緋弾のアリア 時を守る武偵   作:心はニート

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3.青春とバスジャック

「遅い」

 

 どうにかアリアさんを説得してくれ、と頼まれたので仕方なく学校の帰りにキンジの部屋に入ったところで、何故かすでにアリアさんが部屋にいた。

 開口一番に帰りが遅いことを怒るアリアさんは、きっと今か今かとキンジの帰りを待ちわびていたのだろう。

 

「お前もう合鍵渡したの?まだ早いんじゃないか?」

 

「渡すか!……はぁ、一応聞くがどうやって入ったんだ」

 

「あたしは武偵よ」

 

 合鍵を渡して無かったのならどうやって他人の部屋に入ることができるのか、という当然の疑問はアリアさんの即答で解決した。

 武偵よってことは武偵の基礎である鍵開けで部屋に入ったということだろう。つまり勝手に人の部屋のカードキーを偽造して侵入したという自白ととれるな。

 

「はい逮捕。アリアさん、詳しく話を聞こうか?」

 

「なんでよ!?」

 

「武偵だからって勝手に部屋に入っていいわけないじゃん。不法侵入です」

 

 当然だ。この短期間でカードキーを偽造し侵入したという行動力と執着心、猫探し任務での待ち伏せ。そしておそらく帰宅時間もある程度把握しているだろうからストーカーの容疑もある。言い逃れはできまい。

 

「キンジはあたしのドレイよ!ドレイの部屋に入るのに許可なんて要らないわ」

 

「っ!?なるほどた、たしかに……!すまない、不当逮捕だったようだ」

 

「それであっさり納得するな。俺はそいつのドレイでもなんでも無い」

 

 完璧な反論で論破されてしまった。そりゃそうだ、ご主人様がドレイの部屋に入るのに気を使う必要なんて無いや、ははっ。

 

「で、アリアさんはなんでここにいるんだ?今日もここに泊まるのか?」

 

「そう。キンジが強襲科でパーティーに入るって言うまで泊まるの」

 

 キンジが言っていた通り、そのつもりらしい。しかしパーティ組むためだけに男の家に泊まるとか、なかなかの覚悟だ。私を好きにして良いからパーティ組んで!みたいなアレですかね?ふしだらですね。

 しかし意地になっているアリアさんもいることだし、なんだか思ったより面倒な状況だな。

 

「よし、と言うわけでオレは帰る。お疲れ様でした」

 

「逃げるなソウジ。こいつをどうにかしてくれ」

 

 逃げるだなんて心外だ。まあ、どうにかしてくれと言うのであれは全力で説得してやらんこともない。

 

「……アリアさんも一緒に帰ろ?」

 

「嫌」

 

「ダメだったわ、すまんな」

 

「あきらめるの早いな!?」

 

 アリアさんの意志は固い。これはどうすることもできないだろう。薄情者だのと理不尽な罵倒をしてくるキンジを無視して自分の部屋に帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 翌日、オレは強襲科で授業を受けていた。強襲科とはその名の通り犯罪者や犯罪組織を強襲し、剣や銃を用いて逮捕する術を学ぶ学科だ。

 逮捕卒業時生存率97%――つまり卒業するまでに死人がでる恐ろしい所である。

 授業もそろそろ終わりそうな頃、そんな場所に何故か探偵科であるキンジが来ている。

 もしかするとアリアさんと話し合った結果、強襲科に戻ることにしたのかもしれない。

 キンジは今でこそ事情があってEランクの探偵科だが、入学当初は強襲科を履修し、Sランクだった。その名残か、強襲科ではキンジを慕う人間も多い。

 

「おーうキンジぃ!お前は絶対帰ってくると信じてたぞ!さあ、1秒でも早く死ね!」

 

「キンジ!お前みたいなマヌケはすぐ死ぬぞ!武偵ってのはマヌケから死んでくもんだ」

 

 慕う人間も多いんだ。決して本気で死ねと言われているわけでは無く慕われているんだ。強襲科では挨拶みたいなものだ。

 実際何をしに来たのかはわからないが、その調子で授業の終わりまでもみくちゃにされていた。

 

