「ほんっとすいませんでした!!」
今、オレは病院でアリアさんに土下座している。病室に入ってのいきなりの行動に、アリアさんも一緒に見舞いに来たキンジも呆気にとられている。でも、ケジメはつけなければならない。
「い、いきなりどうしたのよソウジ」
「オレが無能なせいでアリアさんにそんな傷を……!護衛として同行したくせになんと言う体たらく!死んでお詫びします!!もちろん報酬なんていりません!」
「バカ!声が大きいぞ。ここは病院だ」
そう、アリアさんは今回の件において
「あ、ああ、この傷ね。気にしなくていいわよ。というかソウジのせいじゃないわ」
「本人が気にするなって言ってるんだからいいだろ」
「……いや、そういうわけにはいかないんだよ。オレは事件に関わった以上誰にもケガをさせない、そういう武偵を目指してるんだ。……ここで自分の落ち度を認めないわけにはいかない」
今回の件はオレの目指す武偵像からかけ離れている。自分の油断で傷を負い、そのせいで犯人に逃走の機会を与え、その結果依頼人がケガをしたのだ。どう考えてもオレのせいです。オレなんか死ねばいいんだ。
アリアさんがため息をつきながらこっちを見る。
「……わかったわ。ソウジの目指す武偵になるために、それが必要だっていうなら、罰を与える」
「……どんな罰でも受けます」
「おい、アリア?」
いったい何を言われるんだろうか?本当に死ねって言われたらどうしよう。あ、ここの病室割と高い位置にあるし窓から飛んで受身取らなきゃ死ねるかなあ。うまくできなかったらすごい痛そうだよな。
そんなことを考えているオレの目を、アリアさんはその赤い目でまっすぐに見る。怖い。
――そして、オレに『罰』が与えられた。
「――ソウジ。あんた、あたしのドレイになりなさい」
「え?」
「これからはあたしと、あたしが命じた人を必ず護るの。どんな状況だろうと、あたしの命令は絶対よ……報酬は出すから」
そう言って、彼女は笑った。失敗した無能な亀に、自分を護れと、自分が命じた人間を護れと。
涙が溢れる。オレに……こんなオレにまだ護らせてくれるというのか!……これが女神!天使か?!なんと慈悲深い。……見つけたのかもしれない。オレが仕えるべき人を。そう言えばこのお方は高名な貴族様!そしてこの懐の深さ!完璧じゃないか。どこのお家の人かは知らんけど!
「……承知……いたしました……!……アリア様!!」
生涯の主人を見つけたオレは感激に打ち震える。そうか、これがめぐりあわせか。ありがとう神様。あなたのおかげで就職できました。
「別に話し方とかは今までどおりで良いわよ」
「え?そう?じゃあ気分で変えることにするね。これからよろしく、アリアさん」
「お前本当に変わり身早いよな」
お許しをいただくことができたので、その後適当にしゃべって解散した。とりあえず一つ目の問題は解決して良かった。あとはあの時の機長さんと副操縦士さんにお礼を言いたいところなんだけど、あれから全然連絡が取れなくて困っている。とても忙しい人たちなようで直接会いに行くのも迷惑になるらしい。……いつか機会があればちゃんとお礼を言わないといけないな。
そして数日後、オレとキンジはアリアさんに連れられて新宿警察署に来ていた。ここにはアリアさんのお母さんがいる。武偵殺しを逮捕できたって事は冤罪が晴れたわけだ。
と、いうことは今日はもしかして感動の場面に立ち会うことになるのだろうか?少し緊張してきたな。アリアお嬢様のお母様ということはもちろんその方も警護対象だ、ちゃんとしなければ。スーツ着てくればよかった。
しかし予想とは違い、署内で誘導されたのは留置人面会室だった。アクリルの板越しでしかも2人の管理官に見張られている。
まだ手続きが済んでいない?それにしては物々しい雰囲気が漂っている。どういうことなんだこれは。本物の武偵殺しは……捕まっただろ?
