モンスターから採取することができる。
鈍い光を放つこの石はギルドで換金できる。
ベルが入団し、早くも1ヶ月が過ぎようとしていた。ヘスティアファミリアの朝は早く主神ヘスティアを除くメンバーは朝の五時には目を覚ましオラリオを一望できる高台へと登り太陽賛美をするのが日課となっていた。その後は拠点へと戻り部屋の掃除とダンジョンへの支度を済ませ、朝に弱いヘスティアを起こす。それはソラールの仕事となっており六時半には彼女を何とか目覚めさせバイトへの準備をさせるのだ。
「ベル。今日は5層に行くか?」
朝食を摂っていたソラールが不意にそう伝えた。
「え?!いいんですか?!」
目を輝かせながら身を乗り出すベル。行儀が悪いぞと咎められ顔を真っ赤にさながら座り直すベル。ソラールはウワッハッハッハハと笑いながらベルを見ていた。
「うむ、貴公は飲み込みも早く臨機応変に対応できるからな。貴公なら問題は無い」
5層かと感慨深く口にするベル。それを聞いていたヘスティア。咀嚼していた朝食を飲み込み口を開く。彼女の言葉は我が子を心配するような様子だった。
「気を付けてくれよ。君たちが居なくなったらボクはどうしたらいいか分からないんだから!特にベルくん!ソラールくんの言うことをちゃんと聞くんだよ!」
「はい!気を付けます!」
「必ず戻って参ります」
ヘスティアの言葉を嬉しく思う二人。彼女は本当に自分達を心配し、愛し、育ててくれる。彼女の言葉を胸にダンジョンへと向かうのであった。
◇
ヘスティアをバイト先まで送り届けた後、ソラールとベルは仲良く談笑しながらギルドへと向かう二人。
「時にベルよ。貴公の装備はまだ新調しないのか?」
ふと初期の服装であるベルに問うソラール。
彼にソラールはお世辞にも多いとは言えないがお小遣いとして自身が稼いだ賃金を彼へと渡している。
「うーん…そろそろしっかりした装備が欲しいけど…まだまだ大丈夫です!神様とソラールさんのお世話になりっぱなしなのはいけませんから!ソラールさんから頂いたお金はためてますし…」
それにと恥ずかしそうに笑う。
「自分で稼げるようになってから自分の物を少しずつ買う予定です!」
「貴公…」
えへへと笑う少年を見るソラール。彼は自分よりも他者を優先してしまう癖があるのをこの1ヶ月で理解はしていた。押しに弱く、純粋で、疑うことをせず、悪意がない。素晴らしいことではあり彼の長所でもあるか弱点でもある。危うい。ソラールの彼に対する評価。ダンジョンでは選択を迫られるときがある。自分を優先するか、他者を優先するか。恐らくベル・クラネルと言う少年は真っ先に自身を切り捨てるだろう。自己犠牲は悪いことではない。だが…
ソラールはベルの頭を撫でる。
「貴公はかわいいな!」
「わわ!ソラールさん!恥ずかしいですよ!」
先の事など分かりはしない。それにそんな
彼を支えるために
わしゃわしゃと頭を撫でられ顔を赤くするベル。そんな二人のやり取りを道行く人々は微笑ましく見ていた。そんな時である。
「あ、あのー…これ落としましたよ?」
後ろから声を掛けられ振り向く二人。銀色の髪、傷ひとつない白魚のような肌、あどけなさを残したかわいらしい少女の手には魔石が握られていた。
「魔石?」
「む…俺たちが落としたのか……すまんな貴公!」
ソラールは魔石を受けとりお辞儀をする。いえいえそんなと遠慮がちに微笑む少女。ソラールは隣のベルが何も言わないのに違和感を覚え隣に視線を移す。彼は少女の容姿に見とれていた。
「貴公?」
「へあ?!あ、ありがとうございます!」
