キャロル&エルフナインのアトリエ~双子の錬金術師~   作:にゃんちゅ

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ノリと勢いだけで書いてしまった……


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 魔女狩りも衰退し、やや平穏を取り戻しつつあった中世ヨーロッパ。

 そのとある地域の人里からはやや離れた場所にある山奥。ここには、ある双子がひっそり――――とは言わず、むしろ時には騒音を、時にはただの騒音どころか爆発音まで聞こえてくるくらい、賑やかに過ごしていたとか。

 

 その双子は、誰から見ても天才と呼ばれるものであったらしい。それもただの天才ではなく、特別な力を持った――――

 

 

 

 

 

「これをこうして……よし、完成したぞ!今回の俺の作品も、完璧な出来だッ!」

 

 

 

 

 

 何かを完成させドヤ顔をさらけ出す天真爛漫なこの少女、名をキャロル・マールス・ディーンハイムと言う。

 

 

 

 

 

「キャロル、またロクでもない物を作ったんですか?確かにキャロルは天才だけど、もうちょっとまともなものを……」

「ロクでもないとはなんだっ!今まで俺が、どうでもいい失敗作を作ってきたことがあったか!?」

「いや、割とたくさん……」

 

 

 

 

 

 キャロルの発明に思わず突っ込みを入れてしまうやや気弱そうな少女、名をエルフナインと言う。

 

 

 

 この二人の少女は容姿も瓜二つであり、背丈もほぼ変わらないため出会った人達からは双子であると認識されている。

 それもただの双子ではない。普通の人間では起こせない事を簡単にやってのけてしまう――――錬金術師だ。

 

 そもそも、一概に錬金術といっても一つのやり方ではなく、様々な種類がある。

 最もポピュラーなのが人体に流れる生命エネルギーを行使し、それを糧に使用するもの。勿論これも誰でもできるわけではない。わかりやすく例えるならば、自身にある魔力を使い、魔法を使うといったものとほぼ同義である。

 

 だが、今キャロルが行っていたのはその方法ではなかった。キャロルが立つその隣にあるものは――――大きな釜。

 

 これもまた錬金術である。素材を釜に投入し、そこから別の道具を作り出す技法。

 ちなみに、キャロル達が別の錬金術師からこの技法を初めて見た時は衝撃的だったとか。ぐーるぐーるしてるだけで道具が出来たり、パイが出来たり。手間は確かにかかるが、ほぼ身体に負荷をかけることなく錬金術をやってのけたのだから。

 

 

 

 

 

「というか、キャロルがその手に持っている物は何ですか……竹とんぼ?」

「違うわっ!これはな……いや、実際に試した方が早いか。エルフナイン、これを頭につけてみるといい」

「いや、何でボクがそんな得体の知れない物を……キャロルが実際につけてみればいいじゃないですか」

「……む、言ったな。いいだろう、だけど後からつけたいって言っても貸してやらないからな!」

(……何でこう、キャロルって意地悪というか、単純というか、子供というか)

 

 

 

 

 

 エルフナインがそんな事を思っていると、キャロルは頭に竹とんぼのような物を装着する。

 すると羽の部分が自動的に回転し、キャロルの足が地面から離れた。――――宙に浮いたのだ。

 

 

 

 

 

「どうだっ!生命エネルギーを使わずとも誰でも空を飛ぶことが可能となる、この道具!羨ましいだろう!」

「……確かに凄い」

 

 

 

 

 

 錬金術師は力を行使すれば、確かに宙を浮くことは可能である。

 だが今回キャロルが作ったこの道具は、力を使わずとも浮くことを可能とする発明だ。これは、誰でも空を飛ぶことが可能となるという事を意味する。

 

 これを見たエルフナインは、純粋に今回の発明に関しては凄いものであると感心した。

 だが、同時に思う。――――ここは家の中である。

 

 

 

 

 

「キャロル、凄いけどここは家の中だし飛びすぎると……」

「痛ぁっ!?」

「頭ぶつけますよ、って……言うの遅かったみたいですね」

 

 

 

 

 

