[DEAR]~貴女と居た季節~   作:金宮 来人

13 / 21
クラス代表戦、期待されてる人はいるか分かりませんが、ゴーレムは出ません。だって、一夏をどうこうする必要が有りませんから。

では、本編へどうぞ。


13 クラス代表戦当日

アレから少し経ち、クラス代表対抗戦の日になった。

色々とあった事が分かって二組の生徒がクラス代表を交代してほしいと土下座して願ったらしい。理由は、一組のオルコットをボコボコにノしてほしいと。その理由を聞いた鈴は初め、クラスに怒鳴り込んで来た。そして、暴力沙汰になりそうになった所を俺と箒で取り押さえた。そして、クラス対抗戦で本気で叩きのめすと言う事になった。そう言う理由から二組のクラス代表は鈴に変わったと言う事だ。

一組クラス代表のセシリア・オルコット、二組代表の凰鈴音、三組代表の立花朔夜(たちばなさくや)、四組代表の更識簪、五組代表のレイシー・モルガンの五人。総当たり戦かリーグ戦かで悩んだが、更識簪が棄権を宣言。理由は専用機がまだでき上がっていないから。訓練機でいけばいいという意見もあったが、【日本の第三世代機をつくる作業は最終段階にまで来ているので、大会当日の試合の時間も開発に充てたい。】と言う理由から許可が降りて棄権は認められた。学年別トーナメントに出場する事が条件で、それには間にあう目処が有ることからも、受け入れられた。

そう言う理由から四人のリーグ戦という事に。

一組対二組、三組対五組という形になった。

第一回戦、一組セシリア・オルコット対、二組凰鈴音。

それでまぁ、いうなら一方的な展開になった。開始直後から、第三世代兵器の衝撃砲を最大にまで砲身を絞って、威力を圧縮した状態で顔面に何発も喰らわせて行く。銃で隠しても両手の武器である青龍刀を合体させて、ソレを投擲してぶつけて防御を崩す。そして、執拗に顔面に衝撃砲をくらわせて行く。

『そらそらそら!!一夏に嫌がらせしたんですって!?ソレを見て笑っていたんですって!?そんな自分が上に立ったと思っていたんですって!?ならその小奇麗な顔を潰してアタシがアンタを笑ってやるわよ!アンタに勝って上に立ったと思って高笑いしてやるわよ!アンタがした何倍にも返してやるわよ!!だから・・』

そう言って急に射撃をやめたと思ったら急加速で至近距離まで近づいて、

『だから!!ぶっ飛んでみじめな姿をさらせや!!ごらぁ!!!』

先ずはそのままの加速を腹に叩きこみ、そこから下った顎に下からの掌底で顎を弾きあげて脳を揺らす。そこから脇腹に回し蹴りを入れて、反動で体を逆回転しながら逆の脇腹に肘を打ち込む。オルコットの顔が苦悶に歪んでいるのを見て、鈴は笑った。

『ねぇ?痛い?痛いわよね?そうでしょう?そんな顔をしてみっともないとアタシは笑ってやるわ。一夏がされた何倍もの分、一夏が怒らない分、アタシが何倍にもして返してやるわよ!!さぁ、まだまだ行くわよ!!』

また衝撃砲を使うが今度は至近距離だ。左右から殴られるほどの衝撃を連続でくらい、オルコットの顔は左右に揺れるだけ、おそらく顎をやられた時に脳震盪起こしている分で上手く動けないはずだ。つまりは唯のサンドバック状態。

『コレで・・終わりだあぁぁあ!!』

最後に分解して両手にした青龍刀を振り下ろす。その際に衝撃砲を剣の峰に当てて威力と速度をあげた。ソレを喰らいながら地面にまで叩き落とされたオルコットは気絶して、SEも切れていた。絶対防御が発動したらしい。どんだけ威力込めたんだ。

二回戦は三組が辛勝で勝利したが、鈴との勝負は棄権。鈴と戦いたくないんじゃなく、辛勝だったため精神的にも疲弊して連戦は無理とのことだった。そう言う理由から、一回だけ戦ってストレス発散しただけで優勝した鈴は後に、

「アタシはムカつく事はムカつくってはっきり言うわ。だから、相手してほしけりゃ言いなさい。女尊男卑も男尊女卑も、人種差別も大っ嫌いだから。あの淑女(笑)みたいにしなけりゃアタシは友達大歓迎よ。」

あだ名が御姉さまになりかけた。まったく淑女じゃなくてじゃじゃ馬だがな。

寧ろ姉御や、アネさんって感じの気質だが、頼りになるのは確かだ。

そして、俺の事で恨みを晴らしてくれたと言う事で俺は鈴に料理を御馳走した。鈴が好きな日本料理や中華も揃えたが、叔父さんにはまだ届かないと言われた。

箒も一緒になって食べたがそれでも余ってしまいそうだったので、千冬姉と宏樹さんを呼んで一緒に食べた。最初は千冬姉を気にしていたが、前ほど尖ってなくて宏樹さんの前でまるい性格の千冬姉を見たせいか、驚いていた。

