久々の投稿です‼︎
信長が本当にうつけだったら……ということで‼︎
新連載、どうぞご賞味あれ‼︎
ヤバイぞ桶狭間
時は戦国。応仁の乱によって混乱した当時の日本には、自らの実力で領土を広げ、戦を繰り広げた、いわゆる戦国大名が各地に存在した。
奥州の伊達、相模の北条、越後の上杉、甲斐の武田、駿河の今川、美濃の斎藤、越前の朝倉、近江の浅井、安芸の毛利、土佐の長宗我部、豊後の大友、薩摩の島津……
彼らは自らの才覚のみを頼りに、果てしない戦を繰り広げ、生き延びていた……。
この話の、織田信長もその中の一人である。
しかし、彼は……そう……なんというか……キチガイ…いや個性的…ん〜アホ…いやいや……その……と、とにかくあれであった……。
私は山田善太郎。「とにかくあれ」な信長様を支える、いわば織田家の筆頭家老である。
しかし、「とにかくあれ」な信長様を支えるのは、並大抵なことじゃない。なぜかって?それは今にわかる。
「お〜い山田ちゃん‼︎こっち来てよ‼︎わしがすんばらしいものを見してやるぞ‼︎」
信長様の声。異様に甲高いその声は、まるでいとけない子供のようだ。
「早く来や〜て山田ちゃん‼︎」
あそこで叫んでるのが私の主君。
なーんか嫌な予感………
信長様のところへ行くと、信長様はなんか手をはっちゃかめっちゃかに振り回し、地面をだんだん踏み鳴らしていた。
「見よ山田ちゃん‼︎わしの考えた新しいダンスじゃ‼︎名付けて『敦盛』。どうじゃ?いけてるじゃろ?」
本人はダンスと言っているが、端からみるとただ暴れているようにしか見えない。
「ふふふ山田ちゃん、わしのダンスに見とれておったな?ははは‼︎かわゆいやつめ‼︎ははは‼︎」
いや、いい歳した、仮にも尾張の国主が、何をするでもなく手足をジタバタさせてる様子に、ただただ唖然としていただけである。
「わしはな、もう決めたんじゃ‼︎わしはこのダンスで生計を立てるんじゃ‼︎大スターになって帰ってくるど〜♪‼︎」
おい、尾張の国主、君は尾張の国主だぞ〜、本当はそんなキチガイダンスを踊っている場合じゃないぞ〜
「わしはな、さっき手紙を出したんじゃ。駿河(静岡県東部)の今川義元とかいうやつにな。ダンスで勝負しようとな。アハハハハ‼︎」
ヘェ〜今川義元にねぇ………全く尾張のリーダーとしての自覚が足りな…………え?今川義元?
今川義元は駿河、遠江(静岡県西部)、三河(愛知県東部)を支配し、今一番天下に近いと言われている大名である。
「殿が手紙を書いたんですか?」
「あたりまえやがな。」
何ぃ‼︎もしこのクソゴミ男が変な手紙を書いて今川義元の怒りを買ったら瞬く間に攻められて我々なんか終わり(尾張)だぞ‼︎
変な手紙じゃなければいいんだけど………
〜今川義元の館〜
「ぬううう馬鹿にしとる‼︎」
厚く化粧をし、歯を黒く塗っている男が手紙をクシャクシャにして投げすてる。
今川義元である。
「いかがしました義元様。」
今川家の家来たちは主君の怒り様に戸惑っている。
「これを見ろ‼︎」
一人の家来が、義元がクシャクシャにした手紙を広げて、見る。
「………」
───ども〜‼︎義元ちゃん元気?
