カヴァス?いやいや俺は   作:悪事

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言い訳として、ここ最近が異常に忙しく更新が大幅に遅れたことを此処に謝罪するものであります。

小説がより良くなるような事柄がありましたら、感想などでアドバイスをお願いします。



第三話

 本日もアーネンエルベは平常運転。いつも通り裏の世界でも規格外に分類される者たちが束の間の休息を行なっているということを示しているわけで。軽口や冗談の一つでも迂闊に語れば命の危機を呼び込みかねない喫茶アーネンエルベ。そこで給仕を行う青年、草十郎の口から出た一言をきっかけとしてアーネンエルベを揺るがす盛大な談義は始まった。

 

「なんだか、式さんの方がお姫様っぽいような気がする」

 

 

 唐突に自分の感想を口にする草十郎、そんな彼の言葉にコーヒーを飲んでいたアルクェイド、メニューから無難そうな紅茶とケーキを頼み食べていた両儀式、それを隣で見ていたネコアルクは意識が追いつけず目をパチクリさせていた。

 

 しかし、手馴れたものか青子と有珠はリカバリーが早く、草十郎にどういうことかと聞き返す。草十郎によると、“アルクェイドさんより式さんの方がお姫様っぽい”ということらしい。確かに今の両儀式の服装は豪奢な着物と腰まで伸びた艶やかな黒髪。その楚々とした立ち居振る舞いは良家の令嬢というに相応しい。対してアルクェイドは月光を放つかのような金髪にロングスカートと海外より訪日した美人留学生を思わせる。

 

 

 日本で生まれ、外国の方と接する機会の無かった草十郎からすれば、現状ではアルクェイドより両儀式の方がお姫様らしいということなんだとか。

 

「あら、何の含みもなく褒められると素直に嬉しいものね。ありがとう、草十郎君」

 

「え〜、なんか納得いかな〜い。私だって本当に吸血鬼のお姫様なのよ?それなのにいきなり、式の方がお姫様っぽいとか、色々と文句があるんですけど」

 

 確かにアルクェイドは真祖の姫君とされる存在、しかし今の彼女は草十郎からすると美人だが親しみやすく、お姫様というのは違和感があると。

 

「イヤー、静希くんってば怖いもの知らずを地で行くね。その無軌道な思考プロセスは理解不能、あたしでさえ予測でいないとか相当ニャね。ベイビー」

 

「いきなり、何を言うかと思えば、あいつ機嫌を損ねれば命がいくつあっても足りない存在と会話してるってこと、分かってるの?全く、有珠に同居を頼み込もうとした時もそうだったけど、どうしてこう地雷源の上でブレイクダンスを踊るような真似を……」

 

「下手すれば、物理的に木っ端微塵(ブレイク)すると。イヤァ、草十郎ボーイってば死亡フラグの見極めが尋常じゃないですニャー。まぁ、そうしないと型月の主人公ポジとか立っていられないだろうけど。大体、一般人が素手で幻想種とタイマン張るとか、出演する世界観に合致してないような気がするわけなのですが!?」

 

「……少しいいかしら、静希君」

 

 

 草十郎が不思議そうに首を傾げ、それに合わせフロアの一同の意識も有珠に集中する。有珠と付き合いの長い青子も内心ではおかしいと感じ取っていた。他者を己の心情に踏み込ませず口数も少ない彼女が自分から自発的に発言をしたのだ、口数の少ない彼女らしからぬ行動。

 

 まぁ、草十郎が絡むと大抵、らしくなくなるのが平常なのだが。しかし、こういった変化は有珠らしくはないけれど良い傾向だ。青子は保護者感覚で黙って有珠の遠回し過ぎるアプローチを横合いから見物する。色々と草十郎や有珠には振り回されているわけだし、これくらいの悪趣味は寛容されて然るべきだろう。

 

「今、式さんがお姫様らしいと言っていたのだけど……その、他の女性とかはどうなのかしら?例えば、そこのネコ……は性別が分からないから別として青子とか……あと私とか」

 

 呑気に観客気取っていたら、まさかの流れ弾が来た。

 