その後、箒と鈴がこっちに熱っぽい視線を向けていたが気がつかないふりをして洗いものをした。そして、それぞれ好きに飲み物を飲みながら千冬姉と宏樹さんの話を二人が聞いていると消灯時間になったので解散になった。

 

こんな楽しい日が続けばいいのに・・。

 

今日出なかったクラス代表戦。クラスのみんなには悪いけど今の私には一分たりともこのデータを無駄にする気はない。

アレだけ嫌っていた更識の力を使って全て調べた。彼の経歴、そして、通院歴。カルテ、病状、治療法、手術歴、それから学園内で保管されている、彼の診察カルテ、元々一緒の人が書いていた。保険医の藤岡宏樹さん。彼が発症した時の病院で研修医時代からの付き合いで現在主治医。日夜、仕事と他にその病気の治療法を研究している。

すべて分かった今、この命がかかったデータをすべて使いこの機体をいち早く完成させて第三世代量産型の足がかりにしなければいけない。彼の為に・・。私の為に、後に続く人達のためにデータを取る事を優先して文字通り命を削っている彼に報いるために。

倉持技研の人を呼んで最終調整に入って、所長の篝火ヒカルノさんが一番に引っ張ってくれている。後は武装と、実際の稼働データが有れば完成するまでこぎつけた。授業は後からレポートを提出する事になっている。そう言ってどうしても私は完成に力を注いだ。

「簪君、気を張り詰め過ぎだ。無理してるんじゃないのかい?」

この人は事実を知っているのかは分からない。彼が命をかけている事を知る私はそれに首を振る。

「私よりも頑張っている人がいます。その人に報いるためにも私は立ち止まれない。」

「・・。そっか、分かった。でも、無理はしても良いが、無茶は駄目だ。少しくらいの休息は取りなさい。ソレは報いる事に反しない。少し休んでまたペースをあげて作業すればいい。じゃないと完成まで持たないからね。」

「・・・分かりました。少し休憩と、シャワーに行って来ます。」

「うんうん、女の子が油と汗の匂いじゃどうかと思うからね。少しくらいシャンプーの匂いさせて色気出しなさいって。」

「ソレは今必要ありませんがね。」

そう言って私は整備室を出て歩く。すると、廊下の端で窓から彼が空を見上げていた。

「・・何をしているの?」

「・・空を見てた。鳥を、雲を、成層圏を。俺達の乗る機体のその目的地と名前の元になった先を。」

そう言って振り返る。

「初めましてかな?君は?・・見たことあるような気がするんだけど・・。」

「私は更識簪、貴方が取っているデータ、日本産の第三世代機の機体の操縦者で、日本代表候補生。生徒会長の更識楯無の妹。」

「そっか、それで誰かに似てる気がしたのか。顔は確かに似てるかもしれないけど雰囲気が全く違うから結びつかなかったのかな?俺は知ってるだろうけど、織斑一夏。君の機体の元データを取っている事になっているな。元は男が動かす事でデータに差異が有るか調べるのがメインだったんだが・・どう?役に立っているかな?」

「もう、最終段階も大詰め。兵装は技研で作って届くし、後は自機の稼働データをもとに調整がほとんど。ここまで早かったのは貴方のおかげ。」

「ソレは良かったよ。頑張ったかいが有った。何か残せる物が有るっていうのは良いな。」

「・・!」

何気なく行ったその言葉は《死を覚悟している》言葉だと確信した。

重みが違った。

想いが違った。

願いが有った。

ソレを感じた。

実感を込めて行ったその言葉は私の心臓に想いを届けた。だから私は言わなければいけない。絶対に言おうと思っていた言葉。

「貴方のおかげで、今の私は居る。だから・・ありがとう。」

そう言うと眼を見開いて驚いていた。初めて見るその表情は少しかわいく見えた。普段は整ったかっこいいと言える顔しているのにその顔を見た後はおかしく思えた。

「そっか・・じゃぁ、どういたしまして・・かな?」

そう言って笑った彼の笑顔は何処までも柔らかく、優しく・・

 

儚くて消えそうだった。

 

 




前書きで書きましたように、亡国機業も一夏が病気であるだろうという情報は手に入れれるでしょうし、そのデータを使ってどうにかする方法は難しい。第三世代でもない機体は別に必要でもない。束さんはそもそも一夏をこれ以上苦しめる気はない。
ならば、亡国機業も束さんもゴーレムを送る必要はなく、性能実験なら他の設備でする方がいいし、亡国機業が第三世代機を盗む事を狙う方が容易ですからね。

後は鈴ちゃんの本気モード炸裂。仕方のない自業自得です。
別に作者はセシリアが嫌いなわけじゃありませんよ?
別に好きでもないですが。
あのような発言をして置いて謝れば済むと思っているのか、手のひら返しで好きになったとか、正直精神状態を疑いますが…。
私的には無関心で、関係なく過ごして居たいタイプですね。
好きの反対は無関心だと思う派です。
そして、一夏と簪の初対面。姉妹揃ってその生き様に驚くばかりです。
この作品の一夏は、強く、優しく、そして儚い。そんな一夏です。

では、また次回。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。