物語は佳境へと進み、
時間は減っていく。
残された時間は一体どれくらいなのか・・。
それでは、本編へ、どうぞ。
タッグトーナメント当日になった。
俺とラウラは作戦を練ったり、一応の訓練をしたりしたが・・やはり俺が弱いためラウラの足を引っ張る事になっていた。ソレを謝ったら、
「そんな事よりも、今までの成果を出す事が必要なんだろう?ならば、頑張るしかあるまい。」
と言われた。それで俺は何とか体に鞭打って、国家代表候補生の専用機相手でもせめてもの抵抗は出来るくらいまで頑張った。オルコットは確かにそうだったが、そもそも初見だった事もあり何とか相手できた位だ。勝った事がおかしい。それにもう本気で掛って来るだろうから俺も瞬殺されかねない。まぁ、鈴が一位になるような気もするがな。箒と仲良いし連携ばっちりらしい。
因みにISには乗っていない。だって、下手に発作が起きたらいけないから。織斑先生の許可が出ないからという事にして連携の訓練も話と生身での動きをメインだ。面倒でも死にかねない事案だからしょうがない。
今回は千冬姉・・織斑先生と藤岡先生がピットにスタンバイする事になっている。名目はすぐに男性操縦者のデータ解析のためと身体データ取得のため。本当は発作が起きた時にすぐに対応できるようにだ。
そして、第一試合・・実は俺達と鈴のペアが初めだ。どうやら専用機同士で当たるように仕向けたらしい。潰しあえという事か。なかなかに悪どいが‥まぁ、仕方ない。やれるだけやるしかない。
そして、戦闘準備でピットへ。予定通りに藤岡先生と織斑先生がいた。後は事情を知っているであろう政府の役員と技術者。俺が発作を起こす事は知っているらしいので面倒はなるべくかけたくは無いが、もしもの時はやっかいになろう。
「一夏、準備は良いな?」
「あぁ、なるべくあがいて見せるぜ。」
この試合でも、運命からも・・。
「良い返事だ。私は鈴をお前は箒をやれ。お互いに力量は五分。後は運と根性だ。」
「軍人さんが言う様な言葉とは思えないな。作戦通りにやればうまくいくとかじゃないのか?」
「ソレをぶち壊すのが鈴だとお前が言ったのではないか。」
「そうなんだよな・・あの破天荒。ま、臨機応変ってやつで。」
「分かった。」
ピットから飛び出し、構える。
「一夏!覚悟は良いわね!?」
「一夏!覚悟しておけ!」
「・・二人とも俺ばっかりかよ。勘弁してくれ。」
「ふふん、私を忘れてもらっては困るぞ!!」
そう言い合い試合開始のブザーが鳴る。
「先手必勝!!はあああ!!」
そう言いながら箒が突っ込んでくる。
「甘い!迎撃してやる!」
ラウラが俺の前に来て構える。
「甘いのはそっちよ!!箒!U!!」
「応!!」
そう言って箒が急上昇。そこに鈴の衝撃砲が飛んできたらしくラウラは驚いて思いっきりくらってしまう。
「はあああ!!」
そして上から箒が剣で攻撃して来た。俺はとっさに体をまわして回避。そのまま横薙ぎにして剣を振り、振り下ろした後の箒に一撃を入れる。
「くぅ!?やるな一夏!!」
「こっちに来るなんてな。ラウラが二人まとめて相手できるくらいの力が有るから、安心しきってたぜ。」
「だろうからのあの一撃だ。見事に分断してやっただろう?鈴とラウラはいい勝負の様だ。私達もおおいに戦おう!はぁ!」
「くっそ、なかなか効くぜ、この戦法。あまり乗れない俺は不利過ぎるな。」
「専用機を持っている癖に良く言う!」
「性能的には少し速度の出る第二世代と一緒だよ。剣では負けそうだから銃を使わせてもらうからな!はぁ!!」
俺はライフルと剣で箒を放す事に成功する。しかし、箒もライフルの弾を剣で切るという離れ業を使いながらじりじりと近づき俺に隙あらばすぐに斬りかかって来る。お互いにじりじりとSEが減って行き、鈴とラウラも同じようになっていた。
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「くそ、思った以上にやるじゃないか!鈴!!」
「そっちも、本当に噂以上ね!まったく、・・一夏もなかなか倒れないからじり貧だわ!おっと!?」
「くそ、後少しでAICの範囲だったというのに。」
「それ知ってて近付くわけ無いわよ。アタシも中距離戦が得意なの。お互い、キッチリと勝負は付けるわよ。でも、それは箒が一夏を倒してからね。それまではじりじり行かせてもらうわよ?」
「陰険な女だ!ふん!!」
「おっと!?あはは、なんとでも言いなさい!」
「むぅ、キレやすく直情的と聞いていたが・・」