「ちょっと待った!何でそこで私が槍玉に挙げられるのよ。お姫様に憧れるような年頃でもないし、あとネコの隣に並べられたのも若干、イラッときたんだけど。……まったく、そこは素直に有珠だけでいいでしょうが」

 

「とかなんとか言って、実はお姫様に憧れてんでにゃい?」

 

 無駄口を挟んできたネコ型生物の顔面鼻っ柱に魔弾を撃ち込んで、青子は強制的に黙らせる。好きか嫌いかで言えば好ましいビジュアルではあれど、性格というか言動が百害あって一利も無いものだったための迅速果断な一撃。その攻撃の判断速度にはアルクェイド、両儀式も目を見張るものがあった。

 

「おっそろしく、切り替え早いわねぇ。というか迷いがないのかな?……魔法使いって私が知る限りもう一人いるけど、そっちといい勝負よ」

 

「ああ、これは橙子の血縁者のようね。彼女も決断は曲げない人だったから……」

 

 

「ふむ、蒼崎がお姫様…………」

 

 純朴な青年はネコアルクの遺した一言を素直に聞き入れ、生真面目に考え込む。発案者である怪生物が即座に退場したのを目の前にして、堂々と考える辺り相当な天然に違いはないが。

 

 答えが出たのか、草十郎は軽いノリで自分の考えを口に出す。

 

「蒼崎はどちらかといえばアイドルみたいなものじゃないか?」

 

 それを聞いてアーネンエルベに沈黙が生じる。青子は草十郎が含みのない思いついたことをまっすぐ言っているだけということは理解していた。けど、それでもどうしようもないのが人情である。顔を赤くした青子は、度肝を抜かれ黙り込んだ面々が正気に戻る前に草十郎に魔弾を撃ち込んで気絶させとこうと手を伸ばした時、店奥の席の方で“チーン”とベルの音が鳴った。

 

 アーネンエルベにいた全員がベルの鳴ったところに首を向ける。そこにいたのは店奥を巨大な体躯で占めている現在、店における危険度ぶっちぎりの怪物。灰の巨狼がベルを鳴らしていた。

 

「……ねぇ、あれってもしかして、草十郎の意見に同意したって事なんじゃあ……」

 

 アルクェイドの恐る恐ると言った言葉を聞いて、まさかと思う面々。しかし、草十郎の口にした言葉に合わせて先ほどのベルの音が鳴ったのは事実である。

 

「そんな、ただの偶然でしょう?まさか、あんな怪物が私をアイドルだ、アイドルじゃないとかで意見を出すような可愛げのある生き物に見えるっての?」

 

「でも、静希君の言動に合わせてベルは鳴ったのでしょう。なら、あれは同意の意思表示と見るのが妥当よ。でも、どうしてこんな話題に……」

 

 青子はまさかそんなと言いたげだが、有珠の言う通りだと青子の感性は納得しかかっている。青子の狼狽を横目に両儀式は草十郎へ穏やかに話しかけた。

 

「ねぇ、草十郎君。どうして青子のことをアイドルみたいだと?」

 

「ちょっ、続ける気なの!?こんな話題!?」

 

「だって、あの巨狼が意思表示を出したのよ。こんな平和な話題に乗ってくれているのだから、もう少し続ける意味はあると思うのだけれど」

 

 グゥと青子は口を噤みかける。確かにあんな世界にとっての災厄をアイドル云々という下らない話題でどうにか出来るなら、会話を盛り上げるのがいいだろう。ただし、会話の渦中にいるのが自分でさえなければという注釈はつくわけだが。

 

「じゃあ、草十郎!有珠はどうなのよ、あんたの考えるお姫様ってのにぴったりなの?」

 

「えっ……」

 

 えっ、ではない。先ほどさりげなく自分のことも聞いていただろうに。自分だけが話の肴になるのは看過できず、青子は自分の共犯者もまな板の上に引っ張り込んだ。無言で睨み合う青子たちを置いて、草十郎は真面目に考え込んでいた。この真面目さは万人好むところだが、ケースバイケースというものが世には存在すると知るべきだろう。