しばらくしてアクリル板の向こう側に若い女性が現れた。アリアさんによく似た人で、お姉さんと言われたら信じてしまいそうだ。この人が――
「まあ……アリア。後ろのお2人はお友達?それともどちらかは彼氏さんかしら?」
「か、彼氏?!ち、ち違うわよママ!!」
アリアさんが顔を真っ赤にしてキンジをチラチラ見ている。わかりやす過ぎるんだが、もうそういう関係なんだろうか。いや、そう言えばハイジャックの時キスがどうとか言っていたな。あの時そんな感じになったのかもしれない。
まあその辺りは今は良い、あいさつが先だろう。
「初めまして、私は黒野ソウジです。彼氏さんはこの目つきの悪い男、遠山キンジです。私はアリア様の忠実な奴隷に過ぎません」
「まあ!やっぱり彼氏……ど、奴隷?!アリア様?!アリア一体どういうことなの?お友達を作るのでさえ下手だったアリアが……いえ、作るのが下手だったからこそ?!」
「ち、違うのママ!そういうのじゃないの!ソウジ!!ややこしい説明しないでよ!!」
「俺も彼氏じゃない!早く訂正しろ!」
一番最初にキンジを奴隷にするなどと言ってこちらを勘違いさせたお方は誰だっただろうか?言葉というものは時として混乱を招くものだ。今後の教訓にしていただけるとありがたい。
顔を真っ赤にして怒り狂うアリアさんと、勘弁してくれとでも言いたげなキンジ。こっちは気を利かせたつもりだったんだが、まだそういう関係じゃなかったらしい。いまいち2人がどういう距離感かわからないな。
少し場が混乱したが、とりあえす友達だということで納得してもらい、話を進める。
「……キンジさん、ソウジさん、初めまして。わたし、アリアの母で、神崎かなえと申します。娘がお世話になってるみたいですね」
「あ、いえ……」
「……」
キンジが柄にもなくどぎまぎして答える。こういうタイプに弱いのかもしれない。本当にアリアさんと付き合うことにでもなったら、かなえさんも交えて修羅場に発展しそうである。
オレは「しばらく黙ってろ」、とご主人様に怒られてしまったのでお辞儀だけしておく。まあこれ以上親子の会話を邪魔するつもりも無かったのでそれは構わない。
問題は――何故こんな状態でかなえさんと面会しなければならないかだ。冤罪は晴れた、そのはずだったのに。そして、その疑問の答えは……アリアさんから信じられない真実とともに伝えられた。
「ママ、武偵殺しが捕まって、ママの懲役864年が一気に742年まで減刑されるわ。公判だって年単位で引き延ばせる。最高裁までの間に、他も絶対、全部何とかするから。そしてイ・ウーの連中を全員ここにぶち込んでやるわ」
自分の耳が腐ったのかと思った。……864年?742年?何だその刑期は。まさか、かけられている容疑は……冤罪は『武偵殺し』だけじゃない?
……『イ・ウー』。そうだ、アリアさんは理子さんに向かって、ミサイルは『イ・ウー』の仕業だと言っていた。武偵殺しの仲間……組織名か?
