雪が降るトンネル……じゃなくてキャメロット城を抜けたら雪国でした。
いや、冗談抜きで。ブリテンに冬が訪れる、正直なところ今の時代では現代のような快適な暖房器具があるわけでもなし。しかも騎士だからなのか暖を取る燃料を民家の人々に渡し、キャメロットの城内は極寒。おかげでモフモフなシフボディに集まる人が多いのなんの。最近、早朝にアルトリアちゃんの暖房代わりでいることが多い。そのせいか、狩りに出る時間が夜遅くになってすっかり夜行性の狼暮らし。
朝はアルトリアちゃんの暖房、昼にはアっくんのとこにお邪魔して、そこを出たら夜の狩りまで睡眠を取る。狼らしいのか?まぁ、なんでもいいさ。雪の降り始めた日の夜、俺は横になって夜の狩りに備えていた……ような気がする。そこで雪の薄っすらと積もり出した中庭で会ったのが彼女だった。
フルアーマー換装済み、夜中に会うには物騒すぎる格好をした円卓の騎士が一人であるモードレッド、後にモーさんと呼ぶことになるオレっ娘の微少女(乳)だったんだよネ?!
型月世界のモードレッドって、ブリテン崩壊の一因ですよねー。どうすべきか、キャメロットというよりアルトリアちゃんのことを考えれば彼女にどう対応するのが正解?
…………俺は考えるのをやめた。うん、もうフィーリングでどうにかすればいいよネ!
近づいてくる彼女がガチャガチャと音を立て、こちらに接近してくる。これでもワイは灰の巨狼と呼ばれるシフさんだ。穏やかで寛容な心持ちで……
『……よう、クソ犬。てめぇ、デケェ
ーーーーよーし、この娘っ子ウルフズブートキャンプで更生させたらぁ。壁ドンならぬ地面にドンとモーさんを押し倒して顎を開き脅かしてみる。……いや、よく考えてみよう。このヤンキー口調はグレているせいだし、ヤンクミならぬウルクミ的な教育をすればいいのではないか?思い起こせば、モーさんを取り巻く家庭環境が崩壊しているせいでもあるだし、一概にモーさんを責めるわけにもいかん。
ちゅーわけで…………オモテ出ようか。
キャメロットを出て、俺の最近の狩猟場である草原に到着する。この場でモーさん、“人には大切なものを守れる力さえあれば、それでいいんだ”ってことを君に教えてやらぁ。まぁ、俺は狼であって人じゃないんだがネ!俺の灰色の毛と同化するような雪の降る夜天へと顔を上げる。腹から喉に渾身の力が通り抜け、開かれた口から世界を揺らす遠叫が響いた。
巨狼の咆哮に応じて虚空より巨狼に対応するような大剣が雪原に現れる。ちなみに……聖剣アルトリウスが実体化する原理については、俺一切理解できてません。なんで自分の使うものの細かい原理がわかってないんだって?テレビだって電源を付けたり切ったりするのに、内部構造を深く理解する必要はないでしょ?それと同じようなもんですわ。
そんで戦闘開始……終了。細かい描写?要らんでしょ、いくらモーさんがアルトリアちゃんを超える
崩れ落ちるように座り込むモーさんを後ろから支える。この戦いでヤンキーから更生してくれればブリテンは安泰かな?……いや、モルガンちゃんのネグレクトキャンセルとアルトリアちゃんの認知の二つが何よりも必要だよねぇ。
次の日から……俺が狩りに出かける先にモーさんが現れ、夜な夜なガチバトルに明け暮れる日々が始まるわけだ。日を追うごとに強くなるモーさんは凄まじいと言う他ない。俺の動きをトレースしては自己流に改良を重ね、俺を追い越さん勢いで強くなっていく。