 

「で?何しに来たんだ?」

 

 授業が終わり、やっと解放されたキンジに強襲科に来た理由を尋ねた。

 

「1回だけアリアと組んで事件を解決してやることになった。だから強襲科に転科しないで自由履修として、強襲科を取る、その手続きだ」

 

「ほー。お前が折れたのか?どういう風の吹き回しだよ。『なんでもするからパートナーになって!』イベントが発生したのか?」

 

「…………」

 

 軽い冗談のつもりだったのだが……キンジのリアクションがぎこちない。つまりそういうことなのだろうか。

 これは制裁するべきだろう。

 

「……キンジ、今からお前を」

 

「殴るな。なにもしてない」

 

「……言われはしたのかよ。ウソだろ?」

 

「似たようなことはな」

 

 実際に言われたらしい。アリアさんが必死すぎて怖い。

 しかし兄を喪った()()()()以来、強襲科から探偵科に転科し、今年で武偵を辞めると言うまでやる気を無くしたキンジを引っ張り出すとは、アリアさんの強引さには驚かされる。

 そんな話をしながら強襲科を出たところで、そのアリアさんが夕焼けの中、門のところで誰かさんを待っている。こちらを見てからうれしそうに小走りしてきてるが、オレさんを待っていた訳じゃないな。

 

「アリアさんと帰る約束でもしてたのか?」

 

「するわけ無いだろ。勝手に待ってたんだ」

 

 とたんに不機嫌になりキンジは答えた。約束してないにしてもそうなりそうなのは理解しているのだろう。

 

「まあどっちでもいいけどな。オレはこれから武器の整備してから帰るから」

 

「ああ、じゃあな」

 

 そこでキンジと別れ、授業で使用した武器の調整をするために強襲科の施設内に戻った。

 おそらくアリアさんと一緒に帰るのだろうが、彼女の願いを聞き入れて一応強襲科に戻ったことで、今よりは関係が良好になると思う。

 

 後日、キンジとアリアさんがおそろいのストラップをつけていた。良好になるだろうとは思ったがいきなりデートをかますとは、どうすればそうなるのか一度参考に聞いてみるべきだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 今日も朝から日課の座禅を組み精神統一をする。最近はキンジの部屋からアリアさんも居なくなったこともあってか、よく集中できている気がする。強襲科にキンジが条件付きで戻ることになったあの日から、部屋に来ることは無くなったらしい。

 

 外は雨。今はまだ小降りだが、予報では強い雨になりそうと言っていた。いつもは自転車通学だが、今日ばかりはバスで行くべきだろう。

 

「……さて、そろそろ行くか」

 

 静かに目を開ける。やはり今日はいつもとは違い、心も静かで落ち着いている。キンジがいつもバスで行くので、せっかくだから一緒に行こうと思い部屋をでる。

 

 

「おうキンジ、おはよう」

 

「あ?ソウジか」

 

 キンジの部屋に入ると、そろそろ行かなければバスに乗れないかもしれないのに何故か湯飲みに茶を淹れている。これから飲むつもりか?

 

「お前、時間は大丈夫なのか。7時58分のバスに乗るんだろ?」

 

「まだ時間あるだろ」

 

 そう言って自分の腕時計に目をやる。こいつは何を言ってるのだろうか?のんびり茶を飲む時間なんて無いだろう。

 

「いや、ほんとに時間無いぞ。その時計壊れてんじゃないか?」

 

「何言ってる、そんなわけ……」

 

 そう言いながら自分の腕時計と携帯の時間を見比べるが、途中で固まる。

 

「……」

 

「……さっさと準備しろバカ野郎」

 

 やはり時間がずれていたらしい。無言で飲もうとしていた茶を捨てた。そしてそこからすぐに準備し、部屋を出た。

 

「くそっ理子のやつ、適当な仕事しやがって」

 

「なんで理子さんが出てくるんだよ」

 

