「まったく、反撃すらできないなんて……自分で自分が認められないわ。しかも、理由がただ相手の体力が尽きただけとか。なんともやりきれない……」
「…………ごめん」
現在、アミカの愚痴に付き合ってあげてるエネミアです。
みんな、元気にしてましたか?私は寝込んでました。
今、私はベッドの上で横になってアミカの話を聞いていた。
あの時、能力解放の反動で気絶した私をアミカが背負って帰ってくれたらしく、現在意識が戻ったため、アミカと先の能力解放について話していたのだ。話の内容に愚痴が多分に含まれていたとしても、私の所為だからという事で一応、納得している。でも、流石に長いと思う。
「コホン。……まぁ、愚痴はここら辺にしておいて、やっぱり貴女気力とも魔力とも違う力があるみたいね」
「…………そうなるね」
アミカは私の無言の不満を察したのか、愚痴が止まらなくなりそうな所で、空気を変える為か、わざとらしく咳を一つして話題を変える。あのまま愚痴を続けられると応えるので、私は話題に乗った。
「貴女の背後から鎖が現れた時はビックリしたわ。アレ何?異能?」
「………そんなもんかと。でも、ずっと巻きついて離れないんだよね」
「何それ?どういうことよ?」
「なんというか、あのね……ーーーーー」
アミカの疑問に自分の感じた所感を話すが、簡潔すぎてあまり通じなかったらしく、さらに細かく説明してみた。
「なるほどね…………。つまり、あの鎖が常に巻き付いてるから、いつもはあんなに弱いと。
タダの言い訳に聞こえなくもないけど、そうじゃないのはわかってるし。普段の貴女の貧弱っぷりは異常だからね」
「納得のされ方が、納得いかない」
「それにしても、魔力や気力を封じる鎖…………いや、身体能力も封じてるから、もしかしたら『力』と定義されるモノ全てを縛ってるのかな?」
『力』という概念を縛る鎖ーーーー
なるほど、私の中で微妙に納得のいかない感じがするが、的を射ているとは思う。
だとすると、筋力も一つの力。身体能力が縛られても当然か。
あれ?だとしたら、魔力、気力はゼロだったのになんで筋力は弱体化してるのはいえ残ってるんだ?
「魔力と気力はゼロだったのに筋力は残ってるのはどうして?」
「それを私に聞くか……?まぁ、考察はできるけど。
『力』を縛る鎖だって、貴女の『力』だから自分も縛っていて完全じゃないとか?」
「それじゃ、本末転倒」
「確かに、その意見だと鎖が鎖本体を縛っているようなモノだし。それじゃ意味ないし、鎖がある理由も無いからなぁ。
あくまで、〝縛るモノ〟であって、封印するモノじゃないからとか?」
「それだったら、魔力とかが説明つかない。………後、鎖は繋げるモノでもあるから、一概に縛るモノとは言い難い」
実際、縛るだけなら縄で事足りる。
鎖があるのは鉄の硬さから縛った存在が抵抗しづらいというのもあるが、実際その用途は、手枷や足枷に繋げて自由を奪うなどと言った、拘束というよりも、拘束具の一部品といった扱いが多い。その時、枷に繋げるのは効率良く動きを阻害する為に壁や地面に打ち付けられた棒などの固定されたモノが多く、鎖とは、その『固定されたもの』と枷などの『縛るもの』を〝繋げる〟ものなのだと思う。
と、今はそんな事考えても意味はないな。
そんな感じで何度か脱線しながらも、うんうんと唸って二人で考察をしてみるが、色々わからない所が多すぎる。
アミカだけではなく私も何個か意見を出してみるが、それはアミカに、時には自分自身の意見によって矛盾が見つかってしまう。
そうして、二人で何時間も頭を使い唸った頃。考えるのが苦手なアミカの限界が来た。
「ああ〜、もう!!わっかんないわよ!!そもそも、わかる筈が無いでしょ!情報も何もかも不十分なんだから!」
「………でも」
「もう、単純に鎖自体が
「ーーー!!」
あっ、そういうことか。
「あれ?どうしたの?エネミア」
「確かに、アミカの言う通り。鎖だって私の『力』。『力』は使われなくちゃ意味がない。筋力まで全て機能しなくなったら、声も出せないし、そもそも体を支えられない。そんな主人に『力』を使う事なんて無理だし、〝手加減してる〟っていう事はありえる………かも?」
実際、筋力を無くす事によるデメリットは計り知れない。だとすると、手加減するという結論が出せる程度の意思があの鎖には宿ってる事になるが、私の中の直感がそれは間違っていないと告げていた。
「えぇ……、私そこまで考えてなーーー」
「流石アミカ。私のライバル。荒削りではあるけど、土壇場で的を射た結論を出す」
「いや、待って。あのね?」
「私も負けてられない。ここから考察を発展させて、必ず全貌を突き止める」
「あのーーー」
やっぱり私のライバルは心技体共に最高である。
まぁ、私自身がそうだから当たり前だしそうじゃなきゃ張り合いが無いけど、だからといって褒めない訳じゃない。
そもそも、この鎖は私のフェバルとしての能力………だろう。多分。
つまり、フェバルに関係する事である以上、私がフェバルに対して無知である事は少なからず影響するだろう。実際、フェバルの能力といっても、現状本当にフェバルに固有能力があるかもわかってない状態なのだ。
フェバルの能力そのものに意識がある可能性もありえなくは無い。
もし、フェバル能力に意識が無いのが普通だとしても、能力によっては意識が生まれる事もあるのかも知れない。
そんな無限の可能性の中の一つでしか無い結論だけど、間違っていないと私が確信できるのなら今はそれでいいだろう。
「よし。全貌を掴む糸口を掴めた所でそろそろ、起きてお店に行こう。クルシュさん達が待ってる」
「ーーー……え?ああ、そうね……」
そう言って、私はベッドから出て部屋の入り口に向かって足を進める。
だが、部屋の入り口のドアに手をかけた時、何故かアミカが固まっている事に気がついた。
「アミカ、どうしたの?行くよ?」
「ああ、うん。先に行っといて……」
「………?わかった」
そうして、私は部屋から出て一階の食堂に戻り、大分体力も回復して来た事からクルシュさんに挨拶した後にお店のうぇいとれす業に戻る事にした。
(ヤケクソで言ったのに………)
尚、その後の部屋でアミカが自分のテキトーな発言に対して付けられた高い評価に戸惑っていたのを、エネミアは知らない。
鎖は縛るモノじゃなくて、繋げるモノ。これは、私の持論です。
あまり、大袈裟に捉えてはいけません(´・ω・`)