 キャロルが天井に頭をぶつけ、大きな声を挙げる。ついでに言うと、ぶつけた衝撃で羽が折れてキャロルが落下。

 衝撃が強かったのか、キャロルは床で悶絶。そしてその衝撃の余波はキャロルだけではなく、家中に響いた。

 

 棚から何個か三角フラスコに入った薬品が釜の中へと落下し、何やら怪しげな音を出す。

 不意の事だったのでエルフナインも、そして痛みを堪えて涙目のキャロルも、それを止めることは出来なかった。

 そして釜が急速に沸騰したかと思えば、それが光を放ち――――

 

 

 

 

 

「「……あっ」」

 

 

 

 

 

 この時、山の麓にある村は壮大な爆発音を聞いたとか。そして皆が思ったとか、ああまたやってるよあの子達、と。

 

 

 

 

 

 本日もキャロル家は平和です。

 

 

 

 

 

―――

 

 

 

 

 

「エルフナインせんせー!」

「あっ、こんにちは皆さん」

「今日はキャロルせんせーは一緒じゃないの?」

「うん、キャロルはちょっと家で忙しいんですよね」

 

 

 

 

 

 家が爆発してから少したった後に、エルフナインは一人山の麓の村へと買い出しに出てきた。

 爆発の影響で、家の食料が全滅したからだ。――――本来、この二人はとある理由により食事をとらなくても大丈夫な身体なのだが、それをキャロルもエルフナインも良しとしない。

 

 理由としては、食事は生命エネルギ―の増幅を促すからである。錬金術師にとっての食事は、生きる事よりもこちらの理由が重要となってくる。

 ――――それとは別に、純粋にこの二人が美味しいものを食べたいだけという理由もあるが。というか、こっちがメインだ。

 

 ちなみに、お金だけはちゃんとした金庫に保管されたので無事である。爆発が日常のこの二人は、お金だけはなんとしても保管しなければならない事を、誰よりも知っている。

 

 

 

 

 

 そんなこんなでエルフナインは村に買い出し、キャロルは吹き飛んだ家の復元をしている最中である。

 

 

 

 

 

「えー、この前キャロルせんせー面白い物作ってくれるって言ってたのに!」

「ん、キャロルがですか?ちなみに、どんな物を?」

「なんか、お前らでも空を飛べるようにしてやる!この天才に任せろ!って」

「……あー、成程」

 

 

 

 

 

 何故突然キャロルがあのような道具を作り始めたのかエルフナインは納得した。

 ただの暇つぶしとか思いつきかと思っていたが、村の子供達を楽しませるためといった意外にもちゃんとした理由があったらしい。

 

 

 

 

 

「恐らく今度キャロルが来る時には、きっと皆さんを楽しませてくれると思いますよ?」

「ほんとー!?待ってるってキャロルせんせーに伝えておいてね!」

「はい、勿論ですよ」

 

 

 

 

 

 村の子供達の笑顔につられるように、エルフナインも自然と笑みが出る。

 数年付き合いがある村ではあるが、ここはいい村だとエルフナインも、そしてキャロルも感じていた。決して裕福なわけではないが、のどかでありつつも活気もある村。

 だからこそだろうか、結構な頻度で住む場所を転々とする錬金術師の二人がしばらくこの付近を拠点にしているのは。

 

 

 

 

 

「賊だあぁぁぁ!!」

 

 

 

 

 

 だが、その平穏を邪魔するかのように村の青年の叫び声が聞こえた。

 魔女狩りはほぼなくなり、少しは平穏な世の中になったと言えど、それは昔と比較しての話。今でもまだ、乱れた世の中であることに変わりはない。

 

 

 

 

 

「……向こう側ですか」

「エルフナインせんせー……」

「大丈夫ですよ、皆さんは危険ですから家に戻って、ね?」

 

 

 

 

 

 外にいては危険だからと子供達を家に帰るように促し、エルフナインは青年の叫び声のする方へ向かう。

 

 

 

 エルフナインは平和主義者だ。

 もしキャロルが賊がいることを知ったら、「やかましい、死ねクソゴミ共ッ!!」とか言いながら、実際に殺すことは無くても出会った瞬間にボコボコにすること間違いなしであろう。

 

 

 

 

 