 バス停に向かいながら腕時計をにらみ、悪態をつくキンジ。

 

「あいつに時計壊されてな。直すって言うから預けた」

 

「それで時間がズレてたのか。……今日の朝、急に預けた時計が返ってきた、ってわけじゃないなら、気付かないお前も相当マヌケだけどな」 

 

「うるせぇ」

 

 普通、壊れた腕時計が返ってきたらまず時間が合ってるか確認しそうなものだが、こいつは違うらしい。

 しかし、理子さんがいくら探偵科筆頭バカだとしてもそんなミスするだろうか?いや、あの子のことだからこれもちょっとしたイタズラかもしれないな。

 

 そうこうしている内にバス停に着いた。バス停には雨のせいかすでに人だかりができていた。その中でも背の高いツンツン頭の男がいる。武藤だろう。

 

「よーう、ソウジも今日はバスか?」

 

「おう武藤、おはよう。まあこの雨だしな」

 

 本格的に振りだしてきた大粒の雨を指してそういうと、武藤もそりゃそうだなと納得した。

 他の自転車通学の奴も同じなのだろう。いつもより人が多いらしい。

 

 少し待つと定刻通りにバスが来た。

 

「これ全員乗れるのか?」

 

 定員がどの程度かわからないが、待っている人とバスを見比べると無理なような気がする。

 予想は的中し、オレとキンジの前にいた武藤が乗る頃にはすでに車内はいっぱいだった。

 

「やった!乗れた!けどもういっぱい!乗れたとしてもどっちか1人だぞ!」

 

「……しょうがない、キンジが乗れよ」

 

「いいのか?」

 

 あと1人しか乗れないというのなら考えるまでもないだろう。

 

「いいのかって、お前のチャリ爆発しただろ。歩きじゃ遅刻だろうし、オレがチャリで行く」

 

「悪いな」

 

「悪いと思うならさっさと新しいやつ買えよな。じゃ、また学校で」

 

 満員なら仕方ないことであるが、この雨の中を自転車で行くのはなかなか辛そうだ。だが文句を言っている暇はない。オレも早く自転車を取りに行かなければ。

 

 

 大雨の中、がんばって自転車を漕ぎなんとかギリギリに学校についたオレは、すぐに教室に向かった。が、何か様子がおかしい。

 

 バスで行ったハズの武藤もキンジもいない。いったいどうなっているのか?HRの時間になっても先生が来ないとなると、何かトラブルか。

 

 それから少しして電話がなった。……アリアさんからだ。嫌な予感がする。

 

『ソウジ、今どこ?』

 

「一般校区の教室だ。どうかしたのか?」

 

 切羽詰ったような声。やはりなにかあったのか?

 

『C装備に武装して女子寮の屋上に来なさい。すぐ』

 

 C装備――防弾ベストに強化プラスチックのフェイスガード付きヘルメット、さらにインカムやフィンガーレスグローブ。強襲科の物騒な事件に介入する際の攻撃的装備だ。有無を言わさずこの装備を指示されるということは――

 

「事件か!わかった、すぐ行く」

 

 バスに乗っていった奴等がまだ登校していない。そこにこの電話だ、勘弁してほしいが関係があるかもしれない。すぐに着替え、指定された場所に行く。

 そこには同じくC装備に着替えたアリアさんが大雨に打たれながら誰かと無線で会話していた。

 アリアさんだけでなく、階段の庇の下には雨を避けるように座る、Sランクで狙撃科のレキさんがいた。

 直接話したことは無いが、有名なので知ってはいる。ヘッドホンに碧のショートヘアの美少女だが、無口で無表情、無感情のためロボットみたいと言われている子だ。

 

 まったく、心が無いのはどちらだろうか?高校2年生の可憐な女の子に向かってロボットなどと言うなんて。

 少し感情表現が苦手で無口なだけだろうに、そう思い彼女に声をかけた。

 

「話すのは初めてだね、レキさん。オレは黒野ソウジです」

 

「…………」

 

「……レキさん?」

 

「…………」

 

「もしもーし」

 

「…………」

 

「…………」

 

 ロボットかもしれないな、ガン無視だ。それとも嫌われてるんだろうか。ぴくりとも動かないんだけどオレの声きこえてます?あっヘッドホンしてるからか。でも外の音聞こえないって危なくない?

