ダンジョンに太陽の戦士がいる   作:乙女座

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ベートローガの毛

ロキファミリアの人狼のベートローガの毛。

特に意味はない。



兎と太陽

「何をしに現れた…ここは唯の冒険者が来る場所ではない」

 

これで何回目であろうか。ファミリアへの入団を拒まれ続けもう3日経つ少年の心には影が差していた。少年の名前はベル・クラネル。自身を育ててくれた祖父が亡くなり、生前彼が何度も彼に話してくれた物語の主人公のような英雄になりたいとこの(オラリオ)へと訪れた。だが、受け入れてくれるファミリアが無かった。無理もない、彼の見た目は中性的な為強いようには見えない。笑われ、バカにされ、拒まれる。ベルの心は限界に近かった。

 

「…僕には無理なのかな」

 

諦めの言葉がどうしても口から出る。ベルは気分を入れ換えようと、オラリオを一望できる場所で座り込みどうしようかと悩む。そんな彼の耳に笑い声が聞こえた。

 

「ウワッハッハッハハ…太陽万歳!」

 

バケツの様な兜、太陽の絵が描かれた鎧を身に纏う一人の男が謎のポーズで太陽を見ていた。太陽の光を浴び、眩しい男の姿。ベルは目を奪われた。まるで物語の英雄のようなその姿に目を奪われたのだ。

 男は見られていることに気がついたのだろうか、視線があった。ベルは失礼なことをしてしまったと思い彼へ謝罪をした。

 

「ご、ごめんなさい…」

「む?すまんすまん。視線を感じたから貴公を見てしまった」

 

ウワッハッハッハハと笑う男。ベルはつられてクスリと笑うも、暗い表情へ戻ってしまう。暗い表情の少年を放ってはおけないのだろう。男は少年の隣に座り込む。

 

「貴公…俺でよければ話を聞くぞ…」

「そんな…悪いですよ」

「言ってみろ。言えば楽になることだってある」

 

優しい声色で語り掛けてくる男。ベルはここに来た目的を話した。

自身を育ててくれた祖父から聞かされた冒険譚。英雄譚。その物語に出てくる人物のようになりたいと。英雄になり素敵な女の子と出会いたいと。

 

「バカですよね…そんなの…僕なんかに出来るわけないのに英雄に成りたいなんて」

「貴公が英雄に成れないなんて誰が決めた?」

「え?」

 

男は立ち上がり太陽を見つめた。そして大きな声で語り始めた。

 

「俺の夢は俺自身の太陽を探すことだ」

 

「誰に何を言われようとこれだけは曲げれない」

 

「必ず探し出すと決めた」

 

「最後まで諦めないと」

 

「何度心が折れそうになろうとも」

 

「馬鹿にされようと、笑われようと」

 

「俺は必ず見つけると誓ったのだ」

 

男は手を差し伸べた。

 

「共に探そう。こうして出会ったのは何かの縁だ。俺が神様にファミリアへ入れるように掛け合う。だからそんな顔をするな。貴公にその暗い顔は似合わんぞ!」

 

差し出された手を見つめるベル。肯定してくれた事が嬉しかった。共に探そうと言ってくれたことが何よりも嬉しかった。だからベルの答えは決まっている。

 

「はい!お願い致します!」

 

目尻に涙を溜め、手を握り返す。男はそのままベルの手を引っ張り立ち上がらせた。

 

「俺の名前はソラール。ヘスティアファミリアのソラールだ。貴公の名前は?」

「僕の名前はベル・クラネルです!よろしくお願い致します!ソラールさん!」

 

こうして白兎と太陽の戦士が出会ったのであった。

 

 

 

ヘスティアファミリアのホーム。ソラールがここに来て少しずつ改装と修繕を繰り返した教会は今では以前のような美しい建物へと変わっていた。そんなヘスティアファミリアの居間のソファで待たされるベル。ここに来てソラールは少し待っていてくれと言い残し外へと出ていった。ベルは大丈夫だろうかと不安になってきていた。

 

「ファミリアへの入団希望者かい?」

「えぇ、強い心を持った好青年ですヘスティア様」

 

不安になりながらも待つベルの耳に聞こえてきたのは外から近づいてくる少女とソラールの声。教会の扉が開かれ現れたのは小柄な白いワンピースを身に纏った少女ヘスティアとソラールであった。

 

「貴公…待たせてしまったな。すまない」

 

頭を下げ謝罪するソラール。

 

「そ、そんな!謝らないで下さい!頭を上げてくださいソラールさん」

 

そんな二人のやり取りを黙って見ていたヘスティア。第一印象は礼儀正しい好青年。かっこいいと言うより可愛らしいと言う言葉が似合いそうな見た目。白い髪と深紅の目。そして何よりベルの内に秘められている何かを感じた。

 

「君がベル・クラネルくんかい?」

「は、はい!ベル・クラネルともうします!あなたが…神様ですか?」

「うん…ソラールくんから聞いたと思うけどぼくがこのヘスティアファミリアの主神ヘスティアさ」

 

悪い気は感じられない。ソラールが見込んだ青年だ。ヘスティアはソラールの言葉を信じてやりたいがやはりファミリアを持つ者として、はいそうですかと簡単に入団させるわけにもいかず彼にかまを掛けてみることにした。

 

「言ったら悪いけど僕のファミリアは弱小ファミリアだよ。ガネーシャやロキ達のファミリアより劣る部分が多い。構成員もソラールくんしかいないしお金もそこまで余裕があるわけでもない。それでも君は僕のファミリアに入りたいのかい?」

 

ベルの本音を聞き出そうと鎌をかける。ベルはヘスティアの目をまっすぐと見つめ少し考えたあとゆっくりと口を開いた。

 

「僕は英雄になりたいんです。バカな夢かもしれないけど挑戦したいんです。ファミリアが小さいなんて僕には何の問題もありません。だからお願いします…僕をこのヘスティアファミリアへ入団させてください!それにソラールさんに誘って貰えたときとても嬉しかったんです。僕を受け入れてくれる人が居てくれたことに…だから…」

 

再度お願いしますと頭を下げるベル。ソラールも黙って頭を下げていた。

 

あぁ…なるほど、彼も自分の家族(ソラール)と同じなのか…

心の中で微笑むヘスティア。

 しばしの沈黙の後、彼女はぽんとベルの肩に手を置いた。

 

「合格だよ…大歓迎さ!よろしくね!ベルくん!」

 

ならば自ずと出てくる答えは決まっていた。ヘスティアはベルを受け入れるのを快諾した。ベルは感極まり涙を流す。その光景を見ていたソラールも涙を流していた。 

 

「今日は外で貴公の歓迎会だ」

 

ベルの頭を撫でながらソラールはウワッハッハッハハと笑う。

 

「そ、そんな悪いですよ!」

「何を言う!貴公はもう立派な家族(ファミリア)の一員だ。共に喜びを分かち合おう!」

「うんうん!それが一番だよ!」

 

笑ながらベルの手を引き外へと出る二人。家族(ファミリア)の一員だと言ってくれた二人に感動しつつベルは二人に引っ張られながら夜のオラリオへとくり出すのであった。

 

 




あけましておめでとうございます。

誠に申し訳ないです。

年内には!と思っていたものの仕事と会議と体調不良が襲いかかり死にかけていました。
途中放棄で止めないのでよろしくお願い致します。

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