そんなこんなで、モーさんと仲良くなった代わりに朝(アルトリアちゃん)〜昼(アっくん)〜夜(モーさん)と一日のほとんどがキャメロット在住の騎士たちの
モーさんも、俺をクソ犬なんて呼ばずに名前で呼んでくれるようになってわけだし。……それでも、やっぱりというかまたなのかと思われるだろうが……一言だけ口にしたい。
俺の名前は、シフで
もし、人生の中で一つの出会いが運命を分けるというのなら、あの身を切るような寒さの雪の降る日こそオレの運命を変えた日だったんだ。
円卓は崩壊し、ブリテンの栄華は地に堕ちる。これは決められていたことだった。裏切りを前提に円卓に座したアグラヴェインとは異なり、オレという騎士は裏切りの遂行がためだけに生み出されたのだから。しかし、滑稽にも程がある。結局、オレという騎士はアグラヴェインと同じように騎士王に憧憬を持ち、裏切ることなく王に仕えようとした結果があの丘の上の末路。
かの騎士王の姿に焦がれ、尊いと手を伸ばした単純なオレの無様なオチ。馬鹿馬鹿しいよなぁ、けどそんなオレの事を最後の最期まで慕ってくれた友がいたんだ。
父上や母上、そこらの騎士が認めずともオレには友がいる。世界の全てが偽りであろうと信じ抜ける真の友情は確かにあったのだから。
ああ、オレは騎士王に憧れていた。その後継となり王座に着くことも夢に見た。けれど、ただ王座に着くことだけが、騎士王の後を継ぐことだけがオレの願望の全てではなかった。
オレの語らざる願望、それは…………
母上が円卓の崩壊を目論み、オレはそれを遂行する。母上の言葉を聞いている時は騎士王の統治を終わらせ、母上を玉座に座らせることが民草のためなのだと信じていたんだ。しかし、オレの想像を超えるほど騎士王の統治は素晴らしく、オレの理解を離れるほど騎士王の武勇は見事だった。これ以上の国家など望むべくもないだろう。
実際、母上の話とは違い、民草は喜びのうちにブリテンの繁栄を謳歌している。全ては騎士王の手腕によってブリテンを泰平に導いたという事実。それを理解しない諸王や蛮族どもを蹴散らすのは気分が良い。かつて、騎士王と自分の関係を知る前の自分は、母上の円卓崩壊の謀略と騎士王の憧憬の板挟みに悩んでいた。その発散先である諸王や蛮族退治の功績が認められ、円卓入りを果たすというのだから星の巡り合わせはワケが分からん。
苛立ちまぎれに敵をブッ飛ばす日々が流れ、ブリテンに冬が訪れた。凍えるような寒さでブリテンの人々は、これまでで貯めた食料や燃料を節約しながら冬を越す。キャメロットも例外ではなく、むしろ騎士という軍属である以上、普通の民家よりも環境は厳しい。普通の民家なら燃料を使う寒さでも、騎士は忍耐を強いられる。軍属だから民草よりも雑に扱うのは仕方がないだろう。
しかし、オレにとっては寒さよりも戦場に行かなくなった事がキツかった。相も変わらず、円卓に対し謀略を仕掛けようとする母上に付き合うのは骨が折れる。騎士王への憧憬は日に日に増すばかりであり、同時に母上の謀略の一環でもある自分が円卓にいる事が王への裏切りにも思えてきて、不機嫌さと苛立ちは増え続けやがる。
