…深くは語らないとも言っていた、そこにどんな気持ちが込められているのだろうか? 今の私にはよく分からないし、戦いは嫌い…ってことだけ。でも、ユキさんもおじい様も、スレイダー達だって私達を守る為に戦っている。…守る為の戦い、…私にも分かる日が来るのだろうか?

 

────────────────────

 

ーユキー

 

「何なんだよぉ…っ、お前達はよ! 化け物を従えて…一体、何なんだよぉっ!!」

 

リーダー格の山賊が喚いていますがどうでもいいな、俺は事務的にただ蹴散らすのみ。竜に、イドゥンに怯える山賊など相手にはならないからな。ただ一方的に戦うのみ、…生かしておいても悪事を働くだけの者、きっちり討ち取らなければ禍根となる。色々と教えたアルムとセリカに見せなければならない、戦いとは命のやり取りであると。生かす戦いもあるのだが、殺さねばならない戦いもあると知れ。まだまだ子供ではあるが、その生い立ちが運命を引き寄せる。今回が良い機会である、ここで少しでも学ぶのだ。二人はいずれ……、いや…やめよう。今はただ…俺達の戦いを見せるのみ、雑念は不必要なり!

 

 

 

 

 

 

俺とイドゥンの急襲、スレイダー達の突撃によって、

 

「「「「「ひぃぃぃぃぃっ!!」」」」」

 

山賊達は情けない声を上げて逃げ惑う、それを見逃さずにとどめを刺していくマイセンさんは流石である。俺もスレイダー達も負けじと突貫、俺は薙刀のような槍を振り回し、イドゥンは尻尾で薙ぎ払い、山賊達の命を刈り取る。スレイダー達も槍で一閃、山賊達がゴミのように蹴散らされていく。断末魔の叫びを上げながら倒れていく、…賊に情けはいらない。俺達は粛々とその命を刈り取っていき、残す奴等は後…数人。

 

俺達の無双ぶりに、リーダー格の山賊が…、

 

「ちくしょうっ! 俺達の野望がこれからって時に、…こんな所に強い奴等がいるなんてよぉっ! …ちくしょうがっ!!」

 

そんなことを叫びながら、破れかぶれで突っ込んでくるリーダー格。…難の苦もなく首をはねました、それを見た生き残りの山賊達は悲鳴を上げますが、…程なくして沈黙しましたよ。少々残酷な光景だったかもしれないが、アルム達にも戦いというものが分かったであろうと思う。…この戦いの光景、…アルム達にはどう映っていたかな? 俺を恐れることは別にいい、それが正常なのだから。…だけどそういう風に見られたら悲しくはあるな、仕方のないことだけど。

 

ちょいとしんみりしている俺に、

 

「流石の槍さばきではないか! イドゥン殿も壮健で何より、…ふははははは!!」

 

馬鹿笑いのスレイダーが声を掛けてきた。………スレイダーを見ていると、しんみりしているのが馬鹿らしく思えてきた。コイツの窮屈な騎士生活に比べたら、俺のこの感情もまだまだ温いわな。

 

「日頃の鍛練によるものだスレイダー、…にしても何故ここに? …遂に目障りだからって追いやられたか?」

 

馬鹿笑いのスレイダーにニヤついてそう言えば、笑うことを止めて…頭を抱えてしゃがみ込む。…図星?

 

「…ドゼーのゴミ虫に、王都から厄介払いをされたのだ! …何が『ソフィア国内を警らせよ!』だ! 広すぎるわあのバカめ! …最終的には王女を見付けてしまったし、…どうにも私はツイていない!」

 

…災難だったなスレイダー、セリカ…王女を見付けてしまってはな。立場はどうでもいいとして、正義感の強いコイツは捨て置くことの出来ない現実に直面したわけで。…どうすればいいのか悩みどころだな、…さて。

 

これからのことを考え、思い付いたことをマイセンさんとスレイダーに言う。それを聞いたマイセンさんは、

 

「…王女の身を守る為にはそれしかないか、…村についてはスレイダー達を犠牲にか。…すまない、スレイダー。」

 

マイセンさんは、苦悶に満ちた顔でスレイダー達に頭を下げる。それに対しスレイダーは、

 

「マイセン殿が気にすることもない、私達がこの地にいることが運命だったのだ。…それに、私の最後に相応しい! 王女とその恩人達が住まう村の為ならば、このスレイダーの名が地に堕ちても構わん。…今更であるしな!」

 

そう言って、気にすることはないと言い切る。…スレイダー、顔に似合わず良い男よな。

 

そういうわけで、セリカはマイセンさんと共にこの村を発つことが決まった。スレイダーは山賊達を討ち取るも戦死、部下達はその報告の為に城へ帰還。スレイダーを目の上のたんこぶとしていたドゼーには朗報だ、ここぞとばかりにその名を貶めるだろう。これにより、ラムの村への干渉はなくなるとみる。ドゼーは自身の立場を固めるのに集中するからな、こちらに目を向ける暇もないだろう。

 

俺はスレイダーと共に、この村どころかこの大陸を去るつもりだ。スレイダーは言わずもがな、俺は存在がアウトだからな。先も言ったがこちらには目を向けないだろう、だが…人の口は以外にもね。俺がいればポロリと子供達が漏らすかもしれない、せっかく目を逸らしたのに向けられたらことだ。…これが最善であり、アルムとセリカの成長にもなる筈だ、……たぶん。




次話は旅立ちですかね。
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