「……あなた達ですか、ここに来た賊というのは?」

「……あん?」

「まだ被害は特に出していないみたいですし、何もせずに引き返すならボクもあなた達に危害は加えません、ですから……」

「何寝言かましてるんだこのちんちくりんのガキは?むしろこっちの台詞だ、俺らもてめーみたいな女のガキから物を巻き上げる趣味はねーからよ、さっさと家に帰りやがれってんだ」

「……聞く耳持たず、ですか」

 

 

 

 

 

 とはいえ、引く事を知らない相手には容赦はしない。エルフナインには、エルフナインの守るべきものがあるのだから。

 

 

 

 

 

「今日は錬金道具の類は持ってきてないですからね、自分の力でさっさと済ませるとしますよっ!」

「一体なんだって……んなっ!?」

 

 

 

 

 

 賊はエルフナインから突如飛んできた水弾をギリギリの所でかわす。

 エルフナインの周囲には魔法陣のような紋章が浮かび、そこから何発もの水弾が飛び交い、相手を襲っていた。

 

 

 

 

 

「ちっ、だったら近接だ!意味わかんねーけど、近距離ならいけるだろ!」

 

 

 

 

 

 思わぬエルフナインの攻撃に賊は困惑していたが、こっちもやられるわけにはいかないと剣を抜き出し、近接戦闘を仕掛ける。

 だが、エルフナインはそう来ることも想定済みであった。そして、その対策方法も。

 

 

 

 

 

「ボクがちんちくりんのガキだからって……近接戦闘が出来ないとは思わない事ですね!」

「なっ、どこから剣を……ってか俺の剣が分解して……!?」

 

 

 

 

 

 エルフナインが突如懐から抜き出した剣は、相手の剣を分解させる。

 これは剣殺しと呼ばれる哲学兵装であり、その名の通り刀剣類を破壊するための物である。

 

 

 

 

 

「ふっ!!」

「ぐあっ!?」

 

 

 

 

 

 相手の剣を破壊した後、自身の持つ剣の柄で相手の鳩尾を確実に捉え、気絶させる。

 他の相手の賊はこんな小柄な少女がまさかとんでもない戦闘能力を持っているとは思わなかったため、戸惑うばかりで攻撃を仕掛けようにも動けない。

 

 

 

 

 

「……お前、もしかして奇跡の錬金術師の片割れか?」

 

 

 

 

 

 奥からのそっと出てきた大男が、突如そんな事を呟いた。

 周囲がお頭!と言っているあたりこの男が頭なのだろうと、エルフナインは推測する。

 

 

 

 

 

「あまりその呼び方は……ボクはともかく、もう一人の方があまり気に入ってないのですけどね。恐らく貴方の言っているその片割れで当たっていると思いますよ」

「……ちっ、そいつは分が悪すぎるな。数だけじゃどうにもならないわけだ……お前ら!ずらかるぞ」

 

 

 

 

 

 大男の撤退宣言に、周囲はさらに困惑する。

 中には、少女一人にやられたのが気に食わないのか抗議をする者も。

 

 

 

 

 

「うるせえ!お前らが何人いてもあいつには勝てねえんだよ……ここは引くぜ嬢ちゃん、俺らの負けだ。もうここは襲わねえよ」

「そうしてくれると助かりますね……願わくば、ここ以外であろうと襲う行為そのものをやめてほしいですけど」

「そいつは聞けねえ相談だ。こっちにも生活ってもんがあるんでな」

 

 

 

 

 

 それ以上エルフナインは口を挟むことはしなかった。

 賊は他者と争い金品、あるいは食料を奪う事で生計を立てる。それはエルフナインにとって見逃せない事ではある――――が、それをしないと賊が生活を出来ないのも事実。

 この者達はなりたくて賊になった者は一人もいない、それをわかっているからこそ強くは言えないのであった。

 

 

 

 

 

「だったらせめて……これを持って行ってください。家に保管するために結構多めに買ったので、数日は持つと思いますが」

「……すまねえな、ありがたく頂く。俺らがもう一方の片割れに会わなかったのは、幸運だったかもな……お前ら!帰るぞ」

 

 

 

 

 

