ジャガイモを油で揚げたもの。
おいしい。
体力の回復。スタミナの回復。
ソラールがヘスティアファミリアへ入団してから丁度二ヶ月が経過した。まだ日が昇りきっていない静かな時間帯。ソラールは目を覚まし外へと出る。協会の外にある井戸から水を汲み顔を洗い歯を磨く。冷たい水で意識を何とか覚ます。そして身なりを整えてまだ静かな町へと歩を進める。
静かな大通りを抜けオラリオを見渡せる高台へと向かう。絶景ポイントとしてオラリオでも人気のスポットだが朝早くにここへ来る者は少ない。高台の頂上へに上りきるまでに東の空、地平線から少しずつ光が見えてきた。そして彼が頂上に昇りきると東の空から光が差し込む。夜明けである。
夢みたい…
太陽の光がオラリオ全体を優しく包み込む。何気ない一日が始まるのだ。ソラールは太陽に向かい両腕をYの字にし、高らかに頭上へ挙げる。
「太陽万歳!!」
こうして彼の一日が始まるのだ。
◇
「お?ソラール!今日も早いな!これ持っていけ!」
「おお!かたじけない!」
屋台や店の店主達が準備をする通りを歩くソラール。そんな彼に店主や従業員達が挨拶をし、それぞれがソラールに店で売っているリンゴや野菜、魚を渡してくる。ソラールは感謝し彼らからそれらを受けとる。
ソラールはここに来てから巷では少し噂になっていた。最初は太陽を探しているおかしなやつがいると言う噂であった。しかし、そんな噂もすぐに消えることになる。その理由は彼がここに来てからの行動であった。ソラールの性格は誠実で熱い男だ。困っている人を見つけたら手を差しのべられずにはいられない。老人の荷物を目的地まで代わりに持ち運ぶ。探し物を一緒になって探す。迷子を母親の元へと連れていく。
初めの噂が無くなり彼への評価は変な奴から親切なソラールへと代わっていった。そして何よりヘスティアファミリア最初の団員としての誇りを彼は忘れなかった。こんな自分を
「どうだ?太陽は見つかったか?」
パン屋の店主がソラールへ声を掛ける。
「まだです。だが俺は諦めない!これからレベルを上げてダンジョンの奥へと進んで行く。そして俺自身の太陽を見つけるんだ!」
ウワッハッハッハハと笑う彼と共に笑う店主。彼の笑い声は朝の訪れを知らせるものとして有名になっていた。
◇
「ヘスティア様。朝です。起きてください」
「うーん…あと五分」
ホームへ戻ってきたソラールはヘスティアを起こす。しかし、ヘスティアは未だ夢の中。ソラールはうーんと唸りどうしたものかと考える。えへへへと笑ながら眠るヘスティア。起こすのがかわいそうだと思うがバイトの時間までに朝食も食べてもらわなければならない。ソラールは心を鬼にしてヘスティアを起こす。
「ヘスティア様…ロキ様がいらっしゃってます」
ロキとはオラリオの中でも大きなロキファミリアの主神である。ロキとヘスティアは犬猿の仲であり、会う度に言い合いをするほどである。
ロキと言う名前を聞いた瞬間ヘスティアは意識を覚醒させ布団から出てファイティングポーズをとる。寝込みを襲うとはとんでもないやつだ!と辺りを見回すヘスティア。しかしロキの姿は見当たらない。
「おはようございますヘスティア様。朝食ができています!」
「ソラールくん…起こし方が心臓に悪いよ」
げっそりとしたヘスティアがため息をつき恨めしそうにソラールを見るが、起こしてくれたことには感謝しありがとと彼に伝え外の井戸へ顔を洗いに出ていく。
戻ってきたヘスティアはソラールが貰ってきた食材で作られた朝食を食べていた。
「今日もダンジョンかい?」
「はい!今日も魔石を狩りつつ太陽を探そうかと思います」
ウワッハッハッハハと笑ながらサラダを食べるソラールを見つめるヘスティア。今日は彼がこのファミリアへ来てから二ヶ月目になる。彼が眷族になってから生活が激変した。ちゃんとした食事、余裕のある生活。彼はダメな女神の為に遊ぶことなく必死に頑張っている。そんな彼に何も恩返しか出来ていないとヘスティアは己の無力さが嫌になった。何かお礼をしたい。彼のために何か出来ないか。
