ダンジョンに太陽の戦士がいる   作:乙女座

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ベルの短剣

ヘスティアファミリアのベル・クラネルが持っていたとされる短剣。使い古されたこの短剣は初めての絶望を味わった。




太陽と白兎と剣

 ベルの頭の中にはヘスティアやソラール、そしてエイナから忠告された言葉が巡っていた。

 

《ダンジョンで冒険するべからず》

 

どんな時でも警戒し、不審に思えばすぐに退く。何度もエイナやソラールに教わった。何ページにも及ぶメモを取った。だがベルは教えを破ってしまった。お世話になったエイナに報告するため、ソラールに誉めて貰うため、ヘスティアに楽な暮らしをさせてあげたい一心で……

 ソラールが召喚された後に一人で奥へ奥へと進んでしまったのがいけなかった。異変には気づいていた。モンスターが少なく、冒険者の姿もないことに。しかし、まだ若く経験不足な少年は気にせず探索を続けていた。そして出会ってしまった。出会ってはいけないモンスターに…

 

ミノタウロス

 

17階層に出現する中型モンスター。見た目に反して素早い動きと強烈な物理攻撃を繰り出してくる危険なモンスター。まさか五階層で出現するとは考えておらず目の前に現れたときは幻かと思ったほどであった。ベルは急いで来た道を引き返す。しかし愚かにも目印となるものをしていなかったため迷ってしまった。事態は悪化の一途を辿る。走り走り走り続けるベル。あの時引き返していれば、ソラールの忠告を聞いていれば、勝手な行動、勝手な考えなんてしなければと後悔しか出てこない。ダメだダメだとマイナスな考えを否定し頭で状況の打破を考える。

 走り続けるベル。後ろから追いかけてくるミノタウロスは逃がさんと言わんばかりにスピードを上げ、迫ってくる。どれ程の時間、走ったのか。ほんの数分なのか、それとも永遠なのか、ベルには分からなかった。息は上がり、足は段々と重くなる。必死に体を動かすも思うように動かなくなる。そして

 

「そ、そんな……」

 

眼前には壁、行き止まりであった。あぁ…ここで終わりなのかと。ガタガタと震える。手も、足も、何もかも。ゆっくりと姿を現したミノタウロス。目が合い顔が笑っているように見える。ミノタウロスを前にベルは完全に戦意を喪失。持っている剣を落とし、呆然と立ち尽くしていた。

 

「助けてえええ!」

 

 走るソラール。眼前には恐怖に負け、蹲るベル。そしてその無抵抗な少年に非情にも拳を振り下ろそうとするミノタウロス。ソラールは走るが足が遅い彼では間に合わない。雷の槍を投げようにもベルとミノタウロスとの距離が近すぎる為放てない。ただただ走る。しかし、目の前でベルに振り下ろされるミノタウロスの拳。その刹那、風のが吹く。

 

「ブムモオオアアアアアアアアアアア!!」

 

分離するミノタウロスの胴と首。

 

ミノタウロスの血を浴び気絶するベル。

 

一仕事終えた顔でソラールを見つめる少女。

 

「貴公…助かった…ありがとう……本当にありがとう」

「うん…ソラールには助けて貰ってばっかりだから…間に合ってよかった」

 

アイズ・ヴァレンシュタインだった。

 

 

「それにしてもあの階層からよく間に合ったな貴公」

「足が速いから…」

「成る程……それよりも…」

 

ソラールはアイズに跪く。目を見開き驚くアイズ。

 

「貴公のおかげで…家族の命が助かった。貴公は恩人だ…貴公が困ったときは全力でこの恩に報いると誓う」

 

まるで王国に遣える騎士のような姿。

 

「うん…どういたしまして…また助けてねソラール」

 

そのようなやり取りをしている二人の背後でううんとうなされているベル。ソラールは立ち上がりベルのほっぺたを優しくぺちぺちと叩く。

 

「貴公…目を覚ませ…」

「ん…ソラールさん?」

「怪我は無いか?」

 

目を覚ましたベルは目の前にいるソラールを見て安堵したのかポロポロと涙を流し出した。ごめんなさいと泣きながらソラールに抱きつくベル。ソラールは優しくベルの頭を撫でる。

 

「…貴公の事だ。俺やヘスティア様に恩返しをしようとしたんだろう?」

「…はい」

 

ずばりと言い当てられ嗚咽をもらしながら返事をするベル。

 

「貴公はまだ甘えていい…早く成長するのは悪いことではない…だが焦るな…ゆっくりと1つづつ階段を登っていけばいい。だから2度とこんな危険な事はしないでくれ…」

「ばい"」

 

涙と鼻水、そしてミノタウロスの返り血でぐちゃぐちゃのベルの顔をソラールはハンカチで拭いていく。じっとするんだ貴公!と笑ながらこしょばいし恥ずかしいですよと泣き笑うベル。そんな二人を羨ましそうに見つめるアイズ。

 

「ベルよ。貴公を助けたのは俺ではない…そこに居るロキ・ファミリアのアイズ・ヴァレンシュタインが助けてくれた!感謝を!太陽万歳!」

「あ、ありがとうございま………」

「……?」

 

お礼を言おうとアイズの顔を見たベルが固まった。ソラールが心配そうにベル?と声を掛ける。

 

「ほあああああああああああああああああああ!!!!」

 

真っ赤になり叫びながら猛ダッシュで戻っていくベル。取り残されたソラールとアイズは呆然と立ち尽くしていた。

 

「……トイレだろうか?」

「……多分」

 

 

「ッチ……気に入らねぇ」

 

そのやり取りを見ていた一人の人狼はアイズと話す太陽の戦士を睨み付けていた。

 

 




更新が遅くてごめんなさい…通勤時間に書いてます…失踪はしません!安心してください!
 書いててアイズ戻ってくるの早くね?と疑問に思いましたがそれはフロムマジックです…それと感想の返信が出来てなくて申し訳ありません。読んでいますが中々返事が…
後、誰かガル・ヴィンランドやイーゴンさんが聖女様を守る小説書いて…アーシアとか、ジャンヌとか……(他力本願)
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