ファイアーエムブレム Echoes ~大陸を翔る竜騎士~   作:ユキユキさん

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名前#任意の文字列さん、感想ありがとうございます。

今回で序章は終わります。




第5話 ~旅立ち

ーセリカー

 

…ユキさんは行ってしまった、きちんとした別れの挨拶も出来ずに。ユキさんらしく、一方的に…笑みを浮かべて飛び去っていったのだ。スレイダー達も、

 

「それではマイセン殿、王じ…セリカ嬢! 私達もこれにて失礼させて貰う、…来る日まで健やかに成長なされよ! 少年少女達よ、思うところもあると思うが今は力を付けることだけを考えるのだ! その過程で自らの道を決めるといい、それからでも遅くはない。…君達に幸あれ、…去らばだ!」

 

そう言って、颯爽と去っていった。アルム達に粗相されたにも関わらず、怒らずに激励をする彼は騎士の鑑だと思う。彼のような騎士が多くいれば…、私はそう思わずにはいられなかった。

 

戸惑いを隠せないまま、ユキさんの飛び去った方角を見詰める。スレイダー達の操る馬の蹄の音が遠ざかる中で、私は手の中にあるお守りを優しく握り締める。私は視線を空から戻してそれを見ると、…黒く輝く竜の鱗がキラリと光った。

 

「ユキさんだって…、もっと何かを言いたかった筈。あの人はいつだって……。」

 

ユキさんは忙しい身の中で、私達に色んなことを教えてくれた。何だかんだ言っては気に掛けてくれた、ユキさんは…。ユキさんのことを想えば、色んなことが思い出されていく…。

 

私は強くならなければならない、心を強くしなければ…。このお守りを持っていれば、…私はきっと強くなれる。…そんな気がするの。

 

────────────────────

 

ーアルムー

 

「…何それ? 意味が分からないよ。一方的にいなくなって、成長を期待しているとかって! …僕には分からないし、…何よりもイヤだよ! ユキがいなくなって、セリカとまで離れ離れだなんて…!」

 

…ユキがいなくなった理由、本当は分かっているんだ。…この村を守る為に必要なことで、ユキ自身も自分の身を考えた末のことだって。あの騎士だって…、あんなことをされたのに僕達のことを案じてくれて…。そして僕の…、僕が成長しなくちゃいけないって。強くならなきゃ、守りたいものを守ることが出来ない。甘えは成長の邪魔になる、だからユキは出ていったんだ。僕自身の手で強くなることをユキは望んでいる、…そうに違いない。

 

分かっている、…分かってはいるんだけどイヤなんだ! ずっと、…ずっと一緒にいられると思っていたんだ。それなのに、ユキが…、そしてセリカまで…! どうして…、どうしてこうなるんだ! 他に方法があったんじゃないか? 出ていかなくてもいい方法があったんじゃないか? 考えれば、きっと……!

 

「いつまで聞き分けのないことを言っている!!ユキはお前達の成長を願って立ち去った、スレイダーも自身の名を捨てて村を守る為の布石を打った。セリカだって覚悟を決めているのだぞ?」

 

じいちゃんの言葉に何も言えない、…沈む気持ちのままセリカを見る。さっきまでの姿が嘘のように、僕を見て微笑んでいた。

 

…セリカは強いな、でも僕は…。セリカから視線を逸らそうとしたけど、セリカは微笑みながら、

 

「…アルム。これ、もらってくれる?」

 

そう言って、僕に何かを差し出してきた。これは…、

 

「…セリカがいつも着けているお守りじゃないか。これを僕に…?」

 

それはとても綺麗なお守り、…セリカの大切な物じゃないの?

 

「うん、アルムにあげる。私だと思って、大切にしてね。スレイダーがあの日…、持ち出してくれたお母様の物らしいの…。」

 

……!? やっぱり大切な物じゃないか、そんな大切な物…もらえないよ。そんな僕の心をよそに、セリカは…、

 

「アルムに持っていてほしいの、きっとアルムを守ってくれるわ。…私、アルムにはスレイダーのような立派な人になってもらいたい。そんな気持ちも込めているの、強くて優しい人になってもらいたいな。ユキさんのお守りもあるでしょう? …アルムはきっと素敵な人になれると思う。後ね? …再会の証、…アルムに私からあげる。また会う日まで、お互いの道を力一杯歩みましょう?」

 

セリカはユキからもらったお守りを握り締め、僕に向かって微笑んでいる。

 

…ユキとセリカのお守り、…再会の証。僕はセリカと同じように、もらったお守りを優しく握り締めてみる。……どうしてだろう? こうしていると、心が温かくなる。さっきまでモヤモヤしていた心が、とても軽くなって…何とかなるって思ってくる。この別れは意味のある別れで、この先どうなるかは分からないけど、きっと巡り会えてそこから…。

 

…僕は立ち止まっちゃダメなんだ、あの戦いに誓ったじゃないか! 強くなるって! じいちゃんの言う通りだ、僕には覚悟がなかったんだ。覚悟を決めて、笑顔でセリカを見送らなきゃ…! 僕達は繋がっている、そしていつか…再会する。その時に胸を張って会えるよう、…僕は強くなる。ユキもセリカも驚くぐらい、大きな男になってみせる。…これこそが僕の道、歩むべき道なんだね!