ふと彼がダンジョンへ出掛けるときの服装を見て気がつく。
ボロボロのショートソード。ぼこぼこのバックラー。傷だらけの鎧。自身に使うお金まで生活のために入れてくれている彼はここに来たときからずっと同じ装備でダンジョンへ向かっていたのだろう。お金には何とか余裕がある。ヘスティアは少し考えた後口を開く。
「今日はダンジョンから帰ってきたらじゃが丸くんの店に来てくれたまえ!」
◇
バイトに向かうヘスティアと別れソラールはギルドへと顔を出す。ギルドの受け付けカウンターへ顔を出すと一人の女性が現れた。
「あら?ソラールさんおはようございます」
「うむ!エイナ嬢おはよう!そして太陽万歳!」
太陽賛美と呼ばれるポーズをとるソラールを見て微笑むエイナ。彼女の名前はエイナ・チュール。ソラールのアドバイザーとしてここに来てからお世話になっている女性である。眼鏡がキュートでチャーミングな大人の女性。隠れファンが多いギルドの女性職員でもある。
「今日もダンジョンへ?」
「うむ!今日もダンジョンで太陽を探すんだ…冒険しすぎないように気を付けながら」
「あら、先に言われちゃった。なら気を付けてくださいね。まだソラールさんはきちんとした装備ではないんだから怪我でもしたらヘスティア様が悲しみますよ」
分かっていると返事をしダンジョンの入り口へと向かうソラール。彼の装備は彼が
ダンジョンに訪れたソラールはショートソードを抜きバックラーを構える。ふん!と横に凪ぎ払いコボルトやゴブリンを切り裂く。魔石をせっせと集める。コボルトを倒す、拾う、ゴブリンを倒す、拾うを繰り返すソラール。そんな作業を進めているうちにソラールはあるものを見つけた。
白い蝋で出来た石である。ソラールはそれを手に持ち唸る。何だこれはとじっと見つめる。ソラールはその蝋石をポケットへとしまうのであった。
◇
魔石を換金し帰路へとつくソラール。今日も太陽は見つからなかったと肩を落とすもまだ一層。焦ることはないと言い聞かせヘスティアに言われた通りじゃがまるくんの出店へと赴く。
「お?ソラール。良く来たな」
「お久しぶりです」
以前ヘスティアに会わせてくれたじゃがまるくんの店員と挨拶を交わしヘスティアにここに来いと言われた事を伝える。
「待っててくれ。すぐに呼んできてやるからな」
笑顔でそう答え奥へと入ってゆく店員。数分後長い箱と大きな箱を抱えたヘスティアが現れた。その後にじゃがまるくんの店員も大きな箱を抱えて出てきた。
「ソラールくん!今日もお疲れさま!」
「無事に戻りました。ヘスティア様…それは?」
手に持つ箱を不思議そうに見るソラール。彼の反応が面白かったのかぬっふっふと笑うヘスティアはソラールに箱を手渡した。
「これはここに来て2ヶ月記念の君へのプレゼントだ!開けてくれたまえ!」
ソラールは目を見開き箱を開ける。そこにはよく手入れされたロングソード。そして立派な盾であった。
「こ、これは…何とお礼を言っていいか…」
まるで玩具を与えられた子供のようにはしゃぐソラール。目には涙を浮かべていた。
「ほれ!これは俺たち出店の皆がいつも手伝ってくれてるお前さんへのプレゼントだ。たいしたものじゃないが使ってくれ」
店主から渡された箱には赤い羽の付いたバケツの様な兜。そして鎧。ソラールは感極まり涙を流す。
「かたじけない…ありがとう…本当にありがとう」
涙を流すソラールを見て微笑む周囲の人々。ソラールは優しさに包まれながら必ず太陽を見つけ出すと決意を固めるのであった。
後にソラールは鎧と盾に大きな自作の太陽の絵を描き周りから太陽の戦士と呼ばれるようになる。
遅くなってすみません
リアルで仕事が忙しくて…
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※ 修正いたしました