僕らしからぬ賑やかで騒がしい数日間から少しばかりの日にちが過ぎて、クラスメイト達の噂話も落ち着いて、僕はこれまで通りの日常を取り戻した。尤も、彼女が僕の日常に介入してくる事に変わりはないので厳密に言えば以前の生活とは違う訳だが。
何にせよ、人の噂も七十五日とは言うが他者に関心を持つことも持たれることもない僕についての噂は好都合なことに数日のうちに消え去ったと言える。
これには当人である僕と彼女が明確に声明を出したこと───彼女の返答はいまいちハッキリとしていなかったが──そして意外なことにクラスの人気者である学級委員の彼が「誰かが面白半分で流した法螺話だろう」と言いきったことが大いに関係しているだろう。
ともかくこれは僕にとって良い機会である。このまま彼女と距離を取って「唯の図書委員同士」といった関係まで戻してしまおう。あまり深入りすると僕だけではなく彼女にとっても命取りになるのだから。
そこまで考えて僕は喰種が人道を語る滑稽さに自室で1人、クスリと笑ってしまった。
それに応える様に僕の旧型の折りたたみ携帯電話がメールを知らせて小さく震えた。
僕は彼女の騒がしい笑い声を思い出して顔を顰め、悪い予感を覚えながら携帯を開いた。
ディスプレイに「新着メール1件:山内桜良」と表示されているのを見て僕はいよいよ溜息をついた。
「ねえ、明日からの連休でどこかでかけたいんだけどどこか行くところある?」
「それ僕も行く前提なの?」
返信はすぐに届いた。
「当たり前でしょ〜?キョウコに仲良しだって言ってくれたのは君だよ?」
僕は内心で舌打ちをした。一時の感情で迂闊なことを言った過去の僕の頬を思い切り殴りたくなった。
返信にはまだ続きがあった。
「それで?『仲良しなクラスメイト』君、行きたいところは?」
「特に無いな。君が行きたいところに行けばいい。」
僕は迂闊な発言が思わぬ結果を招くことがあると先程の失態で肝に銘じておくべきだった。
僕のそれにはちょうどいい静かな目覚ましの音でパチリと目を覚まして僕はベッドからムクリと起き上がり、今日の予定を思い出して少し苦い顔をする。
約束の時間には幾分か余裕を持って到着したはずなのに駅前には既に彼女の姿があった。
「おっはよー『仲良しなクラスメイト』君。あれ?荷物それだけ?ま、足りないものはあっちで買えば良いしいっか!」
「え?あっち?どういうこと?」
困惑する僕を見て笑いながら彼女は僕にあるものを差し出した
リアルが忙しかったので遅れました。次の話くらいまではまだ早めに投稿できるはず(願望)
見捨てないで下さい(懇願)