今度ぉ、わがはいとダンスの勝負しなイカ?君のブクブク太った腹で腹踊りなんかしてみたら(笑)?あ、義元ちゃんが尾張に来るための交通費は自腹ね☆じゃ、楽しみにしてるっちゃ‼︎
最近まめができてそれが潰れてしまった織田信長大王様閣下より。
「………こ、これは………ふ、ふざけていますな‼︎」
「そうじゃ‼︎今から尾張を攻めて世の中の為にこのクソゴミ大名織田信長を攻めてくれる‼︎」
今川義元は、尾張に侵攻した。その数二万五千。
名目上は京都への上洛。
しかし本当の目的は………
「な、なぬ‼︎今川義元が攻めてくるぅ⁉︎」
この知らせが来た時、織田家は騒然とした。
唯一、当主織田信長以外は。
「よし‼︎作戦会議だ‼︎」
織田家中皆城の大広間に集まる。
「今川は二万五千の兵で攻めてくるというではないか⁉︎我ら織田勢はたった五千。勝てる訳がない‼︎」
「籠城だ‼︎籠城して今川を迎え撃つぞ‼︎」
「いや、城に籠ったとしても食糧もじきに尽きる。ここは降伏しか………」
「何を臆病な‼︎打って出るべし‼︎」
カンカンガクガク………
しばらく意見がまとまらずにいると、信長様が一言。
「もう〜何をギャーギャー騒いどるか知らんがわしは明日義元ちゃんと大事なダンスの勝負があるのだ‼︎わしは明日に備えて徹夜でダンスの練習をする‼︎おまえらはとっとと寝ろ‼︎わしのすんばらしいダンスの練習が妨げられぬようにな♪」
信長様はそう言い放つと、さっきの敦盛とかいうダンス(はたから見るとただのキチガイ行動)をしながら部屋を出てった。
「……」
「……」
口をパクパクしながら固まる織田家中。
「……皆で裏切るか、」
「んだな」
私もこの時ばかりは織田家を裏切ろうかと思っちゃいました。
その夜……
「フンフンフフーン♪」
信長様は義元とのダンス勝負に向けて徹夜で特訓している。今の尾張の状況も知らないで呑気なものだ。
徹夜で付き合わされる家老の身にもなってみろってーの。本当に裏切ってやるからな、ったく……ブツブツ
「ハァハァ……これだけ練習すれば……明日は負けぬぞ‼︎」
はいはい、すごいね。
ため息をついてふと外を見ると、東の空がうっすらと明るくなっていた。徹夜でこのクソバカに付き合った自分を褒めてあげたい。
あぁ、もう寝そう……
重いまぶたをこすりながら夢の世界に入りかけたその時、
「申し上げます‼︎今川勢、着々と我が軍の砦を落とし、もうすぐそこまで迫っています‼︎」
と慌ただしく物見が入って来た。
「な、何ィ‼︎」
眠気は一瞬で消え去った。
「い、いま今川はどこに⁉︎」
「は、ただいま桶狭間にて休息中とのことですが……」
物見に気づいた信長様は妙に甲高い声で叫ぶ。
「何ィ⁉︎まだ夜も明けきってないのにもう義元ちゃん来ちゃったの⁉︎もう〜仕方ない‼︎夜中のダンス勝負というのも風流かもね☆」
もうお前脳みそに雑草生えて死ね。
「馬をひけぃ‼︎わし、ちょっくら義元ちゃんとこ行ってくるわ‼︎」
そうそうとっととどっかに消え……はぁ⁉︎
「と、殿、今なんと?」
「だから今から義元ちゃんのとこ行くの‼︎」
はぁ⁉︎脳みそがバオバブだらけになって腐ってんのかこのボケナス⁉︎
「殿‼︎お供は⁉︎」
「ただのダンスパーティだからお供はいらん‼︎でも見物したいやつは来ていいよ♪」
信長様はそういうと、ドタドタと駆けて行った。
「……」
「……」
私はしばらく物見と顔を見合わせていたが、すぐに城中の皆を起こした。
「と、殿が出陣されたぞ〜‼︎」
信長は、今川が尾張に侵攻して来た時、ろくに作戦会議もせず、今川軍の位置の情報を得た後、数騎で駆け出したといわれる。
「はぁ‼︎」
私は急いで織田家中を叩き起こし、鎧をつけ、馬にまたがり、信長様の後を追った。万が一あのクソボケが今川軍の中に行った場合、鎧もなしだと心細いからだ。
さらに万が一あのゴミクズタコの為に戦になってもなんとか応戦できるように兵は三千ほど連れて行った。むろん、信長様が今川軍に突撃(?)する前に救出するのがベストだが……
太陽がだんだん東の方の空を明るくする。徹夜した私にとっては眠くなるほど気持ちのいい朝日であったが、うとうとしている場合ではない。
先ほどの物見には先に信長様を追うように命じたが、その物見の姿もまだ見えない。やはり、三千の兵ではスピードも遅くなる。
私の脳裏を嫌な想像がよぎる。
もしかしたらもう信長様は今川に捕まって殺されてしまったのでは……
私は頭を横に振った。きっと、物見が信長様に追いついて、信長様を止めているはずである……。
私の頰になにか水のようなものを感じる。
何時間か駆けていたのだろう。先ほどの気持ちのいい朝日は黒い雲に覆われ、あたりは雨に包まれた。
どんなに走っても信長は見つからなかった。
「くそ〜信長様はどこじゃ‼︎」
私は焦った。このまま行くと私たちが今川軍に突撃してしまう。たかが三千の兵では、今川二万五千には到底勝てない。
しかし、雨で視界が悪いので、気づいたら目の前に今川軍、というのも十分にあり得ることである。
早く信長様を見つけねば……
「ご家老‼︎目の前に今川軍がいますけど⁉︎」
私はおもむろに馬を止めた。
恐れていた事態が起きてしまった。気がつくと、そこには今川の旗印がはためいていた。パッと見ただけでも、私たちより断然兵が多かった。
口の中はカラカラ。手は汗でぐっしょりしていた。
どうしよう。
「山田様、このまま信長様探しがてら突撃しましょう‼︎多分信長様バカだから今川に突撃しましたよ、後に続きましょう‼︎」
「むむむむ……」
確かに、今までの道中に信長様が居なかった、ってことは信長様は今川に突撃した可能性が高い。
雨が小雨になってきた。今川軍がさっきよりはっきり見えるようになった。心なしか、今川軍はなんかどよめいているようにも見えた。信長様は本当に単騎突撃したのかもしれない。
物見も、それに続いていった可能性がある。
最悪、あの尾張の害であるパッパラパーはどうでもいいとして、これでは物見がかわいそうである。
それに、三千の兵をここまで連れてきて、何もせずに帰ったのでは世の笑い者になるであろう。
「山田様‼︎ご決断を……」
私は深く息を吸い、またはいた。
もう、後にはひけない。
男の面子、物見の命の為……(え?信長?だれそれ?)
