とある提督の追憶   作:Red October

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…ここまでのあらすじ…

日本国海上護衛軍・艦娘部隊所属の新人士官、堺修一。彼は「あ号艦隊決戦」でその実力を認められ、後方支援要員として「十一号作戦」に参加することになった。主力艦隊がカレー洋方面で奮戦する中、彼は後方支援と泊地周辺の哨戒にあたる。


大変失礼いたしました、リランカ島のボスは泊地水鬼ではなく港湾水鬼でした!
E4とE5のボス間違えるなんて…
ブルクドルフ「ダサいし!」
うp主「ちくしょうめぇぇぇぇ!!(泣)」
フェーゲライン「これだから不注意閣下は…」
うp主「コ☆ロ☆ス」
フェーゲライン「はい死んだー!」
ズダダダダダダダ!

バタッ
ンデロリーン♪


026 提督と、十一号作戦(Ⅱ)

 タウイタウイ泊地。

 史実では、本土を離れ、フィリピン共和国のスル諸島に日本海軍が設営した泊地である。

 マリアナ沖海戦の直前に、空母「大鳳」以下、翔鶴」「瑞鶴」を中心とする機動部隊が、1ヶ月にわたり停泊した泊地として知られているが、この泊地は諸々の理由で長期にわたる空母部隊の停泊は想定されていなかった場所だった。

 ラバウルやトラック諸島とは異なり、大規模艦隊の行動拠点とはされなかったのだ。

 

 

 

 

 

 …しかし、この世界においてはどうだろうか?

 

 

 地理的には我々の住む現代世界とほぼ同じ位置、同じ条件下にある。

 それならば、この泊地の運用に変わりはないと思えるかもしれない。

 

 が、今、このタウイタウイ泊地には、大艦隊が集結、カレー洋方面に向けて出撃を繰り返していたのだ。

 

 

 

 

 

「………」

 

 タウイタウイ泊地、通信室。そこでは、堺艦隊の参謀ともいえる立場にある艦娘、軽巡「大淀」が、ヘッドホンをして無言で無線を聞いていた。

 時おり、目の前の紙にペンを走らせ、何か文字を書き込んでいる。

 

 何をしているのかというと、佐世保鎮守府からの応援艦隊の戦闘報告を聞いているのだ。だが、この通信はよっぽどその方面に精通していないと、到底わからないだろう。

 

 何せ暗号化されている上に、モールス信号に変換されて送信されているのだから。

 

 しばし無線機、及び記録紙、暗号表とにらめっこした後、大淀は文章が書かれた紙を持って、通信室を出ていった。

 その足で司令室に入り、堺に報告する。

 

「提督、いよいよリランカ島の敵拠点への攻撃が開始されました」

「お、そうか。いよいよ1つめの山場だな」

 

 相変わらず書類仕事に追われながら、堺が応じた。

 テーブルの上には補給や修理関係の報告書だの、戦闘詳報だのの紙がうず高く積み上がり、何かの拍子に崩れそうになっていて、まるでピサの斜塔だ。

 

「提督、いい加減机を整理してください」

「事務仕事は苦手だって言ってるだろうが…」

「それは苦手どころか壊滅でしょう」

「提督も、事務仕事の1つくらい、できてほしいもんだけどねー」

 

 この日は、軽空母の艦娘「隼鷹」が手伝いに来ていた。最後の台詞は隼鷹のものである。

 本来であれば、対潜哨戒に行かなければいけないのだが、練度がまだ低いので、今はお留守番。代わりに演習漬けの日々を送っていた。

 

「ちょっと待った。藤原の奴からの報告か?今のは」

「はい、いよいよ本格的な実戦だ、と意気込んでいらっしゃいましたよ」

「はは、アイツらしい。しかし、それにしても、こりゃ緊急事態だな」

「どういう意味ですか?」

 

「新米を指揮官として前線へ出さなきゃいけなくなるほど、我が軍の人材不足がひどい、ってことだよ」

 

「………」

 

 実際、堺の言うこともあながち間違っていない。

 

 堺が正式に提督となったのが、西暦2197年の4月。その3年前、西暦2194年に、日本国海上護衛軍は大失敗をやらかしていた。

 当時、国民総選挙が迫っていた。時の政権の評判は芳しくなく、政権交代も現実的とすら思われていた。

これに危機感を覚えたのが、当時の海上護衛軍である。その政権が、どっちかというと海軍びいきだったからだ。

 

 悲しいかな、この時代にあっても、陸上自衛隊…もとい旧帝国陸軍と、海上護衛軍…もとい旧帝国海軍の対立は尾を引いていたのだ。

 航空自衛隊については、表立って政権闘争には首を突っ込みはしなかったものの、隙あらば自分たちに有利な政府を立てて予算を少しでも貰おうと狙っていたのだ。

 まさに「陸海空軍あい争い、余力を以て深海棲艦と戦う」である。お前らもっと仲良くしろよ、と言いたい。

 