 

「……有珠のお姫様か、それはさぞかし綺麗なんだろうな」

 

 此処で恥ずかしがるような思春期男子らしい態度でも取れば青子とて感情を(たかぶ)らせないものを、草十郎は聞いている側が恥ずかしくなる程に本気で褒め言葉を口にする。黙り込んで顔を朱に染めている有珠への意趣返しという目的は果たしたので良しとするか。

 

「ところで蒼崎をアイドルみたいだと言った件だが」

 

「シャラップ!この唐変木、その話題はもう持ち出すなっての!?」

 

「いや、しかし有珠に訊かれてたことだし、忘れず答えておかないといけないのでは?」

 

「……ええ、そうね。此処で私だけが話題に持ち出されるのも後々まで引きずりかねないもの、しっかりと清算だけはしておかないと」

 

「有珠が綺麗スッパリと切り替えてくれれば良いだけじゃないの。……わかったわかったわよ。どうせ此処で話題を潰しても私のいない場所でされたら意味ないし、目の届くとこで監視でもしていたほうがマシか。でも、草十郎。くれぐれも発言には注意なさい。あんたの一言がいつ遺言になるんだか分からないからね」

 

 話し終えた青子の目は釣り上げられ、猛禽を思わせる鋭い眼光を放っている。その目つきの鋭さたるや、百戦錬磨の猛者の威風を知らしめるものであり、どう考えても喫茶店の給仕を行う女性が発していいようなオーラでは無かった。

 

 なぜ、アイドルという平和な話題を選んだつもりなのに結局、命の危機が付いて回るのかと草十郎はホロリと目尻に雫を湛える。アルクェイド、両儀式は“なるほど苦労しているものだ”と草十郎の境遇に同情しながらも救いの手を伸ばす気は無く草十郎の意見を待っていた。

 

「蒼崎は生徒会長で人の前に立つのが実に上手い。似たようなことを鳶丸も言っていた。ほら、お姫様というものは何というか浮世離れしたような印象だからアイドルとか難しいのではと思うんだ。だから、アイドルとして上手くやっていけるのなら、この中では蒼崎が一番合致していると……」

 

「へぇ、草十郎。それは何、私が世俗的とでも言いたいのかしら?」

 

「少なくとも脱俗という柄でもなかろうに。君の部屋のギターもそうだが、あと最近ではやたら目新しい電化製品にまで手を出して。使わない電化製品よりも食費の方に手を回してくれ」

 

 草十郎の“罪を受け止めて悔い改めなさい”系の言動に言い澱む青子。実際、最近ではギター以外にも電化製品を買ってきたりする癖が青子に付きつつあったことも相まって痛烈に心理的な痛手を被った。

 

 蒼崎青子は何でも新しいものに手を出すあたり、柔軟な価値観の持ち主なのだろう。もっとも、同居人の有珠は典型的な保守を旨とする少女。そんな有珠が最新の電化製品を歓迎することはなく増え続けている現状に内心では柳眉(りゅうび)を逆立てているのが久遠寺邸の実情である。

 

「なるほど、アイドルって神輿の同義語かと思ったけど、強かさも必要になるんだぁ。レンに教えてあげようかしら」

 

「確かに、式にはアイドルとか無理ね。ヒラヒラの衣装を見て抜刀、甘い歌詞を歌わされそうになれば直死の魔眼、インタビューなんて(もっ)ての(ほか)。愛想を振りまくのが決定的に向いてないわ。静かに佇んでいるだけのお姫様でも微妙なところね。そもそも、空の境界ってヒロイン枠はコクトー君が占めているのだし」

 

「それ、話の流れから察するに男の人だと思うけど、女子が負けるほどなの?」

 

 隣にいた青子は肘をついて、楽しそうに語る両儀式へ問いを投げる。自分のアイドル云々の話題を晒すためという建前こそあれ、純粋に気にはなる話題であった。

 

「青子の思う以上のヒロイン気質よ。本人も知らない間に目をつけられていて、こちらの思いも寄らない無茶をして。あの子()も苦労してるわ」

 