 

 どうやらレキさんは自分の世界に入っているようなので、あいさつはとりあえず後にしよう。どんな子か知らないし邪魔したら撃たれるかもしれない。そういう人多いからな。

 

「時間切れね」

 

 通信を終えたアリアさんが、こちらを向きながら言う。

 

「もう1人ぐらいSランクが欲しかったとこだけど他の事件で出払ってるみたい」

 

「ならAランクは?」

 

「そっちもすぐ連絡取れる奴はいないわ。直接連絡できたのはあんただけ」

 

 他に友達いないの?という言葉をなんとか飲み込んだ。直接連絡してすぐ来てくれる人がオレとレキさん、今バスに乗っているキンジぐらいしかいないのだろう。

 他にも声をかければ良かったか、と思ったが、時間切れということはそんな時間も無さそうだ。

 Bランクであるオレを一応評価してくれいるんだろう、その期待には応えなければ。

 

「わかった。それで何の事件だ?」

 

「バスジャックよ」

 

「……まさか、キンジと武藤が乗ってたやつか?」

 

「そう。さっきキンジと連絡が取れたわ。車内には爆弾も怪しい人間もいないようね」

 

 嫌な予感は的中した。あのバスがジャックされたらしい。

 

「爆弾?犯人から連絡があったのか?」

 

「ええ、誰かの電話から突然、機械の音声で爆弾を仕掛けたこと、速度を落としたら爆発することを警告されたらしいわ。これは『武偵殺し』の犯行よ」

 

 『武偵殺し』――武偵の車などの乗り物に爆弾を仕掛けて自由を奪い、サブマシンガンをつけたラジコンで追い回す。そんな手口を使う奴だ。

 だが、『武偵殺し』は捕まったハズ……いや、今は関係無いな。模倣犯だろうとなんだろうと、今事件が起こっているのは変わりない。犯人が誰だろうとやることは変わらない。

 

「状況はわかった。目標へはどうやって?」

 

「アレよ」

 

 すると間もなく車輌科のヘリがこの場所に降りてくる。爆弾が仕掛けてあるのなら一刻も早く現場に向かうべきだろうが、それにしても早い。

 

「……手際がよろしいことで。警察より動きが早いんじゃないか」

 

「当然よ。ヤツの電波をつかんで通報より先に準備を始めたんだもの」

 

 そう言って少し得意げに言う。だがこれ以上軽口を叩いている暇は無い。すぐにヘリに乗り込もう。

 

 『ヤツの』電波をつかんでということは犯人に目星がついていて、前から追っているということだろうか。その相手をすでに捕まっているハズの『武偵殺し』だというのだから、もしかしたらバスジャックの犯人は……

 いや、これも後回しだ。今は事件の解決が先だ。

 

 

 ――事件に関わる以上は誰もケガさせたりしない。それがオレの目指す武偵だ。細心の注意を払って行動しろ。よく考えて動くんだ、みんなを護るために。

 

 

 轟音の中ヘリがしばらく飛ぶと、レキさんがインカムごしに言葉を発した。

 

『見えました』

 

 何がだろうか?窓から見えるのは台場の建物と湾岸道路くらいで車を視認するには遠すぎる位置だ。

 

『ホテル日航の前右折しているバスです。窓に武偵高の生徒が見えます』

 

「えっマジで見えるの?」

 

『よ、よく見えるわね。あんた視力いくつよ?』

 

『左右ともに6.0です』

 

 自然とともに生きる辺境の部族とかは視力が異常に良いという話はよくあるが、レキさんはそんな人には見えない。単純に規格外の人なんだろう。

 操縦士がレキさんの誘導通りに降下していくと、確かにバスが見えてきた。だいぶ速度が出ているのは武偵殺し(仮)の指示か。

 