「えぇーいこーなりゃやけだ‼︎狙うは義元の首のみ‼︎ひたすら突っ込むべし‼︎おらぁ〜‼︎」
私は全軍に突撃命令をくだした。
私は今川の陣に突撃して、まずは物見を探した。
今川は私たちの突撃で思ったより混乱したらしく、容易に陣の奥まで入れた。
今川の兵の中から「うわっ‼︎またきた‼︎」とか「信長め‼︎単騎できたと思えばやはり伏兵か‼︎」とかの声が聞こえるところを見ると、やはり単騎突撃したらしい。物見の安否も心配だ。
「ご家老‼︎」
私が今川の陣に突撃して一時間ほどした後、物見の声が聞こえた。
その方向を見ると、自分の後ろに信長様を乗せ、馬で駆けていた物見の姿があった。
「おぉ‼︎大丈夫か⁉︎」
「はい‼︎案の定捕まっていた信長様をなんとか助けて…ハァハァ……なんとか陣の中を逃げ回っておりました。」
「そうか‼︎でももう大丈夫だ‼︎とにかく君も信長様も見つかったことだし、早く城に退却しよう‼︎」
「えぇ〜義元ちゃんにまだダンス見してないぃ‼︎」
黙れこの脳内お花畑め‼︎と思いながら信長様を無視し、退却命令を出そうとしたその時であった。
「今川義元、討ち取ったり〜‼︎」
一瞬、何が起こったか分からなかった。
ただ言えるのは、周りの今川軍の兵が逃げ出し始めた、ということと、我が織田軍から歓声が上がっている、ということであった。
「ご家老‼︎やりました‼︎義元を討ち取りました‼︎」
ある一人の兵士が首を一つ抱えて私のところに持ってきた。
貴族風の化粧にお歯黒、そして眉剃ってかいているところを見ると、どうやら本当に今川義元の首らしかった。
「ほ、本物?」
「はい‼︎正真正銘、駿河の雄今川義元の首でござる‼︎」
どうやら、本当にこの戦、勝ったらしい。
「勝どきじゃあ‼︎エイエイ、」
「オー‼︎」
今回迷惑しかかけていない信長様が勝手に勝どきをあげる。
勝った。どんな形であれ、尾張の弱小大名織田家が、駿河、遠江、三河を治める今川義元を、三千の兵で二万五千を倒したのだ。
なんか、もうすごかった。
「わしのダンスを披露できなかったのが残念だ」
帰り道、信長様がなんかほざいた。
「信長様、いい加減に……」
「まあまあいいじゃないですか」
信長様を怒鳴りかけた私を物見が止めた。
「そういえばおぬしの名をまだ聞いていなかったな。」
「は、私の名は木下藤吉郎と申します。昔、尾張の中村という村で百姓をしておりました。」
「ほう……木下藤吉郎、か……覚えておこう。」
「いや、顔が猿みたいだからおぬしは猿じゃ‼︎」
信長様が藤吉郎の後ろで叫ぶ。
「信長様、彼は命の恩人ですぞ?」
「まあまあ、気にしませんよ。」
「さぁる♪」
私は、一発信長様を殴りたい衝動にかられながら、藤吉郎と馬を進めた。
お楽しみいただけたでしょうか?
次回お楽しみに〜♪
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