 そう口にする両儀式の顔は陽だまりのような温もりを感じさせる優しさを醸し出していた。

 

 

「それで蒼崎のアイドルの話に戻るんだが」

 

「アハハハ、意外と草十郎って律儀なのね」

 

 アルクェイドはにこやかに笑っているが、隣の青子の眼光は凄まじく何なら目からビームでも出そうな鋭さの眼光である。律儀は美徳だが、時と場合によっては命を落とす要因になるという特異な例を挙げてしまっていた。

 

「青子のアイドル姿……それなら青のドレスを着てロック風の曲でも歌うのは?」

 

「蒼崎の青子だからって、青を基本に物を考えないでくれる?大体、昔から誕生日でもクリスマスでも青系統の小物とか、名前にちなんだものばかりで。もうちょっと、ひねって考えて欲しいものよ」

 

「しかし蒼崎、君の調度品には青色の物がいくつかあった気がする。つまり、青色のモノが嫌いというわけではないんだろう?」

 

「そりゃそうだけど、名前を出汁にプレゼントを考えるのがどうかってこと!少しは使う側のことも考えなさいよ全く。青色なら、何でもいいかってのが頭に来るんだから。一番、ヒドイ時なんか凄い濃さの青色の茶碗に箸と皿のセットよ?食欲無くなるってーの!」

 

 此処で全くの蛇足だが、青色は食欲減退の効果のある色であることを明記しておく。

 

「なら、青以外のことでもう少し意見を出してみましょうか」

 

「さんせーい!それなら、ジーパンに白シャツだけってのはどう!?」

 

「アイドル的にそれでステージ上がるってのは、問題があるのでは?」

 

「着物というのも印象が変わって面白いわ」

 

「……ペンギンの着ぐるみ」

 

「人のことだからって、こうも好き勝手に言うとは……」

 

 もはや、青子も怒る気力を無くし、疲れたようにテーブルに突っ伏している。他の面々も自分の意見を好き放題に言い募ったことで話題が尽きたようだ。奥のテーブルにいる巨狼の動向が気になるものの、これ以上この話題に生産性はないかと区切りをつけようとする。

 

 そこに意外性で言えば現状ではトップに躍り出る草十郎が新たな話題を放り込んだ。

 

「そうだ、“ユーフォー”というものはどうだろうか?」

 

 

 UFO、正式名称を『unidentified・flying・object』とし日本語に訳すと未確認飛行物体などと語られる超常的ミステリーの代表物。その存在は一時代に於いては多くの活発な議論と宇宙への浪漫について思索を巡らせたものである。しかし、アイドルについて語る場では似合わない意見でもあった。

 

 いや、平成に入ってからはアイドルの中で“〜星の〜星人”というキャラを売りにするアイドルが出没するため、平成の生まれの人々には聞き覚えのある設定ではある。アルクェイドも日本に来てから、多少はテレビなど志貴と暮らす中で学んで聞き及んではいる。

 

 だが、1995年代を舞台とする空の境界出身の両儀式、そして1980年代を舞台とする“魔法使いの夜”に登場した蒼崎青子、及び久遠寺有珠にとっては寝耳に水のトンデモ設定。ゆえに青子が額に青筋を立てて草十郎の首を己の両手で締めあげ、有珠が顔を背けて腹を抱えるように笑い続けるのも頷ける。両儀式だけはアイドルという話題の中でどうしてUFOなどという珍妙なモノを出してきたのか本気で首を傾げている最中だ。

 

 

 首を手加減抜きで締められ、オチかけている草十郎はタップをして“わけを聞いてくれ”という無言の懇願を行う。青子も鬼では無い、手を離して草十郎の話を聞く姿勢は一応だが取っている。しかし、組んでいる腕を起点にして輝く魔術刻印が可視化できている時点で話し終えれば命はないということを言外に知らしめていた。鬼ではないが、慈悲はないということなのか。

 