 

 

 

 

 

 

さっきまでの気持ちが嘘のようだ、自然と笑顔になる。僕の持ち直した姿に、セリカも嬉しそうだ。…僕達は笑う、…エフィ達はきょとんとしているけどね! …そして、

 

「……元気でね、アルム。」

 

セリカが笑顔で別れを言う、僕は…、

 

「…セリカ! …うん、元気で!」

 

笑顔で別れを言えたと思う。

 

────────────────────

 

ーセリカー

 

「もういいのか? セリカ。」

 

おじい様が私に確認の声を掛けてきた、それに対し私は、

 

「…はい! ユキさんとはきちんと出来ませんでしたが、アルムとは笑顔で別れの挨拶が出来ました。だから、…大丈夫です!」

 

お互い、ビックリするぐらい明るく別れた私達。これもユキさんのお陰、ユキさんが勇気をくれたから。

 

「おじい様。私、次はどこへ行くのですか?」

 

それはいいとして、私が向かう場所ってどこかしら? そう思っておじい様に聞いてみれば、

 

「…うむ、わしの古い知り合いに心当たりがある。そこなら、そう簡単に知られることもなかろう。すまぬな、セリカ…いや、姫様。ずっと、このマイセンがお傍でお守りするつもりだったが、それも叶わぬものとなってしまった。…スレイダーが手を回してくれるとはいえ、わしはこの村を離れるわけにはいかぬのだ。」

 

おじい様…、マイセンが謝罪をしてきた。傍で守れないこと、村から離れられないことを。

 

別に気にしなくてもいい、私は素直にそう思う。逆に私の大切な場所となったこの村を、マイセンが守り続けてくれる。これほど安心出来ることなどない、むしろお礼を言いたいぐらいだ。だから、

 

「謝らないでください、マイセン。私ね、この村でマイセンとユキさん、アルムやみんなと一緒に暮らせて楽しかった。だから…ねぇ、マイセン。これからも、おじい様って呼んでもいいでしょう?」

 

私がそう言うと、…今日初めてマイセンが笑みを浮かべて、

 

「セリカ…。ああ…、勿論だとも。」

 

噛み締めるようにそう言った。

 

 

 

 

 

 

さぁ、新天地へ行こう。そう思って歩みを進めようとした時、

 

「セリカーーーーー!!」

 

遠くからアルムの声が。振り向くと、アルムがいて…、

 

「セリカ!! …セリカ、待ってて! 僕、もっともっと大きくなって、強くなって…。そうしたら、必ずセリカに会いにいくよ! セリカがどこにいても、絶対に見付けてみせるから。そしてその時、二人でユキに会いに行こう! 二人で…、ユキを探しに行こう! だからセリカ、僕のことを忘れないで…!」

 

そう言って、手を振って見送ってくれた。……アルム!

 

「分かったわ、アルム! 私、待ってる!! アルムと会える日をずっと待ってるから…。だから…、さようなら…!」

 

私も大きく手を振って、改めてアルムと別れる。お互い、見えなくなるまで手を振り続けた。

 

 

 

 

 

 

アルムが見えなくなってから、

 

「………ねぇ、おじい様。」

 

共にいるおじい様に聞いてみる。

 

「私とアルムは…いつか、また会えますよね? そして…、ユキさん…。恩人のスレイダーともまた…。」

 

何だかんだでやっぱり、やっぱり少し不安だったから…。そんな私の問いに、

 

「ああ、会えるとも。それがお前達の運命ならば…。」

 

そう答えてくれた。

 

……運命、私達の…運命…。そういえばユキさん、最後に呟いていたな。『神のみぞ知る。』…って。

 

────────────────────

 

一方その頃…

 

ーユキー

 

セリカ達と別れた俺は、一足先に隠れ家へ。旅立ちの準備をテキパキとこなして、スレイダー達を待ちながらイドゥンと戯れていると、

 

「ユキ…、待たせたな!」

 

地上から来ることが出来る唯一の道から、スレイダー達が現れた。イドゥンを撫でながら俺は、

 

「…では作ろうか、…手早く作るぞ。」

 

と言えばスレイダー達が、

 

「「「「……は?」」」」

 

着いて早々目を点にした、理由を知らなきゃそうなるわな。

 

まぁ作りながら理由を言えば、

 

「私の可愛い可愛いミーティアの為だ! 手を抜くことは許さんぞ、お前達!!」

 

「「「勿論です、スレイダー様!!」」」

 

スレイダー以下三人が、気合バリバリで檻を作っております。馬が丸々一頭入る檻、…スレイダーの愛馬であるミーティアが入る檻だ。大陸を渡るのに馬をどうするか? それをイドゥンに聞けば、『檻を作ればいいじゃない。』…とのこと。いつもより大きく変化すれば、檻を運んで大陸を渡るなんて余裕と彼女は言っている。それをスレイダーに伝えれば、

 

「流石はユキのパートナーであるイドゥン殿! 分かっていらっしゃる!! 私にとってもミーティアは最愛のパートナーである、感謝しますぞ!!」

 

と大感激。エンリケ、ラムザ、グスタフの三人も、

 

「「「流石はイドゥン姐さんだ!!」」」

 

とイドゥンを誉め称える、イドゥンも誉め称えられて満更でもない様子。…因みにスレイダー達はイドゥンの正体を知っている、知ってて尚この調子であるから精神がタフな連中である。

 

そんなわけで、全ての準備を終えた俺はエンリケ達に餞別を渡す。エンリケにはナイトキラー、ラムザには速さの指輪、グスタフには鋼の盾を贈る。これで何とか頑張って欲しい、俺とスレイダーが戻ってくる日まで。まぁクレーベなる人物に任せれば、確実に生き残れるとスレイダーは豪語するが。…そんなわけで三人とは別れ、俺達は空へと舞い上がる。目指すはアカネイア大陸、途中…秘密の場所に寄って色々と集めたりしますが。まぁとにかく行きますか、遥かなるアカネイア大陸に! …ちゃんと掴まっていろよスレイダー! ミーティアが心配なのは分かるが、イドゥンが運ぶんだから大丈夫さ!




次話から1章です。

アカネイア大陸へ、そして戦争へ。
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