「ふんふんふーん♪」
おはこんばんにちは。上田です。
今日はちょっと機嫌が良い。というのも、実は今日はちょっと久しぶりにジーナたんと二人きりでの(戦場)デートなのです。
え?戦場のクリスマス?はは、なんのことやら。まつあきも猿のお面もワニキャップも、儀式とやらも私は何も知りませんよ?本当ですよ?
さて、そんなわけで早速エレベーターに向かーーーー。
「…エリック。ちょうど良いタイミングだ。
支部長が俺たちを呼んでいる、さっさと行くぞ…」
え、ちょっと待って下さいソーマさん。
絶対それ厄介事の気配がするんですが。
最近周りからのぶしつけな視線でじろじろ見られてるなー、って思ってたから、今日のジーナたんとのデートは本当に僕に取って貴重な癒しなの。ねえ。
ソーマ待って、止めて引きずらないで。いや、あああぁぁぁぁ…。
上田は速やかに支部長室に回収されていった。
支部長室。
ゲンドウポーズをする支部長。フードを被ったまま腕組みをしているソーマ。そして引きずられた挙げ句に入室してすぐにぽいっと捨てられた上田。僕です。
「…」
「…」
「…」
上から順に、微妙にひきつった顔をしている支部長、いつも通りのツンツンソーマ、しぶしぶと立ち上がる上田。あー、かったるい…。ジーナたんの居ない極東とかさ、カスタードのないシュークリームみたいなもんだよ?やる気失せますわー…。
「…さて、では話をするとしよう。
最近、アナグラの中があまり和やかな雰囲気とは言い難いことになっているようだね…。エリック君?」
そういう支部長は皮肉気にこちらを見やる。が、大体コイツのせいな黒幕にそんなこと言われましてもね。
「はあ」
「…アリサ君といい、君といい、少々言動には気を付けてほしいものだね。…まあいい。
さて、今回二人を呼んだのは他でもない。
ソーマには既に手伝ってもらっているが、エリック君。君にはソーマと共に、『特務』と呼ばれる任務についてもらう」
「何…!?」
支部長の言葉に、ソーマが支部長を睨み付けながら聞き返した。え、なんかおかしいとこあった?
「てめえ…、何を考えてやがる…」
「…特務とは、簡単に言えば少々手強いアラガミを君たちに倒してもらう任務となる。それと、特務については他言無用だ。
それ故、しっかりとした報酬をこちらも用意させてもらう。…何か質問は?」
「無視してんじゃねえ…!」
「…報酬の内容は?」
「相応の素材と金額、それに配給チケットを確約しよう」
「エリック…、てめえもだ」
「ごめんソーマ、後で聞くよ。
…休暇が減らされるのであればお断りします」
「休暇についても問題はない。代休、という形にはなるが…。こちらも、君たちにはしっかりと休んでもらい、特務を必ず遂行してもらいたい。
さて、それではまた用があればこちらから呼ぶ。
…二人とも、下がりたまえ」
「では、失礼します」
「チッ…」
そう言って、僕ら二人は支部長室を出た。
互いに無言でエレベーターに乗る。…ソーマ、怒ってるなぁ…。
「…という訳で、よろしくねソーマ」
「…」
無視されたでござる。
うーん、でもなあ。支部長に呼ばれるってことは支部長に目を付けられたってことだし。つまりそれなら下手に反抗してアンブッシュ(不意討ちのこと)されるよりは、しばらく大人しく言うことを聞きながら様子を見た方が良いと思うんだよね。
それに、しばらくすればゲームでは主人公も特務やる訳だし、ユウ君、ソーマのどちらかとでも一緒なら生存率はぐっと上がる。
むしろ最悪なのは、一人で特務に行かされるかリンドウみたいに暗殺みたいに葬り去られるかだからね。それならまだ今回みたいにしておいた方が良い。
決して休暇が減らない上に配給チケットが貰えるなら、と報酬に釣られたりした訳ではない。それだけは真実を伝えたかった。
僕やソーマの部屋のあるベテラン区画と呼ばれる階に着くなり、ソーマは無言のまま行ってしまった。
…あれ?これ、孤立するフラグ立った?