夜中、あまりにも冷え込むばかりに寝付けなかった自分は、与えられた寝室から出て城の中を歩き回る事にした。特に散歩好きってワケじゃねぇけど、その時は何も考えないでいたかっただけなんだ。母上の謀略も、騎士王への憧れも、自分の存在も、未来も、何もかも忘れて歩き出す。
歩き続けて、ようやく立ち止まったのは城の中庭。降り始めた雪が、今のブリテンの冬の厳しさを物語っている。鎧を身につけていても身を切るような寒さは防げない。大人しく部屋へ戻り寝床に付こうとして……意識が止まった。
雪によって、白く染まった庭に何かが"いる"。もし、その何かが危険なものであるなら、城内に黙って置いとけない。支給された何の変哲も無い剣に軽く触れ、いつでも抜剣できる用意を備えた上で、謎の生物との間合いを詰めていく。互いの相貌が視認できるまでの距離になった時、ようやくオレは相手が何者かを確認した。銀世界に融け込むような灰色の狼毛、そこらの男を凌ぐ巨体、まるで篝火のような静かで身を焦がすような威圧感を漂わせる存在。
母上から聞いた事がある。人ならざる身にて王に仕える獣、人智を超えた怪物、王の猟犬たる灰の巨狼カヴァス。母上がキャメロットにおいて最も危険な存在だと語り警戒する魔獣。その姿を見て、俺はこいつに対する反感を持った。俺が母上、アーサー王との関係に挟まれ煩悶しているというのに、この獣は何と自由なことか。何者にも縛られない猟犬という存在が無性に
「……よう、クソ犬。てめぇ、デケェ
苛立つ心のまま、灰の巨狼カヴァスを嘲弄する。安い挑発、情けない騎士として恥ずべき行い、こんな真似とても
眼前には顎門が、カヴァスは何かを確認するように透き通った眼で見つめてくる。その眼を見れば敵対行為などでは無いと分かったが、その時のオレはカヴァスを蹴っ飛ばして素早く立ち上がる。肉体に流れる魔力が赤雷となって、放電を始めバリバリと大気を鋭く鳴らす。カヴァスは首を軽く振って、城門の方へと四足を動かす。なるほど、城内で派手にやるってのがマズイのはお互い様。オレはカヴァスの後を追って城門を出る。オレとカヴァスが立ち止まったのは、城から少し離れた草原……いや雪が積もっているため雪原だろう。
この場に遮蔽となるモノはなく、灯が無いため辺りは暗い。夜の闇と地面の白銀が世界を二色に分けているようだ。カヴァスは四足を広げてしっかりと地を踏みしめる。その次にカヴァスは頭を天に向け、高らかに吠えあげた。空間に反響するような遠吠えは自分の鎧をリィィィンと揺らす。思わず、眼を閉じてまた眼を開くとカヴァスの真横に巨大な両手剣が地に刺さっていた。
カヴァスは大剣を口で咥えて、大地から抜き放った。そう、これは騎士どもの立ち話で聞いた事だが、灰の巨狼カヴァスは騎士王と同じく湖の乙女より預かった聖剣を携えていると。
ヤバい、本能的にカヴァスが聖剣を構える前に剣を振るう。赤雷を伴った斬撃は、これまでで最高の一斬だった。それをカヴァスは口に咥えた聖剣で受け止めていた。咄嗟に防御したというのか、あの一瞬で。おもしれぇ、ここで不思議とオレの顔に浮かんだのは満面の笑み。現状では超えられない壁を前に、オレは“上等だ”と剣を握り直す。赤雷が矢のようにカヴァスに飛ぶ、振ってくる雪と地面の雪を焼き熔かして赤い稲妻はカヴァスに刺さる。だが、どうしたことか雷はカヴァスに当たったかと思えば、奴の聖剣の刃身に吸い込まれていく。エネルギーの吸収?
