ちょっと無理やり感があるかなぁ。
『ハァイ、みんな!シェリル・ノームよ!』
シェリルのMCが始まった。
堂々としてるその姿に観客はみんな集中している。
もちろんあたし達もだ。
『今日は私のファーストライブに来てくれてありがとう!
私のデビューソング【射手座★午後九時Don't be late】どうだったかしら?」
サイコー!
よかったよー!
そんな声が観客達から返される。
そこには最初のインパクトだけじゃない。
あいつの歌声の魅力に魅せられた素直な想いを感じざるを得なかった。
『ありがとう、みんな!』
シェリルがとびっきりの笑顔を見せる。
あの笑顔にはあたしもやられたな。
するとシェリルがちらりと舞台袖を見る、何かの合図を送ったみたいだけど?
『みんな、もう一曲、付き合ってくれるかしら?』
ざわめく会場、隣の凛も加蓮も、もちろんあたしも二曲目があるなんて事は知らされてない。
驚いた顔を浮かべてたあたしをシェリルがちらりと見てドヤ顔をする。
あいつぅ。
観客達の目は期待に満ちている。
満足げに頷くシェリル。
「ありがとう。それじゃあ、聞いてちょうだい。
【ダイアモンドクレバス】」
スピーカーから流れてくるのは静かな、優しい音色。
先程とは真逆の曲調にみんな驚きを隠せない、だけど...
『−−−−♪』
「!!」
会場に響きわたるシェリルの歌声。
それはあたしの心をいきなり掴んだ。
それは、あまりにも綺麗な、儚げな、優しい歌声。
観客達も一気に引き込まれた。
なんだよこれ、なんなんだよ。
胸が締め付けられるような、そんな気さえする。
普段のあいつを知るあたしでさえ、
いや、あたしだからかな?
ふと、隣の加蓮の顔を見る。
「・・・・・・」
加蓮の目からは涙が流れてた。
おいおい、なんだよそれ。
曲が、進むにつれて、あたしの目も潤んでくる。
そして、
サビに入ったその瞬間、
『−−−−−−−♫』
優しい音色が響く中奏でられる、力強く厳かな、もはや神聖ささえ感じる歌声。
あぁ、シェリルはやっぱりすげぇよ。
認めざるを得ない、あいつの凄さを。
ステージの上で歌うその姿は、まるで...まるで...
「・・・・妖精」
ファーストライブは大成功、なのかしらね?
全ての曲を歌い終え、みんなの大歓声を受けてライブは終了した。
何人かの人は、泣いてたわね。
正直、嬉しかった。
私の歌が、みんなに届いて。
今私はスタッフさんたちと一緒に片付けを終えて、誰もいないステージの上に立っている。
あと少しで降りなきゃいけないんだけど、だけど。
二曲目についてはもしもの時にと、こっそり練習しておいてよかったわ。
奈緒の驚いた顔も見れたしね。
プロデューサーにも、感謝しないとね。こんな素敵な舞台を用意してくれて。
奈緒達にも、お礼しないと、しないとね...
「シェリル」
私を呼ぶ声に振り向く。
そこに居たのは...
「ハァイ、奈緒。みんな!」
奈緒、凛、加蓮。
お馴染みの3人だ。
「あれあれ?シェリル、泣いてるの?」
加蓮が意地悪そうに聞いてくる、って。
「なっ、泣いてなんかないわ!」
慌てて目元を拭う。
「泣いてるじゃん」
凛にまで指摘される、うぅ...
「そっ、そんなこと言ったら、3人とも目が赤いわよ!」
うっ、という顔をする3人。
「なっ、泣いて悪いかよ!!」
奈緒が逆ギレした!
「ぷっ、」
奈緒のいつも通りの感じに私は、
「「ふふっ」」
凛と加蓮も、
「「「あはははは!!」」」
思いっきり笑いだしちゃった。
「なっ、なんだよ、笑うなよ!笑うなよぉぉぉぉ!!」
「なにはともあれ、お疲れ様。シェリル」
「ありがとう」
奈緒をいじっていつもの感じに戻った私達。ほんと奈緒には感謝ね。
「お前、失礼なこと考えてないか?」
「気のせいよ」
みんなして私のライブのことを褒めてくれた。すごかった、綺麗だったよってね。
そうしたら、奈緒が。
「正直に言うと、マジですごく良かった。本当、どうすりゃいいだよって。こんなの勝てねぇよってくらいさ。」
「奈緒・・・」
いつもの奈緒らしくない、弱々しい言葉。
あぁ、プロデューサーが話してくれた、上に反対されたって言うのはこう言うことなのかなって思っちゃった。
だけど...
「だからこそさ。あたし達も、頑張らねぇとなってさ。」
・・・え?
「そうだよね。あんな凄いの魅せられちゃったらさ。」
加蓮・・・
「私たちも、もっと、頑張れるって。」
凛・・・
「だからさ、シェリル!」
奈緒・・・
「ありがとな!サイコーのライブだったぜ!!」
・・・・・・
私は3人を思いっきり抱きしめる。
「わっ」「なっ」「おうっ」
「ありがとう。大好きよ!!」
こうして、私のファーストライブは大成功に終わった。
私はこの日のことを決して忘れない。
アイドルとしてのスタートラインたるこの日を、
親友達との絆を確認できたこの日のことを...
シェリルの曲はどれも好きです。
だけど、文章で表現する力が僕には余りにも足りない。
悔しいなぁ、悔しいなぁ。