 エルフナインは賊に食料を手渡した。自分の者を差し出す事で、色々な面で苦しむ人が少しでも減るのならそれでいい、と。

 賊もまた満足そうに、だがどこか申し訳なさそうにそれを受け取り、村から撤退したのであった。

 

 

 

 

 

 余談だが、その事を家に帰ったあとキャロルに伝えると「お前は馬鹿か!?俺のメシはどうすんだよ!?」と、思いっきりキレられたとか。

 

 

 

 

 

―――

 

 

 

 

 

 色々な事があった一日だが、既に外は暗くなり、夜を迎えていた。

 爆散した家であったが、キャロルが自身の生命エネルギーを使い家を復元したことで、元通りになっていた。

 

 そんなキャロルであるが、エネルギーを使いすぎたのか疲れ切って眠りについていた。涎を垂らし、幸せそうに寝ている。

 

 

 

 

 

 そんなキャロルを、エルフナインはやや複雑そうな表情で見ていた。

 

 

 

 

 

 キャロルとエルフナインは、実の所双子ではない。エルフナインは、キャロルが作ったホムンクルスである。

 キャロルもまた人と言えるかは微妙なラインではあるが――――元々が人ではある。既に何百年も生きている存在ではあるが。

 

 

 

 キャロルは魔女狩りの時代、父親を処刑された経験がある。お人好しで、且つ優れた錬金術師であった。

 だが力を持つ者はちょっとしたきっかけで疑いを持たれ、それがあるラインを超えるとすぐに処刑されてしまう、そんな世の中であった。

 

 

 

 大好きだった父親を殺されたキャロルはこんな理不尽な世界、と復讐も考えた。また、父親からの遺言である「世界を知れ」というものも、世界を分解して命題を解き明かそうとも考えた。

 

 

 

 ――――だが、それ以上にキャロルは父親を失った事に対し悲しみに明け暮れた。

 いつまでたっても枯れない涙。何をしても止むことは無かった。――――そう、思い出に残っている限りは。

 

 

 

 錬金術には、生命エネルギーを使ったものや釜を媒体とし道具を作成する他に、もう一つあった。

 それは思い出を消却することでエネルギーに変換し、行使するものだ。これは、生命エネルギーを使うよりも莫大なエネルギーを生成することが出来る代わりに、思い出そのものを消滅させてしまうという強大なデメリットが身を襲う。

 

 キャロルの父親も、キャロルもこれを禁忌とし使用してはならない――――としていたが、父親を失ったキャロルはこの時唯一、この力を使用する。

 

 

 

 消却された思い出は父親との大切な思い出。そしてその莫大なエネルギーを元に作られたのがエルフナインというホムンクルスである。キャロルと同じく四大元素を操り、そして頭脳明晰な天才錬金術師だ。悲しみを根本から消し去りたいという理由と、もう孤独では居たくないという理由が重ねあったことによりできたキャロルの錬金術師としての最高傑作でもある。

 そして父親という存在を記憶から消したキャロルの顔からは涙が止まり、元の天真爛漫な天才少女へと姿を戻した。記憶の消却の前に絶対に忘れてはならない父親の遺言である「世界を知れ」というのも、父親からの遺言ではなく自身の錬金術師としての最終目標として認識してしまっている。

 

 

 

 そしてその思い出のエネルギーから作られたエルフナインは偶然か必然か――――その父親の記憶が存在する。だがそれは、キャロルには伝えていない。

 伝えたところで何も思い出せないだろうし、仮に思い出すようなことがあってもそれはそれでキャロルを苦しめてしまうという理由からである。エルフナインは、今のそれなりに幸せに生きているキャロルのままでいてほしいのだ。

 

 

 

 

 

「どうか……キャロルの、ボク達の平穏な日々が、このまま続きますように」

 

 

 

 

 

 寝る間際にボソッと一言、エルフナインは呟いた。




結構ざっくり設定。
エルフナインは原作と違い失敗作ではなく最高傑作なので、普通に戦闘能力高め。
オートスコアラー四人分の特殊能力持ちで、イグナイトモジュール前の装者よりは多分強い。

あとエルフナインちゃんが相手にキスすれば思い出抜かれて死ぬと思います。……しないけどな!
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