ソラールに声を掛けられ我に返り頭を下げるベル。彼の顔は真っ赤であった。羞恥からか、それとも彼女の容姿が可愛らしかったからなのか…。熱か?と的はずれな心配をするソラールにベルは違いますと返答する。そんな二人のやり取りが面白かったのかクスクスと笑う少女。その仕草に釘付けのベルを横目にソラールはお礼と自己紹介を始めた。
「俺の名前はソラール。ヘスティアファミリアのソラールだ。わざわざ魔石を拾ってくれてありがとう!」
「…まさかあの親切なソラールさんですか?」
ソラールの名前を聞いた少女は知ってますよ!有名人ですとはしゃいでいた。ベルはソラールの通り名を聞いてあぁ…と納得する。
「太陽の絵の描かれた装備をする冒険者は優しく、人助けをして、見返りを全く求めないと…私の同僚も貴方に荷物を運んで貰うのを手伝ってもらったっていってました」
「うむ…巷ではそのように言われているのか…悪い気はしないな!」
ウワッハッハッハハと豪快に笑う彼につられて笑う少女。
「私の名前はシル。豊穣の女主人で働いています」
お辞儀をして自己紹介をする少女シル。ソラールとベルもつられてお辞儀をする。ソラールは豊穣の女主人の名前を聞き思い出す。
「む?豊穣の女主人…うーむ。確かオラリオで評判の料理を振る舞ってくれる場所ではないか…」
そう言えば以前荷運びを毎朝手伝った彼女も豊穣の女主人でとか言っていたかなと唸るソラール。
「まぁ、ちょうどいい!今晩はそこで夕食を摂るかベルよ!」
「そうですね!魔石も拾ってくれたお礼も兼ねて行きましょう!」
「まぁ!それは楽しみです!待っていますからね!」
よほど嬉しいのか満開の笑顔で喜ぶシル。
今晩の予定が決まり二人はシルへ別れを告げダンジョンへと向かうのであった。
◇
4層にて5層の探索を続ける二人。出てくるコボルトなどを倒しながら奥へ奥へと進んでいく。
「ベルよ…貴公は筋も良く飲み込みも早い。だが決して慢心しては駄目だぞ?ダンジョンでは少しの油断や慢心が命取りになる。宝箱があっても不用意に開けたり近づくな…周りを確認し、開けた際には直ぐに離れるんだぞ?」
「え?どうしてですか?」
「うむ。宝箱を開けて安心した瞬間に後ろから敵に攻撃されたり、囲まれたりする。宝箱にも種類があり爆発するもの、トラップで開けた瞬間に矢が飛んできたり、毒が吹き出したり…そして宝箱自体がモンスターであることもある!」
「えぇ…こ、こわいです」
そもそもこのダンジョン内で宝箱が配置されているのかと突っ込みを入れそうになるが、真面目なソラールの語りで聞かされるベルはメモメモと書き記していく。植物にも気を配ること、銅像には細心の注意を払うこと。休憩する際も必ず注意を怠ることなく気を配ること。ベルに如何にダンジョンが危険であるかを説明しながら奥へと進んでいく。
「よし貴公!ここからは5階層だ!気を引き締めていくぞ!」
五階層でモンスターを倒しながら魔石回収、ベルへ戦いの仕方を教えるソラール。そんな彼の身体が光出した。
「ぬ?誰かが助けを求めている!ベル!悪いが貴公は五階層から出て一階層へ戻れ!」
「は、はい!」
「うむ!では行くぞ!」
ソラールはそのまま助けを求める召喚者の元へ
「僕一人でも大丈夫だよね…沢山魔石を集めてソラールさんや神様をびっくりさせて僕でもできるんだって安心させてあげよう!」
ソラールの忠告虚しく、まだ駆け出しで幼いベルは五階層でモンスターを倒すのに勤しむのであった。朝のヘスティアの忠告、ソラールやエイナにあれほどダンジョンでは冒険はするなと言われたのにも関わらず………
遅くなり大変申し訳ございませんでした!(号泣)
途中で放棄はしませんのでよろしくお願い致します