「アリア。気持ちはうれしいけど、イ・ウーに挑むのはまだ早いわ。パートナーは見つかったの?」
「それは……」
そうしてまたキンジをちらっと見る。『パートナー』、パーティーのメンバーでは無く、この場合は相棒という意味だろう。アリアさんはずっと探していたんだ、一緒に戦えるパートナーを。
だがキンジは、アリアさんから目線をそらす。やっぱり、武偵をやめるつもりなのだろうか。それとも迷っているのか。
「……候補はいるのね。アリア、あなたには、あなたを理解してくれるパートナーが必要なの。適切なパートナーはあなたの能力を何倍にも引き延ばしてくれる。焦ってはダメ、まずはパートナーが先よ。1人で先走ってはいけない」
「……それは、ロンドンで何度も聞かされたわよ。いつまでもパートナーを作れないから欠陥品とまで言われて……」
「人生は、ゆっくりと歩みなさい。早く走る子は、転ぶものよ」
「ママ……うん、わかってる。バスジャックの時だって、ハイジャックの時だって……きっと1人じゃ解決できなかった。キンジも、ソウジもいたから武偵殺しを捕まえられたの。だから、あたしはもう大丈夫、『
「アリア……!」
アクリル板がなければ2人が抱き合ってるシーンだ。オレがぶっ壊してやろうかこの無粋な壁。
お互いに涙を浮かべ、笑いあっている親子。オレもちょっと前から泣いている。
――そして、親子の時間は終わりを告げる。
「神崎。時間だ」
「……じゃあね、アリア」
「うん、また来るね……ママ」
面会は終わり、かなえさんは部屋を出て行った。誰もいないアクリルの向こうを見つめながら……アリアさんはしばらく泣いていた。
アリアさんは先に帰らせ、オレはまだ面会室にいる。今のアリアさんと彼女を合わせるわけにはいかないだろうと、1人で面会することを決めたのだ。
キンジも金一さんのことについて聞きに来るのかと思ったが、どうやら面会が可能になった日にすぐにここに来ていたらしい。どんな会話をしたのか気になるところだが、後で言う、とはぐらかされてしまった。怖い顔をしていたが何かあったのだろうか。
この面会にはオレも覚悟がいる。……当然だな、自分たちが捕まえた人に会おうと言うんだ、無神経だと責められても仕方ない。だが……話しておきたいと思ったんだ。
そして目の前にいる彼女――峰理子に話しかけ……ようとしたところで逆に話しかけられた。
「よーっす!ソウくん!!なんか久しぶりな感じだねー」
座っていた椅子からズルっと崩れる。なんでそんなテンションなんだよ。
「……どんな罵倒が飛んでくるかと身構えてたのに。思ったより元気そうだね、理子さん」
いつもの調子で来られてしまうと……すごいやりにくいな。もう少し険悪なムードになると思ってたのに。
「ん?なーに、怒られたかったの?そういう趣味なんだ?」
「いやいや、そういう趣味じゃないし。なんだよもう、すごい覚悟して来て損したよ」
「くふふっ。そんなに慌てると逆に怪しいよ?」
本当に調子が狂う。思わずこちらもいつもの調子で返してしまった。オレにそんな趣味があるわけないじゃないかまったく。確かに相手の攻撃を受けるばっかりでこちらから攻めないし、最近アリアさんの奴隷になったけどそんなわけ……
「……オレってMなの?」
「いや、あたしに聞かれても」
なんということだ、こんなところで自分の性癖と向き合うなんて。そうだったのか……オレは心のどこかで罵倒されることを期待していた……?
「い、いや、今日は真面目な話をしに来たんだ。理子さんについてなんだけど」
「あたし?何の話?」
「……ここからすぐ出るんだろ?」
「……ああ、その話か」
彼女がいつもの調子なのは、極端に言えばいつでも出ることができるからだろう。
――『司法取引』。合法化されているこの方法を使えば、条件付きで解放されるはずだ。個人的な感情としてはあまり認めたくはないが、彼女は望めば早い内に出られるだろう。
そう思って聞いてみたのだが、どうもそういうわけでは無いようだ。
「まだ出ない。ここの方が今のところ安全だ」
「……安全?」
急に口調が変わるのに未だなれないが、男っぽいしゃべり方に変わった彼女が不思議なことを言った。安全……?何かに襲われる危険があるってことか?
