東方幻零譚   作:少校

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 文才なんて有りません。
 思いつきで始めたのでその点ご理解いただきたいです。


プロローグ

 とある少女の話をしよう。

 その少女はその世界を呪っていた。

 いや、正確にはその世界から抜け出すことを望んでいたのであろう。

 

 少女のいた世界は、堕落と謀略が渦巻く混沌とした世界であった。

 至る所で争いごとが絶えず、常に人々は死と隣り合わせの中でおびえながら生きていかなければならない。

 ある者は戦争に兵としてかり出され、頭をバッサリと斬られ、息絶えた。

 ある者は家を焼かれ、一族共々路頭に迷うこととなった。

 ある者は略奪の限りをし尽くされ、最愛の娘を『戦利品』と称して連れて行かれた。

 ある者は家族を殺され、もう繰り返すまいと正義感によって武器を持ち戦ったが、逆恨みした別の民衆により叩き殺された。

 

 血が血を洗い、新しい希望を見つけ、そこに向かって歩き出しても、絶望の濁流がその道を洗い流してしまう。それでも、絶望の狭間に僅かな快楽を見つけることで気を紛らわした。それが人々の唯一の愉しみであるのだが、時にその針の方角は思いもしない方角へと向かうことになる。

 

 ある時、少女に向かってその針の先が向かった。

 誰が言い出したのかは定かではない。突如として少女は社会から忌み嫌われ、放逐されてしまったのだ。

 少女はその理由がわからぬまま、唖然とした風体でその意味を理解した。

 

 人は『嫉妬』という感情を持つ。それは時に切磋琢磨の原料となるが、時には理不尽極まる差別の原点ともなる。

 少女の嫉妬の対象は、彼女の持つ特殊能力、『魔法』。

 魔法は基本、何でもその使用者の能力があればこなせてしまう。それは一部の権力者にとっては喉から手が出るほど欲しいものであり、必然的にその思考は「欲しいなら手に入れてしまえ」という所に行き着く。

 であるから、少女の社会的な立ち位置は皇族に次ぐ、『華族』というものが与えられた。所謂、『交換条件』というものだ。「地位を与えるから、その力を我々に役立てよ」ということである。

 少女の住まう国は世界的にみて東に位置する島国だ。国土は狭く、特筆すべき産業も無い。やっとの思いで手に入れた国の制度が、議会も持たぬ立憲君主制。そのくせして世界の中では比較的強い部類にいるのであるが、せいぜいその末席と言う立ち位置であり、やはりどこか背伸びをしてのものである感は否めなかった。

 だからこそその国の権力者は力を欲していたのだが、それと引き換えに少女が得た地位は力をもたぬ人々の格好の嫉妬の対象となったのである。

 しかし、それを十四程度の少女が理解するのは酷というものだ。

 話しかけても無視をされる。街中へと繰り出せば白い目でみられ、時に石を投げられる。時が経つにつれて少女に与えられた称号は「化け物」というものであった。

 

 ある日の夜、少女とその一家には有り余る巨大な屋敷の中央で、少女は畳の上に座っていた。

 少女は紺色の詰め襟服を着ていた。その目の前には、一本のサーベルが置いてある。

 それらはすべて政府から見返りとしてもらった物である。少女の家族は今までの百姓暮らしから一転して毎日が極楽、といった状況であるが、少女の苦労にはまるで気づいていない。

 少女はサーベルの柄を手に取り、白銀の刀身を鞘から抜き放った。和紙を巻いて手をそこに持ち替え、尖先が喉に向かうような体勢を作る。

 いざ、と少女は尖先に喉を思い切り近づけた。

 

 ――――しかし

 

「お待ちなさい」

 少女の真後ろから、突如空間が裂けて扇子のようなものが飛び出し、サーベルの行く先を塞いだのだ。

「あなた、このままでいいの? まあ、あなたなら別に冥土で裁判にかけられても問題無いでしょうけど、ずっと見ていていたたまれなかったわ」

 誰かの声が少女の耳元に囁きかける。

 少女は首を横に振った。否定の意か、はたまた幻想と気を紛らわすためのものか。

 その声の主は、前者と受け取った様だ。

「あなたには、ちょっと協力してもらいたいの」

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