『空中からバスの屋上に移るわよ』

 

「待った。まずは周囲の確認だ」

 

『周囲?』

 

「犯人は武偵殺しだと推測してるんだろ?だったら警戒すべきなのは爆弾だけじゃない」

 

『……!そうか、ヤツの手口!』

 

 犯人を武偵殺しとするなら当然、爆弾を仕掛けた乗り物を追うように、サブマシンガンを搭載した何かがいないか警戒するべきだ。

 オレの方に確証があるわけではないが、アリアさんが相手を武偵殺しと判断した以上、そのように動くべきだろう。

 

 ――そういえばキンジのチャリにも爆弾が仕掛けてあってそれをUZI付きセグウェイが……

 

『見えました。バスの後方をUZI搭載の赤いオープンカー、ルノー・スポール・スパイダーが追っています』

 

 またもや思考が脱線しそうになったとき、インカムからレキさんの声がした。本当にいたのか、UZI付きのが。

 

『レキ、狙える?』

 

『……建物で射線が通りません』

 

『わかったわ!バスに移り次第あたしがルノーの相手する。ソウジはその間に爆弾を探して!』

 

「了解。お互い気を付けよう!」

 

 そう言ってヘリから強襲用パラシュートを使いながらバスへ降下した。

 ヘリからルノーを狙い撃って安全を確保してから降下するのが最善だろうが、ここは建物の多い台場。狙うのは無理があるようだ。

 ルノーもオレの射撃では足止めできないだろうが、キンジのチャリジャックの時に、パラグライダーで飛びながらセグウェイを撃って見せたアリアさんの腕なら大丈夫だろう。

 

 降下しながらバスの屋根には爆弾が無いことを確認し、降りてすぐにワイヤーを支えに、車体の下を確認する。……!あった。で、でかいぞこれは!

 

『ソウジ!どう?!』

 

「車体の下にカジンスキーβ型のC4!視認できる範囲で炸薬を約3500立法センチ確認!解体を試みる!」

 

『了解。こっちはまかせて!』

 

 レインボーブリッジに入ったところで爆弾の解体をしている間、上からUZIとアリアさんが撃ち合う音が聞こえた。相対した瞬間にタイヤを狙ったのか、ルノーは後方でスピンしてガードレールにぶつかった。さすが、素早い対応だ。

 

 周囲に他の車もいなかったようで、おそらく警視庁が手を回して封鎖してくれたのだろう。みんな自分の仕事をこなしている、負けてられないな。だが――

 

『爆弾は?』

 

「……バスから取り外せても、ここで解体するのは時間がかかりそうだ。まずいな……」

 

『都心に着く前になんとかしないと!』

 

『ソウジさん』

 

「え?」

 

『レキ?』

 

 爆弾が解体出来ないまま高速で走るバスが都心についてしまうのは避けたい。どうするべきか、というところでレキさんがオレの名前を呼ぶ。

 こんなときなのに、オレの名前知ってたの?などと考えてしまう。

 

『海に落としてください』

 

「……!そうか、了解!」

 

 解体しなければならないと少し視野が狭まっていた。確かにその方が確実だろう。

 バスに取り付けてある金具を外し、海に放り投げる。

 

 少ししてから水柱が上がった。どうやら成功したらしい。

 

「……ふう、なんとかなったか。ちょっと焦ったな」

 

『お疲れ様、ソウジ。人手が足りないかと思ったけど問題なかったわね』

 

「ああ、お疲れアリアさん。先に車内のキンジと連絡取れたのが大きかったかな、状況確認の手間が省けた。レキさんもありがとうな」

 

『いえ』

 

 バスは次第に減速し、停まった。そして中から乗客が降りてくる。もちろんキンジや武藤もいる。

 

「まあ、無事でよかった。けが人はいないよな?」

 

 なんとか怪我人もなく、バスジャック事件は解決した。

 

 しかし犯人は当然捕まっていない。犯人は何者なのか、本当に武偵殺しなのか……何もわかっていない。

 

 

 

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