ざっけんな!つまり、奴には魔力や火力、雷、冷気といった攻撃は効かず、純粋な斬撃打撃といった物理で沈める他にないということか?心中に渦巻く焦りを消そうと剣を強く握りこみ、魔力を放ちながらカヴァスの頭を両断する軌道で斬撃を行う。赤雷となった魔力を推進力とした高速の剣撃、それをカヴァスは横方向のターンで回避……違うっ!回避のためのターンではなく、巨大な大剣に遠心力を加算しての一振り。両断するために剣を勢いよく振ったために、剣を防御に回せない。鎧で上手く防御できるか、一種の賭けだ。
カヴァスの聖剣、確か銘は“アルトリウス”。それがオレの身を守る鎧と接触、少しの意識の空白。気が付くとオレは雪の降る空と、こちらを見つめるカヴァスを見上げる形で地面に倒れていた。
手心を加え、情けをかけたつもりなのかと考えた瞬間、オレの中の自制の
オレと奴の間にある実力差に歯噛みして、それでも再びオレは奴に向かって剣を振るう。振るわれる剣を後方に飛び退く事で回避したカヴァスに追随しようと魔力を脚に乗せ高速の踏み込みから奇襲を行う。だが、それは奴の前脚の払い、人間で形容するならオープンブローのような打撃が全身を痛打する。痛みから生じた思考の停止、何も考えられなくなろうとも剣を振ろうと一歩、踏み出す。その一歩を皮切りとしたのか、カヴァスはオレの鎧の首元を噛み
ただ、それだけだ。立てただけ、構えは隙だらけで足取りは
オレは背後に回ったカヴァスに支えられ音無く、雪原に座った。一人と一匹の間に言葉はなかったが、不思議と居心地は悪くない。カヴァスの灰色の狼毛が毛布のように自分を包んでいるおかげで、寒さはなく優しい穏やかな暖かさに包まれ、その晩のオレは意識を手放すのだった。
朝、目覚めたオレはベッドの上で五体を放り出していた。どうやら、廊下で倒れていたオレをアグラヴェインがベッドまで運んでくれたというそうだ。あいつはオレと同様にモルガンの親類に当たる男、面倒を見てくれたことは意外でこそあれ驚くほどではなかった。
それよりもこの身を焦がすように急かす感情の行き先は、灰の巨狼“カヴァス”との再戦と勝ち星の奪取に向けられていた。
「次こそはオレが負かして見せる、待ってやがれ“カヴァス”」
次の晩、オレは夜のキャメロット城から抜け出して、あの雪原へ走る。走りついた時には、既に奴がそこにいた。狩猟の帰りなのか、木の実や薬草に食用の山菜など城に持ち帰るであろう獲物を咥えた籠に詰め込んでいる。カヴァスはオレと接敵するや顎の力を抜いて籠を地面に落とす。奴が籠を咥えたままなら、獣である奴の武器の一つである鋭い牙と強靭な顎門が封じられていたものを。まぁ、そこまでオレにとって都合のいい状態で勝負に臨める幸運などあるまい。
カヴァスは四肢を地面に叩きつけるように踏みしめて四足獣としての構えを取る。オレも奴に応じるように母にして魔女より教え習った剣技を十全に発揮するため騎士としての構えに移る。剣を構えながら相手の打つであろう一手を読むべく奴の瞳に視線を集中させた。覗いた瞳の奥底、そこには人のような欲望と野心、醜悪な望みは見ることができない。悔しいほどに憧れてしまいそうになるくらい透き通るような瞳の中には、ただあるがままの生命の暖かさと騎士としての忠義が燃えていた。
ーーカヴァスが動く、奴の瞳中に意識を取られ戦闘のためだけに回転していた思考に隙間が生じた。“バカか、オレは!”と自分を叱咤しつつ、構えていた剣先を奴の進行方向に乗せる。上下の顎門が刃を食い千切ろうと襲い来るが、オレは剣を両手持ちから右手持ちに換えてカヴァスの噛みつきから剣を避けさせた。昨日のオレならここで後方に下がってから攻撃に転じていたかもしれない。だが、昨日の夜の僅かな戦闘を潜り抜けたオレは空いた片手を握り拳としてカヴァスの顔面へ振り抜く。
