転生したらエリックだった件   作:逸般ピーポー

11 / 29
オタッシャ重点な


サツバツめいたアトモスフィア

アリサがアナグラにやってきてしばらく。

アナグラ内の雰囲気の険悪さにはますます拍車がかかってきている。癒しはリッカちゃんやオペレーターのヒバリ嬢、あとは今日もふつくしい…ジーナさんくらいのものだ。あのサクヤさんすらも、形の整った眉を八の字にしていることが増えている。

 

ほら、あなたにも聞こえてきませんか。耳を澄ませば、今日も絶えない殺伐とした口喧嘩が…。

 

 

「…だから、さっきから何度も言ってるじゃないですか!アラガミが来ているなら、どんなことをしても早急に民間人を避難させることが優先でしょう!」

 

「だからって、神機使いが民間人を神機で脅すのはやり過ぎだろう!しかも、民間人がまだ避難しきってないのに勝手に戦い始めるしよ!」

 

「そう言う貴方達が民間人の避難に手間取っているからああしたんです。それを言うなら、貴方はあのあと意味のないところでホールドトラップしかけてましたよね?どうしてあれを民間人の避難が終わってない時に使わなかったんですか?」

 

「そ、それは…。まだ、使う時じゃないと思ったんだよ!」

 

「話になりませんね…」

 

 

ああ…。またやってるよ…。

今日はアリサちゃんがヘルプで防衛班と一緒に出撃したらしいんだけど、シュンが良いように言われている。

 

アリサちゃんはもともと口が過ぎるところがある。それゆえ、今彼女に普通に接しているのは第一部隊でもリンドウとユウ君くらいだ。

サクヤさんもアリサを諌めることが増えていて大変そうだし、コウタ君はさっそく面白くなさそうになっている。…まあ彼は榊博士のアラガミ講座で不真面目にもぐうすか寝ていたらしいし、今のアリサとは分かり合えないかもだね。

ソーマは相変わらず人を避けてるし。せいぜい僕やリンドウと一言二言話せばいい方だ。まあ、ソーマは不器用だからなあ…。まったく、本当に手のかかる友人だ。やれやれだ。…はっ。これが噂のやれやれ系主人公というやつか。エリナ、やったよ!ついにお兄ちゃんは主人公らしくなったよ!なお武器はクソザコナメクジ。つらたん。

 

 

アリサちゃんの言うことそのものはそう間違ってないんたまけどね。言い方がまああれです。うん。キッツイ。

もう少し手心を加えてあげて…と言いたくなるような言い方をする。

謙虚な当たり方の出来るリンドウは凄いと思う。いやマジで。…しかし今、あたりにリンドウはいない…。

 

ふと、ヒバリちゃんと目が合った。

目と目が合う~♪

…あ、あれを止めてこいと?

周りの人達すら遠巻きに眺めているだけだというのに?

…君は僕に爆心地に行って死ねと申すか。

よかろう。行ってみよう!

 

エリック、逝きまーす!

 

 

ますますヒートアップしているシュンとアリサちゃんの元につかつかと歩いていく。

見ると、シュンがアリサちゃんの胸ぐらを掴もうとしていた。待つんだシュン!それは事案だ!

アリサちゃんの貴重な下乳が丸見えになってしまう!

 

そう思った瞬間、ガッとシュンの腕を掴んでいた。セーフ。間に合った。

シュンの手はアリサちゃんの胸元から5センチと離れていない。…犯罪臭がしますねえ…。

 

そんな馬鹿なことを考えている間に二人から睨まれていた。なんでや、僕悪くないやろ。

 

とりあえず、シュンの方から宥めることにする。

 

「シュン、それ以上いけない」

 

「…うるせえ」

 

そう言って顔を背けて腕を振り払われた。うーん、シュンは既に極東で5年くらいやってきてるくせして相変わらず協調性に難があるね。…まあいまだに上官からたびたび注意されてるしなぁ。

なんにせよ、感情的になっていたのが少しは冷めたようだ。ふてくされながらも何も言わないのがその証拠である。シュンは拗ねると長引く上に変に拗らせるからね…。君はロン・ウィーズリーか。

 

 

「さて、アリサ君」

 

そう言ってアリサちゃんの方を向くも、いかにも私悪くないですという顔をしていた。うーんこの。

 

「なんですか?言っておきますけど、私何も間違ったこと言ってませんよ」

 

…ああ、こっちはもっと感情的になってるね。これ、この場で何を言っても通じないやつだ。

うーん、こういう時は時間を置くのが一番良いんだよね。僕に飛び火しても嫌だし。よしそうしよう。単子葉。理科かな?

 

「…君が言ったことに何か言うつもりはない。ただ、もう少しだけ周りの様子に気を付けてはくれないか?」

 

「周り?………あ」

 

僕がそう言うと、周りからの目線に気付いたようだ。

うん、けっこうな人数が心配そうに、もしくは不機嫌そうにこちらを伺っている。

 

「別に出撃後にデブリーフィングをすることは構わないけど、二人共感情的になりすぎだ。

今日はもう休むなり、一度自室に戻って落ち着いた方が良い。

…二人共、いいね」

 

「……分かりました」

 

「しょうがねえな…」

 

そう言いつつ、二人共お互いを見るとフン!とそっぽを向いて歩いていった。

つ、疲れた…。ジーナたん、僕の荒んだ心を癒してくれ…。




感想・誤字報告して下さる方々、いつもありがとうございます
めちゃくちゃ嬉しいです

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。