「別に蒼崎を揶揄(からか)うような意図で意見を口にしたわけじゃないぞ。これは鳶丸からの又聞きだが、アイドルというか女性全般に当てはまることだが、女性はミステリーなくらいが丁度いいそうだ。ミステリーというものが何なのか分からないが、クラスの男子いわく鉄板(てっぱん)のミステリーと言えばユーフォーとツチノコというモノらしい。ツチノコは蛇の親戚みたいなものと聞いたので、もう片方のユーフォーを推したというわけなんだ」

 

 青子は組んでいた諸手を下ろし、頭に手を当てる。ああ、頭痛がすると言わんばかりの態度の理由は、草十郎の世間知らずっぷりにあった。この男、山から降りてきたためか都会における常識の判断を他者にぶん投げる悪癖がある。いや、悪癖と言うほどではない。全くの無知であるため自分よりも見識のある人物らに判断を任せると言うのは賢い選択ではある。

 

 無知の身でありながら、全ての判断を自身が下すという無謀よりはマシなモノだ。しかし、草十郎は他者の意見を完全に信じ切ってしまう純朴さがあった。普通ならば他者の意見に対し抱くであろう疑念や疑いの目が草十郎からは抜け落ちているのだ。

 

 それは彼の山における生活より学んだ、在るものは在る、という理念に基づいた思考の賜物で、都会で生きていく上では不用心としか判断されない草十郎の美徳にして欠点でもあった。信じるという美徳を、欠点とする都会の生活は草十郎の目からして怪奇過ぎる代物。

 

 早々に理解しろと言うのは簡単でも実行に移すのは中々の難題だ。

 

「今時、ツチノコにユーフォーって。もう廃れ始めた単語じゃない。というか、女性のミステリアスと超常現象のミステリーを混同した時点で却下よ」

 

「そうなのか…………」

 

 本気で残念がっているため、悪意はなくただ真面目なだけだったのだろう。まぁ、それが却って逆鱗に触れるというケースも珍しくないのが彼らしいところではある。

 

 しかし、そこに待ったをかけるように店奥から太く短く巨狼が()えた。それに合わせて、テーブルのベルを一回鳴らす。その光景は先ほどと同じもので、巨狼の鳴らしたベルを青子たちは何らかの肯定の合図だと認識していた。

 

「えっ、マジなの……」

 

「あ〜お〜こ。これはユーフォーアイドルとしてデビューした方が平和に収まるんじゃない?」

 

「そうね、衣装程度なら私や、そこの吸血鬼さんでも用意できるもの。少し着替えるだけでこの平和が保たれるなら、安いものじゃなくて?」

 

「それじゃあ青子、頑張ってね」

 

「……すまん蒼崎、俺の失言だった……」

 

 草十郎ならば、如何様にでも出来るもののこの場にいるには“朱い月の代行たる吸血姫”に“空の境界に(たたず)む両儀の具現”、さらには青子の共犯者でもある“現代における最後の魔女”。例え、第五の魔法を継承した青子であろうと、容易く抗えることの出来ない理不尽たちの集い。

 

 

 青子は失意のあまり(うつむ)いて、と思えば満面の笑みで皆に微笑みかけてから厨房へダッシュで逃亡を図った。面白がったアルクェイド、両儀式に続き自分を話題に持ち出した青子への報復をすべく有珠も厨房へ歩を進める。草十郎は困ったような顔で参ったと言わんばかりに息を吐き、そっと店奥の巨狼の方へ視線を向けた。あのベル、果たして本当に肯定の意味合いで鳴らしたのかと疑問に思いながら。

 

 厨房から爆発音、破砕音、斬撃音までが響き始める。そろそろ、()めに入らねばと草十郎は、空になったカップを持って現在進行形で戦場と化した厨房に行った。

 

 

 最後にフロアに残った灰の巨狼は誰もいなくなったフロアをキョロキョロと見渡してから、よく聞こえるように、もう一度ベルを大きく鳴らした。

 

 




巨狼道場、解読編

1回目のベル
『すいませーん、注文お願いしまーす』

2回目のベル
『聞こえないのかな。無視されたわけじゃないよね?すいませーん!』

最後のベル
『そして誰もいなくなった…………えっ、マジで放置された?』

次回予告、とうとうアーネンエルベに飼い主現る!?
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