考えられることといえば……
「……イ・ウーによる制裁か?」
「その辺りは言えない。取引材料になりそうなことを今言うわけにはいかないからな」
まあそりゃそうだ。情報があればあるほど司法取引は有利になるだろう。組織については聞けないか。そうなると今はもう話すことがなくなってしまったな、どうしよう。
話題に悩んでいると、あきれたような目で、少し怒っている感じで理子さんが見てきた。
「まさかそれだけ聞きに来たのか?ソウジ」
「え?うん」
確かにもっといろいろ聞いておいたほうが良いかもしれないけど、聞きたかったことは、イ・ウーについてだしな。いつ頃出てくるかとか、そのあたりから話を始めれば何か話してくれるかもと思ったが、そんな甘い相手じゃなかったし。
「……なんのつもり?あたしが出てから何をさせるつもりだ?」
「いや、別に何もないけど。釈放されればまた友達になれるかな、って思って聞いただけだよ」
理子さんが、何言ってんだこいつみたいな目で見てくる。うん、何言ってんだろうな、オレ。こんなこと言うつもりはなかったのに。いつもの調子の彼女を見ていたら、思わずそんなことを言っていた。
理子さんはしばらくしてまたあきれたようで、今度は少し笑って言った。
「……ほんと、甘いね。あたしのこと糞犯罪者とか言ってたのに」
「……また、なんかやったら捕まえるけどね。今度は絶対殴るからな」
「くふふっ。できもしないクセに」
いつの間にか面会の時間は過ぎて、理子さんは部屋を出て行った。無人になった面会室を後にして、オレも帰ることにする。
調べによれば理子さんは『武偵殺し』とは言われているが、誰も殺してはいない。だがそれは結果論だ。バスジャックの時も、ハイジャックの時もこちらが下手を打てば死人が出ていたはずだ。かなえさんだって武偵殺しの容疑をかけられ追い詰められていた。だから彼女には厳しく接しなければならなかったのに……何も考えずに、不意にあんな甘い言葉が出てしまっていた。
その日の夜、キンジの部屋にキンジとアリアさんとオレで集まっていた。かなえさんの公判が延びたことのお祝いと、事件解決のお疲れと――お別れ会、と言ったところだ。コンビニで買った飲み物とか『ももまん』とか言うよくわからない食べ物がテーブルに並んでいる。
しばらく飲み食いしながら談笑した後、アリアさんが本題を切り出した。
「キンジ。今日はね、お別れを言いに来たの。」
「……お別れ?」
「やっぱり、パートナーを探しにいくわ。ホントは……あんただったら良かったんだけど。でも、一回だけ、って約束だから」
「あ、ああ」
そう、キンジは武偵を辞めるつもりだから……強襲科に戻って一回だけ事件を解決するという約束だった。
「武偵憲章2条。依頼人との契約は絶対守れ。だから、もう追わない。……キンジ、あんたは立派な武偵よ。だからもう……ドレイなんて呼ばない。でも、もし気が変わったら……もう一度会いに来て。その時は今度こそ――あたしのパートナーに……」
「………」
照れもあるようだが、それでも一生懸命に想いを伝えるアリアさん。それに対してキンジは、まだ悩んでいるのか、答えを先送りにする。少し前まで辞める一択だったキンジの心に、アリアさんの想いか、それとも金一さんの影か……強い影響を与えたようだ。
だが時間は待ってくれない。そろそろ移動する時間だ。ロンドン武偵局の人たちに送ってもらう手はずになっているんだ。
「……キンジ。答えを出すのは難しいかもしれない。けど、オレもいつの日か、お前が会いに来てくれることを待っている。覚えていてくれ。……いつかまた、ロンドンで」
「ソウジ…………ん?ソウジ?」
キンジがマヌケな顔でオレの名前を呼ぶ。どうしたんだ?