母、モルガンこそオレの剣の師。そして、モルガンはかつて先王ウーサーと魔術師マーリンより王としての教育を受けた存在。結局、モルガンは王とならなかったが、その剣技や知識はオレへと受け継がれた。そう、言うなればオレは騎士王と同様の剣技を習得しているのだ。しかし、それでは足りない。王としての剣技ではカヴァスを越えられないことが嫌という程に分かった。騎士王と同様の剣技でダメだったのだ、騎士という人の範囲の剣技では更に望みは薄いだろう。
ならば、どうすべきなのか。至った答えはただ一つ、越えるべきカヴァスの戦闘技法を余すことなく吸収し人の扱える段階にまで改良し自己流にしてしまえばいい。剣が使えないなら拳を握って打撃・回避のためのターンといった運動エネルギーを攻撃に転化・相手と取っ組み合って地面や壁などの硬いものに衝突させるなど昨晩に喰らって敗北を与えられた技を総て吸収するのだ。
流儀や型に囚われた騎士としてではない、勝つためだけに自分の総てを解放する獣として勝負に挑む。顔に打撃をもらったというのにカヴァスはよろめく気配も見せやしねぇ。奴は聖剣を呼び出し、その顎門で咥えて戦闘に備える。出来ればエネルギーを吸収する聖剣アルトリウスを出す前にカタをつけたかったが、文句を言っても勝てる道理はない。
赤い雷撃を発し一歩前進のための一歩を踏んだ。雷を飛ばしても奴に効かない、ならば飛び道具としての雷は捨てろ。移動と剣戟の速度を上げる加速機能として割り切れ。一瞬一秒ずつ進化するんだ。カヴァスが疾駆する雪原の雪が吹き飛ぶほどの速度、オレは右足を軸としてカヴァスの一撃を剣で受け、駒のように廻転する事でどうにか受け流す。一度、流すだけで腕が痺れてしまった。カヴァス、王の猟犬と謳われる者の戦闘は獣らしい動きの中に騎士としての忠義を秘めた矛盾の塊。ならば、オレもそうあろう。獣ならざる人身にて獣体の戦技を用い、円卓の騎士としての誇りを勝利の原動力にする矛盾の騎士に。
カヴァスの剛剣を必死に捌き続ける、奴の刃の圏域に囚われ続けるのはマズイ。本能が、騎士としての経験が、モードレッドとして生きてきた
赤雷のブーストでカヴァスの真上に飛んだ。急激な上下駆動、いくらカヴァスといえど一瞬はオレの姿を見失うはず………甘かった。カヴァスは当たり前のように上を向いて剣を強く噛み締める。撹乱は失敗に終わった、けれどここまで跳躍する時間、もしくはオレが落下するまでの時間があれば刃にカヴァスを仕留めるだけの赤雷を蓄積可能。
宙に滞空したオレは剣を上段に構えつつ、意識をカヴァスから剣に集中させてしまったのだ。それが敗因となり勝負の分かれ目になる。カヴァスは剣を咥えたまま首を、脚を、全身を捻り肉体を円と化す。それは槍の投擲、または円盤投げ、あるいは投石機のごとく。
「っなぁ!?戦場で武器を手離すだと!?」
その投擲、狙い誤る事なくモードレッドに命中。飛来する刃を受けて無事だったのは自分を守護する鎧の加護か、悪運か。兎にも角にも、この晩の一戦、狼騎士の投剣にて赤雷の騎士は敗北へと墜落するのだった。雪原の二戦目、落下したモードレッドの意識は昨晩とは異なり保ったままではあるが、戦闘に移行するのは難しかろう。それでも、モードレッドは不敵そうに笑いながらカヴァスに対峙する。
「はっ、ハハッ……その動きはいただいた!」
………………苦し紛れの負け惜しみ。自分でも見え見えな
“いい
ああ、そうともたった一つの言葉……いや言葉でなくともそれだけでオレは満たされることができたんだ。これからオレはカヴァスの狩猟に同行し、カヴァスと互いに互いを鍛え切磋琢磨する真の
カヴァスは自分にとって師であり友であり敵であり、人生の解でもあった。そう、故にこそオレの生涯の幕引きを預けるに相応しいのは他の誰でもないカヴァスのみだったんだ。我が結末自体に悔いはない、けれども願いが叶うなら……オレは……