「まぁ、間違いじゃないわよ?それ以上に勝ちたいだけ。目的が有ると強くなれるのよ?」
「知っている。私もそうだった。そして、今も強くあろうとしている。今だ!」
「なに!?うあぁ!?」
その声は見事に届いて意表をついた。鈴の背中に三発とアンロックユニットに二発。片方の龍砲を破壊させていたのは、一夏が放ったライフルだった。
「さて、同じように考えていたようだが、こっちが少し上手かもな?」
▼
ラウラから言われた俺は箒に向けて数発撃つ。しかしそれは避けられる。それはそうだ、甘いコースだから簡単に避けられる。本当の狙いである鈴の背中に向けて撃ったのだから。
『うあぁ!?』
と叫び声が上がり、片方のアンロックユニットが破壊された鈴の姿が映る。
「鈴!?しまった、そうか!!」
俺の狙いに気がついたらしい。が、もうその手は使えない。その理由は、・・
「かふっ・・。」
発作だった。長時間ISに乗っていたせいで発作が始まってしまったのだ。口元を隠して、血を吐かないように、気を失わないようにする。
「本気でいかせてもらう!!」
そう言っている箒から少し気がそれた瞬間に頭に当たるような位置に攻撃が飛んで来てしまった。
(しまった!?)
そう思った時には既に遅く、目の前が真っ暗になった。そして、すぐに背中からの強い衝撃が有り何も感じなくなった。
▼
【織斑一夏選手SE0により戦闘不能】
放送が聞こえて焦る。
「何!?落とされたのか!?」
そう気を反らしてしまった。すぐにアラートが鳴りその場から下がる。
「今のはうまくいったと思ったのに!」
鈴が残った衝撃砲を打ったようだ。くそ、相方が落ちるとは予想してなかった。一夏ならまだ持つと思っていたが・・力量が予想と違っていたのか?
「しかしまだ私は負けじゃ・・ぐあ!?」
後ろからの衝撃。見るとそこには箒が居た。
「タッグマッチだ。」「卑怯と言わないでね?」
そう言って私は攻撃され続けすぐにSEが尽きてしまい負けてしまった。そして、一夏は打ち所が悪かったらしく気絶していた。すぐに担架で運ばれる事に。
しかしおかしい事に気がついた。一夏の倒れて居た辺りに少しだけ・・ほんの少しだけだが紅い物を見つけた。
「・・これは・・血?」
怪我をしているはずもない。絶対防御が有ったから一夏は気を失う程度だったはずだ。でなければ首が飛んでいる。しかし・・鉄分の匂いのするソレはどう見ても血だった。
「何故・・こんな所に?」
私は首をかしげた。
しかし、負けた私はすぐにその会場を去らなくてはならず、結局詳しい事は分からなかった。おそらく、頭の辺りだったから口の中でも切ったのだろうか。
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まずい事になった。試合中にどうやら一夏が発作を起こしたらしい。慌てて口元に手を持って行ったのを見つけた。そして、それは宏樹も一緒の様だ。ガタリと立ち上がりすぐに担架の用意、そして救護室の準備を始めた。そして、見つからないように知っている生徒会のメンバーなど数名で部屋を移す。
「・・やはり発作です。しかも今回はISに乗っていながら・・かなり負担が大きかったはず・・。一夏君は・・もう・・ほとんどもちそうにない・・。」
「そんな!?」
「宏樹!!?そんな事を言うな!!まだ、・・まだ一夏には早すぎる!!」
そう言いながら私は頭を振る。髪が乱れようとかまわない。そんなことは認められない。認めたくない!!
「千冬・・そろそろ・・覚悟した方がいい・・。次に大きな発作やダメージが来れば・・彼は確実に・・。」
「それ以上言うな!!そんなことさせるか!!これ以上はもうISには乗せない!!学園長!一時的に一夏からISを取り上げます!!改修のためとデータを収集するという事で!良いですね!?良いと言って下さい!!」
「・・いいですよ、織斑先生。彼がしたい様にさせてあげてください。私は・・すべて受け入れましょう。しばらくは経過観察という事で診察室に居て良いです。臨海学校では見学でよろしい。海を楽しむようにいってあげてください。」
そう言って学園長は部屋を出て行く。それに私は礼を言う声も出ず、ただ頭を下げる事しかできなかった。
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○ 『喪失』までのカウントダウン・・・残りカウント・・『1』
カウントダウン・・【1】。
コレが示す事とは・・?
一体後どの位の時間が残されているのか?
それでは、次回。