[DEAR]~貴女と居た季節~   作:金宮 来人

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どうも、作者です。
新しく上げる物は仮面ライダー物と言いましたが、
こちらが先に完結してしまったので、あげる事にしました。

また拙い話かもしれませんが、
お付き合いお願いいたします。


01 終わりの始まり

俺は織斑一夏。第2回モンドグロッソの会場のドイツに来ている。が、誘拐されてしまった。理由は、姉の織斑千冬の優勝を邪魔するためだった。

 

今から数年前、知り合いでもある篠ノ之束が世界にインフィニットストラトス、通称ISを発表して、ソレを世界に広めた。欠陥として女性にしか動かせないという物が有ったがそれでもそれは、その欠陥を補うほどの魅力が有った。世界中の今までの通常兵器を差し置いて最強の兵器とも言えるほどの力を示した。

白騎士事件、日本にミサイルが世界中から撃ちこまれたが、一機のISによってソレを全て落とした。開発者として篠ノ之束が世界に名を広めたが・・457個を最後に世界から姿を消した。雲隠れした理由は飽きたから。どうにも束さんらしいと当時は笑った。

 

今から数年前、第一回のモンドグロッソ。開催国はイタリアだ。その大会の会場近くのホテルに俺は居た。

そのISの大会に俺がなんで来ているかと言うと、姉の織斑千冬が世界一になるその大会に出場しているからだ。そして、その日は決勝戦が始まるのだが・・今朝から調子が悪く、会場に行けないほど体がしんどい。そう言う事で残念ながら会場ではなくホテルの部屋から応援する事になった。会場で倒れてしまえば逆に姉の負担になるからだ。

そして、千冬姉は優勝をした。テレビでインタビューに勝利を誰に伝えたいかと聞かれて、

『今日、調子を崩してホテルに居る唯一の家族の弟に。一夏、勝ったぞ!見ているか!?』

そう言っていて恥ずかしくなったが、同時に嬉しくもあった。

まぁ、その言葉が帰国後から女子から嫉妬で嫌がらせを受ける原因にはなったが、それでも嬉しい事に変わりはない。

そして、帰るころには少しは楽に成り帰国する事に。おそらくは初めての外国や飛行機で疲れが出たんだろうということだったし、しばらく休んだら治ったので安心していた。

そして、帰国後も今まで続けて来た剣道を続けていた。途中、束さんの妹で幼馴染の篠ノ之箒が引っ越す事になり、寂しい思いはしたが、それでも剣道は続けた。自身が昔から思っていた姉の背中を見て感じていた、『誰かを守るための力』を得るために。千冬姉に真剣を持たされた数年前、その時に言われた言葉を忘れてはいない。

『コレが命を奪う物の【重たさ】で、【冷たさ】だ。良いか?軽いものじゃないのは分かるだろう?命とはさらに重いものだが、奪ってしまう時は実に軽い事で奪ってしまう事が有る。だが、ソレを背負うとたちまちに重くなるという厄介な物だ。・・命は尊い。だからこそ、忘れるな。』

その言葉を胸に生きてきた俺にとってそこで剣道をやめる事は自身を否定するような気がした。姉の負担にならないように、簡単な仕事やお手伝いをしてお小遣い程度のお金をためながらも、自転車で隣町の剣道場まで通った。その頃から、少しずつ・・歯車がくるって来ていたのだ。後に知る事になるがその当時の俺はソレを知らなかった。

 

そして、第二回のモンドグロッソ。今回は体調がいいので会場に行く事になった。しかし、その途中で急に周りを警護してくれていたSPが居なくなったと思ったら、車に無理やりに乗せられ、会場から離れた廃工場に連れてこられた。手足を椅子に縛り付けて座らされている俺には抵抗するすべはなかった。途中に抵抗したら殴られて、気が付いたらここに居たのだから。殴ったのは男たちだったが、此処には女性しかいない。

明るい色の髪の長い、目つきの鋭い女性が俺に気がついて目線を合わせるようにして話しだす。

「さて、さっきてめぇの姉の出場を阻止するために脅迫電話をかけさせてもらったぜ。『織斑一夏を預かった。返してほしけりゃ出場するな。』とな。どうやらウチにソレを依頼したお国のお偉いさんは相当に日本が嫌いらしく、織斑千冬が二回も優勝するのが我慢ならんらしい。という事で、誘拐されたんだよガキ。分かったか?」

「分かった‥けど、それは千冬姉に直接言ったの?」

「あ?いや、もう控室に居るから電話を切っていたようだからな。日本政府に電話したぜ?」

「・・じゃあ、・・それは千冬姉に伝わらないかもしれないよ。」

「あぁ?どう言う事だ!?」

椅子ごとつかみ上げられているが俺だって小学六年。そこそこ重いのを持ち上げるとはすごいもんだ。

「俺は前の大会から嫉妬を受けている。女子からも嫌がらせを受ける事が有った。日本の象徴みたいになった千冬姉の弟という事がうらやましいと。そして、それが男なのが許せないと。」