 そこで海上護衛軍は、この状況を打開しようとして、深海棲艦の巣窟となっているアイアンボトムサウンド方面への大攻勢を企画、実行したのだ。

 そして、アイアンボトムサウンドに前線艦隊を突入させたはいいが、伸びきった補給線を突かれ、退路を断たれてしまったのである。

 その結果、投入した6個艦隊のうち実に4個艦隊が壊滅状態に陥った。ひどい所では艦隊の9割以上を撃沈されたものもある。

 あげく、深海棲艦の逆撃を受け、ショートランド泊地とブイン基地が一時的に陥落しかけるという失態まで晒したのだった。

 こうなっては、どう言い訳をしようが無駄である。

 

 結局、海上護衛軍は政権を維持できず、航空自衛隊閥に政権を譲ることとなった。そればかりでなく、作戦に参加した将兵約90万人と艦娘100名、艦艇200隻以上、航空機400機あまりのうち、将兵の死傷者74万名、艦娘喪失16名、大破28名他損傷あり、艦艇喪失56隻、他約100隻の損傷、航空機300機以上の喪失と、しゃれにならない被害を出してしまったのである。

 この損害を少しでも埋め合わせようと、海上護衛軍は民間からの一般水兵募集をいつもより大規模に行ったのだ。堺が応募した海上護衛軍の一般兵募集の正体はこれだったのだ。

 

 それで、若手の新米士官も頼りにしたいほどの深刻な人材不足に陥り、結果として藤原のような若葉マークも外れないルーキーまでも前線に投入しているのである。

 

「ったく…誰なんだろうな、こんな無茶をやったのは。まあ、その無茶のおかげで俺と俺の家族がこうしてメシにありつけてるわけなんだけど」

「提督、他人への悪口は程々に…」

「あっはっは!うちの提督は辛口評価をするねぇ」

「まあな。あと隼鷹、お前また飲んだだろ」

「え?飲んでなんかないよ?素面だよー」

「…信じられんな」

「うわぁん大淀!提督がいじめるー」

「ウソ泣きをしないでください。あとそう思うなら日頃の言動を見直してください」

「さらなる鬼がいたー!」

 

 今日もタウイタウイ泊地は平和である。既に日は海に沈み、闇と静寂が泊地を支配していた。

 

「さーて、藤原の奴に送る補給物資とその目録を用意しなきゃな。戦場において必要なのは、何よりも資金と糧食なんだから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 …で、その頃、その藤原は何をしていたかというと…

 

「そこだ、終わりにしろ!霧島!」

「距離、速度、よし!全門斉射ぁー!」

 

ズドォォン!

 

ドガァァァァァァァン!!

 

 

 他の鎮守府からの艦隊とともに、リランカ島敵拠点「港湾水鬼」に、最後の総攻撃をかけていた。

 

「…やりました!敵港湾水鬼、撃破です!」

「よっしゃぁぁぁ!」

 

 リランカ島攻略作戦、終了…!




お久しぶりでございます。Red Octoberです。

今後の構想をまとめていたら、予想以上に時間がかかってしまいました。おまけにテストはあるし、病気にはなるし…

そんなわけで投稿が遅くなりましたこと、心よりお詫び申し上げます。
不定期更新ではありますが、今後とも拙作をよろしくお願いします!
レイテ沖イベントも近づいてきましたし、頑張っていきましょう!

最後に、私に総統閣下シリーズの面白さを教えてくださいました、偉大なる提督にして総統閣下シリーズ製作者、鳳仙閣下のご冥福をお祈りいたします…


追伸:評価、感想、お気に入り登録よろしくお願いいたします!


最後の茶番
金剛「なんでE2とE3の描写省いたデース!?」
うp主「いや、あんまり描写しなきゃいけないこと思い付かなくてさ…。前線で戦ってるならともかく、今回は後方支援だしな」
伊勢「それ言い訳って言うんじゃないの?」
うp主「それは違うな伊勢。与えられた任務を果たしてるだけだし、それにうp主はこの作戦、そもそもE1すら突破できなかったから様子がいまいちよく分からんし」
加賀「ただの言い訳ですね、赤城さん」(弓矢構える)
赤城「そうですね、加賀さん」(弓矢構える)
うp主「ふぁ!?ちょー待ってってば!」
赤城「全機爆装!第一次攻撃隊、発艦!」
加賀「目標、母港執務室の提督。やっちゃって」
うp主「それ違う子のセリフ…って、違うそうじゃない!あぁ嫌いやイヤいや嫌ぁ!」

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