「……お前も行くのか?」
「え?当たり前だろ、何言ってんだ?オレはアリアさんの奴隷だぞ。オレに意思なんか無い。ただ付き従うのみ」
「いや、お前学校はどうするんだ?というか本当に行くのか?!」
一体何がおかしいというのか、当然の流れだろう。アリアさんの行く道こそオレの道。迷いなんか無い。
「あたしも一緒に来るって言われた時は驚いたわ。でもドレイになれって言ったのはあたしだし。ソウジは使えるヤツだし」
「ありがたき幸せでございます。アリア様」
「待て!早まるなソウジ、正気に戻るんだ。もっとよく考えろ!」
さっきから何なんだキンジは。まるでオレがおかしくなったみたいな扱いをしやがって。さてはオレの忠誠心をなめてるな?一度決めたら主人を変えることなんて無いからな。
そんなオレの固い意志をようやくわかってくれたのか、キンジもどこかあきらめたように口を開いた。
「……ああ、わかったよ。俺はアリアのパートナーになる。いつかと言わずに今すぐにな。……悩んでたのがバカらしくなってきた」
「……!キンジ!いいの?」
「本当は迷っていたんだ。武偵を辞めて全てを忘れるか……兄さんを追うか」
「金一さんを追う?」
金一さんは武偵殺しの起こしたシージャック事件で死んだはず……。いや違う、そうだ、武偵殺しは……調べによれば、誰も殺していない。まさか――
「――兄さんは、『イ・ウー』にいるらしい。……詳しくは聞けなかったが、理子からそれだけ聞き出すことができた」
「キンジのお兄さんが?!」
「……マジかよ」
『イ・ウー』。その名前を中心に、キンジとアリアさんの運命が交差する。母に何百年もの冤罪をかけられたアリアさん。そして失ってしまったはずの、憧れの兄を追いかけるキンジ。
「兄さんが何のつもりでそんな組織にいるのかはわからない。だが、本当に生きているなら……イ・ウーと決着が着くまでは、パートナーでいてやる」
「……ソウジ、ロンドン行きはキャンセルよ。パートナー、見つかったから。ママの裁判が終わるまで日本に残るわ」
「承知しました。先方に連絡と謝罪を入れておきます」
「キンジ、本当にいいのね?」
「ああ、俺じゃ頼りないかも知れないが……『
「頼りないというか……そうね、キンジにはちょっとムラがある気がするわ。すごい時とダメな時の差が激しいって言うか……」
「っ?!」
キンジが慌てている。そう言えば女性関連でトラウマがあって『ヒステリアモード』を隠してるとか聞いたことあるな、詳細は知らないが。……バレかけてるぞ、これは。
「そうだ!それはこれから調教していけばいいのよ、いつでも最高の力が出せるように!」
「ちょ……!、それは物理的には……可能だが!倫理的にダメだ!」
ヒステリアモードは性的興奮をトリガーに発動してるから、確かに『調教』は効果あるかもしれないな。ふむ、しかもキンジ的にそれはアリの方向らしい……なるほど。そうか、お前もそうなんだな、キンジ。
「ダメよ!あんたにはちゃんとしたパートナーになってもわないと!そしてあたしは立派な『H』になるの!!」
「何なんだよその『H』ってのは!……ソウジ!お前も何か言ってくれ、いつもこのタイミングで殴ろうとするだろ?」
「殴られたいのか。……やっぱりキンジも『M』なんだな?」
「お前は何の話をしてるんだ」
思わぬ同士の出現に喜ぶ。良かった、オレだけじゃないんだな。キンジ、お前は最高の友達だよ。で、『H』ってなんだ?アリアさんのミドルネームだよね?
「ああもう!あんたで決定したんだから教えてあげるわよ!あたしの名前は――神埼・
「「ホー、ムズ……?!」」
キンジと同時に驚く。何てことだホームズって言えば誰でも知っているような名探偵じゃないか。ということは理子さんの『リュパン4世』ってのはホームズのライバル、アルセーヌ・リュパンか。そういう因縁だったのか?
「そう、あたしはシャーロック・ホームズ4世よ!で、キンジは
「―-風穴あけるわよ!!」
久々の風穴宣言を聞いた後、キンジとコンビニに、追加のももまんと飲み物を買いに来ている。お別れ会改めパートナー結成祝いだな。
「まさかアリアさんがホームズの子孫とはな。驚きだな」
「驚きというか信じられん。あんなホームズありえんだろ……」
棚に並ぶ商品を適当に取りながら、先ほどの信じられないようなことの話をしている。その流れでハッ、と思いついたことを言ってみる。
「キンジ、どうでもいいことなんだけど、いいか?」
「なんだよ?」
「……遠山・ワトソン・キンジってなんか語呂悪くない?」
「……本当にどうでもいいな」
「オレ的には日本人の名前過ぎる『キンジ』の部分が邪魔なんだ。遠山ワトソンに改名しないか?」
「芸名みたいだな」
そんなどうでも言いことを話しながら、久しぶりに帰ってきたような日常で、つかの間の平和をかみ締めていた。