そうじゃない女子もいる。言葉がうまく喋れなくて虐められていた彼女から、俺にいじめの対象を移し替えて守った事もある。それから仲良くなった中国からの転校生の凰鈴音はそんなことはしないし、昔と立場が逆転して、気がついたら俺を守ってくれるが・・。それでも、時には学校帰りにすれ違う女性から叩かれる事もあった。突き飛ばされて壁に背中を強打した時には心臓のあたりが痛くなる様な事もあった。

「だから・・もし政府の人間が女性なら・・」

そう言ったらもう一人のモニター前に座っていた金髪の女性が慌てたように立ち上がる。

「大変よ!オータム!!織斑千冬が出場したわ!作戦は失敗よ!!」

「マジか、クソ!!・・お前の姉がお前を見捨てたんじゃないよな?」

そう言われて首を振る。

「そんな姉じゃないと思うけ・・ど!?」

言っている途中で急に胸が痛くなった。違う。苦しい!痛い!胸じゃなくてもっと奥が痛くて苦しい。言葉が続かず、もがきたいのに手足が縛られて何もできない。

「おいおい、暴れるんじゃないぞ、ガキ。」

そう言ってさっきの目つきの鋭い方が俺を抑えるがこっちはそれどころじゃない。胸が痛くてまともに呼吸が出来ない。

「あぐっ、・・はぁ!?ああぁぎ・・ぐぐあぁ・・」

縛られている手足を動かそうともがく。胸が、心臓が痛くて、暴れた俺はとうとう椅子ごと倒れる。

「お、おい、スコール!コイツ様子がおかしい!」

「織斑一夏くん?聞こえる!?」

声をかけられて名前を呼ばれるがそれに答える声は出せない。痛い、苦しい、それしか言葉が浮かばない。

「あがあぁぁぁぁああ!?」

とうとう俺は叫ぶ。痛みが耐えられる限界を超えた。そして、俺は気を失う。

直前に見た光景は二人が慌てて俺を縛っている椅子から解放する所だった。

 

意味が分かんねぇ!?行き成りもがきだしたと思ったら呻いて、叫んで気絶しやがった。どこがどうしたのかも答える事も出来ないようだった。

「分かるかスコール?」

「流石に私も医学に精通はしてないわ。・・日本政府は信用ならない事が分かっている。なら、ここから会場警護のドイツ軍に連絡を入れるわ。『子供が攫われる現場を会場外で見て追いかけた。攫われた少年は廃工場に居る。』と匿名で伝えればいい。オータムは逃げる用意をして、私は連絡。良いわね?」

「分かった。」

織斑一夏をその部屋のソファに寝かせる。外にある車に荷物を運び、戻って来ると連絡を終えたスコールが自身の手荷物を持って出る用意を済ませていた。

「いくわよ。長居は無用。・・彼が心配だけどね。」

「あぁ・・一体何だってんだ。」

スコールと共にドイツ軍が来る前にそこを後にした。

 

目を覚ますと会場の救護室に居た。聞くと、ドイツ軍に匿名の連絡が有ったとか。おそらくあの二人だろう。最後に見た光景から、そう推測した。そこまで悪い人じゃないようだったし、男には殴られたけど、あの二人からは何もされてないし・・話してる時には同情的な目もしていたし。千冬姉に心配された。手を握って引っ張ってもらい、だるい体を無理に起こして話をする。

「それでお前を攫った奴等はどんな奴だった?」

「黒い服のグラサンをかけたごつい男が数人。抵抗したら殴られて気絶してた。」

二人の事は隠した。俺も、いくら誘拐犯でも心配された相手を言うのは気が引けたからだ。

「分かった。車は?人数とか分かるか?」

「バンタイプの車。多分、この国の車だと思うけど・・良くわかんない。急に連れ込まれて殴られたから。」

「・・そうか、それじゃ仕方ないな。何か特徴的な事はなかったか?」

「分かんない。殴られて・・今まで気絶してたし。」

千冬姉が心配すると思った俺は痛みで気絶した事を黙った。何かあれば日本で病院に行けばいいと思ったから。・・本当は何かあると怖かったから。

一応、軽い検査をされたけど、薬とかは検出されなかったし、殴られたとこも少し内出血を起こしていただけだった。後は縛られた跡が有るという事だけどそこがすれていたという事だけで、そのまま診察は終わった。

日本に帰る事になったのは俺だけで、千冬姉は、俺を捜索に出てくれたドイツ軍にお礼で半年ほど教官をする事になったらしい。寂しいけどいつも通りに過ごす事にした。たまに、鈴の親が様子を見に来てくれたりした。夕食を作ってくれたり、お泊まり会をしたりと、楽しく過ごしていた・・。そして、小学校卒業の日の前日から千冬姉が帰ってきてくれた。その晩は俺が料理を豪華にして用意した。

 

翌日、卒業式の当日の朝・・俺は倒れた。すぐさま千冬姉が抱えて近くの病院に行って精密検査が行われた。そして、検査の途中に判明したことから緊急手術が行われる事に。

胸部を開いて臓器の一部を摘出、そこで手術は終える事となった。そして、目が覚めて数日、俺は絶望を知る事となる。

 

「織斑一夏さん・・余命は後五年。それも希望的観測ですが・・。五年もたない可能性もあります。」

 

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