映画効果なのか閲覧数が前回投稿後1時間で100もあって驚きました…本当にありがとうございます。
感想まで頂いて感無量です!
感想と閲覧数と高評価がモチベーションのほぼ全てを占めると言っても過言ではない…
頑張ってこのまま完結まで走り抜けようも思うので宜しく!
「いや〜旅行って楽しいよね!ウキウキする!」
「どちらかって言うと拉致って感じだと思うんだけど。」
「そんなこと言わずにさ!君も本当に嫌なら今日十分も早く来ないでしょ?」
柔らかい新幹線の座席にもたれ、楽しげに笑う彼女に僕は文句のひとつでも言わなければ気がすまなかったがどうやら彼女には届かなかったらしい。
僕は思わず腹の底から大きな溜息をひとつ吐き出し、首をゆるゆると横に振った。
彼女の言う「出かける」が外泊のことだと知っていたなら、僕は絶対に来なかっただろう。
まるで狐につままれたような気分のまま、僕は平静を取り戻そうと鞄の中を探り文庫本を取り出した。
慣れ親しんだ紙の手触りは狙い通り僕の心を幾分か落ち着かせることに成功した。
しかし悲しいことに読もうとした文庫本は鮮やかに彩られたガイドブックに覆われることとなった。
「開いた本の上に物を置くなんて君は悪魔かなにかだね」
「それより旅行中に本ばっかり読むだなんて、勿体ないよ!それにせっかく誘った私に悪いと思わない?」
その発言に関しては非常に不覚ではあるが、後半に関して僕は正論であると感じてしまったので不承不承ながら読書することを諦めた。
結局僕はそれから数時間の間楽しそうな彼女に付き合って到着後の予定を考えることとなった。
「初上陸〜!!」
元気そうに笑う彼女と対照的に僕はこれまでの彼女との会話を経て疲弊していた。
あくまでも精神的なものながら、僕は体に鉛がついているような錯覚すら覚えた。
「う〜ん、ラーメンのいい匂いがする!」
「うん、そうだね」
「なんか気持ちこもってないよね?どうしたの?」
「自分の胸に聞いてみたら?」
「胸?セクハラ?最低だね、私より早く死ねば?」
「道連れにするなら親友さんにすればいいよ」
「親友さん?あぁ、キョウコのこと?嫌だよ、キョウコには私の分も、いやそれ以上長生きしてもらうんだから〜」
そんなくだらない、非生産的な会話をしていると彼女が突然僕の手首を掴んで走り出した。
「どうしたの?」
「ラーメン!ラーメンの香りがする!いい匂い!」
「鼻が腐ってるんじゃない?」
「残念、腐ってるのは膵臓でした〜っと、着いた!」
今度は突然彼女が立ち止まった。
そこには決して大きくは無いラーメン専門店があった。
息を切らしながら僕は言った。
「あのさ、ひとついいことを教えてあげようか」
「なにー?」
「人の手を勝手に掴んで急に走ったり止まったりしたら危ない」
「ああ、そんな事」
「そんな事じゃないよ、転びそうになったんだから」
「それより、お昼はこのラーメン屋さんにしよう!すみませーん」
「ちょっと待って!」
暖簾をくぐる彼女に続いて僕は慌ててラーメン屋さんに入った。
例のごとくとても
くだらない、馬鹿みたいな話をしながら鳥居を潜り、本堂の前に置かれている箱に穴の空いた銀と金の硬貨を投げ入れて僕は彼女の隣で神様に拝んだ…もとい拝もうとした。
何を願おうか、それが目下の僕の悩みだった。
彼女が治りますように?生憎僕は奇跡とやらを信じる程楽観主義者ではないし、何か適切な願いではない気がしてくる。
さて…どうしたものか
その時、僕はこれまでで1番らしくない事をした。
「ねぇねぇ、神様に何お願いしたの?」
「内緒。君の方は?」
「私?『死ぬまで元気でいられますように』って」
「勉強の神様をなんだと思ってるの」
「そんなこと言う【仲良しなクラスメイト】君こそどうなんだね!」
「僕?テストの点数が上がりますようにお願いしておいたよ」
「うっそだ〜」
「人のことを疑う人は誰にも信じてもらえなくなるよ」
「なにそれ〜あ、おみくじあるよ、引こ!」
「初詣以外で初めて引くよ」
「あ、大吉だ。やったね!」
神様はどうやら痛烈な皮肉屋らしい
「君は?」
ブイサインをしたままの彼女が僕に聞いてきた。
「吉」
という短い返事に彼女は勝ち誇って笑った。
「あ、そうだ、この近くに美味しい甘味屋さんがあるの、行こうよ!」
「君は本当によく食べるね」
「前も言ったでしょ!食べたいものを食べたい時に食べるの!さ、行くよ!」
草舟は結局のところ激流には逆らえず、押し流されるだけなのだと痛感しながら僕は彼女を追いかけて走りだした。
〜おまけ〜
主人公のおみくじ
「吉」
待ち人直ぐに来る
大切なものをなくす
学業順調に進む
桜良のおみくじ
「大吉」
待ち人直ぐに来る
病、やがて治る
幸多く訪れる
※僕の想像なので原作、及び本作品の本編には全く関係ありません
追記:主人公が神様に願った内容はご想像にお任せします